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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
194/364

ダヌアの空に35


...スガゴーーーーン!ドダン!ズドン!...


「オーライ!オーライ!ちょっと右に曲がって!あと、少しだけ腰を下げてください!。そうです!そのまま!その調子!」


赤い大型トレーラーコンテナ車。


レッドアロー。


医療用の装甲車だ。


中から鋼鉄の巨人が降りて来る。


後ろ向きに、這いながら。


巨人が膝を変え、手を置き換える度に、コンテナは激しく揺れる。


重く硬いスプリングが、まるでやじろべえみたいだ。


ジーンは重過ぎる。


ゆっくりとジーンは下がって来る。


まるでハチミツを探しているクマのようだ。


...スドダーーーーン!ドダン!ズドン!...


もう少し。


「あと少し。そのまま!。オーライ!オーライ!」


...ガッッ!ガガガ...


肩が、壊れたハッチを通過する。


もう少し。


レッドアローの壁が肩に引っかかった。


ジーンも苦しそうだ。


...ズドン!ドドドド!ドドーン!ドーン!...


ジーンの左の膝がダルバザの大地に着く。


装甲車やジープが浮き上がる。


レッドアローのフロントが少し浮いた。


ジーンは、やっとレッドアローを出た。


四つん這いのまま、全く動かない。休んでる。


ジーンにとっては、紙の箱を壊さずに出て来るようなもの。


凄く神経を使っただろう。


でも、そんなことより、高圧路が胸にあるジーンにとっては、危険な体勢だった。命がけの。


...ガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッ...


...ユッサ、ユッサ、ユッサ...


激しく地面が揺れる。


!!?


何だ?!。


...ブゥボボオウーーーーー!...


レッドアローの真横で砂煙が上がる。


...ババババババババババババババババババババババブゥヲォォーーーッ...


噴き出してる。


まだ振動してる。


小刻みに。


「...ゴーグだ!!ゴーグだぁ!!」


え?!。


100度線を通過したところじゃ...。汗。


装甲歩兵が走り出した。


ラジュカム(アフロダイアルマダイ通信機)から離れている者に伝令にいく。


...ドバウーーーーーン!!...


...ガガガガガガババババババババババババババババババババババブゥーーーーーー...


土が噴き上がる。


地面から出て来た。


巨大な何かが...。


白い、いや、人間の肌のような色...。


耳がある。


大きな大きな耳が。


レッドアローを包み込むほどの大きさ。


少し毛も生えてる。


あ、あ、頭だ!


人間、いや、巨人の!。


デカい...。


巨人の頭は回転しながら地上に出て来る。


動きが変だ。


...ドンドーーーーーーーーーン!!...


ち、違う...。


巨人じゃない。


緑色に光る目。


複眼だ。


でも、鼻もある。


短く削ぎ落とされたような巨大な鼻。


その下は、くしゃっと潰れ、唇もなく、いきなり無数の黒くて長い牙が生えている。


牙は地面に突き刺さってる。


それでも人の顔だ。


眉毛がある。一本一本が黒い触覚だ。食虫植物のように蠢いている。


...ドドドドドドドドドドドド...


レッドアローに向かって進み始めた...。


黒い長い牙を巧みに動かして。


頭しかない。


...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...


民家よりも遥かに大きい。


ファザスの中に現れた。


ファザスフォーメーションは、地面には展開していない。


こいつはそこを突いて来た。


レッドアローが簡単に押し潰されてしまいそうだ。


巨大なヤドカリ...。


人のような頭は、きっと擬人頭のようなものだ。ウィンテルンと同じ。


ヤドカリの殻のような役目...。


【...ヤマーーーーゥェン...ヤマーーーーゥェン...】


うわっ!。


喋った?。


メルクセ語?。


もしそうなら人間という意味だ...。


ダルカンの比じゃないほど低く大きな音。


擬人頭が喋った。


殻じゃない!。


!!?


こ、こ、こっちを...。僕を見てる。


緑色の複眼で。


動きながら擬人頭の表情が変わる。


口をパクパクさせている。


『...ジーン!ジーン!聞こえるか!ジーン!...』


副長の声だ。


ジーン!ジーーーン!!


ま、まだ動けない...。


..キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴ...


..キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴ...


ティゲル(航空戦車)が二機来た。


...コーーーーーコォーーーーーコーーーーーーーーー...

...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーー...


上空に5機のジグルス〔※1〕(砲撃戦闘機)


〔※1ジグルス:戦闘機。ティゲルより高速、小回りが効く。砲撃力はティゲルより弱い。〕


旋回して行く。


100度線の方だ。


別の二体のゴーグを討伐しに行く。


長距離からのミサイルや、ヒットアンドアウェイの粒子砲撃は、きっと有効だ。


ゴーグは対応できない。


問題は、至近距離にいるこいつ。


...バババババババババ...


ゴーグの全身を緑色の光が駆け巡る。


!!?。


...ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!...

...ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!......ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!...


ヤドカリが、巨大な坊主のヤドカリが、複眼から光線を出した。


坊主の目は別々に動く。


まるでカメレオンみたいに。


緑色の光は、サーチライトのように朝の空を縦横無尽に切り裂く。


これは...ジルカンダーの艦首砲と同じ色。


まさか、エネリウム...。


!!?


...ドーーーーーン!...

...ガシャン!...

...ドン!!ボウゥウウン!!...

...ガツン!...

...ズゴーーーーーン!...

...バキーーン!...

...ッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


あっ!!。


あぁぁ...あ...。


全て撃ち落とされた。


...バラバラバラバラバラバラバラバラバラバラ...


...パラパラパラパラパラパラパラパラパラパラ...


...バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリドーン!ドドーン!ドーン!バリバリバリバリ...


破片がファザスの上に落ちて蒸発していく。


バカな...。


さっきもこれで...。


...ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...


ゴーグは間を置かず、突進して来る。


鉄の杭を地面に打ち込むような音だ。


『...ササーン、間も無く100度線!ササーン間も無く100度線に到達!...』


『...おぉぉ!ササーンが!ササーンが第二形態に移行します!ササーンが第二兵曹に!!...』


第二兵曹?。


嘘だろ?。


ゴーグは雑魚のはず。


ダルカンがもう次の形態に移行した。


...ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...


ぶつかる!!。


あぁぁ!。


レッドアローが...。


バンさんが...副長もいる...。


あ?。


違う。


俺だ。


俺目掛けて来てる。


嘘だろ?。


うわああぁぁあぁぁあぁぁ!!


...ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...


デカい!。


民家なんかより全然デカい!!。


牙なのか脚なのか分からない。

塔のようにそびえてる。

真っ黒でまるで鋼のように見える。


見上げるそれは巨大な坊主だ。


途轍もなくデカい。


もうダメだ...。


奴が、真っ黒な鉄塔みたいな脚を振り上げた。


ジーン!ジーーーン!助けて...。


ジーンは、ゆっくりと立ち上がる。間に合わない。


...ズゴーン、ガゴーーーン、ズゴーン、ズゴ、ズゴン...


走って来る。


『...させるかぁぁっ!!...』


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!...


斜め横から、何かがゴーグに激突した。

黒い大きな鉄の塊。


ジャミー乙型だ!。


黒の機体にピンクのリボンのペイント。


ウルヘリエスだ!!。


助けに来た!!。


...ガッシャアーーーーーーーーッ!...


破片が飛び散る。


「ウルヘリエス!!ウルヘリエス!!無理するなぁーー!!」


思いっきり叫んで手を振った。


ゴーグが僕をまた見てる。


傾いたコックピット越しに、ウルヘリエスが右手で軽く敬礼してる。


あ、ありがとう...。カッコ良い!ウルヘリエス!。笑。


ウルヘリエスのジャミーが、ゴーグに激突した。


ゴーグは高さでも乙型より大きい。


!!?


ま、まずいっ!。


ウルヘリエスのジャミーが宙に浮いてる!。


...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


弾き飛ばされた!!。


ゴーグは、俺の方を向いてる。


やば。


やばい!。


...ゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーー!...


ジーンが吼えた。


ゴーグはジーンに気づいた。


今のジーンはゴーグより全然小さい。


...ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...


ゴーグは、ウルヘリエスのジャミーに向かう。


ジーンを嫌がった。


...バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ...


ゴーグがウルヘリエスのジャミー乙型に乗り上げた。


あぁぁ...。


...ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ...


鋼鉄のようなその黒い牙?脚?をコックピットシールドにぶつけてる!。


人間のいる場所を知ってるのか?!。


「ウルヘリエス!ウルヘリエス!!逃げろ!逃げろー!!。ウルヘリエスーーっ!!」


このタブレットからは、発信できない。


聞こえる訳ない...。


気絶してるのか?!。


食われてしまう!。


ウルヘリエスが!。


『...こぉのお野郎ーーーッ!!...』


!!?


...ズドン!ズドン!ドドン!ドゴーン!...


ピンク色のジャミー乙型が突進して来る。


Z7ジャスミンだ!


...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!...


Z7が思いっきりゴーグに激突した。


『...シュゥウウゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ...』


耐衝撃ジェルが噴き出してる。


ゴーグはビクともしない。


『...ゴボッ!ゲッホ!ゴホ!ゲホ!...』


ジャスミン!。


血を吐いてる...きっと。


ここじゃ、粒子砲撃は使えない。


...ゴゴン!ボゴバリバリバリバリ...


「ウルヘリエスっ!!ウルヘリエスっ!!」


ウルヘリエスが...ウルヘリエスが...。


そ、そんな...。


そんな...。


コックピットを破壊された!。


ゴーグの脚?牙で貫かれたウルヘリエスが、運ばれていく。


血だらけだ...。


ウルヘリエスが食われる!!。


『...クッソ!この野郎ーーーッ!!離せぇえ!!』


...ググググググーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


Z7がゴーグを押しのけようとしている。


...タン、タ、タンタンタンタン...


Z7の機体が軋んでる。


Z7は手を伸ばして、ウルヘリエスの運ばれた牙の中に左手を入れようとしてる。


うわっ!


...バゴン!ゴゴーーーーーーーーン!!...


Z7の左アームが火を噴いて、千切れた。


...ドンドーン!ザザザザザザ!ガゴン!...


...ドーーーーーン!...


吹き飛んだ左アームがレッドアローに激突する。


力に差があり過ぎる。


あぁぁ...。


ゴーグの口?牙の辺りから血が噴き出してる。


脚が、人間の右脚が、地面に落ちた。


ウルヘリエスの脚だ...。


細くて長い脚。


うわあぁぁ。泣。


ふざけるな。


ふざけるなよ!!。


ウルヘリエスが...。


...バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ...


あ!あ!あぁぁ!!


こ、今度はジャスミンが危ない...。


貴様!!。


許さねぇ!!。


絶対に許さねぇ!!。


ブチ殺してやる!!。


お、俺のジャミーが、俺のジャミー!!。


クソッ!!。


クソッ!!。


クソッ!!。


!!?


ゴーグの目がまた緑色の光を纏い始めた。


また、撃たれる。


まずい!。


...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!...


...ウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!...


...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!...


ジーンから。


ジーンの身体から爆発音。


そして、ジェットエンジンのような凄まじい音...。


...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーボボボボボボゴゴゴゴゴゴゴゴーーーー!!...


ジーンが咆哮を上げた。


ジーンが光を、全身から光を放ちながら巨大化していく。


...ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...


ゴーグが!!。


...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


ジーンに激突した。


...キーーーーー...キーーー...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


ジーンの中からの回転音が弱まって行く。


...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


また激突する。


...キーーーーー.....キー...


回転音が更に不安定になる。


...ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!...

...ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!......ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!...


ゴーグが複眼から緑の閃光を放った。


...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...

...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...

...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...


ジーンの身体でエネリウム光線が炸裂する。


...シャアァァーーーーーーーーーーーーーーーー!!...


...ボタボタボタドボドボドボドボ...


ジーンの身体から体液が噴き出している。


ぁぁ...。


右肩から腕ごと吹き飛ばされた!。


『...ジーンを援護!!ジーンを援護しろ!!ジャスミン!!ウルヘリエス!!何をしてる!!...』


副長だ。


近過ぎて把握できてない。


ウルヘリエスは、ウルヘリエスは...。


ジャスミンのコックピットは、血だらけだ。


奴はジーンが形態を移行させないようにしている。


頼みのダルカンが、雑魚のゴーグにこんなにやられている。


...ブゥボボオウーーーーー!...


...ババババババババババババババババババババババブゥヲォォーーーッ...


...ドバウーーーーーン!!...


...ガガガガガガババババババババババババババババババババババブゥーーーーーー...


も、もう一体出てきた。

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