ダヌアの空に36
...ドーーーーーン!ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!...
地面を激しく突き上げる。
...ババババババババババババババババババーーーーーーーー...
狂ったように噴き上がって行く。
レンガ色の土が...。
いや、違う。
岩が砕けている。
砂のように粉々に。
...ボボボボボボボボゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
...ドーーーーーン!ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!...
突き上げる衝撃に、ダルバザの硬い地面がヒビ割れる。
別のゴーグだ...。
厳つい巨大な顔面が岩を突き破る。
カマキリのような緑の複眼。
鬼でも人間でもない。
人に擬態した虫だ。
ヤドカリに似た昆虫。
...シャァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
ジーンの身体からは、体液がほとばしっている。
ジーンの肩から上は吹き飛び骨が見えてる。
酷い有様だ...。
見ているだけで気絶しそうだ。
ジーンの頸椎の根元に何かが取り付いてる。
体液にまみれた銀色の物体。
二つの太陽の光を鏡のように反射してる。
金属の巨大なトカゲだ...。
不安定な回転音はあれから出てる。
『...ウルヘリエス!!J18!!ジーンを援護!!...』
副長から指示が飛ぶ。
レッドアローの中から。
状況が把握できていない。
化け物の奇襲で。
僕のせいだ...。
心が悲鳴をあげている。
胸をえぐられて...。
あんなにあっけなく。
あんな酷い...。
希望一杯の女の子。
だった...。
ウルヘリエス。
戦いが終わったら、ハイデラバードに戻って花屋を始めるって言ってた。
みんな似合わないって笑ってた。
そんなことない。
とても似合ってるよ...。
故郷で温かい家庭を作るって...。
殺しや、強盗をしない、ただただ愛し合うだけの家族。
ザブル州の首都ハイデラバード。
ウルヘリエスに家族はいない。
でも、あの娘にとっては故郷。
辛く悲しい思い出しかなかったとしても...。
ハイデラバードは、ハイドラで最も名もない孤児が多いと言われている。
首長達が存在しないと言う孤児達が...。
あの娘は希望を失わなかった。
バカがつくほど真っ直ぐで、いつも元気に笑っていた。
あの娘...。
晴らさせてよ。
ジャミー。
ウルヘリエスの無念。
あの娘の仇を取らせてよ。
死んだっていい。
僕のジャミー。
壊れてしまった。
バラッカス4号で(修理ドック)で、部品として解体されている。
....ガガガ...タン、タン、タン...
ジャスミンの乙型は、首をへし折られそうだ。コックピットごと。
レッドアローにも、大切な人達がいる。
何もできないのか?。
ただ指を咥えて見てることしか?。
ウルヘリエスの機体...。
首が真横に向いている。
まるで巨人の亡骸だ。
コックピットシールドが破壊されてる。
見るも無残に。
データも計器も何もかも使えない。
動きはするだろうけど。
動きは...。
動き...。
!?。
!!?。
そうだ...。
ゴーグの気はそれてる!。
走れっ!。
J18に!!。
...ハッ...クッ..ハ...ハッ..ハ...
息が続かない。
まだ体調が...。
コックピットまでの高さは...。
白い大きなフレーム。
巨大なMRIのようだ。
掴む場所...。
...うぐっ。...
飛び上がる。
クッソ。
この程度の高さ届かない!。
もう一度!。
クッソ!。
体力が...。
もう一度!。
...クッ...
...ダンッ!...
両手がかかった!!。
シールドの切り口で手が切れそうだ...。
しめた!!。
コックピットシールドの横。
クッソ、力が...。
【...ググゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオォォォーーーー...】
ゴーグの一体が、ジーンに襲いかかった。
大きな口を開けて!。
...ズッドーーーーーーーーーーーーン!!...
激突した!。
...ブシャァーーーーーーーーーーーーーー...
...シャァーーーーーーーーーー...
...ブシャァァァーーーーーーーーーー...
ゴーグの何本もの牙がジーンの身体を貫いてる。
見ていられない...。
足が、左足がコックピットに。
クッ...。
もう少しだ。
...ドッスン!...
何とか、シートに。
...ヌルッ...
...ズガーーン!...
ツッ...。
血で滑って、壁に激突した。
息が上がって収まらない...。
シートまで数メートル。
このままじゃ、シートにも、操縦席にも登れない。
!!?。
しめた!。
ラジュカムが反応してる!。
「こちら!!J1リュウアーデン!!第3整備隊ラワン!!。第3整備隊ラワン!!。応答を!!ラワン!!第三整備隊ラワン!!。こちらリュウアーデン!!J1だ。」
『...』
「ラワン!ラワン!整備隊!!誰でもいい!!出てくれ!!こちら、リュウアーデン!!J1だ!こちらJ1!リュウアーデン!整備隊!!誰か!!」
『...リュウ!どうした!!ジャイロだ!!...』
『...第八整備隊 ビスター。こちら第八整備隊ビスター!。聞こえてます!J1リュウアーデンどうぞ!。...』
『...ウルヘリエスは、ゴーグに殺された!!J18に!このジャミー乙型にJ1!リュウアーデンのパイロットデータを!!...』
『...え?どういうことです??あなたのジャミーは?...』
『...リュウお前今どこにいる!!?...』
『...J18のコックピットにいます!!ジャスミンがやられてます!!ウルヘリエスは、こ、殺されましたっ!!。あのクソ野郎に!!...』
『...な...。殺された...。リュウ!落ち着け!!分かった!!。整備隊!!遠隔でJ18にJ1のパイロットデータを転送!!出来るか!?大至急だ!!ここにゴーグがいる!ゴーグがいるのはここだ!師団の中だ!!俺は51隊ジャイロ!!...』
『...え?!ホントですか?!た、た、大尉殿!!わ、分かりました。上司に...』
『...そんな時間ない!ビスター!!第三のラワンが知ってる!そこで転送できる!!早く!!...』
『...ラルゴには俺から言う!構わん!やってくれビスター!!...』
『...了解です!!でも、出来るのかどうか...と、と、取り敢えず、パスタップの新しい回線を開いて下待っていてください!!チャンネルはdef8 Andoで!!...』
【...ググゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオォォォーーーー!!...】
し、しまった気づかれた!。
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
やばい!!
ゴーグが来る!!
クッソ!!
どうやってここを登れば...。
データが来る時にパスタップを開いてなければ終わり。
変化暗号通信を開くにはdef8を開くには、キーがいる。
ハッ!!?汗
キーが無い。
そうだ...これは、俺のじゃない。
!!?
クソッ!
クッ!
ダメだ...。
くそっ...。
と、届かない...。
!!?
...グッグッグッーーーー...
ダンバーが降りて来る!?。
...ウィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...グッグッグッーーーー...
...ウィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン......ウィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
だ、ダンバーが。
次々と降りて来る。
!!?
ダンバーが僕を包んでいく。
操縦席まで運んでくれる。
パイロットデータも無い。
識別も出来ないはずなのに。
...ググゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーー...
ジャミーが正面を向き始める。
なぜ!?。
...ガタン!ダン!ダン!ダダンダンダン...
痛っ。
フォトスタンド...。
床に落ちていく。
ナムジーと、サムサ、僕。そして、ウルヘリエス...。
ジャミーの機材を撮った写真。
たまたま、みんな写ってる。
ウルヘリエスは、横を向いて笑ってる。
見ててくれ。
ウルヘリエス。
...ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...
...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
バックホーンが点火した!!?。
『...て、点火した...ば、バカな...。パイロットがデータはリジェクトされたのに...。84と乙型はデータ形式が...』
『...そんなこと何でもいい!!整備隊!!リュウ•アーデンをサポートしろ!!...』
『...は、はいっ!!...でも、パスタップ...あっ、あっ、あっ!!..パスタップdef8 ANDo開きます!!パスタップが!!パスタップが!!...』
う、動く...。
ジャミーが...。
俺が動かせる...。
操縦は84とまるっきり違う。
レバーや、操縦桿も。
『...リュウ来るぞ!!ゴーグが!!耐衝撃体制!!...』
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
来る!。
「来い!!化け物っ!!!おおぉぉぉぉりゃあああああ!!」
『...ば、バカ、リュウ!!無茶するな!!まともにぶつかるな!!あ、危ない!!...』




