ダヌアの空に118
今、青犬神が正に指を離す。
トルカカの細い脚を。
「ト、トルカカっ!」
『...ト...カ...が!...』
「トルっ!トルカカぁーーーーーー!」
静かに落下して行く。
『...う..を...お...お.....ぉーーーーー.泣..』
「あ!あ!あぁぁ...あぁぁぁ...汗」
「は、離しやがった!...」
明るさ、愛らしさの代名詞。
人懐っこい、はち切れるような明るさ。
舌足らずな喋り方。
あいつの幼くて素朴な温かい励まし。
走馬灯ように...。
もう、トルカカは動かない。
....。
...トルカカァ...トルカカ...トルカカ...何てこった...
トルカカ...トルカカが...何とかなんないのか...トル...誰か....
『...ト....!ト..カ.......ーー...ーー..!」
...助けて!助けてあげて!...トルちゃん!しっかり!起きて!...
...トルカカ...
「と、と、トルカカ!トルカカ!誰か!トルカカ!トルカカ!キャアアァァァーーーーーーーーー」
...あぁぉ...変わってやりてぇ。俺が身代わりに...
...どうなってんだよ!...だ、誰か...
パスタップに悲鳴が吹き荒れる。
兵士全てが注目している。
我が第7師団全員が。
トルカカはこんなにも愛されている。
...トルカカが...トルカカぁぁ...トルカカっ!...トル!トル!トル!....頑張って!トル!...誰か...トルカカ...
「トルカカアアァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
...どうにかしろガレス!おい!聞いてんのか!てめぇ!...トルちゃん!...トル!...神よ...あぁぁ...何とかしろ!ラムダ13!てめぇらそれでメインターフか!... トル!起きて!おばちゃんがついてる!...
「トルカカーーーーーー!」
...トルカカ...トル...トルカカ....
あ...あ...あ...
神よ...
...ベ...ル..ファーー...ーーー...ベ...ー..ハァ...タイ...クーーーーーーーーー...
どうか救いたまえ。
神よ、小さな勇者を。
墜ちて行く...。
力なく...。
大切な宝物が奈落の底へ。
魔獣の口の中へ。
巨大なシュレッダーの中に...。
...うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーー...
「何の音!?」
ヘザーが振り返る。
!
「な、な、何だ!?」
ナイジェルがレーダーを覗き込む。
...オーー...クーーーーーー....オ...ーク...ドゥ..タイクーーーーー....ーーーーーーーー...
「モニターワンを見て!」
リタがヘッドセットを外しモニターを指す。
黒煙が地上から吹き上がって来る。
「声?」
猛烈な速度で。
「な...何が...」
「ま、ま、曲がった...!」
トルカカに向かっている。
「な...」
「ち、ち、直角....」
...ゴガァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
黒煙がトルカカを一気に取り込む。
衝撃...。
早い!。
何が...。
「ああぁ!」
トルカカを捕まえた?。
...ゾー...ハーーーー..ーーーーー...ーーーー...ゾ..ーハ...タイ..クーーーーーーーーーーーーー...
「トルカカが!。」
「トルカカ!。」
...キュワアァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
集音器が黒煙の音を拾う。
「スラスターの音だ!」
『....G..O.!ジャ...ミ....ー!.G...』
ジャミー?。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
黒煙から一筋の閃光が。
青白いジェットが炸裂する。
「バックホーンだ!」
「バックホーンだ!」
ガレスとロスターが顔を見合わせる。
「じ、じ、じゃ、ジャミーだっ!!。」
ナイジェルがガッツポーズで立ち上がる。
...キィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
アルマダイ高圧炉が唸りを上げている。
ジャミーだ!。
間違いない。
一気に上昇して行く。
「Z3!リュウ!。リュウ•アーデン!」
リタの声が弾んでいる。
リュウが!?。
でかしたぞリュウ!。
「追いつかれる...」
青犬神の腕が迫る。
まるで蚊を潰すように。
「曲がる!。また直角に!。」
ロベルトも立ち上がった。
....オ..マハ..ーーーー...ーード..ナカ...タイ...クーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
モニターワンを見上げている。
そうだ。
こいつは凄いんだ!。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
高圧炉が点火した。
もう一度。
集音器がジャミーの音を拾う。
...BOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...
「ひぃっ...」
耳をつん裂く爆音。
青犬神の雄叫び。
慌てふためいてる。
ジャミーが腕を擦り抜ける。
「トルカカを!......奪還したぞ!トルカカを!」
トルカカを取り返した!。
黒煙を引きずりながら。
『...ジャ....ー乙....!...識.......z3!リ...ウ!リュ....ア....デ........!...』
トルカカが黒煙から顔を出す。
トル...。
よ....良かった......泣。
「Z3がトルカカをキャッチ!。」
...ベ...ル..ファーー...ーーー...ベ...ー..ハァ...タイ...クーーーーーーーーー...
でかしたぞリュウ。
流石俺の弟子だ。
「トルカカが動いてる!目を開けた!」
サクラの歌が聞こえる。
ラウルもヘッドセットを外した。
「サクラ...サクラ大神官!。感謝します!。感謝します!」
ラウルが祈る。
目を閉じて、強く握りしめた両手を額に当てて。
...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ...ウォーー...ウォォー...オォォ...ウォォォォォ
師団全体が湧き立つ。
パスタップが爆音で震えている。
「艦長...!あれ...あいつ...こんな時に...」
ロスターが寄ってくる。
セーフティベルトを外して、のこのこと歩いて来る。
おまえこそ何だ?。
こんな時に。
...オーー...クーーーーーー....オ...ーク...ドゥ..タイクーーーーー....ーーーーーーーー...
顎でイーシャスを見るように促す。
イーシャスがアップルパイを食べている。
横を向いて座っている。
こんな時に。
猫背で肩を落として、まるで婆さんみたいだ。
時折、クレランスがタオルで涙を拭いてやっている。
ラムダ8 は激しく旋回する。
イーシャスの世話をしながらの片手操舵。
クレランスは元々は、ビヨンド8000のグランドチャンプ。
18歳から17年連続でGPを征した伝説のパイロット。
ダヌア戦線で志願した。
1ムスタファのパイロットとして。
しかし、技術だけではなくプライドも高く、他のパイロットとチームを組むことが出来なかった。
彼は、レッドアロー隊への異動を言い渡された。
しかし、ダンがアギュラーラムダの操舵手として、迎え入れた。
私は当時、ダンに強く反対をしていた。
「...いいのよ!.怒..」
エマが声を押し殺してロスターを威嚇する。
まるで卵を守る親鳥のように。
ロスターは退散する。
首をすくめて。
ダンヌ族のイーシャス。
元はキャピ系ガングロギャルで医学生だった。
3年の兵役で来ている。
にも関わらず、その技術は初年から特戦隊級。
天才と言っても良い。
2年目で巡洋艦ジェースピッドのメイン操舵手に抜擢された。
しかし、間も装甲歩兵隊への異動を余儀なくされた。
医者としても、操舵手としても、彼女の感受性の強さは、彼女にとっても大きな障壁。
しかし、クレランスが彼女をセカンドに選んだ。
彼女以外のパイロットを決して受け入れようとしなかった。
恐らく男と女の関係ではない。
どちらも傷のある2人は、2人で一つ。
割れ鍋と綴じ蓋。
運命的なパートナーだ。
...ゾー...ハーーーー..ーーーーー...ーーーー...ゾ..ーハ...タイ..クーーーーーーーーーーーーー...
「リュウ!」
『...い...ぞ!リュ...!...』
「リュウ!」
「やった!」
「やってくれたぜ!」
ガレスがまたハチマキを取って泣いている。
「やりやがった!泣」
こいつは外見で損をしている。
「リュウ!」
今、ラムダ8 のメインスクリーンに、いや、師団全ての主力モニターに、リュウ•アーデン機の勇姿が映し出されている。
『...やっ..たぞ...リ..ュウ...が...』
白い機体は片脚を失い、装甲もボロボロ。
コックピットもサブシールドでギリギリ凌いでいる。
赤いウイング。
傷だらけの機体は、眩く夕日を反射している。
....オ..マハ..ーーーー...ーード..ナカ...タイ...クーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...キュワアァァァーーーーーーーーーーーー...
だが。
...ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
怪物マシンのパワーとスピードは衰えていない。
ジャミーが一気に青犬神を振り切る。
...BOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAABAAAAAAAAAABOOOOOO OOOOOOOOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...
悪神が狼狽ている。
雲に頭を突っ込みながら。
天空の塔のように。
「見てあれ!笑」
「ざまぁ見ろ!」
ラウルとヘザーが横目で見上げる。
2人はモニターツーを挟んで座っている。
...キィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
ジャミーは加速する。
黒煙を振り切って。
既にモニター8の画面の中央にいる。
蚊のように小さな影が、ボルボーレの背中に落ちている。
...ベ...ル..ファーー...ーーー...ベ...ー..ハァ...タイ...クーーーーーーーーー...
第2太陽の夕陽に照らされて。
まだ降下はできない。
...ゴゴ...ゴゴゴ..ゴ...ゴゴゴ...ゴゴゴゴ...
...グフォ...ゴゴ...ガガ...グフォ...ゴゴ...ガガ...グフォ...ゴゴ...ガガ...
ボルボーレが巨大リング型の口を動かす。
世界最大の滝をひと呑みに出来るほどの。
重い重い口。
激しく。
...ゴゴゴゴゴ...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
地鳴りと共に大地の多量の土が噴き上がる。
素焼きの巨大イモ虫が身体をねじ曲げ始めた。
その身体はスタジアムやドーム球場に収まらない。
まさに捩れる山。
...ゴゴ...ゴゴゴ..ゴ...ゴゴゴ...ゴゴゴゴ...
...グフォ...ゴゴ...ガガ...グフォ...ゴゴ...ガガ...グフォ...ゴゴ...ガガ...
ボルボーレは気づいた。
世紀のご褒美が消え去った事に。
....グゥウオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
ボルボーレの咆哮が大地を揺るがす。
「キャァァ」
ヘザーのヘッドセットには、最も集音器の音が流れる。
「ヒッ...」
畝る大気が艦ごと激しく揺さぶる。
イーシャスはまだアップルパイを食べている...。
...trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrr...
「キレてるぜ...。」
ロベルトがずれて曲がったメガネを指で直す。
立ったまま。
この典型的な理系脳も興奮が冷めない。
...trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrr...
....グググゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー....
....グググゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー....
「おぉぉ....」
「攻撃来るぞ。全軍に警告!。」
巨体から激しく光が放たれる。
まるで七色の電飾。
今は、ボルボーレの巨体がモニターワンを占めている。
...オーー...クーーーーーー....オ...ーク...ドゥ..タイクーーーーー....ーーーーーーーー...
...trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrバシッrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrバシッrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrバシッtrrrrrバシッrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrr...
巨大なスパークが噴き上がる。
民家を飲み込むほどの火花。
「え、エネリウム、ほ、放電だ!。け、け!計器し、シールドの、あ、アルマダイを高めて!」
ナイジェルが汗だくで振り返る。
最近はいつも肩に白いタオルを掛けている。
ナイジェルは汗っかきだ。
エマが慌てて重いレバーを上げて行く。
無言で。
...BOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAABAAAAAAAAAABOOOOOO OOOOOOOOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...
再び爆音が艦を揺さぶる。
青犬神の腕が伸び始めた。
爆発的に。
「勢いが!。リ、リタ!お願い!」
エマが最後のレバーを上げながら叫ぶ。
「了解!」
リタがジャミーとボルボーレの距離を測り始める。
モニターとコンパネの間を何度も視線を往復させ、コントローラーを叩く。
リタの作業はミスが許されない。
リタのミスは敗北を意味する。
この小さな黒人女の豪胆さは、常に師団の命運を担っている。
巨大蛇のような青い腕。
伸びていく。
日常ではあり得ない光景。
ビルをも飲み込むほどのダクト。
毛むくじゃらの。
...ゾー...ハーーーー..ーーーーー...ーーーー...ゾ..ーハ...タイ..クーーーーーーーーーーーーー...
ジャミーを取り囲むように。
『...こち...z3...z... リュ...で....ト....カカ....を...キャッチ!.....トル...カ.を...キャ...チ!...』
!!
いかん!
「ロスター!エフライムはどうした!」
〔※白鷲:山の兵曹。77m。カルティアン(白の光)鳳凰の羽根。龍の角。〕
「お..おい...まだ、100km後方だぜ...汗」
ロスターがコールボタンを何度も上げ下げする。
「おい!。またキレるぞ!。やめとけ!十分伝わってる!」
青犬神の前では、ジャミーはバッタを抱えたトンボ。
「今ユゥフォウムに入ったぜ!」
「キャァァァァーーーーーーーーーーーー!」
リタの悲鳴。
!?
しまった!。
ジャミーが潰される。
青犬神の手が交差する。
「い、いかん!」
「ダメだ!ジャミーが捕まる!」
ロベルトが身を乗り出してガレスに合図を送る。
「まずいぞ!」
ガレスがマイクを握る...
「トルカカが!」
が、諦めて離した。
間に合わない....汗
....オ..マハ..ーーーー...ーード..ナカ...タイ...クーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
「煙...」
....
「光!?」
「ユウフォウムが?」
「いや、一つじゃない!ユウフォウムじゃない!」
「いや、アルマダイ!アルマダイの高エネルギー反応!」
「何ですって?」
ユゥフォウム...?
3体同時に?
まさか...
...ッッツ...
...ゴ...
青犬神が何かに激突した。
....ガッ....
...ツーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
硬くて重い何かに。
重い重い巨体が完全に止まる。
衝撃波...
...うおぉぉ...
ウッ...グッ...
...
....バシュウゥゥ....
煙が、いや光が青犬神の足元に絡みつく。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
爆発音...。
ユゥフォウムの中から。
...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
光煙が盛り上がって行く。
...ベ...ル..ファーー...ーーー...ベ...ー..ハァ...タイ...クーーーーーーーーー...
「実体化します!」
...ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ...
「やっぱり兵曹だわ!」
「でも、光が!」
兵曹の咆哮?。
光煙の中で。
...オオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ...
唸るような雄叫びがゾーグに反響する。
怒りの。
「アンティカだ!?」
「アンティカ?。まさか...」
「見ろよ!イプシロンが!」
「ほ、ホントだ...」
「来てくれたのよ!」
何!?汗
「ま、まさか...」
空に雲が、巨大な円を描き始める。
...オーー...クーーーーーー....オ...ーク...ドゥ..タイクーーーーー....ーーーーーーーー...
まさか...。
いや。
「有り得ない。アンティカは全て交戦中だ。みんな速報を見ただろう?。」
《...あぁ...大神官様...感謝します...この命にかけてあなたに従います...》
マジアはハイカーとウルスラと共にバグー連邦共和国と交戦。
《...ワシらではない...サクラじゃ...サクラの力じゃ...》
《...ワシらに従うのではない。勇者よ。おまえさんが決めるのじゃ...》
ゾットの兵曹軍100万と砂獣ヤーの群れ10000をルビアナで食い止めている。
《...サクラ?...》
オルテガのハイドラ北東軍はマイロ•ガルダ通商連合 ハバノレーン公国と交戦中。
《...うひひうひひ...我らの新しい救世主じゃよ。もはや神帝もあの化け物も恐るるに足りぬ...うひひ... 救世主の力は絶大じゃ...うひひひひっひ...》
ノリエガはシアバール沖の海賊国家 ウイル•テバイの侵攻を制止している。
《... 救世主...》
ハイドゥクは、ザザルスでアマル帝国軍 赤碧の兵曹団と対峙。
《...どれ、話すが良い。ワシが繋いでやろう。そういうお前さんは世界の新たなる秩序になるはずじゃった....》
どれも強大で卑劣なハイエナが相手だ。
ハイドラの苦境につけ込もうとすらゴミどもとの苦しく過酷な戦い。
《...うひひひひひ...ワシらの力不足でな..すまんことをした...うひ...》
「マジゥがいる!」
《...サクラ...大神官...力を与えてくれてありがとう...》
「マジゥはハイドゥクに殺された。我々は第7師団は自からの力で勝ち残るしかない。」
《...私...大神官なんかじゃない...そんな立派なものじゃ...これで良かったか分からない...ただ、あなたを助けたかった...私と似たあなたを...でも...でも...》
「だが...あ、あれは?...」
《...サクラ...僕は感謝してる...例えここで朽ち果てようとも、この命に変えて護ってみせる。...》
「イプシロンじゃない。規模が違う。光も、波紋も...」
《...私も...生まれて始めて誰かの役に立てるって知った...だから祈ります....この命尽きるまで...この魂果てるまで...》
「じゃ、一体...」
光煙の中、兵曹が実体化して行く。
まるでプロジェクターを投影するように。
「巨大化してる!」
何?。
「何だ!?」
「識別子?カリギュラが判別できます!」
なぜ...?
「友軍の兵曹か?」
「チャクラの兵曹...さ、サビオだ!サビオだぞ!」
サビオ!?汗
「何だと?」
「サビオが!?」
「巨大化するのか!?」
サビアノーアがついに巨大化する。
全ての関節を中心にエネルギーのサークルが出来あがる。
シカム、メロウ、ヒモン、メイファン、カルティアン...。
「体長60を超えます!。63、65まだまだデカくなります!」
グラビメーターがフル回転してる。
「質量349万トン、420、550、720...」
340%....一回の形態移行の限界値を遥かに越えている。
「総エネルギー量、122兆カルーデラ。じ、ジーンに並びます!汗」
「サビアノーアだ!」
銀色の兵曹が姿を表す。
「最終兵曹です。デァール管がありません!」
何?。
デァール管が無い?!。
千年虫が自己のエネルギーを制御する為の器官。
「炉心温度3600℃。無理に覚醒してる...汗」
「見て。自分で...自分で炉心を突いてる...。この跡。こ、この子死ぬ気だわ......泣.」
炉心を突いての兵曹上げ。
寿命は半分、いやそれ以下になる。
「最終兵曹だ。このままでは危険だ。下手したら粒子結合が始まってしまう。スプリンヘラー用意!」
サビオはここで終わる。
しかし、この子にその決断をさせたのは、我々の無力...。
ハイドゥクを超えると言われる伝説の兵曹。
チャクラの兵曹は放電翼を持っていない。
その代わり、言い伝えによると、全チャクラのエネルギーを集めるジュピタームという強力な器官を耳に持っている。
.....サビオには無い。
やはり早過ぎた。
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドゴゴゴゴ...
完全体になる前に蛹から出てしまった。
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
...ゾー...ハーーーー..ーーーーー...ーーーー...ゾ..ーハ...タイ..クーーーーーーーーーーーーー...
2つの太陽が沈む。
夕刻のゾーグ。
サビアノーアが実体化する。
眩い銀色の身体。
銀のロープのように複雑に入り組んだ甲殻。
所々濃い金色の光を放つ。
左右に2つずつ目がある。
黄色の光。
闇を照らす強い光。
「青犬神倒れます!後方へ!」
...ドドドドドドドドドドドドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
「ぼ!ボルボーレが!」
ボルボーレが直立し始めた!。
再び昆虫人間化する。
「エフライム来ます。!」
青い炎が実体化する。
『...もう...限...だ!...ャッ..チ...を!トル...カ...を!....』
「急いでくれ!エフライム!。ジャミーの温度が臨界を超える!」
「リュウ!。リュウ!。離せ!。イケるぞ!」
「エフライム実体化40」
「間に合わねぇ」
「間に合わせるさ!エフライム!急げ!」
ロスターがまたコールボタンを上げ下げする。
「チッ。おい!」
「実体化43、58、69、88...イケる!」
「離せ!リュウ」
「リュウ後は任せろ!」
「ジャミーバックホーン2800度を超えます!」
限界だ...。
「離せリュウ!」
『....了....!離し....す!」
「エフライム実体化98%!いけます!」
「早くしろ!エフ!」
ロスターはしつこくコールボタンを...。
「リュウ!トルカカを離しました!」
「右、右、南南西に2度!受け止めろ!落とすなよ!エフ!」
《...黙ってろ!ブチ殺すぞ!このクチビル野郎!...》
「うへ...汗」
「だから言っただろが!」
「優しくよ!」
「エフライム!トルカカをキャッチ!トルカカをエフライムがキャッチ!」
....ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
地鳴りが....。
...trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrr...
「何だ!?」
「あぁぁ!汗。間穴口!間穴口が!」
数千の光が燦然と光を放つ。
ボルボーレの甲殻の間穴口から。
....オ..マハ..ーーーー...ーード..ナカ...タイ...クーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
—-ピシュゥゥ—-ゥゥン—-
「間穴線だぁぁ!」
—-ピシュゥ————-ゥゥゥン—-
—-ピシュ—-ゥゥン—-
「うわぁぁぁ!」
「キャアアアアァァァァーーーーーーーーーー!」
...ゴゴゴ..ゴゴゴ...ゴゴゴ...ゴゴゴ...ゴゴ...ゴゴ....ゴゴゴゴ...ゴゴゴゴ....ゴゴゴ...ゴゴ...ゴゴゴ....ゴ..ゴゴゴ....ゴゴゴゴ...ゴゴ...ゴゴゴ...ゴゴ...ゴゴ...ゴゴ..ゴゴゴ...ゴゴ...ゴゴゴ....ゴゴ...ゴゴゴ...ゴゴ...ゴゴゴ...ゴゴゴゴ...ゴゴゴ...
『...ジグル...クロウ....消....!...』
数千の光が、大気を切り裂く。
ピンクの破滅の光。
—-ピシュゥゥ—-ゥゥン—-
—-ピシュゥ————-ゥゥゥン—-
—-ピシュ—-ゥゥン—-
...ゴゴゴ..ゴゴゴ...ゴゴゴ...ゴゴゴ...ゴゴ...ゴゴ....ゴゴゴゴ...ゴゴゴゴ....ゴゴゴ...ゴゴ...ゴゴゴ....ゴ..ゴゴゴ....ゴゴゴゴ...ゴゴ...ゴゴゴ...ゴゴ...ゴゴ...ゴゴ..ゴゴゴ...ゴゴ...ゴゴゴ....ゴゴ...ゴゴゴ...ゴゴ...ゴゴゴ...ゴゴゴゴ...ゴゴゴ...
大地が激しく波打っている。
大しけの波のように。
—-ピシュゥゥ—-ゥゥン—-
—-ピシュゥ————-ゥゥゥン—-
—-ピシュ—-ゥゥン—-
立っていられる者はいない。
....グググゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー....
....グググゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー....
ボルボーレが咆哮を上げる。
—-ピシュゥゥ—-ゥゥン—-
—-ピシュゥ————-
...
....
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
結晶山が...
...バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ...
「結晶山に命中!回避!回避!」
...ベ...ル..ファーー...ーーー...ベ...ー..ハァ...タイ...クーーーーーーーーー...
... ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
「あぁぁ!」
「どうした!」
「破片!エフライムを直撃!」
直径500m級の破片がマッハで飛散する。
「エフライムが!エフライム倒れます!エフライム倒れます!」
「トルカカを離させろ!」
...ゴゴゴゴゴ...ゴゴゴ...ゴゴゴゴゴ...
エフライムがトルカカを胸の上に掲げ倒れていく。
「トルカカを離せ!エフ!トルカカを離せぇぇ!」
...オーー...クーーーーーー....オ...ーク...ドゥ..タイクーーーーー....ーーーーーーーー...
エフライムがトルカカを離す。
地上ギリギリで。
エフライムは致命傷を免れない。
「あ!ぁぁぁ!トルカカが塹壕に!トルカカが塹壕に落ちます!」
「塹壕?!何だと!」
「特別攻撃翼の塹壕です!」
確かにここはさっきまで特攻翼の主戦地だった場所...。
「左前方250。塹壕に生体反応。友軍です。友軍 がいます。装甲騎兵qpeege474カルロス•ドンキホーテ」
「ドンキか?」
「トンマのドンキが?」
あのマヌケな装甲騎兵か...汗。
それはそれでまずい...。
...ゾー...ハーーーー..ーーーーー...ーーーー...ゾ..ーハ...タイ..クーーーーーーーーーーーーー...
「トルカカのバイタル。回復して行きます。15、23、33、35...」
アルマダイ透視線モニター。
ボロボロだった甲殻が回復している?。
「見ろ!サビアノーアが!」
モニターツー。
銀色の兵曹が。
我が師団では最大級の兵曹が。
体長 計測値...83m。
....グググゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴガガガアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーー....
「吠えた!」
....オ..マハ..ーーーー...ーード..ナカ...タイ...クーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
最終形態を迎えた兵曹の産声そして最後の雄叫び。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
「サビオから衝撃波。」
「うわぁぁ!」
「回避!か、か、回避!」
まだ食ってやがる。汗。
アップルパイを....。
何個食ったら気が済むんだ!。
この非常時に...。
...BOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAABAAAAAAAAAA...
青犬神が咆哮を上げる。
...BAAAAAABOBOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...
「エネルギー量では青犬神が優ってる。それも倍以上。圧倒的だ。」
「これが魔神の力...」
「でも、見て!焦ってるわ!」
「白が立ち上がる」
白犬神が立ち上がる。
青が促している。
「いい気なもんだぜ!殺そうとしていたくせに!」
「挟み撃ちだ!」
「白の攻撃力も上がって行くぞ!」
「今度こそやられる...」
「サビアノーアだけでは勝ち目が無い。スードラは!?スードラはどこだ。」
〔※緑熊:緑の光を纏う龍の角を持つ青き熊神の化身〕
「スードラ来ます!」
「サビアノーアから高エネルギー反応!」
...キュワァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
シーアナンジンが唸りを上げる。
チャクラが燃えている。
火車のように業火が燃えている。
13のチャクラ全てが。
赤、青、黄色、緑...
...ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
火を吐いた。
「粒子線です!」
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
白犬神の背後に炸裂する。
黒い羽根が、幾何学模様の羽根が、粉々に吹き飛ぶ。
ラムダの数十倍はある大きな破片。
ゆっくりと回転しながら吹き飛んで行く。
「130万カルーデラ。ダルカン級です。」
「白倒れます!」
200mの巨体が結晶山に激突する。
エネリウムの結晶を噴き上げながら。
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
...ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...グググゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
青が口を開く。
「青が反撃!熱線を!エネリウム線です!80億カルーデラ!」
威力が凄まじい。
...ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
サビアノーアがアルマダイのシールドを展開。
凌いでくれ...。
「弾いた!」
!?
弾いた?...。
...コーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
サビオが反撃。
「スードラ後方800」
「急がせろ!挟撃ならサビオはひとたまりも無い」
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
青の胸で炸裂する。
青の胸の肉が噴き飛ぶ。
...ゴゴゴーーーーーーーーーー...
「同時に来るわ!」
「まずい!」
...グググゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
...グググゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
青と白の巨人が、同時に口を開く。
異常な角度まで。
2つの毛むくじゃらの灯台に、眩い光が灯る。
目が眩む...。
「に、逃げて!」
「キャアァァァァァァァァーーーーーー!」
...ゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
太陽よりも眩い閃光が大地を、そしてチャクラの兵曹をなぎ払う。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
キノコ雲が噴き上がる。
....ゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
間をおかず、煙の中から青白い閃光。
2体の犬神を舐める。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
白の腕が噴き飛ぶ。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
粒子線が炸裂する。
「サビオが強い?。圧倒的に...」
「どうなってんだ...?」
魔神となったはずの犬神がチャクラの兵曹に敵わない。
....ゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
....ゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
青の耳が噴き飛ぶ。
真っ赤な鮮血と共に。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
犬神はなす術が無い。
「お、おい!汗」
「後ろ!サビオ!後ろだ!」
「危ない!」
....グゥウオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrr...
...trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrr...
再び昆虫人間化したボルボーレが。
「ボルホーレが!」
「避けろ!爪が来る!」
ガレスがラジュカムを鷲掴みにする。
...バシュウウゥゥゥッ...
中間脚から爪が。
「キャアァァァァーーーーーー」
音速で。
「ち、ちょ、ちょ、直撃...。さ、さ、サビオを...」
サビオは串刺しだ。
全身から体液が噴き出す。
「心臓部貫通...し、シーアナンジンが無い?!」
左中間脚!。
「や、殺られる!」
...ガッーーーーーーーーーーーーーーーン....
「ジーンです!」
ボルホーレの右下段脚に抱きついた。
割れた甲殻から体液が噴き出している。
...バシュウウゥゥゥッ...
爪が逸れた。
...ゴゴーーーーーーーーーーーーーッ....
「ササーンも!」
ササーンは右下段脚。
両ダルカンは満身創痍だ。
サビアノーアを救いに来た。
...ガッツーーーーーーーーーーーーーーーーン...
スードラ。
右下段脚。
「両ダルカンとスードラ、再びボルボーレと対峙!」
...ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
プロレスラーにしがみつく血だらけの赤ん坊達。
大きさがまるで違う。
「エフライム!。エフライム来ました!」
満身創痍だ。
...ババババババッ...
「うわっ」
「ヒッ...」
...クッ...
ボルボーレが全身から光を放つ。
目が焼けそうだ。
...
..
.....
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
「衝撃波!回避だ!回避っ!緊急回避!緊き...あ?...おい!」
ラムダが急旋回する。
クレランスの一人操舵だ。
「何です?あれ」
「ロスター貴様!こんな時...」
「いや!あれですって!」
...trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrr...
...trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrr...
...trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrr...
...trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrr...
「ひっ...」
「ぷ、ぷ、プリズムホール....」
「何て...」
「か....軽く........20....はあるぜ...」
空に大きな空洞がいくつも。
プリズムホールだ。
そして....まだアップルパイを食べてる奴がいる。
この状況で...。




