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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
275/364

ダヌアの空に112


犬神ゾアーグの腕が...。


まるで巨大なアナコンダのように。


植物の根のように。


無限に枝分かれしてトルカカに向かっている。


...エンダゥ...ロッサ..ハンドウ...バンダル...レッセム...エンデーナーーーーーーーーーーー...


...エンダゥ...ロッサ..ハンドウ...バンダル...レッセム...エンデーナーーーーーーーーーーー...


「陣形を維持だ!。陣で護るんだ!。」


...エンダゥ...ロッサ..ハンドウ...バンダル...レッセム...エンデーナーーーーーーーーーーー...


巨人達が武踏を踏む。


「青も来たぞ!。」


「あぁぁぁ...。」


....ギィィ...グウェ...ゴアッ..ギャ...グワッ...ゴゴ...ガガ...ギュ...ゴガ.....ギャ...ゴガ....ギィィ...グウェ...ゴアッ..ギャ...グワッ...ゴゴ...ガガ...ギュ...ゴガ.....ギャ...ゴガ....ギィィ...


バルバロイが隙を伺っている。


隙間は埋め切れ...。






...バァァァーーーースーーーータアァァァーーーーーーーーーーーーー...

《...古代ワイナ語:破壊...》






あぁぁ...


「おぉぉ...。」


光の光輪が立ち上がる。


眩いエネルギーのギロチン。


...バッッスゥゥーーン....


...


...ブッチィィィィィィッッ...


...バギバギィィ...


...バウゥウゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


犬神ゾアーグの腕が噴き飛んで行く。


焼却場の煙突並みに太い腕が。


細切れになって。


凄まじい勢いで。


断面に砕けた骨が。


引きちぎれた肉が...。


...BUUUUUBOOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA...


犬神ゾアーグが後ずさる。


...GUUUUAAAAAAAAAA...


....GOGAAAAAAAA....


刻まれた巨大なダクトが飛び散る。


「青の犬神ゾアーグ が止まる!。」


「青が止まるぞ!。」


「ぞ.....ゾアーグの手を吹き飛ばしたぞ....。」


...ドーーーーーーーーーーーーーン...


...ズドーン...


...ドドーーーーン...


...ドドドーーーーーン...


...ドーーーーーーーーーーーーーン...


隕石のように、大地に降って行く。


粉々になった腕が。


...GUOOOOO...


...GAGAAAAAAAAAAAA...


肘から先を無くした、犬神ゾアーグが、のたうち回っている。


こんな所だけ妙に人間臭い...。


「おい!。何を...あぁぁ...」


!!


ジャイロ!?。汗


...キャアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーー...


...うわぁうわぁうわあああああああああああーーーーーーーーーー....


ど、どうしたの!?。


...うおおおおおおぉぉぉぉーーーーーーーーーー...


な、何!?。


...きゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー...


「プリズムシールドが!。」


!!


虹色の光が...。


ヒッ........。汗


し、しまった...。


しまった。


に、逃げて。


「離れろぉーーーー!。ササーン!。離れろーーーー!。」


「逃げろ!。ササーン!。」


ササーン...。


ボルボーレの巨体を虹色の光が横切る。


「さ、さ、ササーン!。」


....


...


...ッッ......


....


...


閃光が...。


界面爆発。


「来る!。クレランス!。イーシャス!。みんな!。備えて!。」


途轍も無い大きさの。


途方も無く...。


耐えて...。


ササーン...。


エネリウムの結晶で出来た山...。


兵曹達...。


「ナイジェル!。予測!。」


来るわ!。


「総員耐閃光耐衝.....。」


...ッ...


....ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


...キャアアアアァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


...ウォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーー...


...キャアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーー...


...ボゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


ううぅ。


「イーシャス!もう一回....。」


....


...


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


...バギィ...


うぅぅぅ!。


...ガガガガカガガガガカ...


「うをっ...。」


...ドウゥウゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


..うわぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー..


...キャァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーー...


ラムダが衝撃波の直撃を受けた。


...ピーピーピー...


...ヘッズアップヘッズアップ...


振り回される。


...アウトオブコントロール...


...アウトオブコントロール...


...ピー...ピー...ピー...ピー...ピー...ピー...ピー...ピー...ピー....ピー....ピー....ピー...ピー...ピー...


...ウィン...ウィン...ウィン...ウィン...ウィン...ウィン...ウィン...


息が出来ない...。


これは、まずいかも...。


...リガーズヘッズアップ。リガーズヘッズアップ...


立て直せないわ...。


カリギュラ13の自動音声が鳴り響く。


...ピー...ピー...ピー...ピー...ピー...ピー...ピー...ピー...ピー....ピー....ピー....ピー...ピー...ピー...


こんな勢い。


2人とも操舵桿に触れてない。


まずいわ。


...メインエンジンリバート... メインエンジンリバート...


そんなことしたら、リバートなんかしたら、墜落したちゃうわ!。


何言ってんのこのバカコンピューター!。


...ウィン...ウィン...ウィン...ウィン...ウィン...ウィン...ウィン...


あぁぁ...。


「いっせぇーーーのぉぉ!。」


「でぇりゃあぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーー!。」


「おらぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!。」


...バゥゥンッ...


操舵翼が飛んでいく。


「キャァァァァァーーーーーー。」


「うわぁぁぁぁーーーーー。」


火花を散らして。


艦が持ち直す...。


どうなったの...?。汗


「ふぅぅ...ダメかと思ったぞ...流石に...。」


「8番脱落。...はぁ...これじゃホント、心臓がいくつあっても足りゃしないわ。」


同感するわ。


「良くやったイーシャス。」


「機長も。流石ね。」


...パァン...


鈍いグローブの音。


2人がまたハイタッチする。


長めに握り合ってる。


「エマさん!。ササーンが!。」


さ、ササーンが?。


エネリウムの岩に叩きつけられている。


す、凄い体液...。


「きゃぁぁ!。う、腕がぁ!。」


腕がない!。


右腕...。


「あぁ...あぁぁぁ...。」


肩からえぐれるように...。


「ササーンがやられた!。」


角も、放電翼も粉々に。


もの凄い量の体液が...。


ササーンの三日月形の目も割れている。


こんなササーンの姿は初めてだ。


こんなに雑に...。


無敵のはずのダルカンが...。


かつてないほど。


誇り高き明王が。


何てこと...。


アンティカ戦ですら、こんな無様な投げ飛ばされ方はしなかった。


ササーンもジーンも歴史に残る名ダルカン。


他の師団のダルカンよりも格上。


こんな惨めな...。


な、何...?。


この音...。


「ササーンバイタルが...。こ、これ...炉の、シーアナンジンの音です。泣」


ラウルが泣いている。


放電翼も粉々...。


「見ろ!。ほ、放電翼が....。」


力は激減していまう...。


これでは望めない。


攻撃も回復も。


「ろ、炉心がやられてるわ...。」


リタが呟く。


まだ爆発はしない...。


でも、凍結も視野に入れないといけない...。


誇り高きダルカンの凍結を...。


結晶に影響を与えてしまう。


圧倒的な力の差。


「ササーンを失っては勝ち目が無い!。総員本艦脱出用意!。」


「艦長!。」


「待ってくれよ!。艦長!。」


「エネルギー!。ボルボーレから高エネルギー反応!。高エネルギー反応!。」


間欠線だわ!。汗


「まさか...。」


「撃つ気です!。間欠口にエネルギー集中!。ボルボーレ間欠口にエネルギー集中!。エネルギー規模!。...そ、そ、そ、測定不能だ...。」


「な...ナイジェル!。演算!。」


「て、10とふ、ふ、15が演算中!。」


「撃たせるな!。絶対に!。」


し、しかし...。


止められるのはササーンだけ..。


「ササーンエネルギー規模低下!。9800万カルーデラ。」


くっ...。


「ササーン!。ササーン!。撃てる!?。ササーン!。その岩に命中したら何もかも...。」


「エマさん、あんた鬼か!?。」


「いや、ササーン撃てるか!?。」


ボルボーレがササーンに向かっている。


留めを刺す気だ。


「近づいてるぜ... 。...殺られる。...に、に、逃げろササーン!。」


「た....立ち上がりやがった...。汗」


まるで熊。


雲のように大きな熊。


ひっ...。


「逃げろぉぉーーーーーーー!。ササーーーーーン!。」


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


ボルボーレの前脚がエネリウムの岩に突き刺さる。


ササーンは辛うじて交わした。


あんなの受けたら完全にお終い...。


「上がり始めたぞ! 。温度が上昇し始めた!。反応が...。エネリウム鉱石の反応が始まった!。チキショウ!。結合して何万年も経ってるくせに!。」


...trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrr...


...trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrrtrrrrrrrrrtrrrrrrrrrrrrrrrrr...


「間欠口のエネルギーが上昇するわ!。」


逃げて...。


「に、逃げろーー!。逃げろぉぉーーー!。ササーーーーン!。」


....チカチカッ...


...コココォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


...


...


黒輝線がボルボーレを舐める。


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


「シメオンだ!。」


「陣から抜けている!。」


「ササーンが山の後ろに!。」


ササーンはまだ動ける。


這って移動してる。


「うわっ。ボルボーレが向きを変える!。」


「シメオンに反撃する気か?。」


「ち、違う...トルカカの方向を向いてる!。トルカカを思い出したんだ!。」


犬神ゾアーグも戻って来る!。


犬神ゾアーグが戻って来るわ!。」


「ボルボーレ!。火口包囲陣に向かいます!。加速!。90、160...」


「い、いかん!。ガレース!。ロスター!。陣を散会させろ!。オパに伝えろ!。」


「り、了解!。」


「イッカサル!。シメオン!。スードラ!。エフライム!。トルカカを護れ!。トルカカを護り抜け!。」


ボルボーレが突進して行く。


至近距離では凄まじい速度。


「は、速い....汗。捕まってしまう!。」


「逃げきれないわ!。汗」


トルカカに向かって突進する。


〈...来いよ。ボルボーレ。僕は捕まらない。おまえ達なんかに。絶対に。僕はマーツマンだから。...〉


...ドーーーーーーーーーーーン...


...ズガーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


「ボルボーレ、減速します!。な、何が...。この音...。」


「見て!。ササーンよ!。ササーンが!。」


リタがモニター7を指差す。


ササーンがしがみついている。


「ササーン!。」


「ササーン!。」


「ササーーーーン!。」


ササーンがボルボーレ後脚にしがみつく。


何もかもかなぐり捨てて。


腕も、角も、放電翼も、牙も失い、甲殻が割れ、体液だらけの身体で。


誇り高き明王がギリギリでボルボーレを引き止める。


ズタズタになっても明王は諦めない。


もはやシーアナンジンの音は聞こえない。


ボルボーレが脚から振り解こうとする。


まるで人間のような所作。


引きずられるササーン。


ササーンの体液が赤く大地を染める。


人間と同じ真っ赤な...。


ボルボーレの中脚はササーンに届かない。


エネリウムの結晶岩までの距離500。


こいつが何かをしたら私達は一貫の終わり。


何を考えている?。


モニター1が映し出すボルボーレ。


プロペラの羽のような形の目。


やはり爬虫類のような小さな目が無数に集まった複眼。


芋虫にも、牛にも、熊にも見える。


...ドーーーーーーーーーーン...


...ドーーーーーーーーーーーン...


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


犬神ゾアーグ達が踏みつける。


誇り高い明王の頭を。


「ササーン!。」


犬神ゾアーグが口を開ける。


顔面から避けるように。


...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


炎が口の中に渦巻く。


...ゴゴーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴーーーーーー...


...ゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


二本の業火がササーンを焼く。


ササーンが微かに動く。


「見てられねぇ...泣」


苦しいわね。泣


ササーン。


犬神ゾアーグが踏みつける。


ササーンの頭甲が砕けて行く。


...ドーーーーーーーーーーン...


...ズドーーーーーーーーーーーン...


...ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


...ズダドーーーーーーーーーーン...


...ドーーーーーーーーーーーン...


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


あぁ神よ。


ナジマよ。


「エマ。ササーンを失う訳にはいかない。おまえ達の確保を依頼してくれ。ラムダ15でいい。」


「分かりました。」


「サビアノーアが出ます!。」


ごめんなさい。


サビアノーア...。


「サビオ...。」


ジャイロは泣いている。


私だって。


何も出来ない自分が情けない。


何の力も無い自分が..。


〈...待て。我が出る。...〉


!!


〈...でも、トルカカが...〉


「イッカサル!。」


〈...トルカカはサビアノーア。お前が護ってやれ。...〉


〈...でも...〉


「ダメだ!。イッカサル!。」


〈...我はラムダ13の指揮下にない。黙っていろ。我はおまえ達の命令に従う訳ではない。サビアノーア。戻れ。我の決断が正しかったと証明せよ。マジトゥの弟よ。...〉


イッカサルがこんなに穏やか話すのは初めてだ...。


〈...イッカサル様、しかし...〉


気性の激しいラキティカ。


まるで百獣の王のように。


〈...護衛も阿吽の呼吸が不可欠。我は明王ササーンをお救いする。御大のご恩に報いるため、我が命と引き換えに一矢を報いる。同じくヒモンの兵曹である御大を...〉


...ズドーーーーーーーーーーーーーーン...


イッカサルのシーアナンジンが火を噴く。


「い...命と引き換えに...?。」


イッカサルの自然炉の爆音が轟く。


....キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


兵曹の中で最も気性が激しく荒い。


イッカサルが命に引き換えると...。


ボルボーレとは一体...。


...バギィ...バキ..ゴン...ゴゴ...ボゥン...


...メリ..メリ...メリ..メリ...


イッカサルが巨大化して行く。


....バリバリバリバリ...


...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


...バギィ...バキ..ゴン...ゴゴ...ボゥン...


左右の3つの目がより強く光を放つ。


一撃で山脈をも崩す打撃。


もし、ジーンがいなければ、間違いなく南東方なんぽうかたのダルカンだった。


大闘技での他師団ダルカン戦は、無敗だと聞く。


バッファローのような角が伸びて行く。


ジャイロはこのイッカサルの勇ましい姿を見ていない。


腕を組みただ考えている。


イッカサルには放電翼が無い。


その代わりに強いヒモンの光を纏っている。


「イッカサルのエネルギー規模、3兆900億カルーデラ。...さ...最終兵曹...。」


ロベルトが読み上げる。


彼の戦闘力は平常時最大で998億カルーデラ。


これはダルカンとしても凄い数字...。


そして、これは最終兵曹....。


...ギュワアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


イッカサルが咆哮を上げる。


78m。


私達ではイッカサルの足の指の厚みもない。


聳え立つ大きさ。


でも、ササーンに比べてしまうと小さく華奢。


ましてや、その3倍近いボルボーレには。


〈..今向かいます。我が師よ。大明王ダイダルカンよ。微力ながら我が助太刀致す...〉


「イッカサル!。ボルボーレに向かいます!。」


...ドーーーーーーーーーーーーン...


...ドスゥウーーーーン...


...ドッスーーーーン...


イッカサルのぶちかまし。


アンティカですらたじろぐ。


「イッカサル加速!。」


「よぉし!。イモ虫野郎にぶちかましてやれ!。イッカサル!。」


「待って!。バラン線が!。」


ボルボーレの頭上。


ピンク色のグロテスクな触覚が光を増す。


「イッカサル!。気をつけて!。」


眩しい!。


...


...ピッ....


...


....


...うをぉっ...


...あぁ...


....ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


凄まじい爆発...。


一瞬の光で。


...ゴゴゴゴ...ゴゴゴゴ...ドドドド...ドドドド...


エネリウムの巨岩が崩れる。


キノコ雲。


....ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...


!!


爆炎からイッカサルが飛び出す。


「イッカサル!。無事です!。ボルボーレと激突します!。」


無事だった。


何て勇ましいの!。


「頼むわ!。イッカサル!。行け!。イッカサル!。行け!。」


暴れる巨牛。


「ぶちかませ!。イッカサル!。」


「ボルボーレと激突!。イッカサル、ボルボーレと激突!。」


!!


「....。」


「........。」


「..........。」


「....。」


...何...。


あれは、いったい....。


人形のように激しくキリモミをしている。


真っ赤な体液が花火のように撒き散らされる。


空高く...。


ラムダよりも高く...。


...ヒッ...泣


人形の腕に意思は感じられない...。


布の様にはためくだけ...。


嘘でしょ?。


嘘でしょ!?。


嘘よ...!。


嘘ぉ....。


真紅の巨体が落下して行く。


2000m下の大地へ。


首が無い....。


...ッッ...


....


....ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


大地に真紅の巨体がめり込み潰れた。


壊れたマネキンの様に。


...ゴゴゴゴ..ゴゴ...ゴゴゴーー...


...ゴゴゴゴ..ゴゴ...ゴゴゴーー...


...ゴゴゴゴ..ゴゴ...ゴゴゴーー...


無視してボルボーレが突進して行く。


地上のジャミー、そしてカナイヒャクからの映像。


凄まじいほどの砂煙。


途轍も無く大きな鋼鉄の化け物。


地上の爆音...震えが止まらない。


恐ろしい...。


得体の知れない怪物が。


ササーンを引きずりながら。


イッカサルを踏み潰して行く。


...ガキィ...ゴン...ボキィ....


伸縮する巨大なリング状の口。


赤い体液が噴き出す。


イッカサルの折れた角が飛び出して落ちて行く。


そして、牙。


あの勇ましさの象徴が。


大地へ。


体液を迸らせながら。


ボルボーレの口から。

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