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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
211/364

ダヌアの空に47

...ゴゴゴ...ゴ...ゴゴゴゴ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...


巨大な脚が上空から振り下ろされる。


鋼鉄の爪が迫る。


...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


民家よりも大きな爪が。


...ブゥワワワワワワワワーーーーーー...


...ビシュゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーー...


激しくかき混ぜられた大気が、苦し紛れに雲を吐き出す。


直撃すれば一巻の終わりだ。


クッ...


...グンッ...


船体が大きく傾く。


...ガッタン!...


...ガタン!...


55人のクルーが同時に激しく揺さぶられる。


なす術が無い。


まるでマネキンのように。


...グンッ!グンッ!...


右に強い横Gがかかる。


...バギッ!!...


壁のパーツが弾け飛ぶ。


子供たちの絶叫マシンの比ではない。


...ググググゥゥゥゥ...


また加速する。


...ダン!ダンッ!...


...ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ...


...ドーーーーン!...


何らかの衝撃。


あざができるほどだ。


強烈なGが加わる。


これでもかと言わんばかりに。


...ググググググググググゥゥゥゥーーーーーーーーーーーー...


ビクトリオの腕だけが頼りだ。


...タンタンタンタンタンタン...


機体が悲鳴を上げている。


今は...。


ビクトリオは第1操舵手だ。


...


...ズズズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


巨大な鉄の柱が地面に食い込み、爆風と土煙りが追い抜いて行く。


必死にかわしている。


このハイテク装甲車が、レーシングカートのように傾いている。


ペネループはアギュラーラムダ8機分の大きさ。


本来はこんなに身軽ではない。


今にも空中分解しそうだ。


コンマ0ミリの誤差も許されない。


頼むぞビクトリオ...。


提督殿をお護りするのだ。


激しいGが。


今まで味わったことが無いほどの。


うをぉぉぉぉ...。


...


...


...ズズズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


キリークの爪が大地を吹き飛ばす。


えぐられた地面が機体に激突する。


...ガゴウッ!!...


おおぉ...。


鈍い振動が伝わる。


ペネループが激しく揺れる。


...バシーーーン!...


コントロールパネルに亀裂が。


「キャアアアアアアア!!」


サラが堪らず悲鳴を上げる。


このままでは...。


クッ...。


...バスン...


...バスン、バスン...


総員の対衝撃ベルトが締まって行く。


...ギギギュュウウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!ギギギュュウウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!...


8つに裂けた如来の顔から咆哮が轟く。


いくつものモニターに化け物の顔が、姿が。


8つ首の巨大な阿修羅が雄叫びを上げる。


ペネループの完全防音の装甲を突き破り轟いている。


あり得ないことだ...。


...ギギギュュウウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!ギギギュュウウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!...


隙が...。


今だ!?。


「オオタカ!!オオタカっ!!」


この時を待っていた。


「は、ハッ!!」


...ググ...ガッスン!ガッッスン!!...


オオタカがレバーを引く。


グレーの銀色のレバーを。


こちらから、ペネループから、強制的に安全装置を解除している。


シムセプト10式29輌全ての。


10式はハイドラの主力シムセプト(陸上戦車)。


ペネループと同じく、今は反重力推進器の力で大地から浮いて移動している。


【...10式隊!!デイジースラッシャー発射!!相対座標 124,56,67。10式隊!!デイジースラッシャー発射!!相対座標 124,56,67。...】


「オオタカ!!総シールド!!左翼!総シールド!!」


息つく暇はない。


「は、ハッ!!」


【...パスタップ レフトウイングオール!左翼全軍に告ぐ!左翼全軍に告ぐ!戦隊総シールドを展開!】


...スッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー.....ガツン!!...

...スッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...ガツン!!...

...スッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー......ガッツン!!...

...スッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...ガツン!!...

...スッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーガツン!!...


オオタカがシールド系のハンドルを全て引き摺り下ろす。


モニターに映る全ての機材が青いエネルギーを纏い始める。


ペネループは、強力な司令装甲車だ。


全ての機材をここから操作することも出来る。


...バスッ!バス!バス!バスバス!バスッ!...バスッ!バスッ!バスバスバスバスバスッ!!...バスッ!バス!バス!バスバス!バスッ!...バスッ!バスッ!バスバスバスバスバスッ!!


デイジースラッシャーがキリーク目掛けて爆進して行く。


!!?


き、消えた...。


「キリーク!消滅!キリーク消滅!」


くそっ!!。


クソッタレ!!。


消えやがった!!。


「キリーク次元潜航!!キリーク次元潜航!!。」


「レーダーにかかりません!!す、ステルス、ステルスモード!!。」


分かってる!!。


分かってる!!そんなことは!!。


60mを超える化け物が、一瞬で姿を隠しやがる。


しかも、音速の複雑な動き。


目標を失ったデイジースラッシャーが地面に落下する。


い、いかん!。


自滅だ!。


自滅する!。


軌道を上空へ!。


「ハウザー!!誘導弾!!誘導弾!!真上に撃ち上げろ!!真上だ!!」


「真上だ!!ハウザー!!誘導弾!!誘導弾!!真上だ!!真上だ!!」


オオタカと私は同時に叫ぶ。


「は、は、ハッ!」


「音叉ミサイル!!オオタカ!!音叉ミサイル!!燻り出せ!!」


「は、ハッ!」


ハウザーが、キーを回し、いくつものボタンを押し、両手で2つのダイヤルを回す。


...ダッダッダッ...


ペネループが振動する。


砲門が開いている。


ハウザーは、肘でロックを外し、一気にレバーを引く。


神業だ。


...プシューーーーーーーーーーーーーーーーーー...


発射口が開く音だ。


...バッスゥッッ!!...


...バッスゥッッ!!...


誘導弾発射。


...ググググググ...


発射の反動で、更にペネループが傾く。


【...オリファント1、2、5号。音叉ミサイル発射!!。相対座標 124,56,67。オリファント1、2、5号。音叉ミサイル発射!!。相対座標 124,56,67。...】


副長のオオタカが叫ぶ。


ビクトリオが必死で操舵桿を引く。


歯を食いしばっている。


デイジースラッシャーは再び飛び上がる。


誘導弾目掛けて。


...バスゥン!バスゥンッ!!...

...バスゥン!バス!バスッ!!...

...バス!バス!バス!バス!バスッ!...

...バスゥン!バスゥンッ!!...

...バスゥン!バス!バスッ!!...

...バスゥン!バスゥンッ!!...

...バスゥン!バス!バスッ!!...

...バス!バス!バス!バス!バスッ!...

...バスゥン!バスゥンッ!!...

...バスゥン!バス!バスッ!!...


オリファント隊が音叉ミサイルを連射する。


幾つもの発射管が爆炎を巻き上げる。


音叉ミサイルがキリークを取り囲む。


...ドォゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーン!...


上空に透明な物体が姿を現わす。


微かに。


まるで巨大なアクリルの建造物。


音叉ミサイルは、僅か1発で駆逐艦を沈める。


...ゴワァァァァーーーーーーーーーーーーン...

...ブゥワワワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!...

...ドウゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!...

...ドォゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーン!...

...ゴワァァァァーーーーーーーーーーーーン...

...ブゥワワワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!...

...ドウゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!...


「音叉ミサイル全弾命中!音叉ミサイル全弾命中!」


...バシバシバシバシッバシバシバシバシッッッバシバシバシバシッッッ!!...バシバシバシバシッバシバシバシバシッッッ...バシバシバシバシッッッ!!バシバシバシバシッバシバシバシバシッッッバシバシバシバシッッッ!!...バシバシバシバシッバシバシバシバシッッッ...バシバシバシバシッッッ!!...


黒煙と共に、破片が爆速で、そしてゆっくりと弾き出される。


キリークの身体の破片が...。


よ、よ、良し...。


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


次元の歪みに反応したエネルギーが激しく炸裂する。


来た...。


やったぞ!。


キリークの銀色の巨体が露わになる。


!!?


な、何と...言うことだ...。


全くダメージを受けていない...。


まだだ!。


デイジースラッシャーがある。


デイジースラッシャーが追尾している。


行け!


...


消えるな...


....


行け...


...


当たれ...


....


当たってくれ...



!?


!!?


....。


...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズズズズズズズズズ...ドドドドーーーーーーーーーーーーン!!...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドドドーーーーーーン!!...ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズズズズズズズズズ...ドドドドーーーーーーーーーーーーン!!...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドドドーーーーーーン!!...ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズズズズズズズズズ...ドドドドーーーーーーーーーーーーン!!...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドドドーーーーーーン!!...ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズズズズズズズズズ...ドドドドーーーーーーーーーーーーン!!...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドドドーーーーーーン!!...ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズズズズズズズズズ...ドドドドーーーーーーーーーーーーン!!...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドドドーーーーーーン!!...ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズズズズズズズズズ...ドドドドーーーーーーーーーーーーン!!...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドドドーーーーーーン!!...ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


全てのデージースラッシャーがキリークを直撃する。


....


...


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


爆風が吹き荒れる。


炎の海と黒煙が戦隊総シールド上を雪崩れて行く。


...あ、あ、当たったぞ!...


...やったか...


...おぉぉ...


爆炎ごと、巨大な物体が後退する。


...ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


キリークが後ずさりをする。


...ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


脚が背後の地面を突き刺す。


大地が揺れる。


「キリーク後退!!。キリーク後退!!...」


...ウォーーーーーー!ワーーーーーーー!ワーーーーーーー!ウォーーーーーー!ウォーーーーーー!ワーーーーーーー!ワーーーーーーー!ウォーーーーーー!...


クルー達から歓声が湧き上がる。


...グググググゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


ペネループが大きく旋回して行く。


いいぞ!。良し!。


「オオタカ!10式全軍前進!。粒子砲用意!とどめだ!」


「ハッ!」


【...10式隊!全速前進!粒子砲撃用意!10式隊!全速前進!粒子砲撃用意!...】


...ブゥゥゥゥゥゥゥゥンン....ドドズドドド!...ブゥゥゥゥゥゥゥゥンン....ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドルゥドルゥドルゥドルゥ....ブゥゥゥゥゥゥゥゥンン....バババババババババ...ドドズドドド...ドルゥドルゥドルゥドルゥ....ゴゴゴゴッゴッ....ゴゴゴゴッゴッ...


あぁ...。


....


...


...


...


...ズズズズズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズッッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


瞬間移動をした...。


キリークが。


あのデカぶつが。


その壮絶な質量にも関わらず、爆速で回転している。


鋭い爪で一気に50式隊を切り裂いて行く。


破片が噴き上がる。


爆炎が噴き上がる。


やられた。


やられた...。


何てことだ...。


何ということだ...。


爆風が吹き荒れる。


...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴンゴーン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴンゴーン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴンゴーン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴンゴーン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴンゴーン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!......ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴンゴーン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴンゴーン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴンゴーン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴンゴーン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴンゴーン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...


【...10式隊!!沈黙!!10式隊!!応答ありません!!...】


壊滅だ...。


この僅かな間に...。


前衛10式隊全てが...。


バカな...。


...。


「中佐殿!ご指示を!」


!!


「れ、レオパード!ティゲルワン!ティゲルツー!粒子砲撃用意!」


簡単には命中しない。


何とかしなくては...。


何とか...。


【...シムセプト隊オール!シムゴード隊オール!粒子砲撃用意!座標 123,55,67。シムセプト隊オール!シムゴード隊オール!粒子砲撃用意!座標 123,55,67。...】


キリークは、60mの巨大な化け物は、宙で揺れている。


超電導物のように。


砲撃がことごとく逸れる。


幾千の閃光が。


全く当たらない。


奴の体表のシールドが粒子砲撃を屈折させている。


「艦長!!奴が潜航します!!。」


...ゥゥゥゥーーーーーーン...


β6!?


ティゲルツーどうした!?。


...ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


「β6墜落!β6墜落!」


何が起こった...。


「な、なぜ墜ちた?何で墜ちた?オオタカ!!」


「は、ハッ!。ジェ、ジェベット!!解析を!」


「反重力推進器の推力が反転しています!本艦も今、物理推力飛行です!。」


ビクトリオだ。


第1操舵手。


「キリークの周囲!通常のエネリウム波ではありません。」


ヘイゲンが。


「α3!α3墜ちます!。」


ティゲルワンが?!。


い、いかん。


【...シムゴード隊!キリーク影響範囲外に退避せよ!シムゴード隊!キリーク影響範囲外に退避せよ!...】


ヒットアンドアウェイが使えない。


キリークの放電は予想以上に、反重力推進器に影響を与える。


...ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


!!?


銀色の脚が。


巨大な建築物のような脚が。


...ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


前方を!。


ペネループの前方を完全に塞ぐ。


追いつかれた!。


ぶつかる!!。


激突する!!。


激突する!!。


回避だ!!。


回避...。


「ビクトリオーーーーーー!!ビクトリオ!!ビクトリオーーーーーーッ!!」


...ドーーーーーーーン!!...


...ギャギユググググググググググググググググググググググググ...


急制動だ。


激しいGがかかる。


ぶつかるっ!!。


...ググググググググググググググググググググググググ...


更にGが加わる。


内臓が全部口から飛び出しかけている。


あばらが折れる。


ビクトリオが操舵桿を右いっぱいに。


ペネループは急旋回をしている。


...バッスゥン!!バッスゥン!!...


3番レーダーの計器が破裂。


....バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ...


壁面に亀裂が走る。


破片を飛ばしながら。


止まらない!!。


止まらない!!。


激突する!!。


「ビクトリオーーーー!!ビクトリオーーーーーーーーーーーーッ!!ビ!ク!ト!リ!オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!」


脚が迫る。


巨大な金属の柱が...。


ぁぁぁ...。


と、と、止まった...。


た、た、助かったぁ!!。


...ガッックン!!...


全てのクルーが激しく揺さぶられる。


速度0。


ペネループが旋回を続ける。


「...か...艦長!!だ!だ...第2射来ます!!第2射が!!」


な、何だ?。


何の、な、何の第2射だ...?。


「ターシーです!!た、た、ターシー•エネリウムです!!ターシー•エネリウム砲!!ターシー•エネリウム砲が来ます!!」


ウッ...。


....。


「通信、耐閃光警告。ゴーン!お前は目前のキリークの対応をしろ。」


アンヌ提督殿だ。


【...全軍!!耐閃光防御!!全軍!!耐閃光防御!!...】


モニタの光以外は何も見えなくなる。


...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...


焼けるほど眩く、巨大な光の洪水が、再び空を横切る。


...ギギギュュウウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!ギギギュュウウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!ギギギュュウウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!ギギギュュウウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!...


キリークがその高層ビル並みに巨大な脚を振り上げる。


もう、逃げられない。


!!?


...


...


!!?


...


...


...ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


...キュワアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!...


...ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


!!?


何の爆発だ?。


光が差して行く。


キリークが...。


キリークが...。


倒れて行く。


「ぉぉぉぉおおお...」


「ああぁぁぁぁ...」


「ひっ...」


「うわぁ...」


クルー達の声が漏れる。


何だ...?


どうした...?


「CIC!どうした!」


「レオパードのルイス来ました!!ピーカー32体追従!!レオパードのルイス来ました!!ピーカー32体追従!!」


...ドドーーーーーーーーーーーーン...


...ズダドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


レオパードがペネループ右舷を追い抜いて行く。


来たか...。


つ、ついに...。


32体のピーカーが本艦を、ペネループを囲んで行く。


「ルイスが!レオパードのルイスが!シールド編入を早めると言っています!」


却下する理由は無い。


「X-1主砲がキリークに命中!X-1主砲がキリークに命中!キリーク倒れます!キリーク倒れます!」


一体どうやって当てている...。


あいつの力は不動だ。


揺らぐことが無い。


「X-1から、X-1のシナプスフレームから入電!。本艦のシールドゲートウェイを cxw99125へ変更するようオファーして来ています!。戦隊総シールドの内側に本艦防御用に、ルイスチームの戦隊シールドを二重に展開すると。」


拒む理由などない。


私はリサに手で合図を送った。


...ゴゴゴ...ゴ...ゴゴゴゴ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...ゴゴゴ...ゴ...ゴゴゴゴ...ゴゴゴゴゴゴゴゴ...


爆炎を噴き上げながら。


キリークが倒れて行く。


巨大なタワーが倒壊して行くように。


...ブゥワアアアァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!...


「エンドポイント cxw99125 切り替えます。」


爆風が吹き荒れる。


「ルイス隊ステータスを変更。ルイス隊ステータスを変更。交戦を開始!!キリークとの交戦を開始!!」


...ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


光の柱が。


青い光の柱が、倒れ行くキリークの巨体を捉える。


...キュワアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!...


...ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


...ボゥッ!!...


...ゴゴッ!!...


...ガッ!!...


...ドゴッ!!...


巨体に命中した粒子砲撃が、キリークの身体をむしり取って行く。


爆炎を吹き上げながら。


ルイスは砲撃をまだ抑えている。


制御リングはまだ最大に近い。


...ズッ...


...


....



...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


キリークの巨体が地面に叩きつけられた。


脚が折れて宙を舞っている。


高層ビルのように太く長い脚が。


...ブゥゥゥゥゥウウヲオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!...


二重の総シールドが爆風から我々を護ってくれる。

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