ダヌアの空に42
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
草の茂った岩肌が激流のように流れ去る。
12382人の隊列は進む。
時速90kmで。
そびえ立つ岩壁が、目まぐるしく通り過ぎるダルバザを抜け、視界が一気に拓ける。
見渡す限りの荒野。
何も無い。
何も...。
あちこちで強風が吹き荒れている。
自分たちが米粒みたいに感じたあのダルバザも、もう、小さなシミになってしまった。
この荒野の。
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
来た...。
地鳴りがする。
地平が盛り上がる。
真っ黒になって。
コールタールの波のように。
押し寄せて来る。
黒い鉄のムカデの大群が。
直径2mの生きたスプリング。
如来の頭を持った化け物達。
...ゴーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーー...
...ゴーーーーーーー...
...ゴーーーーーーーーーー...
【... セッターワン目標を確認。目標を確認。 ...】
攻撃艇 ムスタファが上空を追い抜いて行く。
4機ずつ、真横に6つの台形型の編隊を組んでいる。
全てのムスタファ。
昔のレーシングカーを彷彿とさせる。
水銀のように綺麗な鏡面。
ムスタファは装備の大半が実弾(火薬弾)だ。
二類bに分類されている。
実弾を減らした後は、きっとブラックドッグを積む。
街ごと消滅させる生体爆弾 ブラックドッグを。
【...セッターズ目標位置に到達。目標位置に到達。展開開始します。セッターズ 展開を開始します。どうぞ。...】
バラッカス9号のいくつものモニター画面に、24機のムスタファからの映像が流れ込む。
見渡す限り、ウィンテルンだらけだ。
数が増えている...。
【...ラムダ2了解。ラムダ2了解。...】
ムスタファが大きく広く展開し始めた。
モニターの画像も分かれて行く。
押し寄せるウィンテルンの大群を迎え撃つために。
...ゴゴ...ゴゴ...ゴーーーーーーー...
微かにムスタファのエンジン音が轟いて来る。
蜂鳥のように、空中に静止したり、爆進したり自在に空を駆け巡る。
フロントノーズの、二つのアルマダイ•ソナーが、ムスタファをトノサマガエルのように見せている。
翼を持った美しい銀色のカエル。
...ギギギギゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー!...ドコドコドドドドボコボコドドドドドコドコ...ギギギギゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー!ギギギギゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー!...ドコドコドドドドボコボコドドドドドコドコ...ギギギギゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー...ギギギギゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー!...ドコドコドドドドボコボコドドドドドコドコ...ギギギギゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー!...ギギギギゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー!...ドコドコドドドドボコボコドドドドドコドコ...ギギギギゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー...ギギギギゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー!...
おぞましい鳴き声が10km後方のここまで響いて来る。
化け物達が迫ってくる。
重なり合いながら。
数万の鉄のムカデの鳴き声、押し寄せる音。
息ができない錯覚に陥る。
これでも雑魚だ...。
【...セッターワン デイジースラッシャーの発射準備完了。セッターワン デイジースラッシャーの発射準備を完了。...】
【...セッターワン。攻撃を開始せよ。セッターワン。攻撃を開始せよ。...】
【...セッターワンこれより攻撃を開始する。セッターワンこれより攻撃を開始する。...】
先頭のムスタファがミサイルを発射した。
デイジースラッシャーだ。
火薬弾(実弾)の中ではかなりの威力がある。
噴射が消え、デイジースラッシャーは放物線を描いてウィンテルンの群れに落ちていく。
まるで照明弾のように赤く光りながら。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!...
...ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!...
キノコ雲が立ちあがる。
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
...ドン...バシィ!...ドンドン...バリバリバリバリ...ドン...ズゴーーーーン!...バシィン!...バシィ!...ドドドド!!...パリン!...バシィ!...ドゥン!!...ゴーーーン!!...ゴゴゴゴ!...ズドーーーーーーーーン!!ガン!!バラバラバラバラ!!...ドン...バシィ!...ドンドン...バリバリバリバリ...
ウィンテルンの残骸が、ここまで飛んで来ている。
戦隊総シールドに次々と落ちて激突している。
右翼が分離してから、戦隊総シールドはかなり弱体化している。
最も強い駒を同じ陣地に集めた、攻撃型の布陣のためだ。
間も無く右翼は、ジーンとササーンを中心に総シールドを展開する。
アルマダイエンジンの多い右翼は、きっと青白いシールドになるだろう。
雑魚しかいない今は、アルマダイを温存するつもりだ。
【...セッターワンよりセッターズ オール。セッターワンよりセッターズ オール。全機攻撃を開始せよ。全機攻撃を開始せよ。...】
【... セッター3了解! ...】
【... セッター12了解! ...】
【... セッター21攻撃を開始する! ...】
【... セッター13攻撃を開始! ...】
【... セッター2了解! ...】
...バスゥン!バスゥンッ!!...
...バスゥン!バス!バスッ!!...
...バス!バス!バス!バス!バスッ!...
...バスゥン!バスゥンッ!!...
...バスゥン!バス!バスッ!!...
...バス!バス!バス!バス!バスッ!...
...バスゥン!バスゥンッ!!...
...バスゥン!バス!バスッ!!...
...バス!バス!バス!バス!バスッ!...
ムスタファが一斉にデイジースラッシャーを発射する。
...ッッ
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!...
胃に蹴り飛ばされるような衝撃が。
10km以上離れているのに。
...ゴガガガガガゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
...ゴガガガガガゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ゴガガガガガゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
東の方角、巨人ジャミナキラの彼方。
土煙を上げながら10式が一気に追い抜いて行く。
四つ足のカッパ ジャミナキラは、ダルカンに変わってペネループを四方から守っている。
10式は中〜小型のシムセプト(陸用戦車)だ。
2つの砲塔。
バルカン。
そして、レーザーカノン。
深い灰色のジニリウム装甲。
レオパードの10分の1の大きさ。
50年前のアトラ北軍の主力戦車。
アトラ人の戦車なので、大型の部族は乗れない。
今はヒドゥイーンも混血が多い。
だから身体も大きい。
民族融合政策によって、民族による個体差が無くなって来た。
これは大首長シーア•ハーンのやった唯一の良い政策かもしれない。
10式は変形もしない。
でも、ハイドラでは今でも主力の戦車だ。
とはいっても、実弾装備の戦車で、これ以上の性能を持っているものは他国にも無い。
他の大陸の戦車との違いは、やはり反重量板で重量を制限していることだ。
アフロダイエンジンのアイドリング状態で重量は約10分の1になる。
反重力板が交流なので、飛ぶことはできない。
兵器分類では二類。
実弾を減らすために前面に出始めた。
50台が放射状に広がって行く。
激しく土煙を巻き上げながら。
!?
別の振動が...。
...ダダダダッドドドドッダダダダッドドッドドドッ...ダダダダッドドドドッダダダダッドドッドドドッ...ダダダダダッドドドドッダダダダッド...スゴゴーーーーーーーーン!ドドドーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ダダダッドドドドッダダダダッドドッドドドッ...ダダダダッドドドドッダダダダッドドッドドドッ...ダダダダッドドドドッダダダダッド...スゴゴーーーーーーーーン!ドドドーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ドッドドドッ...ダダダダッドドドドッダダダダッドドッドドドッ...ダダダダッドドドドッダダダダッドドッドドドッ...ダダダダッドドドドッダダダダッドドッダダダダッドドドドッダダダダッド...スゴゴーーーーーーーーン!ドドドーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ドドドッダダダダッドドドドッダダダダッド...スゴゴーーーーーーーーン!ドドドーーーーーーーーーーーーーーーン!!......ダダダダッドドドドッダダダダッドドッドドドッ...ダダダダッドドドドッダダダダッドドッドドドッ...ダダダダッドドドドッダダダダッドドッドドドッ...ダダダダッドドドドッダダダダッドドッドダダダダッドドドドッダダダダッド...スゴゴーーーーーーーーン!ドドドーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ドドッ...ダダダダッドドドドッダダダダッドドッドドドッ...ダダダダッドドドドッダダダダッドドッドドドッ...ダダダダッドドドドッダダダダッドドッドドドッ...
装甲騎兵と、歩行型シムセプト アルガードが、このペネループのいる本隊を追い抜いて行く。
160kmという速度は、多分、歩行型の限界速度だ。
装甲騎兵は910騎、二類aと二類bの人たちだけだ。
a隊は実弾と粒子砲を両方の肩に背負っている。b隊は実弾とブラックドッグを装備してる。
a隊は中央と西に。
b隊はゴーグのいない東に展開して行く。
どちらも反重力板のついた大きな弾倉を装着してる。
アルガードは34台。
10式は2人で操縦するけど、アルガードは3人だ。
ピーカー がハエトリグモなら、アルガードはオニグモ。
蜘蛛に似ているということでは同じ。
でも、アルガードは、10式と同じくらいの大きさ。ピーカーはレオパードよりもふた回り大きい。そして、アルガードは操縦者のいる戦車だけど、ピーカーは生き物だ。
アルガードは実弾がメイン。そして、レーザーカノン。前の二本の脚が武器になっている。
...ウオォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ...
...ウオォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ...
...ウオォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ...
10台のアルハリドが、上空を追い越して行く。
第2類の装甲歩兵3390人と、アンドロイド2型900体を分散させて、ギャリーxに載せている。
アルハリド自体も大型バルカンや、対物ミサイルを搭載している。
上空のムスタファからの映像では、ウィンテルンの群れは、師団の10倍以上の数がいる。
鈍く光る鉄のコールタールは、上になったり下になったりしながら、師団を飲み込んで来る。
僕達は今まさに飲み込まれようととしてる。
【...撃て!。...】
ペネループからの命令で、二類の兵器が一斉に火を噴く。
...ズドーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ズドーーーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...
...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ......ズドーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ズドーーーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ......ズドーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ズドーーーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ......ズドーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ズドーーーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...
...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ......ズドーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ズドーーーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ......ズドーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...バシュ!...バシュ!...バシュウ!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズドーーーーーーン!...ズドーーーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ズゴーーーーーーーーーン!...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...
ウィンテルンを粉々に噴き飛ばし、確実に進路を切り拓いて行く。
ペネループの狙い通りに。
僕のジャミー。
ウルヘリエスの乗っていたジャミー。
壊れた人形のようにギャリーβに載せられている。
左腕はもう着いている。
バラッカスは修理ドッグ形の装甲車輌。
ギャリーと同じく地面から1から3m浮いて飛行する。
ジャミーは頭部だけバラッカス6号の中で突貫修理を受けている。
この最後尾で。
深い溝のある金属の床。
僕は座ってる。
足を投げ出して、背中を金属の壁に押し当てて。
パイロットスーツのおかげで金属の冷たさが緩和される。
オレンジ色のパイロットスーツ。
腰まで脱いでいる。
黒のTシャツだけでは少し寒い。
かなり筋肉がついた...。
僅かな間で。
でも、痩せた。
そういえば、自分は病み上がりだった。
あぁ...。
呼吸をするのがやっとだ。
でも、ここは涼しい。
楽だ。
横にパスタップを取り外して置いている。
いや、ルークが置いて行ってくれた。
自分のジャミーのパスタップ。
バラッカスの回線で外に繋がってる。
それと、ザクロのケーキ。
ルークの故郷の銘菓らしい。
青い小皿に1つ。
楊枝と。
多分、残り少ない大切な一個だ。
ダヌアから出撃して、かなり日にちが経ってる。
余程、俺、ボロボロに見えるんだな...。
皿がカタカタ鳴っている。
金属の床に揺られて。
...ガタガタガタガタ...
鳴り過ぎだろ?。
あ!?。
何だこいつ!?。
...トゥルルルルルルルルルゥゥゥゥトゥルルルルルルルルルゥゥゥゥトゥルルル...
カナイヒャクだ?。
目の大きなヤドカリ。
情報収集ロボ。
こいつはいい方のヤドカリ...。
10センチくらい。
シリコンでできている。
中の回路まで...。
ずっとこっち見てる。汗。
つぶらな瞳。
赤ちゃんみたい。w
何だこの子...。笑
ほっぺたがぷっくりとしてる。
アルマダイ節減のため全て停止されたはず。
...ダンダンダンダンダンダン...
「おお、ぉぉ。こんな所にいたいた。」
ルークが走って来る。
...プルップウ...プププゥ...
何だろ、この子。笑。
あぁ...そこは...。
カナイヒャクがパイロットスーツのズボンの中に...。
...トゥルルルルルルルルルゥゥゥゥトゥルルルルルルルルルゥゥゥゥトゥルルル...
「おい...。あれ?。おまえのことが気に入ったみたいだな...。笑。はっはっはっは!。いいよ。おまえにやる。良かったな?。気に入ってくれる奴がいて。笑。システム停止でもこいつは止まらなかった。珍しい奴だぜ?」
...プルップウ...プププゥ...
「言っとくが、そいつは男の子だ。笑。残念だな。笑。ハッハッハッハッ。子供もカナイヒャクもイケメンが好きだな。笑」
...ドタドタドタドタ...
ルークが戻って行く。
何だよ。ルークの奴。
カナイヒャクがファスナーの境目からこっちを見てる。
可愛いかも...。
でも、おまえ男の子か...。残念。笑。
て...何で?性別あるのか?。
バラッカスの振動は、レッドアロー並みに少ない。
修理が出来なくなるからね。
...プルップウ...プププゥ...
またこっち見てる。
おまえのいる場所。
それどこか分かってる?。笑。
...プルップウ...プププゥ...
青い小皿に。
はいはい。笑。
分かった、分かった。笑。
...カチャカチャ...。
全部食べていいよ。笑。
......
....
...ファン、ファーーーン!...
え?
灰色の車。
俺の足の前...。
「馬鹿野郎!!!おまえ...どこ....」
通り過ぎた。
ハクア語だ...。
目の前を陸車が走ってる。
ビュンビュン...。
見たことの無い...。
沢山...。
「...あ、あの子!み、見て!カスミ!見て!あそこに男の子が!...」
道の向こうに女の人。
制服を着てる。
ヒドゥイーンじゃない...。
アトラ人...?。
なぜアトラ人が?。
俺...何してるんだ...っけ?。
ここ...どこ?...だろう。
「...キャァ!!車に轢かれちゃう!...」
道の向こうで誰かが...。
....
......
夢か...。
カナイヒャクが寝てる。
おまえ食い過ぎだ。笑。
全部食べた。笑。
チビのくせに。
...ブッ...ズズゥーーー...
パスタップが鳴ってる。
『...旧51隊。誰かいるかぁ?。...』
バンさん?!
『...あ..あ...ぅ...』
ダメだ。
声が出ない。
身体が消耗し過ぎてる...。
バンさんだ。
涙が出てくる。
なぜか...。
『...リュウ?いるのか?...』
ふう...。
『...身体は大丈夫なのか?どこにいる?...』
『...』
声が出ない。
『...返事できないのか?それともいないのか?どうした!?...』
『...』
『...慌てても仕方ない。...』
『...』
『...リュウ。ありがとな!。おまえのおかげでこの通りピンピンしてる。あ、見えねぇか?。せっかく痩せたのに、またもとに戻っちまった。w...』
『...』
『...ふっ。笑。リュウ。言っておくぞ?。おまえがどんなに強くなろうが、偉くなろうが、病気になろうが、俺はお前の兄貴だ。忘れんな!?。おまえが困っている時はいつでも助けてやる。命がけでな。おまえがオレにしてくれたように。...』
『...』
『...おまえは命の恩人だ。ただの弟じゃねぇ。おまえが初めてパスタップに乗った時。悪かった。許してくれ。おまえには通り一遍の暗号なんざ必要なかった。...』
『...』
『...リュウよ。もう行くぜ。ホントはもう一度会って言いたかったぜ。こんなに会えねぇとはな。笑。聞いてくれてたら嬉しいが...。ありがとよ。リュウ。リュウ•アーデン。感謝してるぜ。感謝?この俺が?。驚きだぜ。あほんだら。ガッハッハ!...』
バンさんは、タイクーダイをもう担ぐ気だ...。
『...プツッ...』
「バ...ン...さん」
『...バ...ン...さ...』
『...』
バンさん....。
会いたいよ。
!!?
モニターの様子がおかしい。
ウィンテルンの群れが一気に東に流れ始めた。
【...ウィンテルン東に流れます。ウィンテルンの群れ、推定7万。進行方向南南東103.45方面に回頭。ウィンテルンの群れ進行方向南南東103.45方面に回頭。...】
何かから逃げるようだ。
【...ゴーグの群れ。ゴーグの群れウィンテルンの群れを追っています。ゴーグがウィンテルンを追ってる!...】
大地に広大に広がった黒いコールタールが、肌色のシミを逃れて分断していく。
肌色のシミはコールタールよりも移動速度が遅い。
全然追いつけない。
シミは、点に分散し、ばらけて行く。
【...ご、ゴーグ。ウィンテルンを捕食しています!ゴーグがウィンテルンの捕食を開始しました!...】
【...ゴーグ エネリウム線を発射!ゴーグエネリウム線を発射!!...】
モニターが、激しくフラッシュする。
モニター3がズームインして行く。
上空から。
ゴーグが...。一体のゴーグが、ウィンテルン三体を顔の下の脚で押さえ込んでいる。
別のゴーグが緑色の光を纏っている。
目が、複眼が輝きを増す。
エネリウム線を撃った!。
ウィンテルンを押さえ込んでいたゴーグごと吹き飛ばした。
めちゃくちゃだ...。
ゴーグはウィンテルンを捕食するためにエネリウム線を発してる。
移動速度が遅く、ウィンテルンを捕まえられないからだ...。
また撃った。
吹き飛ばされて、損傷を負ったウィンテルンにゴーグが一気に群がる。
何て、大雑把な狩なんだろう。
効率が悪すぎる。
ゴーグは、僕たち師団のことなど眼中に無い。
ひたすらウィンテルンを捕食している。
【...攻撃翼と、本隊は分断して迂回する。予定を早め、これより攻撃翼と、本隊の連携を停止。攻撃翼と、本隊は分断して迂回する。...】
ドックが慌ただしい。
「間に合わない...。おい、間に合わんぞ!どうする!?...」
「他のジャミーか、10式とギャリーxで。バラッカス12に...」
「駄目だ...。このギャリーはもう燃料が残っていない。」
「これの他に攻撃翼の機体の修理は無いそうだ。」
「そもそも使えるギャリーが無い。」
あぁ...。
自分のことだ。
自分は右翼にいなければならない。
戦闘になれば、敵陣の中単騎で100kmの移動は不可能。
出るなら今しか無い。
「駄目だ!ラムダ6に繋がらない!」
「ペネループに直接...」
「バカ言うな!機材1つのことだぞ!」
「でも、リュウは84 の戦隊長...」
「馬鹿野郎!駄目に決まってるだろうが!」
【...ゴーグが変形を始めました。ゴーグが...】
「え?おい!聞いたか!?」
ウィンテルンを捕食し終えたゴーグが、次々と脚を伸ばして直立して行く。
巨人の脚に被せられた骸骨のように。
タツノオトシゴのように。
ゼンマイのようにも見える。
50mを超える骸骨のゼンマイ。
頭部の下に伸びた、ナメクジの身体のようだった脚は、茶色く薄いプラスチックのような皮を纏っている。
【...ゴーグの蛹に対して攻撃を開始する。...】
ダン少佐だ。
...コ...コ...コーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...コーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...コーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
ミラージュと、メッサーラの編隊が戻って来る。
レバンナの艦載機ミラージュは24機、オルテガの艦載機メッサーラは20機。
どちらも一類bに区分されている。
アルマダイ(生体)ミサイル ラビアンローズで駆逐するつもりだ。
ラビアンローズは、デージースラッシャーの690倍の破壊力がある。
しかも、エネリウム、アルマダイ、アフロダイなど、粒子をエネルギー源としている生物への効果は絶大。
ウィンテルンを十分に捕食して、蛹化したゴーグは、荒地に突っ立っている。
数千体並んでいる。
...コ...コ...コーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...コーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
ミラージュ隊、メッサーラ隊が大きく拡散して行く。
ゴーグには粒子線がある。
密集していると、一撃で全滅してしまう。
....
ッッ...
....ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ボウン!ゴゴン!ドゴン!ボボウン!ゴンゴーン!ドガン!ドゴーーーン!ボウン!ゴゴン!ドゴン!ボボウン!...
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ッッ...
....ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ボウン!ゴゴン!ドゴン!ボボウン!ゴンゴーン!ドガン!ドゴーーーン!ボウン!ゴゴン!ドゴン!ボボウン!...
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ッッ...
....ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ボウン!ゴゴン!ドゴン!ボボウン!ゴンゴーン!ドガン!ドゴーーーン!ボウン!ゴゴン!ドゴン!ボボウン!...
始まった。
やはり爆発の規模が違う。
直撃したものは勿論、爆心に近いものは一瞬で蒸発する。
しかし、アルマダイを浴びて死ななかったものは、一気に成長してしまう。
それがアルマダイ兵器 ラビアンローズの弱点。
大抵の生き物は、粒子線を浴びると、微量でもDNAに変調をきたし、即死するか時間を置いて死ぬ。
直後に、爆発的に肉が腫れ上がり、生き物としての体を無くし死ぬ物も多い。
でも、耐性の強いものは、そのエネルギーを取り込み、進化エネルギーに転換してしまう。
ゴーグは、エネリウムの炉に近い器官を持ってる。
ゴーグ自体は強い耐性を持っていないし、アルマダイをエネリウム炉では処理できない。
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ッッ...
....ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ボウン!ゴゴン!ドゴン!ボボウン!ゴンゴーン!ドガン!ドゴーーーン!ボウン!ゴゴン!ドゴン!ボボウン!...
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ッッ...
....ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ボウン!ゴゴン!ドゴン!ボボウン!ゴンゴーン!ドガン!ドゴーーーン!ボウン!ゴゴン!ドゴン!ボボウン!...
激しく大地が揺れている。
バラッカスとギャリーβが巡航高度を8mに上げた。
交流式反重力板飛行システムでは、限界高度だ。
本隊で、浮遊飛行をしている機材は、全て高度を上げてる。
それほど爆発で地面が波打っている。
20km後方で大きな、大きなキノコ雲がいくつも立ち上がる。
くっ...。
ううっ...。
ブレーキが度々かかる。
急激な制動Gが。
【...アルガードの速度が落ちている。...】
【...巡航速度調整!フタ丸減速!本隊レオパード、ピーカーの速度が落ちている。本隊 フタ丸減速!...】
今は本隊にしか、伝わらないのに。
うわぁ!
横Gが...。
激しく蛇行し始めた。
【...ミラージュ1,7,18、メッサーラ3,7,11沈黙!ミラージュ1,7,18、メッサーラ3,7,11沈黙!...】
え!?
【...し、し、シンニアジャ!!ラビアンローズ爆心辺り、シンニアジャです!!...】
【...爆心近辺シンニアジャ!!シンニアジャ!!エネリウム線を発射しています!!...】
あぁ...。
モニター6が爆炎の中にフォーカスする。
ゴーグの、ゼンマイのようだったゴーグの後頭部に触手が、無数の触手が蠢いている。
ゴーグは孵化している。
ナメクジのようだった脚は、甲虫の幼虫のような姿に変わっている。
ゴーグが後ろ向きに合体していく。頭部が6つ、足も6本。
触手を絡ませた後、一体化していく。
8体で合体しているものも。
3体で合体しているものも...。
...キュワーーーーー!!..,
...ズガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...
...キュワーーーーー!!..,
...ズガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...
...キュワーーーーー!!..,
...ズガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...ズガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...
回転しながらエネリウム線を吐きまくってる。
威力も尋常じゃない。
眩い緑色の光が。
空を縦横無尽に切り裂く。
...ボンッ!!ボンッ!!ボウンッ!...
...ボンッ!!ボンッ!!ボウンッ!...
あぁぁ...
モニター7。
空中に黒煙が...。
何人の兵士が犠牲になった...?。
【...ミラージュ4,11,15、メッサーラ13,18,19沈黙!!ミラージュ4,11,15、メッサーラ13,18,19沈黙!!...】
【...ジグルス8、ジグルス11から入電。このさき500km、デューン軍が陣を敷いています!。数、か、数...110万。キリークが、き、キリークが実体化しています!。...】
110万...。
き、キリークが実体化...?。




