ダヌアの空に117
『...こち...ジグ...ス14...バ...バロイ壊滅...認。残....数6...バイ....ル13...下.......』
『...こちら....ムダ8...ジュア...了解......断せ....引き続....掃討...戦....注力せ......』
...キィーーーーーーーーーーーーーーーーーーィィーーーーーーーーーーーーーーー...
『...トルカカ...捕...まし....奪還...戦...』
...ドドド...ドドドド...ドド...
ラムダ13は旋回して行く。
『...作戦...13....ループ..結...す....バルバロ....生命力...強....集中..取り組..ん...れ....』
肥大化した夕刻の太陽に向かって。
無機質に。
『...了解...ティゲル....TT8...T...21....TT34...TM...23....掃...作戦に...当た......す...』
『....了...』
た...大変な事態になってしまった...。
...うわぁぁぁ...
「キャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーー!」
...ヒッ...
「いゃあぁぁぁーー!」
クルーが一斉に悲鳴を上げる。
「トルカカ...!」
ロスターが堪らず立ち上がる。
目を見開いてる。
呆然と口を開けて。
自慢の編み込みの髪を両手で強く握りしめる。
...あぁぁ...
「トルカカ!。そ...そんな...汗...」
...ダン...ド...ドーン...
エマの手から狼煙の操作パネルがデッキに落ちた。
エマは気付いていない。
モニターを凝視してる。
汗だくで。
..........どうしたら...一体...
《...落ち着くのじゃ。まだ手はある。大変な事態じゃが、打つ手はあるのじゃ。落ち着きなされ。ヒドゥイーン戦士達よ。まずは青犬神の結界を解くのじゃ。奴の眼じゃ。あの紅い眼力が結界の源...》
エメド様の声も焦りが隠せない。
《...ジェイよ頼むぞ。神帝は遊びを辞めた。エメドの結界を破った。後は、おまえが頼りじゃ...》
破られた...?。
早過ぎる...。
エメド様が神帝に負けた?...汗
ヘザー、リタ、ナイジェルも振り返る。
私もだ...。
負けるとは予想だにしなかった。汗
今ゾーグでは、アマルの神帝対、大神官エメドラド、大神官ジェイ•ディー連合軍の壮絶な決戦が繰り広げられている。
《...ジェイや。ドラドや。頼むぞ。ワシも今1度挑む...》
アルマダイは生命の法則を形造る膨大かつ緻密なデータであり、関数の集合体。
エーテルという変幻自在なツール、そしてキャンパスに書き込まれる。
霊能力はそれを書き換えるプログラム言語。
光も重力もアルマダイも、全てが粒子であり波長。
法則を形造るもの全て。
《...うひひ。責任重大ですわい笑。うひひ。では、撃って出ますぞい?。護っておるだけでは拉致が開かん。一気に攻め込みますのじゃ。神帝の苦手な獅子方陣を用いて。攻撃は最大の防御なり。ドラド殿。援護を頼みますぞぃ?。うひひ。うひひひ。笑。》
たまに、ジェイ•ディーを敬う気が失せる。
「トル!。トルーーーー!。」
...ぁぁぁぁあ...
少年兵曹の影が炙り出される。
ぼやけたオレンジの光に。
【...ラムダ1...リリアー......ジャミ...パンサー隊...間も....く到達....。カリ....ュラ11....演算スペ.....ス....解放.....。犬神....新た....結界....作り出....。波状....撃...効果.......】
「リリー。ジャイロだ。援軍感謝する。」
しかし、チャンスは1度。
奇襲作戦の一回のみ。
「ジャミーパンサー来ます!。6機編隊。時速886km。距離4」
「か、か、カリギュラ11、か、カリギュラ13と接続。3、2、1...」
「接続オッケーだぜ。第2陣として編成する。ロスター、頼む」
「了解」
トルカカ。
皆が我が子のように慕い愛する者。
あどけなき戦士。
誰にでも惜しみなく愛と勇気を与える。
幼くても、稚拙でも、この師団を勇気づけ、一心不乱に引っ張って行く。
幼いがもう立派なリーダーだ。
「トルカカ!」
逆さ吊りにされている。
まるで罪人のように。
容赦なく。
..あぁ....
「とっ...トルカカァーーーーー!」
必死に起き上がり、青犬神の指を殴りつける。
全く効いていない。
「トルカカ!」
青犬神は、トルカカの脚を摘んでいる。
『...トルカカが...』
5mのトルカカはまるで小さなバッタ。
勢い良く起き上がる。
「ト...トルカカ...」
何度も何度も身体を起こして。
決して諦めない。
起き上がって200mの獣神の指を殴りつける。
何度も何度も... .. ....。
...BOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...
...BOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAABAAAAAAAAAABOOOOOO OOOOOOOOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...
青犬神が雄叫びを上げる。
人間よりも愚かな神が。
まるで宇宙の覇者のように尊大に振る舞っていやがる。
ジーンに簡単に吹き飛ばされたその惨めな顔面で。
あぁ...!。
「キャアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
青犬神がトルカカを激しく振り回す。
「おぉぉ...」
ガレスが頭を抱える。
ガレスが泣いている。
真っ赤な顔をして。
「な.....何てことを!」
「と、と、トルカカが壊れちまう!」
「や、や、やめろーーーー!」
「あ!あ...あ!ぁ...」
まるで食べる前の生き物を弱らせるように。
クソ犬が!。
...ゴギ...
集音器が鈍い音を拾う。
「ギャァァァァァァァーーーーーーーー」
トルカカの脚が折れ曲がる。
曲がるはずのない方向へ。
リタの悲鳴も悲痛。
「ぉぇ...」
ラウルが戻し始めた。
だが、トルカカはまだ諦めない。
「トルカカ!動くな!またやられる!」
ロベルトが叫ぶ。
ここで叫んでもトルカカには聞こえない。
しかし、トルカカは起き上がる。
殴りつける。
最後の力を振り絞って... .. ..。
何度も何度も。
どれだけ怖いだろうか...泣
「トル!じっとしてて!ゼルダ隊が行くから!。ゼルダ隊があなたを助けに行くから!泣」
ヘザーが絶叫する。
『...こち...ユーイ..13...ウル...応答願....ます....ネオキリ....ク....黒虎.....黄龍....制覇....残....3....バイタ...10以.......ウチ....今...ら止め....差し....く....』
「り...了解です。ユーイさんの方で...何か困っていることは?」
ラウルは声を絞り出している。
『...やっぱ...ジグルス....ら....情報だけ....ゃ厳し.....ウチら....隊...戦略装甲車....専属で付け....欲し......』
ラウルの指がパネルを鍵盤を弾くように流れる。
「了解です。ウッ...ク...ラムダ19が向かいます。」
『...あり...とう...ラウル....さっ....リュウ....に....通信..........トルカカ頼....ね...絶対....取り...返そう....サクラは..ウチと明王.....護る....絶対....』
「分かりました!。全力で取り返します!」
「いゃあぁぁーーーーっ!」
ヘザーが叫ぶのを初めて見た。
また、犬神がトルカカを振り回す。
『..犬っ...ろ!許...ね...ぇ!や...り..やが...った...な!...』
笑ってやがる!。
『...ファ..ック...』
「チキショウ!チキショウ!チキショウ!」
ガレスが泣き叫ぶ。
あの大男が。
デッキを踏み鳴らして。
どうしてやることも出来ない。
「あぁ...神様...あの子を、トルカカをお救いください...」
リタが胸の前で十字を切る。
「か、艦長!。第7艦隊から入電!次元潜航を解きました!」
「何!?」
何故だ!。
危険だ!。
バルデス大本営艦隊の集中砲火を浴びてしまう!。汗
【.....こ......第7艦.......ベイルー....ハ...ーヤ....全砲.....ボルボー....および....犬神...ロックオン....ている....砲撃指示...待.......】
第7艦隊は壊滅のリスクを犯し、全砲門をボルボーレに向けている。
だが、彼らにも出来ることは無い。
【....トルカ....奪還...作.......武運...祈........】
トルカカは6歳...。
ろ...6歳の子供だ...。
どれだけ辛いだろうか....。
トルカカ....おまえは....... .. ....勇敢...勇敢な戦士だ....泣。
手塩にかけた子供達。
誰一人として代わりはいない。
ハイドラの希望。
我々の宝物...。
「トルカカがぁ...トルカカが動かなくなったわ...泣」
『...犬..野郎!...ぶっ..殺し....やる!...』
とうとう...。
トルカカが動かなくなった。
「あ...あんなに激しく....許せない....許せない...」
エマの声が震えている。
「調子に乗りやがってあの野郎!」
ロスターが吠える。
「トルカカのバイタルは!」
トルカカまるで濡れた布のようだ。
消えそうな目の光、命...風前の灯。
「ば、バイタル下がってます。急激に。48,32,26,21...ぜ、ぜ、全身の骨格が折れ、お、折れてる....泣」
「あっの野郎!。調子に乗りやがって!。」
...ドン...
ガレスが壁を殴りつける。
顔を真っ赤にして怒り狂っている。
「ぶちのめしてやんよ!」
ロスターは血が出るほど歯を食いしばってる。
「な、な、な、何てことだ!な、何てことなんだ!」
ナイジェルが叫ぶ。
ナイジェルも目が真っ赤だ。
『....ク....犬!...許.....ぇ!絶対....許さね....!』
この艦は、いや、師団全体が、今、怒りと悲しみで満たされている。
クソ犬に対する激情で。
クソ犬を許さない。
地の果て、いや、魔界の果てまで追い詰めてやる。
...BOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...
クソ犬が吠えてやがる。
王笏が無き腕に捕まれ宙を移動する。
切り飛ばされた腕の痕に磁石のように離れては吸い寄せられる。
ガレスとロスターはモニターを気にしながらシートに着いた。
「艦長!。ゼルダ隊出ます!」
「頼むぞ!ゼルダ隊!」
『...こちらザラ。了解です!。中佐!。絶対にトルカカを取り戻します!...』
「青犬神は結界を張っている。」
マイクを掴む手が震える。
震えてうまく掴めない。
口の中がカラカラだ。
心臓が激しく鼓動する。
私は、こんなにトルカカを愛している..。
我が子だと思っているのだ。
身体がそう認識している。
助けてやってくれ...。
頼む。
涙を流すとは何たる不覚。
しかし...。
『...ラウルと連携済みで...す...先行隊が奴の眼を破壊します...』
『...こちらヤマト!..作戦シャー..ク!トルカカ救出作戦を決行する!...』
『...ナムジーだ。陽動開始!。サインを送る!。バックアップを!...』
『...任せろ!ザラ!ヤマト!ついて来てくれ!...』
「た、頼むぞサムサ!」
ガレスがラジュカムを口に押し付け叫ぶ。
ラムダはゆっくりと旋回する。
吊り下げられたトルカカがメインモニターに映し出される。
元気なトルカカが。
活発で明るいトルカカが。
優しいトルカカが。
まるでマネキンのようだ。
傷だらけになって。
2人の操縦士。
イーシャスが分厚いタオルで顔を押さえている。
嗚咽が聞こえる。
肩が激しく揺れている。
クレランスはイーシャスの肩に手を置いている。
クレランスの背中も泣いている。
「しっかりしろ!。トルカカを奪い返す!。まだ終っちゃいないんだ!。何をメソメソしてる!貴様ら!。」
....ザザザザザァァァーーーーーーー...
....ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ....
何だ....一体....汗。
ゾーグの大地に地鳴りが轟く。
「見ろ!ボルボーレが変形する!」
ロベルトが叫ぶ。
変形?。
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
「...これは...一体...」
エマが茫然とモニターを見上げる。
ミニシアターのスクリーンほどもあるメインモニターを。
ナイジェルが振り返る。
焦っている。
「や、や、奴が...せ、せ、成長する!。い、1度、た、た、退化するんだよ!。け、け、桁!桁外れに強力に、なる前に。と、と、とんでも無く、き、きょ強力になってしまう!」
....ザザザザザァァァーーーーーーー...
「あ...ぁあ...」
「これ以上強力に...」
300mの巨体は脈動し、ピンクのツノを持ったイモムシへと戻って行く。
「あぁぁ...」
「ゼルダ隊!突入します!」
「あぁ...見て!ボルボーレが頭を地につけるわ!」
「あぁ...ふ...ふ、服従する!格下の犬神に...」
「なぜ!?ボルボーレを服従させる者は魔神だけのはず!」
そうだ...。
デュメネス(デューンの神話)によれば、この第5世界の魔神はアルゴとバランのみ。
《...新たなる魔神になったのじゃよ。これから奴は力をつける。アルゴすら凌ぐかもしれん....》
「エメド様!」
!?汗
何だって!?
そんな...トルカカはまだ...。
「と、トルカカはまだ生きてる!...」
《...イッカサルのシーアナンジンを食べたことで妖力が増したぞなもし...汗。通路が通じてしまったようじゃ...うひ...汗》
「何だって!?」
ば... 通路!?。
「通路って...汗」
《...魔界においては、大いなる核を得たものが主となるのじゃ...》
大いなる核...。
闇の最高神アジャイロが渇望する、欠落エネルギー。
《...これで容易には倒せんようになった。こやつも...》
「そ、そんな....」
...バウゥゥッ...
砂煙が巻き上がる。
ゾーグの大地から。
...ガガガカ...ゴゴゴゴ...ゴンゴン...
青犬神が白犬神を足蹴にし始めた。
山よりも大きな頭がゾーグの大地に押しつけられている。
...グググゴゴゴゴゴゴ...
白く毛だらけの犬の頭。
「何やってるんだ!あ、あれは...」
潰れんばかりにしなっている。
《...非道な。同志を踏み潰す気じゃわい。足手まといになったのじゃろう...》
青犬神の4つの目はより一層邪悪に輝き始める。
血のように赤く。
...ズドーーーーーーーーーーーーーン...
...ドドーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ズダドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
6脚の巨大な怪物が首を垂れる。
青犬神は、象使いのようだ。
《...従えおった...とうとう...》
...ゴゴ...ゴゴゴ..ゴ...ゴゴゴ...ゴゴゴゴ...
...グフォ...ゴゴ...ガガ...グフォ...ゴゴ...ガガ...グフォ...ゴゴ...ガガ...
ボルボーレが首を振り、リングのような口を咀嚼する。
剣山のような口を前後に出し入れをする。
まるで飢えた鯉のように。
...ゴゴ...ゴゴゴ..ゴ...ゴゴゴ...ゴゴゴゴ...
...グフォ...ゴゴ...ガガ...グフォ...ゴゴ...ガガ...グフォ...ゴゴ...ガガ...
青犬神の王笏がボルボーレの口元を押さえた。
...BOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...
...BOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAABAAAAAAAAAABOOOOOO OOOOOOOOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...
青犬神が吼える。
...trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrr...
ボルボーレは服従する。
まるでサーカスの熊のように。
《...儀式が初まる...》
...BOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO...
青犬神はトルカカを額にかざす。
最高神に恵みを感謝するかのように。
邪悪な赤い眼。
左だけ残った4つの瞳を閉じて祈る。
第2太陽に身体を向けて。
...BAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...
《...トルカカを奪われれば、現実世界は魔界と完全に一致する。吸収される。ここが魔界となってしまう。通り道などと生半可なことで済まない。この星は、いや、この第5宇宙は、地獄よりも恐ろしい場所になる...》
...BAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...
青犬神は、匂いを確認するようにトルカカを鼻に擦る。
「うわあぁぁ!。辞めやがれ!」
...BOBOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...
青犬神は、空高くトルカカを掲げた腕を伸ばしたまま下ろして行く。
その赤く邪悪な4つの眼の輝きを増しながら。
...ゴゴ...ゴゴゴ..ゴ...ゴゴゴ...ゴゴゴゴ...
...グフォ...ゴゴ...ガガ...グフォ...ゴゴ...ガガ...グフォ...ゴゴ...ガガ...
ボルボーレが巨大なリング型の口を激しく動かす。
...ゴゴ...ゴゴゴ..ゴ...ゴゴゴ...ゴゴゴゴ...
...グフォ...ゴゴ...ガガ...グフォ...ゴゴ...ガガ...グフォ...ゴゴ...ガガ...
300mの巨大な怪物は、待ちきれないように咀嚼して身をよじる。
戦闘艦を丸呑み出来る巨大な口を。
...ココ...コ...コーーーーーーーーー...
モニター1。
ジャミーが青犬神を遮る。
来たか!。
「ゼルダ隊突入!」
...バスゥ...バス...バス...バスゥ...
画面手前。
閃光が炸裂する。
「粒子ライフルだ!」
...ドーーーーーーーーーン...
...ズーーーーーーーーン...
...ズドーーーーーーーン...
爆炎が噴き上がる。
『...だ、ダメだ...。0ダメージ...』
青犬神の赤眼を直撃する。
『...GO!ジャミー!GO!...』
...コココーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
弧を描き上昇して行く。
白い鋼鉄のカマキリが。
サムサ機だ!。
『...これでどうだ!...』
『...サムサ!サムサ!何を!...』
「ちょ待て!辞めとけ!体当たりする気か!」
ロスターがラジュカムを鷲掴みにする
「ジャミー84激突します!」
「えぇ!?」
...ウゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
「じぇ、ジェ、ジェネレーターが!」
「や、辞めろ!サムサ!」
...ドウゥウーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ガシャアァーーーーーーン...
「自爆を!?」
「げ、激突!。ジャミー84激突」
...
ジャミーが爆発する。
青犬神の頭で...。
「...ぁ...あ..ぁぁ...」
ジャミーの部品が粉々に飛び散って行く。
真っ白い煙を引き摺りながら。
放物線を描き地上に。
...
「衝撃波来るぞ!」
....ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
青犬神の頭部が爆炎で覆われた。
「サムサーーーー!」
『サムサ!サムサーー!』
「犬神のエネルギーシールド消滅します!」
命と引き換えに...。
『...結界開いた...』
2機のジャミーが降下して来る。
上空1000m。
白い雲を背景に。
イルカのようにバレルロールをしながら。
『...ザラ!活かすぞ!絶対に!...』
『...あぁ。チャンスは一度!...』
2人のコックピットが一時的に映る。
サムアップで合図を交わしている。
『...行くぞ!...』
パルチザンだ。
『...了解!...』
パルチザンで指切り落とす。
「行け!」
「行ける!」
パルチザンの破砕力なら、青犬神の指を切り落とせる。
「今だ!」
「行っけぇぇぇーーーーー!」
「行ける!。行けるぞ!」
《...いかん!。ジェイ!...》
《...うひ。手一杯...》
《...ドラド!。わ、ワシもじゃ...》
...BOOBAAAMUUUUTTTT...
「エ、エネリウムシールド発生!。」
「結界が!」
...ヒッ...
青犬神の内側から光の球が膨張する。
...ドーーーーーーーーーーーーーーン...
ジャミーを弾き飛ばす。
光の球が。
...ガジャ...ガシャァーーーーン...
ジャミーの破片が飛び散る。
「ヤマト!」
2機のジャミー84が回転しながら落下して行く。
「ザラ!」
黒煙を噴きながら。
墜落して行く。
「あぁぁ...」
...BOBOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...
青犬神の赤い眼は、輝きが最高潮に達した。
足蹴にされた白犬神の頭は半分以上、大地に埋まっている。
200mの獣神が苦しそうにもがいている。
心臓で体液を送る仕組みなら、相当な負荷が頭部にかかっている。
今、青犬神が正に指を離す。
トルカカを摘んだその指を。
「トルカカ!」
「トルカカーーーーーー!」
静かに落下して行く。
「あ!あ!あぁぁ...は、は、離しやがった!...」
明るさ、愛らしさの代名詞。
あの人懐っこい表情、はち切れるような明るさ、少し舌足らずな喋り方。
幼い彼の素朴で温かい励まし。
走馬灯ように...。
トルカカは動かない。
もう完全に......。
....。
「と、と、トルカカ!トルカカ!誰か!トルカカ!トルカカ!キャアアァァァーーーーーーーーー」
「トルカカアアァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「トルカカーーーーーー!」
あ...あ...あ...
墜ちて行く...。
小さな勇者が。
力なく...。
大切な宝物が奈落の底へ。
魔獣の口の中へ。
巨大なシュレッダーの中に...。




