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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
227/364

ダヌアの空に63

土煙が噴き上がっている。


激しく。


...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


コックピットが激しく揺さぶられる。


後方モニター。


...ガッガーーーーーーーーーーッ...ガガガ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ....ガーーーーーーーーーーー...


イルゴルの84が激しく蛇行してる。


サイドフラップを上げたまま...。汗。


煙幕のように砂煙を噴き上げている。


『...おぉぉぉ。あぁあ!。お..おぉぉぉ...。』


...ドッドッドッドッドッドッドッドッドッ...


ダメだ。


このままじゃ危ない...。


『...イルゴル!。おい!。サイド閉じろ!。サイド2!。飛ばされたら終わりだ!。...』


ナムジーだ。


指示を飛ばす。


...ドドドドド...ゴ...ドゴ...ドゴ...ドドドド...


イルゴルの機はバランスを崩しかけてる。


『...ど、どどうやって...。おおお!。うわあぁ!...』


...ガガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


このままじゃヤバい。


この速度...。


『...3番踏め!。もっと踏め!。踏め!。踏め!。踏んで閉じろ!。閉じろよ!。...』


『...そ、そんなことしたら...。わああああぁぁ。...』


『...踏め!。踏めよ!。踏めって!。...』


『...わっわっわ。汗。ど、どっち?。...』


『...3番踏んで右リリース!。...』


『...だって。サイド。さっき。...』


『...サイドも右!。踏め!。踏め!。踏め!。踏め!。...』


...バギィッ...



まずい。


イルゴル機のウィングが...。


『...この乳首野郎っ!。踏め!。うんこが!。...』


『...プッ...』


乳首野郎...。


うんこ...。


『...はいぃっ!。...』


『...クスッ。...』


『...リリース!。アホ!。リリース!。アホ!。アホ!。アホ!。アホ!。じゃねぇ...。リリース!。リリース!。...』


...ドドドドドドドドドドドド...


『...うわぁああ!...』


『...ウィングが閉まってる。狼狽えんなこの乳首!。落ち着け!。...』


『...あぁぁ。ぉぉ。お。...』


...ゴゴゴゴ...ゴゴゴゴ...ゴ...ゴ.....コーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


蛇行が収まって行く...。


『...ナイス乳首。笑。...』


『...いいねぇ。ナムジー。...』


『...焦らすぜ...。落ち着けよ。全く...。...』


『...あ、ありがとうっす...。泣...』


『...知らなかったんか!?。こんな重要なこと!。この...乳首野郎がっ!。...』


『...は、はいっ...。す...すみませんっ...。泣...』


『...俺もだよ。...良くやったよ。笑...』


『...え...。汗。...』


...プルプププ...


シンタ2号(カナイヒャク:情報収集ロボ )が何か言ってる。


ナムジーにだ。


何だろう。


しかし...。


可愛そうなくらい揺れてる。


二本の前足で帽子を必死に抑えてる。


キノコみたいな帽子。


2つのつぶらなセンサーでこっちを見てる。


...プゥプゥ...


樹脂製の下ぶくれのほっぺたがプルプルと揺れている。


...プゥプゥプゥプゥ...


また何か呟いている。


これでも最大限に衝撃は吸収されている。


ダンバーのお陰で。


...ガス...


...バラバラバラバラバラバラバラバラバラバラバラ...


...キュワーーーーーーンッッ...


...ゴッ...


...バラバラバラバラバラバラバラバラバラバラバラ...


異物がボディに当たる。


...キンッ...


...ボンッ...


...バラバラバラバラバラバラバラバラバラバラバラ...


...ガキィッ...


...バラバラバラバラバラバラバラバラバラバラバラ...


シールドが噴煙をかき分ける。


人型重戦車 ジャミーが爆速で疾走する。


彼方まで続くゾーグの茶色い大地。


インノァを追って。


...ギガガガガギギギギゴゴゴゴ...


...ギィィイィィィィィィ...


時速は634km。


フラップが風圧に悲鳴を上げている。


ジニリウム製の強力なウイングが必死に耐えている。


アルマダイの供給を受けて。


必死に機体を抑えている。


乙型は俺のだけ。


84は全員空陸ダブル走行中。


凄い技。


ザラかヤマトが最初にやった。


他に出来たのは俺だけだった。


でも今はこの全員だ。


このチーム。


【...渡すぞ。ガレス。受け取れ。...】


ラムダ11のグリフィン。


...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...


大きな大きな山々と並走している。


このジャミー隊。


白い山が激流のように流れていく。


...。


【...良し来い。準備OKだ。...】


『...し、し、シンニアジャ!。シンニアジャの大群です!。...』


ラムダ13。リタさんの声。確かアミ族の女性。


【...パスタップカウントダウン。5,4,3,2...】


ラムダ11からラムダ13へ作戦コントローラーが変わる。


『...ガチャ...』


『...な、何だ...この数は...。汗...』


ジャイロ副...いや、艦長..。


遥か後方までシンニアジャやゴーグが続く。


まるで激しく動く白い岩のように。


『...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...』


『...おい!。これは...一体...。...』


『...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...』


13のカリギュラの冷却装置の唸りを誰かのラジュカムが拾ってる。


『...か、か、か、数。い、い、11000。ふ、ふ、増えてる...』


ナイゼルさん...。笑。


『...何だ...ありゃ。』


『...繋がってやがる...』


13のクルーは直にインノァを見るのが多分初めてだ。


シンニアジャの大群は爆走している。


連結すると速度が乗算式に倍加する。


インノァが命じている。


『...インノァ...』


『...あ、あれが...』


『...あれがインノァ...』


『...シンニアジャの群れ。完全に統制が取れています。...』


エマさんの声が...。


隊列がはっきりと別れた。


無秩序だった虫の大群の。


インノァは知能がとても高い。


奴らの脚は全てが真っ黒い鋼鉄の脚に変わった。


蛇腹のようだった脚は黒い金属の串のように。


脚にもいくつもの複眼が。


無数の脚を持った巨大コブラ。


先頭に4結合の巨大シンニアジャを頭に、数十のシンニアジャそしてゴーグが連なっている。


コブラのように上体をもたげている。


巨大な肌色のムカデ。


緑色の複眼。


体長は数百メートル。


ボルボーレに匹敵する長さ。


これがインノァ。


『...時速687km。まだ上がります。コー...。こ、こ、コース...?。...』


『...どうした?...』


『...外れます。ば、バルバロイに向かっています!。...』


『...何?..』


何で!?。


『...リュウ!。インノァのコースが変わった。ラムダ13 ヘザーからだ!。北緯37度。バルバロイの中心だ。...』


ヤマトだ。


しかしなぜ...?。


....バーーーーーーバーーーーーーボウーーーーーーボボボボーーーーボボーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴーーーーーーーーーーゥゥゥゥバーーーーーーーーーーーーーーーーーーボウーーーーーーーーーーーーバッッッ...


『...吼えたぁ...。...』


彼方にこだましていく。


この咆哮。


聞いたことが無い。


今までのシンニアジャのものとは違う。


コントロールパネルのラジュカムが反応している。


《ナームカンバハル...デナハカ...ルーデ..タルタ..カタ...》


た、タルタカタ...?。


タルタカタって...。汗。


《デュアセール...エネメナムアバウクデゼルエネメナアバウグドルシン》


《...音声変換中...》


《.......................》


《...音声変換中...》


《...アバウク....................》


!!


アバウク語!?。


《...アバウク語 : 我アバロンのタルタカタなり。我がアバゥクの民達よ。時来たれり。アバゥクの精霊達よ甦れ。今こそ我らが父 アゥバの元に集え。...》


『...ひっ...』


『...うをっ...』


『...おおぉ...』


コンパネに文字。


ワイナ語に変換された文字。


人間の言葉だ...。


ラジュカムがアバウク語で読み上げる。


化け物が人の言葉を...。


記憶?。


虫に宿った記憶?!。


そんなはずは...。


数十万年も昔。


遥か太古の...。


タルタカタ...。


古い神話の高僧。


ダルバザの山アバロンに住んでいたという。


20000メートルの山脈。


生きたまま喰われた。


デューンの大王の命により。


遥か太古に...。


食べた者に擬態するカンディルクリプトスという昆虫に。


....ボウゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーボボッッッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーババババァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーボボッッババババッッ...


『...キャアァァ..,』


『...あ、危ない!。サクラ!。目を離すな!。...』


『...うをおお...』


インノァの咆哮がゾーグにこだまする。


《...ガ...デサス...マ...ルードゥドド...ガデスラ...マアンキノサムアル...ルードゥドド...ウィルアーハ...》


《...音声変換中...》


《...音声変換中...》


《.......................》


《...アバウク語 : 甦れ。我らが神兵よ。蘇り我らに力を。神の兵。ウィルハよ。...》


!!


ウィルハ!?。


『...今、ウィルハと...!。...』


『...確かに、ウィルハと...』


神話は本当なのか?。


まさか...。


地鳴りが...。


...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


大地が揺れる。


激しく砂煙が巻き上がる。


インノァの胴体。


鋼鉄の脚が無数の脚が。


更に激しく回転してる。


まるで砂獣ヤーのように。


『...加速します!。...』


加速?。


ラムダ13の確かあれは...。


【...インノァ。間も無く特別攻撃隊エリアに...。待機中のティゲルツー 射程距離内。粒子砲撃ちますか!?。...】


【...ジャミー隊が追って来ます。...】


【...ジャミー隊。モニター6に。...】


【...まるでコブラと蟻だ。...】


...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...

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