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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
332/364

謀略33 / ルタール編15

….ドダ…


あれ?。


何だ?。


身体が安定しな…。


何だこの多量の血は。


「ひっひっ…ひぃぃぃい!汗」


身体が!下半身が!。


私の下半身が無くなっている…。


さっきの激突で。


な、なぜ気づかなかった。汗


ああぁ…。


あんな所にぶら下がっている…。


前のナメクジ塔に引っかかって。


銀色の三葉虫が私の股間に食らいついている。


このアホウ鳥め!。


誤って私の身体を引き裂くとは。


やはりケダモノケダモノに過ぎない。


が…寒気がする。


大量の出血が…。


痛い…気が遠くなって来た…。


『…る、ルタール様ご無事で…』


「い..移送しろ」


目が霞む。


意識が朦朧と…。


『…はっ….あ…あの…』


「ごちゃごちゃ抜かすな!…早く別のクローンに私の意識を移せ!何をぼーっとしているのか!この身体はもう持たん!」


こいつらが間抜けなお陰で生きる力がみなぎって来る。


怒りの原動力で。


『…しかし…』


「しかしもへったくれもあるか!痛っ…ゴミ野郎!私に逆らう気か?」


瀕死の状態であっても、ゴミはなじらずにはいられないのが私の性分。


『…ま、み、む、め、滅相もございません、ただ変わりのクローンが…ルタール様のご指示で…』


「何?貴様!代わりのクローンを持って来なかったのか!」


『…ルタール様のご指示で…』


「貴様!どれだけ私をおちょくる気なのだ!下等生物の分際で!ええ?!この…痛….』


『…..』


「…ならバラクターを出せ!ルタール特別仕様の。」


真っ赤な機体。


いわば、バラクターの名車、ベントーレだ。


.. ググググウエエエッ…


ひっ。


…..グゥゥエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…


ジェニファー目掛けて一気に降下して行く。


激しいG。


エメチルドリルで固定された身体。


千切れないのが不思議だ。


旗のように激しく振られる。


もはや制御など効いていない。


メルギネスが暴走している。


いや、これが本来の姿。


この世で最も手に負えない暴走鳥。


意識が…。


だが、死ぬ訳には行かぬ。


次のハフスブルグ家の党首は、大兄上でも、他の兄達でもない。


私なのだ。


私しかいないのだ。


負けてたまるか…。


私こそがエイジン•ローデシアの覇者となる者。


アトラ7元老を統べる者。


最高神アジャイロに選ばれし者…。


!?


な……….汗。


……こ…これは….。


……一体。


………。


….。


一体何だ!?。


我が兵曹達が陣を組んでいる。


本当に築いている!。汗


バリケードを!。


数千の我がハフスブルグの兵曹ガノーシス達が…。


我が軍の戦闘アンドロイド バラクターが。


我が身を盾として、ジェニファーを護っている。


何層にも重なり合い、まるで、母を守る小蟹のように。


僅かな隙間も作らないように。


メルギネスの動きに合わせ、全ての兵曹が向きを変える。


結束している。


あのバカ女を中心に。


強固な防護壁を。


自らの身体で。


意志を持たぬ奴らが。


空からの襲撃に備えて、組体操のように。


あんな必死な姿を見た事が無い。


何がこの下等な知能にそうさせる。


こ..これがアルマダイの底力。


我々が恐れているアトラの軍事兵曹達の真の力。


尊大なゴミ女め。


女王だとでも言わんばかりに。


しかし、無駄だ。


このルタールに楯突くことは許さぬ。


メルギネスの1踏で粉々にしてやる。


思い知るが良い。


…シー様…シー様ぁ!….


ボケ老人が悲鳴を…いや?..何だ?


何だ!?


何なんだ!?


….。


バカな!汗


「お…おい…汗…おい!司令室!おい!返事をしろ!」


….。


…。


….ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….


あ…あぁ….汗


黒煙を噴いている。


ジェニファーが….。


….ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….


凄い勢いで前後に。


黒煙を。


まさか….。


…やっと…た…下がって..いでムラ..ツ..


バカ女の太く低い声。


ここまで響いてくる。


唸るような。


生きているのか?。汗


バカな…。


まさか!?汗


…キィィイィィィィィィィィィィィィィイイイィィィィィィィイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…


眩い光。


強い光が….。汗


太陽よりも強い白い光….。


輝きを増して行く。


…..ギィイイエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエヤヤヤヤアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…


メルギネスが空で暴れる。


玩具おもちゃを見つけて興奮をしている。


…キィィイィィィィィィィィィィィィィイイイィィィィィィィイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


更にジェニファーの輝きが増す。


まさか…自爆…?。汗


それも可能になったのか…?。


….


…ッ..


….ッツ….


….



….ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン….


「うわあああああああぁぁぁぁぁぁ!汗」


『…爆発..音..が….ま…まさか….』


…キィイイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….


「うをぉっ…..うをおぉぉぉぉ…汗」


まるでジェットエンジンの音…。


まさか…。汗


『…た、た、大変だ!た、た、た、大変な事態に…』


『…る、る、ルタール様!…ジェ、ジェ、ジェニファーが!汗…』


アルマダイ高圧炉は、シーアナンジンは貫通し、破壊したはず!汗


ジェネシスで完全に封じ込めたはず。


「ま、ま、まさか….汗」


『…アルマダイ検出ゲージ…ふ、ふ、振り切れました!..ジェニファーから..アルマダイ融合反応を検出…』


「何?汗…何だと?」


穴が、穴が空いていたでは無いか!?


体液も残っていないはず。


どうなった!?汗


『…ジェネシス..を振り…切りました…』


『…エネルギー反応が爆増しています…アルマダイ融合が臨界…こ、こ、こ、ここ、高圧炉….ジ、ジ、ジェニファーが…こ、こ、高圧炉を起動しました!…』


「バカな…そんなバカな…出来るはずがない…」


『…エネルギーカウンター振り切ります!…』


何と言うことだ…汗。


….ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….


なぜだ….。


「あり得ん….あり得るはずがない…汗」


ジェネシスは….。


なぜ。


バカ女が黒煙を噴き上げている。


更に激しく。


ばかな….汗。


なぜこんな事に…。


…キィイイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…


…ひぃぃぃぃ…泣


この音!。汗


これは確実に!。


なぜこうなった?。


…キィイイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….


ジェニファーがますます光を強める。


目が焼けるほどだ。


こんなにも距離が離れているにも関わらず。


はっ!?汗


やるなら…。


やるなら今しか無い。汗


今なら防げる!。


あの怪物が目覚める前に。


叩き潰せる!。


何を慌てているのだ、私は。


こいつがいるではないか!。


メルギネス!


「メルギネスっ!」


エメチルドリル!。


効いてくれ。


今を逃しては後がない…。


行け!メルギネス!。


ジェニファーを捻り潰すのだ。


…ギィヤアアアアアアアアアーーーーーグウエエエエエエエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェーーーーーーー…


良いぞ!。


メルギネスが荒ぶる。


メルギネスが急降下する。


ジェニファー目掛けて。


…ググググ…


….ブゥオオオオ..ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ….


行け!。


ぶちかませ!。


…..グゥゥエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…


そうだ!。


メルギネス、冥界の女王よ。


奴を握りつぶしてやれ!。


あんな下等なポンコツ。


ぐちゃぐちゃに。


お前にとっては、虫ケラに近い弱者。


一捻りにせよ!。


我々、国際金融資本が、アトラを掌握出来ない原因。


世界秩序を妨害する気狂い女。


漸くマダク•シムラを排除したのに、あのクソ女が障壁になる。


いつもいつもだ!。


だが…今がチャンス。


アマルの仕業に見せかけた偽旗作戦。


複数の女王マナを伴うギガサニーの大群が、全アトラの首都に攻め入る。


この地下世界で養殖した最悪のギガサニーの女王達。


そして、マダク•シムラの暗殺。


この同時多発作戦は、貴様らに致命的な打撃を与えるだろう。


あの邪魔で目障りなゴミさえ居なければ、資金が必要となる国家主義者は全て我が方に鞍替えする。


あのザネーサーですら。


ふっ…笑。


緑色のランプが点滅し始めた。


間も無く移行も終わる。


83%。


100Gの通信速度でも私の意思や魂を3%伝送するために25秒要する。


だが焦ることは無い。


こちらのクローンルタールは恐らく5分は命が持つだろう。


不思議な感覚だ。


別の場所の視覚や感覚が認識できる。


ルタール専用のバラクターからのものだ。


いつでも私の意思で切り替えることが出来る。


庶民の伝送システムでは、伝送後、耐え難い不快感に襲われる。


ロスが、失われる情報が不整合を起こすためだ。


数日あるいは一生それが治らない場合もある。


だが、我々の開発したシステムは不快感すらない。


寧ろ清々しい気分になる。


このプロジェクトが終わるまでは、バカ女を倒して、インドラとエンリルを取り戻すまでは、バラクターの姿の方が良いかもしれない。


その方が安全だ。


もし、クソ黒バッタのレーザーでも浴びて見ろ。


一瞬で極楽行きだ。


…ギィヤアアアアアアアアアーーーーーグウエエエエエエエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェーーーーーーー…


バリケードが迫る。


我が兵曹団が作った3層の堅固な。


戦闘機や兵曹なら止められる。


だが、メルギネスには、こんなチンケなバリケードアルミホイル程の意味もない。


…..グゥゥエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…


質量の差はパワーの差。


エネルギーの差。


あのメスゴリラはせいぜい50トン。


メルギネスは5000億トンを裕に超える。


メルギネスは常に浮遊しているのだ。


この地下に既に巣とも言うべき重力場を築いているのだ。


ジェニファーなど鉄に地にこびり着く、うじ虫。


行け!。メルギネス!笑


軽く踏み潰してしまえ!


あと一飛び。


あと100m。


バカ女はこれで終わり。


ふっふっふっふ!


はっはっはっはっ!


あははははははははは!


わははははははははははは!


ワッハッハッハッハッハッハッハッ!


ワハハハハハハ…


..


….


ん?汗


…ッツ…



….ズゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン….


グフォ!汗


!?


…ゴゴゴゴゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ…


!?


凄まじい衝撃。


な…何があった?。


は!?汗


メルギネスが落下して行く。


奈落へ、最下層の運河へ….。


….ビュウウウウウゥゥゥーーーーーー…


風が吹き荒れる。


弾き飛ばされた!。


一体何が….。


エメチルドリルが引きちぎれた。


身体が回転して良く見えぬ。


何が….。


ひっ…。


ひいぃ。


巨人…。


巨大な兵曹…。


ああぁぁ!汗


あれは!。


い、い、大雷神インドラ!。


え、大風神エンリル…汗。


完全に乗っ取られてしまった。汗


何たること…!?汗


形勢は悪化した。


このままではやられてしまう。


全て持って行かれてしまう。


….ビュウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーー…


落下している。


凄まじい速度で。


我が肉体はもはや瀕死だ。


やむを得ん。汗


まず、バラクターへと乗り換えるとしよう。


私特製のアンドロイドのベントーレへ。


ん?。


ん?。どうした!?。汗


《…データ伝送率89%…データ伝送率89%…まだ伝送先切り替えは出来ません…》


「な?汗」


「何だと!?汗」


《…データ伝送率89%…データ伝送率89%…まだ伝送先切り替えは出来ません…》


「バカな!?どうしよう…」


迫って来る!。


鉄の路面がぁ!。汗


死!ん!で!し!ま!う!泣


「おわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

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