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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
232/364

ダヌアの空に68


...ダン..ドン...ダンッ


『...何だ?。この振動は...』


...ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ...


《...じ、地面が揺れてる...》


【...い、いかん...。逃げろ...に、逃げろ...。逃げろ!。逃げろ!。逃げろっ!。逃げろおぉぉ!...】


『...!?。どうしたピート?。か、艦長。ペネループのピートが。...』


...ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ...


《...何を逃げる?。誰が?。誰に言って...》


『...ピート大丈夫か?。...』


『...お、おい!。だ、ダメだ!。ダメだ!。ダメだ!。大変だ!。おい!。逃げろ!。おい!。指示を!。かせっ!。あ、い、い、イブラデ隊!。逃げろ!。何処へでも良い!。逃げろ!。...』


《...どうしたんだ...一体...ジャイロさんまで...》


...バッスゥゥゥッ...ボボボボ...ボゴッ...ドゴ...ボゴ...ブゥワァァァァーーーーーーーーーー...ボッ...ゴゴゴゴ...


地面から土煙が噴き上がる。


ゆっくりと巨大な何かが...。


土を、地面を突き破って立ち上がる。


まるで蘇った死体のように。


ビルほどもあるゾンビが...。


鋼鉄の化け物が...。


《...ヒッ.....汗。バ...バ.....バルバロイ......》


...バァァァァァァ...ボゴッ...ドゴッ...ボゴッ...ボボボボボボボボ...バッスゥゥゥ...ブゥワァァァァーーーーーーーーーー...ドゴッ...ボゴッ.....バッスゥゥゥッ...ボボボボ...ボゴッ...ドゴ...ボゴ...ブゥワァァァァーーーーーーーーーー...ボッ...ゴゴゴゴ...バァァァァァァ...ボゴッ...ドゴッ...ボゴッ...ボボボボボボボボ...バッスゥゥゥ...ブゥワァァァァーーーーーーーーーー...ドゴッ...ボゴッ.....バッスゥゥゥッ...ボボボボ...ボゴッ...ドゴ...ボゴ...ブゥワァァァァーーーーーーーーーー...ボッ...ゴゴゴゴ...バァァァァァァ...ボゴッ...ドゴッ...ボゴッ...ボボボボボボボボ...バッスゥゥゥ...ブゥワァァァァーーーーーーーーーー...ドゴッ...ボゴッ...


次々と...。


無数に立ち上がる。


『...な、なぜだ...』


【...生体反応...ば、ば、ば、バルバロイ...か、か、数、に、に、に、にに...】


【...落ち着け!。ピート!。...】


『...見ろ!。コンパネを!。汗...』


『...な...何!?。に、2万2000!...』


『...ば、ばかな....。』


【...逃げろ!。逃げろ!。逃げろぉぉぉ!。...】


『...い、一体いつの間に土に潜った...』


...バァァァァァァ...ボゴッ...ドゴッ...ボゴッ...ボボボボボボボボ...バッスゥゥゥ...ブゥワァァァァーーーーーーーーーー...ドゴッ...ボゴッ.....バッスゥゥゥッ...ボボボボ...ボゴッ...ドゴ...ボゴ...ブゥワァァァァーーーーーーーーーー...ボッ...ゴゴゴゴ...バァァァァァァ...ボゴッ...ドゴッ...ボゴッ...ボボボボボボボボ...バッスゥゥゥ...ブゥワァァァァーーーーーーーーーー...ドゴッ...ボゴッ.....バッスゥゥゥッ...ボボボボ...ボゴッ...ドゴ...ボゴ...ブゥワァァァァーーーーーーーーーー...ボッ...ゴゴゴゴ...バァァァァァァ...ボゴッ...ドゴッ...ボゴッ...ボボボボボボボボ...バッスゥゥゥ...ブゥワァァァァーーーーーーーーーー...ドゴッ...ボゴッ...


無尽蔵に出てくる...。


地下の空洞は元々あった。


『...逃げろぉぉーー!。逃げろぉぉーー!...』


比較的新しいものだ...。


恐らくこのために...。


『...キャアァァァァーーーーーーーーー!。に、逃げて!。は、は、早く逃げて!...』


『...逃げろぉ!。逃げろー。坊や達!。...』


【...イブラデ隊。全速離脱せよ!。イブラデ隊。全速離脱せよ!。...】


『...シムゴード隊!。シムゴード!。ティゲル!。スティングレイ!。援護を!。援護してくれ!。援護してやってくれ!。...』


『...エネルギー残量、一斉掃射分のみ。どうしますか?。...』


『...ジャミー隊!。ジャミー隊は!。おい!。リリアーノ!。...』


『...ジャミー隊は、ボルボーレと決戦中!。ササーンの援護に回っています!。お、押されています!。...』


無数のバルバロイがイブラデ達を追って行く。


真っ黒な雲が銀色の水たまりを覆って行く。


まるでシャチの大群に追われるアザラシ達。


暴漢に追われる子供のようだ。


イブラデ達が包囲されて行く。


銀色の子供達が、黒い化け物の大群に。


まるでイワシの群れを肉食魚が追うように。


水牛に似たバルバロイが槍で突き刺す。


黒い鉄の筋だらけの顔。


3つの目。


人間のような目。


商業ビルほどのデカさ。


血走っている。


恐ろしい形相。


そのままイブラデを釣り上げる。


男のイブラデ。


信号機より大きい。


しかしバルバロイからすれば赤子も同然。


足を手をばたつかせている。


イブラデは逃れようと必死だ。


槍が腹を貫通している。


爪の長く太い3本の指の手。


イブラデを逆さまに脚から持ち替えた。


...バリバリボリバリブリブリボカィボキィィーーーー...


真っ二つに引き裂いた。


イブラデの甲殻は引き裂かれ骨と内臓が剥き出しに。


バルバロイは脚を止めた。


黄色い牙でイブラデにかぶりつく。


...ブシャァアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


イブラデの体液が噴き出して行く。


...ババッ...


別のバルバロイが両手で二体のイブラデを捕まえた。


ガイコツのようや頭。


...バリバリバリバリーーーーーーーーーーー...


...ボギィ...バキバキ...バリバリ...


頭からかぶりついてやがる。


交互に。


走りながら。


痙攣していたイブラデは動きが止まった。


片方を投げ捨てた。


食べかけで...。


『...お、おい!。誰でもいい!。反撃を!。反撃!。援護してやってくれ!。おい!。...』


『...か、艦長...。全ての機材がアルマダイ切れでダウンしています。...』


『...だ、ダメです。攻撃は愚か動くことすら。どの機材も...。...』


『...ペネループ 通信出来ません!。ぺ、ペネループ...』


『...指を咥えて見ている気か!。何とかしろ!。何とか!。ただの子供だぞ!。あいつらは!。夢も希望もある!。どの子も恵まれた子じゃない!。やっと、やっとここまで這い上がって来たんだ!。ゆ、指一本触れさせるか!。構わん!。粒子結合だ!。全アギュラーラムダに告ぐ!。...』


『...か、か、艦長にそんな権限は...。...』


『...連絡不能なら俺が責任者だ!。粒子結合だ!。粒子結合用意!。...』


『...リスクが高過ぎます!。まだ、保全確認が!。...』


『...良く考えて!。ジャイロ!。ぐ、軍法会議ものですよ!。射殺されます!。...』


『....他にどうしろと!。保全確認が何だ!。子供が身体張ってる!。命かけてるんだ!。やれ!。やれ!。絶対成功させろ!。絶対だ!。全機だ!。やれ!。さっさとやれ!。やりやがれ!。全アギュラーラムダに告ぐ!。...』


完全に狂ってる...。笑。


リーダーらしき人間。


!?


走り出した...。


小さなイブラデが...。


加速する。


土煙を上げて...。


あぁ...。


な、何を?。


ぁぁぁ...。


あれは?...確か...。


『...きゃあああぁぁぁ!。ダメよ!。トルカカ!。と、と、トルカカが!。トルカカが!。トルカカがバルバロイに!。バルバロイの大群に向かってます!。と、と、突撃します。1人で!。た、た、たった1人で!。ダメ!。ダメ!。ダメよ!。誰か!。だ、だ、誰か!。トルカカを助けて!。誰か!。トルカカ!。トルカカァァァァーーーーーーーーーー!。...』


『...ば、バッカ!。ト、トルカカ!。トルカカが逆走してる!。ダメだ!。ダメだ!。トルカカ戻れ!。戻れ!。戻れ!。...』


と、トルカカ....。


小さなイブラデ。


折角、逃げたのに。


《...戻らない。みんなを逃すんだ。...》


食べられてしまうよ...。


あんな小さなイブラデ。


『...命令だ!。トルカカ!。戻れ!。戻れ!。さもないと...』


《...嫌だ!。戻らないよ!。みんなを助けるんだ!。絶対に!。絶対に!。僕がみんなを助けるんだ!。...》


ぁぁぁ...。


バカな子だ...。


みすみす...。


『...無理だ!。バカ!。トルカカ!。戻れ!。おまえに!。ちっぽけなおまえに何が出来る!。ダメだ!。戻れ!。戻れ!。殺される!。食われる!。殺されるだけだ!。トルカカ!。トルカカ!。トルカカ!。トルカカァァァァ!。...』


そうだ。


バカな子だ。


おまえに何が出来る。


!?


《...俺が行きます!。援護に!。トルは言い出したら聞かないんで。笑。...》


わざわざ自分から?...。


『...何!?。.....ひっ...サビアノーア?!。やめろ!。殺される!。ダメだ!。犬死にするだけだ!。逃げろ!。ダメだ!...』



別の方角から...。


...ドド...ド...ドドドド..ドド...ドドドド...


凄いスピード。


トルカカに比べれば大分大きいが...。


《...トル!。合流だ!。俺について来い!。...》


!!


はっ!。


こ、この声!。


痛い...。


《...さ、サビオ兄ちゃん...。。泣。...うん...。うん!。ありがと!。ついてくよ!。兄ちゃんに!。ついて行く!。...》


..さ、サビオ!?..ちゃん....。


苦しい...。


...だ、誰だっけ?汗...


助けてやりたい。



大きなイブラデが立ち止まっている。


バルバロイ達の真ん中で。


イブラデの中では図抜けて大きい者達...。


こいつらは強そうだ。


バルバロイが寄って来ない。


バルバロイより大きい者が4体。


50m近い者も何体か...。


皆光を纏い始めている。


ラキティカに近い者ばかり。


《...あいつら...。オパ。逃げてくれ。後を頼む。みんなを...。...》


《...いえ。シエル。託す相手を間違えてます。私は残ります。みんなを逃しましょう。共に。笑...》


シエルと呼ばれているイブラデ。


恐らくあれがリーダーだ。


大きい。


メロウの黄色い光を纏っている。


もはやラキティカと言っても良い。


恐らくあいつが一番強い。


《...ダメだ。おまえは残って...》


《...無理です。いくらあなたでも。シエル。たった1人で何が出来るのです?。希望はマセナやタンパー達に託しましょう。きっと私達の仇を取ってくれます。...》


あの女の兵曹オパは小さい。


リーダーの半分の大きさ。


が青の光は強い。


あれも強い。


あれもほぼラキティカだ。


そして...あれは確か...。


征天大剛の娘。


セティの征天大剛バラドの...。


良く似ている...。


なぜ?。


なぜ私は知っている?。


《...オパ......。やはりイブラデのリーダーはオパ。おまえが引き受けるべきだった。おまえは人の上に立つに相応しい。例え父が誰であっても。...》


《...シエル。私もあなたと同じことをするつもりでしたよ。みんなを護るために。胸を張って下さい。シエル。笑...》


《...すまない...。...》


《...勝手なこと言わないで。たった4人で何が出来るの?。私も行く。本気で皆んなを逃がしたいなら。...》


《...マセナ。ダメだ。父さんに。帰ってお父さんに伝えるんだろう?。...》


《...パパが元気になったのかも分からない...。でも、もし、このまま逃げたら。皆んなを見捨てたら。パパはがっかりする。身体は不自由でもパパはいつも誰かの為に生きてた。誇りを持って。だから私もそうする。パパを誇りに思ってること。ここで証明する。ここで勝ち抜いて。...》


《...マセナ待て!。おまえの父さんは...》


《...俺も行くぜ。...》


大きなイブラデ達が中心をめがけて歩き始めた。


バルバロイの大群の。


《...タンパー?。おまえまで...。母さんと弟は?。だから避けてたんだろ?。...》


《...チッ。笑。さっき踏み潰された奴。あいつにも病気の母さんがいる。あいつも金のためにここに。...》


《...ねぇ。私を差し置いて失礼じゃ無い?。あなた達ごときが。...》


メイファンの女兵曹...。


50m近い。


《...ブ、ブリュイエール...》


あの訛り...。


イリーナの王族独特の...。


《...ラキティカに近い私達で何とかするしか無いでしょう?。私に相談しないで決めるなんて。...》


《...それじゃあなたも?。...》


《...当たり前よ。オパ。あなたが闘うのに私が逃げる訳ないじゃない。私を誰だと思ってるの?。...》


《...じゃ僕も行こうかなぁー。...》


《...遊びじゃないの。カルファ。あんた分かってる?。...》


《...分かってるよぉー。僕もポストラキティカだよ。ポストの皆んなでやろ?。また。...》


《...じゃ決まりってことで。...》


《...ディーチー。おまえまで。...》


《...こん中で一番デカくて強いのは俺だからな?。俺はタント待望のハイドゥクになる男。だから、皆んな俺に従って貰うぜ。...》


《...ねぇ!。あれを見て!。ねぇ!...》


《...何だ。でかい声出して。そっちじゃねぇ。俺らの敵は。...》


《...キリークが!。キリークが!。...》


《...そいつは溶けてもう死んで.........な....何だ!?。...》


《...どうしたディーチー?。...》


《...あ、あれを...何か出てくるぜ...汗...》


【...気をつけろ!。キリークが動き出した!。...】


《...キリークが!?...》


『...キリークが!?。全滅したはずじゃ!?。...』


《...何だあの黒いの...》


『...レーダーを、レーダーを見て!。動いているわ。一斉に動き出した...』


『...一対の黒と白の個体が!...』


『...え?。何だって?。...』


【...消えたぞ!。き、消えた!...】


【...ジャミナキラをペネループ前面に。全ジャミナキラを!。...】


【...こちらルイス。カルバオレオと私でペネループを死守する。キリーク復活なら防御翼に来る。カルバオレは後方。私は前面を護る。ピーカー接続を開始する。ペネループ。アルマダイの照射を!。...】


【...ペネループ ヘイゲン。ゴーン中佐から炉心融合方式の許可を得た。受光板の座標を教えろ!。...】


【...レオパード2号 カルバオレオ。受光板3番。本艦メッサーが貴艦照射口との同期に成功。直ちに照射を頼む。...】


【...照射開始10秒後だ。ペネループの炉を点火する!。...】


『...み、見ろ!。何だあれは!。...』


溶けた水銀の湖から何かが起き上がる。


ドロドロに溶けた金属の塊の中から。


溶けた大蜘蛛の塊の中から。


真っ白な蜘蛛...キリークだ。


まだ何かいる。


黒い個体が...。


『...オシロレータを見てください。せ、せ、戦闘力が69倍に...』


『...い、い、一体がダルカン級...』


『...キリークだ!。...』


『...瞬間移動するかもしれない!。キリークなら。...』


『...ジャミナキラを出せ!。ジャミナキラを!。...』


『...ジャミナキラ動きません。あぁ!。も、も、モニターを。...』


『...ジャミナキラは?。どこだ...。』


『...あれです!。あの茶色い...。小さな...。...』


緑色の食虫植物巨人が茶色く干上がっている。


湯気を出し収縮して。


さっきの爆発で。


【..あぁぁ...。】


こんな面白いことがあるだろうか?。笑。


人間達は悲鳴を上げている。爆。


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