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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
314/364

ダヌアの空に140 / バイキールの魔女編 10

「え?…」


「え….?」


「….あ…ぁ..汗…」


フネさん…。


シートから跳ねた。


「あ…..ぁ……..あ….ぁ」


…なんだい?。汗


随分と間をおいて..。


….ゴゴゴゴ…ゴゴ..ゴゴゴ….ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….ゴゴゴゴ…ゴゴ..ゴゴゴ….ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….ゴゴゴゴ…ゴゴ..ゴゴゴ….ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….ゴゴゴゴ…ゴゴ..ゴゴゴ….ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


爆炎…。


「ウソ?ウソでしょう?…」


何が起きた?汗


「何がウソ…ウメ何がウソなの?」


「ふ……..踏みやがった…..」


どしたいウメ?。


「え………?」


何をそんな真っ青な顔で…?。


え……。


爆炎….青犬神ゾアーグの足元から…。


アルガード隊が避けて来た死地。


「あそこは…。行っちゃならねぇとこだよ…汗。潰れて…。土にめり込んであんなにぺちゃんこに…。10式戦車が。」


何て酷いことを!。


うわ言みたいに!。


そ…そんな…そんな訳ないだろ?。汗


「しっかりせんか!な….何言ってんだい。ウメ!」


『…プ..ン…ブァ.. マザー…全..軍で…保..護…に…向か…う..弾幕…を…』


『…生体反応..無い..プンブァマザー隊..プンブァファザー隊…後退を…』


『…犬神ゾアーグから..高エネルギー反応….』


方針状態で…。


何うわ言を言ってんだい…。


急にどしたい…汗。


「あんな奥まで入っちゃ…あんな近くに行っちゃ…..勇敢て言わないよ...泣」


う…ウメ…?。


じょ….冗談も大概にしなよ。怒


しわくちゃな口をくちゃくちゃして…。


縁起でもない。


梅干しみたいな顔して!。


「一体……..な…何….」


何言ってんだい?汗。


ま…孫みたいな子らだよ?。


ま…まご…ま孫みたいな…ね?。汗


あ…あのねぇ…。


….ゥゥゥゥゥゥウウウウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…


インタークーラーの吠えるような音。


レオパードの巨大な。


張り詰めた艦内。


何でこんなに汗が噴き出して来る?。


心臓も全力で走ってるみたいに。


…ピーーーー…ピーーーーー…ピピ….ピーーーーーーーーーーー…


機材の音が沈黙を埋める。


無常にも…。


『…レ..オ…パー…ド11…レ…オ…パー…ド11….応….答…を…』


「あの子達の10式…踏んじゃった….」


「何言ってんだい!ウメ!あんた自分が何言ってるか分かって…」


砂煙の中へ突撃した…10式。


勇ましく。


「ありゃ青犬神ゾアーグの罠…呼び水なのに…」


フネさんまで…。


放心状態で腰をシートに戻しながら。


本革の黒い艦長席に。


『….白..が…熱..線…を…吐..き…ま….』


「..虫…ケラ…みたい…に…踏ん…じまった…汗」


「何!?…何を言って…汗」


えぇ!?汗


心臓が喉から飛び出しそうだ。


何言ってんだいウメ?。


『…スカー8..スカー11…1026まで後退!…踏まれるぞ!…』


青犬神ゾアーグが脚を振り下ろす。


…ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…


振動がレオパードを殴りつける。


爆発のような音。


噴き上がる砂。


アルガードが逃げ惑う。


犬神ゾアーグは200mの実体を持つ。


動きは緩慢に見える。


だが、あのデカさであの動き。


とんでもない俊敏さ…。


….ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…


『…ば……バカ!..逃げろ!…』


バウザンの声。


あのアルガード…。


何だってあそこに…追い込まれる。


みんな…。


何もいないのに。


あの子らも…。


….ズ…ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…


『…砂..…来.る..…ザ..ズ..ー..隊…全..速…後退…』


「やめとくれよ!笑…ウメ…そんな…」


「あ…ぁ…あんな優しい…子達を…や…優し…泣」


『…お..お..ぃ…何…やっ…て..る…レ.オ…パード..11...』


「ぼ..坊や…達…坊…うえぇぇぇええん…泣」


泣いてる….。


ウメが…。


80の婆さんが大声を上げて。


赤ん坊みたいに。


初めて見たよ…。


『…メドハン..動いて..いません!..メドハンが!指示を..出してい.ません!…』


『…何!?..どう..なってる!…』


「な…..な….なに…な….なんで..あ….ぁ」


フネさんはまだ目を見開いたまま。


鬼の目に溢れそうなほど溜まった涙。


こんなこと無いかった。


今まで。


あれ?…汗


あら…顔がぐしゃぐしゃ。


涙?。


あたしゃ何で泣いてるんだい?。


あたしゃどこの誰だい?。


ボケちまった。


とうとう。


『…te4774沈黙…te4774沈黙….』


え…..そんな…そ…そんな…..。


「やっちまった…。またやっちまった…..。何度 おなじ間違いすりゃ気が済むんだい…私ときたら…泣。もう沢山なのに。」


ウメが悲鳴を上げてる。


「そ…そんな訳ない…だろ…」


「な…何てことを….汗….何….てこと…何て…泣…」


フネさんも。


「足元まで攻め込むなんて!勇敢て言わないよ!泣」


いや?あたしゃ何で泣いてるんだい?。


『…レ..オ.パ….ー…ド…11…..レ..オ…パ..ー..ド…11..応..答…せよ…』


『….レオ…パー..ド11…メ…ドハ..ン…解放…願い…ます…レオ…パー…』


….ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…


犬神ゾアーグの巨大な脚が地にめり込む。


砂が噴き上がる。


…ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…


爆発する大地。


鉄砲砂。


ひとたまりもない。


あんなの食らったら。


『…ウメ..トメ!…何やっ..て..んだい!..みん…なを..援..護し..とく..れ!…』


タフ?。


どこ行っちまった?。


「この歳になってまで、辛いのは耐えられないのに。悔やんでも悔やみきれない…。悲しいを通り越して、痛いよぅ。全身…」


なんだい?この声…。


あれ?。


これ。


あたしの声?。


勝手に喋ってる。


自分が自分でないみたいに。


…ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…


毛だらけの杭が落ちてくる。


容赦なく。


空から。


ビルより太い鋼鉄の杭。


煙を噴くほどの高速で。


狂ったように。


追い詰めて行く。


正面の戦車隊…。


ゾアーグの顔は雲に隠れて見えない。


ハノイの高層タワーみたいに。


どんな顔して踏みつけてるのか。


….ッッ…


….ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…


こんなデカいものが空から降ってくる。


何度見ても慣れやしない。


生物として怯えるしかない。


身体がそう言ってる。


…ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…


『…ちょっと..フネさん!…ウメ!..トメ!…しっかり..しとく..れよ!…皆んな..死んじまうよ!…』


『…少尉….アレクサ..ンドル..少尉…青犬神ゾアーグ…気づい…ています…シールド..を….ジャミナキ…ラ7…に…シール..ド..を…』


『…ジョ…ーダ..ンだ…シ..ール..ド…展..開は…しな..い…アレク..サ.ン..ドル..少尉…の..指示…通り..ジャ..ミナ..キラ…7..は…大き..い…..ポータ..ー..のアル..マ..ダ..イ..は..全て..養生..器..に…』


…ズドドドドドド…


…ズドドドドドド….


…ドーーーーーーン…


….ズドドドドドドドドド…


…ズドーーーーーーーン…


粒子砲ティラーソーンが炸裂してる。


壮絶な数の。


アルガード シンバ隊の。


1番数の多い主力部隊。


『…ダメだbd11!..全ポーター.の動力..をシールドに…』


『…シ…ール.ド..は..展….開..し..な..い…養.生…を..優先…する..…アレ..ク.サン..ド.ル..少尉..の..指示…に..従う…』


『…青が熱線を吐く!生きてはいられないぞ!ジャミナキラも少尉もジェレミーおまえもだ!…』


『…ジャ..ミ..ナ..キラ…が..予想…以上に…大き..い……少尉.と…相談..した…結果..だ…..了承..して..貰う…』


B….AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA AAAAAAAAA…


『…ひっ…汗…な…何て..デカ.い…鳴き..声だ…』


『…レオ..パード11!レ.オパー..ド11..応答..を!..レオ..パード11…』


『…何やっ..てんの!..あの.婆さん..達は…』


『…少..佐…シオ..ン…少佐…配..置..ミ…ス…だ…あ…な..婆さ…達…』


『…白..が..来….る…ぞ!..シ..ン..バ..隊..ナ..ラ…隊..プン…バ…隊..正面…を..固め….ろ!…』


ラムダ15から指揮が飛んでる。


ラムダ15だけで150の戦車を制御してる。


正面に50輌。


『…シン..バ..Σ隊….10..式…gh..ナ..ラ..B隊....ブリュ..イエ…ール…前…アー…ク…ー…フォ…ーメ…ーショ..ン..展…開…』


オパ達と白犬神ゾアーグの間で、必死に食い止めてる。


『…あ..ん..な…年.寄..り…抜…擢……シオ….ン…大..バ…カ…ぜ……』


だけど、侵攻を遅くするのがやっと。


…ドンッ…


…ドンッ…


…ズドドドドドド…


…ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド….


…ドーーーーーーーーーーーーーーン…


東側のザズ隊とスカー隊の粒子砲ティラソーンの砲撃。


爆炎が噴き上がる。


白犬神ゾアーグの身体から。


…ズドドドドドドドドドドドドドド…


…ズドドドドドドドドドド….


…ドーーーーーーン…


大地を揺るがす振動。


『…バウザン..空はこっちだ…』


『…了解..スタグ…ダイコートマス…ノーウォール….エリア3からフィンガーフォーで波状攻撃…』


『…ノ.ー…ウォ….ー..ル.リー…ダー了解…』


『…ス..タ..グ…イ..エ..ロー…カ..リ..ギュラ..9…...リ..ジ..ェ…クト…繋..がら..い…』


『…ダ..イ…コー..ト…リ..ー..ダー…スタン..ド…アローン……攻撃…要…請...….』


『…キャ..パが…』


『…分かってる…』


遠くに聞こえる。


爆音なのに…。


遠くに…遠くに。


『…こちら.ラムダ9..空軍は..アギュラ..ー9に.接続..繰り返す…空軍は..ラムダ9に..再接続…』


….ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…


前列のシンバ隊が後退を始めた。


連射でアルマダイが切れた。


ナラ隊に代わる。


シンバとナラは主力級。


旧型ムファサ型の後継車。


『…..プ..ン…バ….隊…ラ.フ..ィ…キ…隊…交.差!…動け…ませ..ん…』


『…ラ..ム…ダ..15….は..何..し…て..る!…』


15だけでは捌ききれない…。


メドハンが…あたしらがシンバ隊を率いなければ。


あたしらのせいだ…。


『…ラムダ15…だけ..で..は..パージ止められません…バウザ..ン..相談が…』


『…なんだ…』


『…ラムダ18..が..50km….圏内..に…救援を..要請し..ますか?』


『…ダメだ…大型…のバル..バロイ…群れ…オリファン..ト隊 が交戦.中….だ... 近くに…イブ..ラデがいる…』


『…11は..どうした!?..報告を!..アディラ...』


目が霞んで良く見えない。


景色は完全に見通せるのに。


レオパードの全方位モニター。


見えてる気がしない。


『…生体反応は..あります…ただ..心拍数が…異常値です…3人..とも…ショック状態です…』


『…何が..あった?..』


遠くで聞こえる..。


ラムダ9との交信…遠くで…。


おぇっ…。


お…ぉ..思い出すとダメだ。


冷や汗と吐き気が止まらない。


心臓が暴れてる。


ダメかもしらん。


もう…。


『…1.号..2..号!…聞..こえ…る..かい?..タフ..だよ!…1..号…2号!…聞..こ..え..る..かい?…』


『….こちら..アディラ…ラムダ9…アレ..クサ…ンドル..少尉…ジャミナキラに集中してください…レオパード..は我々に任せて…』


…ズッ….ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…


白犬神ゾアーグが地面を踏みつける。


アルガード達めがけて。


進めず苛立ってる。


正に悪神。


狂ったように踏みつける。


本当は守るべき存在を。


仲間を守るために必死な生き物を。


足で追い詰める。


ヤドカリを踏み潰すように。


プンブァ隊はいつもギリギリでかわす。


重装甲とボール脚。


どうしたって遅れちまう。


…ズドドドドドド….


…ドーーーーーーン…


….ズドドドドドドドドド…


…ズドーーーーーーーン…


背後からの砲撃。


シモン隊が援護してる。


だけど火力が全然足りない。


アルガードや10式だけでは。


《…聞こえるよ..タフいつでも動けるよ..指示を…》


『…あ….アレク..サンドル.少尉!…狙われ..ています!…アレ.クサンド..ル少尉!…艦長キャップ..青が!…』


『…バウザン..青が気づいたぞ!…』


青犬神ゾアーグが向きを変えた。


この畏怖の象徴には、恐怖と邪悪さしかない。


『…ジョーダン中尉..アレクサンドル少尉…青が気づいた…ティゲル両隊とオリファント隊が行く..退避してくれ…』


…ズッ….ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…


…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


白犬神ゾアーグが激しく大地を蹴散らす。


この重い艦が浮くほどに。


奴は苛立っている。


『…アルガード隊!10式隊!退避…白犬神ゾアーグから高エネルギー…』


またやられる。


気持ちが悪くて気が遠くなる。


凄い汗が。


この干からびた身体のどこにこんな水分が…。


『….回..避!….回…避..!…』


《…タフ..こちら2号…急いで…》


『….あ..あ..ぁ…ア..ル..カロ..ン..だ..よ!…アル..カロン…を..撃っと..く..れ!..1号..は..ウメ..の..変わりに…操舵..を…』


ぁぁ…タフ…。


すまない…。


あたしが..何とかせにゃぁ。


だけど心が動かない。


外れちまった。


自分を保っていたつっかえ棒が。


自信が雪崩のように崩れて行く。


心から赤い悲しみが溢れ出す。


『…白…高..熱源…サイ…ドA..全..軍…ファ…ザ.ス最..大…展..開…』


深くナイフで裂かれたように。


ざっくりと古い古い傷跡を。


『…白..熱線…放..射..を..確.認….』


『…ユ..ニコ…ーン…8…ジ..ラフ…10…爆..撃…を..開始…』


『…ノー..ウォ…ール…19…ノー…ウォー…ル5…後に…続く…』


誤魔化し誤魔化し生きてきた。


この痛み。


《…無理だ..僕たちでやるなら..最低でもメドハン稼働が条件…それにカリギュラ2台直列に直結しないと…》


《..にわかじゃ..犬神ゾアーグは騙せないよ..奴は僕らより頭が良いんだ…》


何度も仲間を無くした。


そして大切な家族を。


『…粒子砲ティラーソーン....貫.通..当..らない…も..し….目…?…』


レッドアイとの戦いで。


組長フネさんは一人息子を。


ウメは旦那と上の娘。


あたしゃ…。


あたしゃ…泣。


リキとカイ…。


リキと….カイ….。


..ふ..2人も…泣。


大切な大切な息子。


2人とも。


『…な..何かないのかい..汗…』


《…メドハンに任せた方が良さそう..そしたら全軍がレオパードと連動する…》


母ちゃんを許しとくれ。泣


バカな母ちゃんを。


「..う…ぅ…う…泣」


立派な漁師になって欲しかった。


だって、あたしにゃ、それっきゃないもの。


可愛い可愛い息子にあげられるもの。


誰よりも誰よりも大切だと。


あの子達を愛する唯一の証。


それきゃないもの。


あたしにゃ。泣


『…えぇ?…何だい..それ?..その.メド..ハンが動いてないっ..てのに….』


伝えたかった…。


銛の技…。


バカだった…。


浅はかだった。


母ちゃんに出来るから、リキ、お前にも…泣。


生きててくれりゃそれで良かった。


ただ優しくしてやりゃ良かったのに。


バカな母ちゃんを許して..。


バチが当たったんだね。


レッドアイに食われちまった。


カイは何もない時に。


《…え?..メドハン11は生きてる…ずっと命令を待ってるよ…ちょっと待って…》


カイは突風にさらわれてそれきり。


遥か昔の話…。


『…青が消…えた…』


だが忘れやしない。


忘れたことはない。


昨日のことのように思い出す。


鮮明に。


お前達の笑顔。


私の中じゃ、あの日から時が止まってる。


娘にも孫にも話したことはない。


あたしの心の奥底にずっとずっと。


お前達の愛しい姿。


お前達が生まれて来てくれて、母ちゃんはどんだけ嬉しかったか。


幸せだったか…。


何が伝説の銛師だ。


何が銛師の王だ…。


大切な人を不幸にして。


誰一人として救えず何が…。


何が…….泣。


『…青が..消えたぞ!…』


ごめんよ……。


ごめんよ……………………..泣。


『….ま..た….消え..た.ぞ!….青犬神ゾアーグ…が!…』


『…ミラベル!…次元レーダー!…捕捉だ!…』


『…しまった…』


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