ダヌアの空に105
...孤独な闘いよのう...
...ワシらは皆...
...おまえさん達は愛する者のために命をも差し出す...
...いとも簡単に...
...生い立ちに恵まれぬ者が多いというに...
...何と勇敢なことか...
...何と清廉な魂か...
...何と深き絆か...
...何と強き愛か...
...じゃが...幸せなことじゃよ。護るべきものがあることは...
...幸せ者じゃ...
...若くして大切なものを見つけられたおまえさん達は...
...金や身分には変えられん...
...1人1人が明日を背負っておる...
...ハイドラの...
...いや世界の...
...その振る舞い。その心意気。ハイドゥクすら敬服するに違いない...
...歳を取っているから偉いのではない...
...金を持っているから偉いのではない...
...地位が高いから偉いのではない...
...知識があるから偉いのではない..
...愛の深き者...
...他者を愛する者...
...希望に満ち強い意志を持つ者...
...そういう者達が真の大人であり、真の実行者たるべき...
...神は、宇宙は、明白にそう望んでおる...
...おまえさん達のことじゃよ。笑...
...例えば5歳の齢だとしても...
...未来は決して暗くはない...
...おまえさん達がいる限り...
...だが国のために命を捨てる必要などない...
...自分だけに与えられた命...
...自分のために大切に使っておくれ...
...よう頑張った...
...サクラ...
...なに...心配ない...
...タンパーはもう笑顔じゃ...
...タンパーの魂はワシが連れて行くよ...
...天国にな...
...これ以上悲しむでない...
...心優しき娘よ...
...サクラ...
...視力も聴力も失ってしもた...
...可哀想に...
...じゃが...
...ワシらに視力は無くてええ...
...聴力は無くてもええ...
...心の目が見せてくれる...
...もっともっと多くのことを...
...もっともっと素早く...
...もっともっと深きところまで...
...そして何よりも深き温かき人の真心を...
...ワシも同じじゃよ...
...サクラよ...
...少しお休みよ...
...その間にこの婆が掃除をしようぞ...
...婆が最後の大掃除を...
...サクラよ泣くのはおよし...
...
..
.....
...ゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
13(サーティーン)は旋回を続ける。
傾斜したままのメインモニターが映す地上500m。
火口包囲陣を中心に直径1キロの円を描く。
あの子達を見護りながら飛ぶ。
どの子も疲れて立つことすら出来ない。
良く頑張った。
おまえ達...。泣
メインモニターの真ん中に映る2匹の神。
残虐で卑しいだけの神。
ただでかいだけの。
意味の無いデカさ。
価値の無いデカさ。
クズ野郎どもだ。
貴様らは。
うんざりだ。
だが、今、我々に出来ることは何も無い。
下手に動けば、イブラデにクリティカルだ。
航空戦車や戦闘機が近づけない。
バカ犬に惑わされ天と地が逆になる。
一瞬で焼き尽くされ灰になる。
頼みのラキティカ達。
距離が離れている。
ゾルクヌートが方位を狂わせている。
ここ数日、通信がままならない。
ここまで辿り着けない。
磁気嵐のレベルを超えている。
八方塞がりだ。
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
...キィィーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
減速を始めた。
逆噴スラスターの音。
トヨコ様がここにいると思えない。
とてもじゃないが。
化け物の群れがそこまで押し寄せて来ている。
土煙を巻き上げ。
おぞましい。
あの大神官なら数十キロ彼方に結界を張ることが出来る。
恐れすら感じさせないはずだ。
子供達に。
過労の中で怯えきっている。
可哀想に...。
「おい!。また来るぞ!。」
クレランスが叫ぶ。
「また来ます!。緊急回避します!。総員耐衝撃用意!。」
イーシャスが振り返り告げる。
大きいらしい。
何が来るんだ。
今度は。
「お、お、オブジェクトスリー。え、エネリウム線!。か、か、か、下弦、278サス58エン64。」
「え?。スリー?。こっちは下弦、対地48サス223エン123。ダブル。」
「遅いぞレーダー!。」
「お、落ちて来る。と、と、トップ対地34サス194エン98!。」
コンパネを操舵手は見るが、アルマダイの出力バランスで余裕が無い。
彼等は今、耳から聞く座標で空間を把握してる。
「ま、間に合わない...!汗。イーシャス!。右舷パネルアップ!。」
「ブレーキングパネルアップ!。りょー!。」
「行くぞー!。イーシャス!。1番デカい奴。」
「り!。」
「いっせぇーのぉーーーっ!。」
「せぇーのぉーーーっ!。」
「デリャアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーー!。」
「オオリャアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーー!。」
操舵手2人が操舵桿に全体重をかける。
一斉に。
...バアウウゥゥゥゥゥン...
ブレーキングパネルが吹き飛んだ!。
火花が飛び散る。
目からもだ...。
「うっ。」
「ぐはぁ。」
「いぃぃ。」
「ゴフ。」
クルーの呻き声。
激しいG。
固定ベルトが骨を撓ませる。
折れてもおかしくない。
ラムダ13は壮絶な急旋回をしている。
直撃必至のエネリウム線と墜落物を緊急回避で交わしている。
良く空中分解しないものだ。
ウチの操舵手は2人とも優れてる。
本当に...。
「良し...。左旋回。良し....。ふぅ...。流石にヤバかったな?。笑」
クレランスがタオルで汗を拭く。
「はぁ....了解。確かに...。あたしJKに...ユイピィになっちゃったわ。笑」
イーシャスはチョコを剥き始める。
戦闘中なんだがな?。
「笑。うぉい!。笑」
「はい!。笑」
...パンッ...
2人がハイファイブする。
「何ですか?。 でりゃああって。笑」
イーシャスはアクセルだけで操舵してる。
残骸をかわしながら。
全く...。
凄い女だ...汗
「そっちこそ。野郎の雄叫びみたいだったぜ?。笑」
クレランスはドリンクのストローを吸う。
「ダメですか?。」
イーシャスの久しぶりの笑い顔。
人の子だ。
仕方ない...。
他に気を回す余力は無い。
割り切らないと一瞬でメンタルをやられる。
「いや。ナイス操舵だ。笑」
クレランスが親指を立てる。
「そちらこそ。笑」
イーシャスが2枚目のチョコを頬張る。
「艦長!。汗。バルバロイ。後数秒で火口包囲陣と接触します。」
だが、修羅場はこれから。
エマは汗だく。
...ギィヤアアアアアアアアァァァーーーーーーーーーー... ドドドドドドドド...ギェアァァァァァァーーーーー...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...グオオオォォォォォォーーーー..ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ゴゴゴオオオォォォーーー...ドドドドドドドド...グワァァァァァァァァァァ...ドドドドドドドド...ギェアァァァァァァーーーーー...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...グオオオォォォォォォーーーー..ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
集音器が拾う。
500m下の怪物達の雄叫び。
バルバロイが火口包囲陣に雪崩れ込む。
さぞ怖いだろう子供達は...。
代わってやりたい...。
「代わってやりてぇぜ...。あんなの...。」
ガレスが呟く。
深刻な顔だ。
アンバランスな細くて短いピンクのハチマチを巻いてる。
ガレスは身体もデカいが顔もデカい。
ハチマチは辛うじて頭にくっついてる。
娘が作ったそうだ。
ロスターも無言で頷いている。
同じく。
?
ロスターおまえ!。
ゴーグルを目にしてる?。
しかし...。
「これ?。ここぞと言う時はですよ。」
ロスターが振り向く。
私の方に...。
何で...気づいた?。
不機嫌そうだ。
しかし...。
トヨコ様がどこにいるというのか...。
一体。
...ゴゴゴオオオォォォーーー...ドドドドドドドド...グワァァァァァァァァァァ...ドドドドドドドド...ギェアァァァァァァーーーーー...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...グオオオォォォォォォーーーー..ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ゴゴゴオオオォォォーーー...ドドドドドドドド...グワァァァァァァァァァァ...ドドドドドドドド...ギェアァァァァァァーーーーー...
襲いかかる。
とうとう。
タガが外れたように。
堰を切ったように。
4000もの怪物。
「おぉい...。おい。」
ガレスが立ち上がる。
ガレスは早くも汗だくだ。
屑鉄で出来た化け物達。
ロスターはゴーグルを目にして、腕を組んでいる。
貧乏ゆすりを...。
大貧乏ゆすりだ。
モニターを全く見ていない。
何かを考えている。
...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...グオオオォォォォォォーーーー..ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ゴゴゴオオオォォォーーー...ドドドドドドドド...グワァァァァァァァァァァ...ドドドドドドドド...ギェアァァァァァァーーーーー...
火口包囲陣に群がる。
ボロ切れのような死神達が。
若き英雄達に飛びかかる。
「に、逃げろ!。汗」
ロベルトが立ち上がる。
思わず。
「何かあ...!。...」
メガネを押し上げながら私達を睨みつける。
だが、無理だ。
ロベルトは唇を噛み締めている。
拳を握りしめている。
予想を遥かに越える悲惨さ...。
『...こ...ら...ラ..ム...ダ..8(エイト)。...ラム..ダ13(サーティ)。サ...ビ..アノー....ア...が危...な..い。...聞こ...え...てい..る..か!。...サ..ビ...ア..ノー...ア..が...押..さ...れ..て...い...る!。...』
何!?。
サビアノーアが...?。
何か手を...。
「うわあぁぁぁぁ!。」
メインモニターが!。
クソどもが幼いイブラデ達にむしゃぶりつく。
一斉に。
笑ってやがる。
リタがモニターを見上げ首をふる。
ハンカチで目を押さえている。
リタが下を向き首をふる。
『......ラ....ム...ダ....13(サーティ)!。見...え..て....な...い..の....か!。サ..ビ.....アノ...ー...ア....が..も...う....限....界..だ...!。援....軍..を....!。...』
背中が激しく揺れている。
我々は戦線に入る前この子達と何年も共に過ごして来た。
初めは月に1度。
直前は毎日だ。
...わた、わた、わたくそは、リカ、り、リカム•レィティアど、どすあ、あります!。...う、うぅ...泣。上手く言えない。わーん。昨日は言えたのに!。出来たのに...泣...
助詞が言い分けられないほどの年。
顔を真っ赤にして...。
ワイナ語の助詞を幼い子は良く間違える。
助詞を間違えないのが大人だ。
たかだか6歳の子が精一杯背伸びして...。
...リカムね。笑。上手に言えたね。上手だったよ。泣かないで。笑。...
...わーん。泣...
...そうよ。上手かったよ。素敵な自己紹介だった。どうして泣くの?。...
2人して抱きしめてた。笑
リカムを。
リタも、エマも。
家庭があるのに良く頑張ってくれた。
なのに...。
...。
血に飢えた獣が歓喜に満ちてやがる。
任務って何だ?。
一体...。
何のために...。
大神官よ。
先に死にやがって。
役立たずが!。
助けてはくれないのか?。泣
ナジマよ。
あんた神だろ?。
クソッタレ!。怒
あのコールタールだらけ妖怪に取ってイブラデはただのエサ。
自分に無いエネルギーを持っている。
長年渇望した餌がそこに弱って固まっている。
盛り上がってやがる!。
卑しいクソどもが!。
...ゴゴ...ゴゴ....ゴゴゴ...ゴゴゴ...ゴゴゴ..ゴゴゴ...ゴゴ..ゴゴ...
「サビオ!。逃げろ!。」
ラウルが叫ぶ。
モニター2。
!!
青い犬神が足を踏み下ろししている。
邪魔なサビアノーアを踏み潰す気だ。
17mと207m。
体格差ほど、戦闘力に差は無い。
サビアノーアは質量を操ることが出来るらしい。
高圧炉を起動した。
...ドウーーーーーーーーーゥン...
...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
シールドを展開していく。
完全に戦闘の仕方はダルカンを超えている。
全ての関節を中心にエネルギーのサークルが出来あがる。
シカム、メロウ、ヒモン、メイファン、カルティアン...。
この小さな兵曹は、既に、シーアナンジン(千年虫/自然炉)との連携やシステムがしっかりと出来上がっている。
両ダルカンほどではないが堅牢度も高い。
既にラキティカよりも。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
エネルギーの球体がゾアーグの足を遠ざける。
...ズズズズズズズズズーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
サビアノーアが両腕で受け止めた。
鋼鉄のフィギュアが、地面を削って行く。
大地を引っ掻いて行く。
土煙を吹き上げながら。
「も、もう後が無い。汗。次は火口包囲陣を直撃する。」
ラウルの声が上ずっている。
...ソーヤ..エンヤ..エンヤ...ヨヨサノ...サッサ...
...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...グオオオォォォォォォーーーー..ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ゴゴゴオオオォォォーーー...ドドドドドドドド...グワァァァァァァァァァァ...
ビエルジャーダ(ヘビ頭)がイブラデの足を交互に舐めてやがる。
両手で握っている小さなイブラデ達を。
...ソーヤ....エンヤ..エンヤ..ヨヨサノ...サッサ...
...ゲェー...
イーシャスがもどしてる。
クレランスが操舵を変わった。
イーシャスの顔を何度も覗き込む。
...ソーーセーリャァ...チョーーサージャア...
あの子は...。
ビエルジャーダ(ヘビ頭)に捕まっているミュウミュウは、イーシャスと仲が良い。
...チョーーサージャア...ソーーセーリャァ...
2人とも夜行草で作る花輪カルティーアが大好きだ。
戦闘の合間にイブラデ達は良く遊びに来ていた。
ミュウミュウも。
カルティーアを作りに。
着陸した本艦はまるで遊園地だった。
トルカカが来ると全員マーツマンにさせられた。
私がマーツマンの父。
エマがマーツマンの母。
なぜか子供に大人気のナイジェルがマーツマンエース。
随分と弱々しいエースだ。
しかも色白でぶよぶよの。
ガレスはマーツマンタロウ。
ロスターはマーツマンブラックだ。
何だ?。
ブラックって。
家の下の息子が良く見てるから、私も知っている。
ブラックなんてマーツマンはいない。
そして...。
!?
「サーブホッパーであそこを狙えないの!。」
...
...マーツマンレディのヘザーが叫ぶ。
宇宙で一番美しい...。
別にヘザーは美人じゃない。
だが繊細なヘザーに対する子供達なりの思いやりだ。
「返って刺激するだけだ。そんな豆鉄砲がバルバロイに効くと思ってるのか?。」
この艦は、この豆鉄砲すら、命中させられない。
イブラデにしわ寄せが行く。
あぁぁ...!。
ミュウミュウ達は必死に足をバタつかせている。
ビッグブラッド(赤大鬼)が来た。
ビエルジャーダからミュウミュウを奪う気だ。
タンパーの二の舞に...。
ナイジェルがコンパネに突っ伏した。
モニター5。
一気に飲み込みやがった!。
レインシェイド(雨笠)がイブラデを。
クッソ!。
「ダメだ!。もう我慢できねぇ!。おまえ!。後は頼むぞ!。」
ガレス!。
バカ野郎!。
手にショットアンカーを持ってる。
いつの間に用意したのか。
「そんなもん!。何の役に立つんだ!。バカじゃねぇのか?。アンタ。」
ロスターの言う通りだ。
ショットアンカーなど一回しか撃てない。
そんなものバルバロイに効く訳が無い。
バカめが。
「俺が下に行く!。ハッチ開けてくれ!。5番使うぞ!。昇降機。」
何だと?。
クソったれ。
ロスターは手に粒子銃を持ってる。
豆鉄砲だ。
そんなもん。怒
「何をやってる!。一体!。貴様らは!。ここにいろ!。何だその武器は。お前らはだからダメなんだ!。いつも言ってるよな!。備えろ!。バカ者!。」
俺が行く。
残念だが。
だが、そんな豆鉄砲で出て行こうとするおまえらが.......。
....誇りだ。
流石、私の部下だ。
同じように、あの子達を愛してくれてありがとう。
良い部下を持った。
だが、お前たちでは役不足だ。
全然未達だ。
バカ者。
見ていろ。
「艦長!。デージースラッシャーなんてバルバロイに効きやしませんよ?。そんなもん腰に巻いて。俺は頑張ってるよアピールですか?。」
!?
な...。
な、何だとこの野郎!。
「ロスター!。貴様!。何だと!?。」
頭に来た!。
許さん!。
我慢ならないぞ!。
何だその態度は!。
生意気な。
それが上官に対する、上司に対する態度か!。
「貴様ぁ!。ロスターーー!。」
「やめて!。3人とも!。ジャイロ!。何なの!。だからいつまで経ってもダンに勝てないのよ!。」
エマ!。
ダンの事を!。
この、この..。
「この女ぁ!。」
「いい加減にしなさい!。」
バシィッ!。
目に火花が散る...。
リタだ。
上官の俺にビンタを食らわせやがった。
上官の俺にビンタを...。泣。
「ガレス!。ガレーース!。ロスター!。どこに行きやがる!。貴様ら!。1ミリでも動いてみやがれ!。ブチ、ブチ...ぶち殺し...泣」
くそ。
俺は。
俺たちは何やってるんだ。
「安い茶番だぜ...。」
ロスターが抱きついて来る。
ヒゲが痛い。
お前の相手をしてる暇はない。
ガレスも。
お前らは可愛くない。
このクソオヤジが!。
臭ぇ。
ちゃんと風呂入ってんのか?。
オヤジ臭が...。
俺は、イブラデ達が...。
イブラデが...。
クソ。
ケジメをつける。
私なりに。
息子達には妻がいる。
だが、あの子達には...。
俺の命に変えて助けてやる。
待ってろ。
全員だ!。
全員助けてやる!
クソ!。
クソ!。
レインシェード(雨笠)が。
掴んでいたイブラデを...。
「あぁぁ...。リ...リカム...。」
リカムだ!。
「はぁぁ...汗」
リタが目を見開く。
凄い汗だ。
ラウルがモニターに手を伸ばす。
目から滝のように涙が流れてる。
歯がないのがせめてもの救い。
まるでエビの踊り食いじゃないか...。
レインシェード(雨笠)の口からイブラデの腕が出ている。
...チャン...チャララ..チャン...チャララ...チャンチャ...チャンチャ..チャチャチャチャ...
ビッグブラッド(赤大鬼)が小さなイブラデ達を両手、指の間に挟んでやがる!。
イブラデ達が必死に逃れようともがいてる。
まるで鮎の掴み取り。
それと同じ。
...チャン...チャララ..チャン...チャララ...チャンチャ...チャンチャ..チャチャチャチャ...
奴らに取って悪い事じゃない。
クロコク(ワニ頭)が自分と同じ大きさのイブラデを捕まえた。
エイリック(イブラデ)だ!。
体長はどっちも20m程度。
エイリック(イブラデ)は憔悴仕切っていて動けない。
クロコクがイブラデの甲殻を剥ぐ。
体液が噴き出している。
剥いてから食う気だ。
何てことだ。
ここは地獄だ。




