ダヌアの空に96
『...バ.ル..バ...ロ.イ!。数..25..0.0..0!。地..上.に...出ま..す。...』
ルー(存)に炙り出され一斉に出てくる。
陣は回転を止めた。
オパは動かない。
陣は動かない。
『...ガレ..ス!。ロス...ター!。来.る...わ..よ!。スタン...バイ!。バル..バロ...イ。火口..包..囲...陣へ!。距離..30..0。速...度.130...km/h...』
...ドーーーーーーン...ドーーーン...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...グオオオォォォォォォーーーー..ズドーーーーーーーーーン...ゴゴゴオオオォォォーーー...ドーーーーーーン...グワァァァァァァァァァァ...ドーーーーーーン...ドーーーン...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...グオオオォォォォォォーーーー..ズドーーーーーーーーーン...ゴゴゴオオオォォォーーー...ドーーーーーーン...グワァァァァァァァァァァ...ドーーーーーーン...ドーーーン...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...
地中から次々と飛び出してくる。
化け物達。
民家を軽く踏み潰す大きさ。
蜘蛛の体に鬼の頭がついているもの。
人の身体にナメクジの頭がついているもの。
人の頭部に無数の手脚がついているもの。
ウニに形が似ている。
どれも赤く光る無数の目を持っている。
どれも全身にこの星 最凶の毒、ネスクを纏っている。
黒く汚い鉄屑達。
超越した私から見れば滑稽でしかない。
奇天烈な生き物のオンパレード。
2万4367体ものおかしな創造物。
想像主の創作の賜物。
笑うしかない。
オパは微動だにしない。
陣も止まっている。
薄い白い光を纏って。
眩い緑光の渦から一転して。
『...何故..動.か..ない!?。...』
『...分か...ら..ん。汗...』
『...大...丈..夫な.の?。汗...』
『...信...じて..待...ち..ま...し.ょ..う。...』
見下ろす地上。
灰色のカメムシが呟いている。
ゾーグに影を落としながら。
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
巻き上がる土煙。
.....グオ..オ.オォ...ォ..ォ.ォ....ォ..ォー...ーー.ー..ズ...ドー...ーー.ーー...ーー..ー.ー...ン...ゴ...ゴ.ゴ...オ..オ...オォ..ォォーーー...ドーー...ーー.ーーン...グワ...ァァァ..ァァ.ァァァ....ァ..ァ...ドーーーーーーン...ドーー..ーン...ギ...エ..エ.エェェ....アア..アアァ..ァ...ァァ..ァ..ァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...グ..オ.オオ...ォォ...ォ..ォォ..ォー...ーー..ー...ズ..ド...ーーーーーーーーーン...ゴ...ゴ..ゴオ..オ...オ..ォ...ォ.ォーーー...ド...ーーーーーーン...グ..ワ...ァァ..ァァ...ァァ..ァァ.ァァ...
化け物達が一気に魔法陣に襲いかかる。
蟻の大群が蜂の巣を取り囲むように。
『...か、囲ま..れ.た!。汗。囲...まれ..た.わ!。...』
『...動く...ぞ!。お..い!。オ...パ..が.動..く!。...』
...バーーースターーーーーーーーーーーーー...
《...古代ワイナ語:破破壊...》
オパが雄叫びが轟く。
王笏を振り下ろす。
...ドーーーーーーーーーーーーーン...
砂煙が噴き上がる。
イブラデ達の声が呼応する。
...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...ハッ!...
...ズババババババババババババババババババババババ...
閃光が地を這う。
『...あ...あ..。...』
『...ぁぁ...。...』
...バシュウゥゥッ...
...バシュウゥゥッ...バシュウゥゥッ...
...バシュウゥゥッ...
...バシュウゥゥッ...バシュウゥゥッ...バシュウゥゥッ...
オパを中心に6本の閃光が。
...バババババババババババババババ...
焼けるように真っ赤な光。
『...おぉ...ぉ。...』
目が眩むほどの。
空が白むほどの。
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
土を噴き上げながら進んでいく。
最外郭の、陣の頂点目掛けて。
地面を切り裂くように。
そして軽やかに。
初夏の風のように。
その凄まじさとは裏腹に。
直撃するはずのイブラデ達を透過して行く。
全てのイブラデが半透明に。
...ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
『...うぉ...ぉ....』
『...凄ぇ...汗。』
亜光速の導火線が走る。
...
...
..ッ...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
『...うわあ..ああ..ぁぁ.ぁ!。...』
『...う...を..ぉぉ!...』
『...うわ...ぁぁ..ぁぁ!。...』
激しく大地が揺れる。
最外角、第1層の各頂点から光の槍が飛び出る。
真っ赤な、焼けるような眩い光。
陣は地上の太陽になった。
太い光の柱。
直径数十メートルの光の刃。
彼方まで。
『...す、凄い...。』
バルバロイを粉々に粉砕して行く。
宙を舞う鋼鉄の内蔵。
目玉。
千切れた二本に繋がった首。
引きちぎられる肘で繋がった3本の脚。
裂けて体液を噴き出す口。
射線にいる全てを灰にして行く。
『...な...。...』
...バーースターーーーーーーーーーー...
オパが再び王笏を地面に振り下ろす。
...ドーーーーーーン...
砕けた岩が竜巻と共に噴き上がる。
...ブゥワウァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ...
第6層を中心に。
...グワァァァァーーーーーーッッ...
強烈な光。
『...うわっ。...』
『...め、め、目が。...』
...
..ッ...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
光の槍が...。
第2層の頂点からも。
第1層より細く短い。
彼方までは届いていない。
だが、バルバロイ一体を縦に飲み込む直径。
間近にいる化け物。
両胸に埋め込まれた頭。
胸を中心に生える無数の腕。
日輪のような。
蒸発して行く。
...
..ッ...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
『...う..お...ぉ..ぉ。...』
第3層の頂点から光の槍。
更に短く細い。
その分鋭い。
バルバロイを吹き飛ばして行く。
宙を舞う数十メートルのワニ頭。
ムカデの身体を持った人間。
ウィンテルンのように。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...
第4層...
『...うわ...。す...すげぇ...。...』
..ッッ...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
容易くバルバロイの胴体を串刺しにして行く。
象の頭を持ったもの。
ヤゴの頭を持ったもの。
巨大な身体が串刺しにされる。
...
.....
..
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
第5層。
細い光の槍。
切り刻む。
陣を囲うバルバロイの頭を腕を足を。
バラバラに。
粉々に。
....
...
..
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
第6層。
最後はオパを中心に12本の光の槍。
距離は大一層の外郭の外数十メートルに届く程度。
バルバロイの首が切り落とされて行く。
赤い光の結晶のように。
...ドーーーーーーン...ドーーーーーーン...
王笏を2回振り下ろし、オパが叫ぶ。
...ギューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール...
《...古代ワイナ語:回(歯車)...》
...ドンドッドドッ...ドンドッドドッド...ドンドッドドッド...ドゴドゴドゴ...
...ドンドッドドッ...ドンドッドドッド...ドンドッドドッド...ドゴドゴドゴ...
...ドンドッドドッ...ドンドッドドッド...ドンドッドドッド...ドゴドゴドゴ...
...ドンドッドドッ...ドンドッドドッド...ドンドッドドッド...ドゴドゴドゴ...
...ドンドッドドッ...ドンドッドドッド...ドンドッドドッド...ドゴドゴドゴ...
...ドンドッドドッ...ドンドッドドッド...ドンドッドドッド...ドゴドゴドゴ...
大地が沸騰する。
バラ (小太鼓)とワイブー(バイバルスの大太鼓)の刻む規則正しいリズムに合わせて。
脈打つ鼓動のように。
...ブゥゥゥワアアアアアアアアァァァーーーーーーーーーーーー...
竜巻が立ち上がる。
オパを中心に。
『...見..ろ!。...』
『...何?!。あ...れ...』
『...ひ..っ!。見..て。...』
『...回...る..ぞ。...』
『...お..ぉ.ぉ。...』
火口包囲陣が始動した。
ゆっくりと回転を始める。
一つの巨大な生命体となって。
...ドン...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ... ...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ...ドッ...
30のエネルギーの槍が回転し始める。
バイバルスの大太鼓に合わせて。
各層の動きに呼応して。
イブラデ達の動きと一致して。
様々な方向に。
様々な速度で。
...ハッ...ハッ...ハッ...ハッハッハッハッ...
...ハッ...ハッ...ハッ...ハッハッハッハッ...
...ハッ...ハッ...ハッ...ハッハッハッハッ...
...ハッ...ハッ...ハッ...ハッハッハッハッ...
イブラデが声を上げる。
...パァーーーーーーーーーーーーーーーー...
...パァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
パワーシードが泣き叫ぶ。
バルバロイは呆然としてる。
予想に反したその動きに。
光の巨大ギロチンの。
容赦無く切り刻み始める。
木っ端微塵に。
バルバロイの身体を。
一網打尽に。
...ギィヤアアアアアアアアァァァーーーーーーーーーー... ドドドドドドドド...ギェアァァァァァァーーーーー...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー.. ...ドドドドドドドド...ボゴォ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドゴッ...ゴゴゴゴ...バリバリバリバリバリバリ..バシュウゥゥンン...ドドドドドドドドドドドドドドドド...バシィッ...バスーーーーーン...グオオオォォォォォォーーーー..ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ゴゴゴオオオォォォーーー...ドドドドドドドド...グワァァァァァァァァァァ...
断末魔と身体の引きちぎれる音が入り混じる。
上空まで伝わって来る。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
オパが王笏を振り下ろす。
...ギューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーレーーーイーーーーーー
《...古代ワイナ語:大回転(風車)...》
強く叫ぶ。
最後にもう一度。
...サンディーーーーーーィィーーーーーーーーーーバフゥーア...イルーーーサ...ナ.ーー..ナァァーリーーーー...ニーーーールーーカンテァーーーーーーーーーーーー...
カルバより高く澄んだ咆哮。
鋭い声。
『...トル...カ.カが...歌い..始...めた..ぞ...』
...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ...ウォッ
イブラデが声を上げる。
トルカカの歌声に呼応して。
一斉に。
『...か、か...火.口..包囲..陣が..動..き始...めた!...』
『...う...動..くの..か!?汗。あ...れ!...』
陣が移動を始める。
螺旋を描く。
回転しながら。
破壊のスピログラフが描く、エネルギーの魔法陣。
ゾーグの広大なキャンパスの上に。
バルバロイの群れが一斉に引いて行く。
黒い波のように。
...ドドドドドドドド...ギェアァァァァァァーーーーー...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...グオオオォォォォォォーーーー..ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ゴゴゴオオオォォォーーー...ドドドドドドドド...
仲間を踏みつぶし、押し倒して、自分だけ、我先へと逃げて行く。
...ギィェェェェーーーー...ゴアァァァァァァーーーー...ギェェェェェーーーー...ギャァァァァァァァーーーー...
死の恐怖、無の絶望を知っている。
人間でも、獣でも、妖怪でもないおぞましい者でさえ。
...ドドドドドドドド...ボゴォ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドゴッ...ゴゴゴゴ...バリバリバリバリバリバリ..バシュウゥゥンン...ドドドドドドドドドドドドドドドド...バシィッ...ゴゴゴゴ...ボォンン...ドドドドドドドド...ゴゴン...ドドドドドドドド...ボゴォォ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドゴォゥ...ゴゴゴゴ...バゴッ...
破壊のウインドミルが粉々に粉砕して行く。
鋼鉄の妖怪を。
破片を弾き飛ばして行く。
残骸は絶対に陣の中には落ちない。
必ず敵の群れに落下する。
無限の敵を残骸で破壊して行く。
狙いすまされた爆撃のように。
そのように作られている。
それが英神ペルセソスが編み出した完全無欠の兵法。
そのように計算されている。
火口包囲陣。
魔神獣の巣窟、ギアニソス大火山を包囲し、無限の魔神獣を封じた魔法陣。
魔神王アルゴとバランすら封じ込めた攻撃の陣。
...ドドドドドドドド...ボゴォ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドゴッ...ゴゴゴゴ...バリバリバリバリバリバリ..バシュウゥゥンン...ドドドドドドドドドドドドドドドド...バシィッ...ゴゴゴゴ...バリバリバリバリバリバリ...ボォンン...ドドドドドドドド...ゴゴン...ドドドドドドドド...ボゴォォ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドゴォゥ...ゴゴゴゴ...バゴッ...
シエルが、ガレスが、ロスターが。
仲間を護り抜くために必死で模倣した、アトラの策。
バルバロイはパニックに陥っている。
完全に。
...ドドドドドドドド...ボゴォ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドゴッ...ゴゴゴゴ...バリバリバリバリバリバリ..バシュウゥゥンン...ドドドドドドドドドドドドドドドド...バシィッ...ゴゴゴゴ...バリバリバリバリバリバリ...ボォンン...ドドドドドドドド...ゴゴン...ドドドドドドドド...ボゴォォ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドゴォゥ...ゴゴゴゴ...バゴッ...
地上で行われる凄惨な殺戮。
バルバロイはなす術がない。
ただ粉々に粉砕に粉砕を重ねて行く。
陣は吸い寄せられる。
逃げるバルバロイの空けた隙間に。
まるで真空に引き寄せられるように。
...ドドドドドドドド...ボゴォ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドゴッ...ゴゴゴゴ...バリバリバリバリバリバリ..バシュウゥゥンン...ドドドドドドドドドドドドドドドド...バシィッ...ゴゴゴゴ...バリバリバリバリバリバリ...ボォンン...ドドドドドドドド...ゴゴン...ドドドドドドドド...ボゴォォ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドゴォゥ...ゴゴゴゴ...バゴッ...
突如現れたエネルギーの粉砕機。
...ギィェェェェーーーー...ゴアァァァァァァーーーー...ギェェェェェーーーー...ギャァァァァァァァーーーー...
無数の断片を積み上げる。
...ドドドドドドドド...ボゴォ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドゴッ...ゴゴゴゴ...バリバリバリバリバリバリ..バシュウゥゥンン...ドドドドドドドドドドドドドドドド...バシィッ...ゴゴゴゴ...バリバリバリバリバリバリ...ボォンン...ドドドドドドドド...ゴゴン...ドドドドドドドド...ボゴォォ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドゴォゥ...ゴゴゴゴ...バゴッ...
山を作り上げて行く。
哀れな生き物の死体と破片の山を。
直径10キロのチェーンソーがバルバロイを弾き飛ばさし、切り刻む。
...ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ...
『......ほ、包囲..陣、包..囲..陣...停止!。...』
『...て、停...止?...』
...ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ...
陣が停止する。
ゆっくりと速度も、光度も落としながら。
再び、薄い白い光に。
唸るような音を残しながらを
『...エネル..ギー規...模。依..然...とし.て...16..億..カルー...デラ。...』
...
停止した。
『...完全...に..止まっ...た。...』
....
...ブゥワァァァァァァーーーーーー...
風だけが吹き荒れる。
...
バルバロイも止まった。
...
...
ゾーグに静寂が訪れる。
..
束の間の。
...
.....
....ギィィヤアァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ...
1匹が咆哮をあげる。
彼方で反響する。
...ギィヤアアアアアアアアァァァーーーーーーーーーー... ドドドドドドドド...ギェアァァァァァァーーーーー...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...グオオオォォォォォォーーーー..ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ゴゴゴオオオォォォーーー...ドドドドドドドド...グワァァァァァァァァァァ...ドドドドドドドド...ギェアァァァァァァーーーーー...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...グオオオォォォォォォーーーー..ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ゴゴゴオオオォォォーーー...ドドドドドドドド...グワァァァァァァァァァァ...ドドドドドドドド...ギェアァァァァァァーーーーー...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...グオオオォォォォォォーーーー..ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ゴゴゴオオオォォォーーー...ドドドドドドドド...グワァァァァァァァァァァ...ドドドドドドドド...ギェアァァァァァァーーーーー...ギエエエェェアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーー..バスーーーーーン...グオオオォォォォォォーーーー..ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ゴゴゴオオオォォォーーー...ドドドドドドドド...グワァァァァァァァァァァ...
バルバロイが雪崩来る。
陣目掛けて。
逆上して。
凄まじい速度で。
尸を乗り越えて来る。
『...囲ま...れた..わ。汗...』
陣は無数の尸に囲まれ身動きが取れない。
『...動け...なけれ..ば.枯渇....する.ア...ル..マダイ.が....。』
オパが叫ぶ。
...ギィーーーーーーズーーーーーガーーーーーーーーーーーーーーーーーーール...
《...古代ワイナ語:砦...》
...ドーーーン...ドーーーン...
オパが王笏を右左の地面へ振り下ろす。
最後に振り下ろす王笏。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
同時に飛び出す。
巨大な光の刃。
陣の周りに沿って。
焼けるように赤く輝く光の刃。
数十メートルのエネルギーの刃。
何よりも鋭く、何よりも鋭利、何よりも先鋭。
バルバロイを最大に引きつけた直後。
飛び出した1000の刃物。
上空、空高くまで噴き上がる体液。
まるで鉄砲水のように。
ネスクの毒。
空を紫に染める。
飛び散る無数の頭、腕、胴体、脚。
バルバロイの群から伝わる途轍も無く大きな衝撃。
途方も無く、深いダメージ。
バルバロイと言う種族全ての遺伝子の奥底まで、未来永劫に刻み込まれる恐怖。
底知れず限りない。
オパが叫ぶ。
...ギィーーーーーーズーーーーーガーーーーーーーーーーーーーーーーーーール...
...ドーーーン...ド...ドーーーーーーーーー...
オパが王笏渾身の力を込めて大地に突き刺す。
黄金の王笏を。
もう一度雄叫びを上げる。
両手を上げ空を見上げながら。
...ギィーーーーーーズーーーーーガーーーーーーーーーーーーーーーーーーール...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
...ギィーーズーーガーーール...
イブラデが一斉に声を上げる。
...バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ...
光の刃が回転を始める。
爆速で。
プラズマが吹き荒れる。
....ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
亜高速で。
切り刻まれふバルバロイの鋼鉄の身体が、火花を吹き上げる。
バルバロイを強力な磁石のように、真空のように引き摺り込んで行く。
引き寄せ粉々に擦り下ろして行く。
....ギィィ...グウェ...ゴアッ..ギャ...グワッ...ゴゴ...ガガ...ギュ...ゴガ.....ギャ...ゴガ....ギィィ...グウェ...ゴアッ..ギャ...グワッ...ゴゴ...ガガ...ギュ...ゴガ.....ギャ...ゴガ....ギィィ...グウェ...ゴアッ..ギャ...グワッ...ゴゴ...ガガ...ギュ...ゴガ.....ギャ...ゴガ....ギィィ...グウェ...ゴアッ..ギャ...グワッ...ゴゴ...ガガ...ギュ...ゴガ.....ギャ...ゴガ....ギィィ...グウェ...ゴアッ..ギャ...グワッ...ゴゴ...ガガ...ギュ...ゴガ.....ギャ...ゴガ...
滑稽な生き物の命乞い。
断末魔にすらならない。
バルバロイ種族は初めて恐怖を知った。
無数の残骸はトルネードのように空高く巻き上がる。
オパは雄叫びを上げる。
容赦無く。
そう。
これは戦争なのだ。
種族をかけた。
...ギィーーーーーーズーーーーーガーーーーーーーーーーーーーーーーーーール...
再び。
両手を上げ空を見上げながら。
...ドーーーーーーーーーン...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
光の刃が反り上がる。
空高く。
光の深いすり鉢のように。
巨大な人食い花のように。
逃げ惑うバルバロイを吸着する。
強烈な引力で破壊のすり鉢に引き摺り込む。
愚かな人間どもは声すら出ない。
火口包囲陣のあまりの凄まじさに。
ただ葦の様に立ち尽くし、口を開けるばかり。
呆然とこの光景を眺めている。
『...お、お...い...エ...エマ...。...』
『....え...エマ。...』
『...え?.。...』
『...ば、バルバロイ。バルバロイの数。...』
『....あ....えぇ...か...数..ひぃっ。...』
『...あ...ぁ..?。...』
『...か、数..は..は..8000..へ、減っ...て..るわ..7800...7400....』
....ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
火口包囲陣が止まる。
...ドドドドドドドドドドドド...
...ドドドドドドドド...
バルバロイは恐怖のあまり逃げることが出来ない。
もはや。
...ドドドド...
...ドドド...
...ドド...
...ド...
火口包囲陣は完全に停止した。
再び薄く白い光に光度を落として。
...ズズズズズズズズズズ...
なおもバルバロイを引き寄せる。
強烈な磁力で。
バルバロイは思考を奪われてしまった。
恐怖のあまり。
バルバロイが祈る。
下等な生き物が。
バルバロイ種族は初めて救いを求めた。
滅亡を目前に。
己の神に。
誕生以来初めて。
しかし...。
しかし、イブラデの長は非情だ。
許しはしない。
オパが王笏を地面に打ちつける
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ブゥワウアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーー...
竜巻が噴き上がる。
...ババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ...
陣が燦然と光を纏う。
焼けるように強い緑の光。
...ルーーーーーーゥーーーーーーーウーーーーー...
《... 古代ワイナ語 : ルー(砦)。...》
《...古代ハクア語 : ローレライ...》
...
..
.....
...ツッ....
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
光の魔法陣の上にキノコ雲が立ち上がる。
最大規模の爆発。
空に無限の残骸が噴き上がる。
醜く野蛮な種は、今、世界から消えようとしている。
初めて芽生えた神への祈りも虚しく。




