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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
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ダヌアの空に25

...ギギギギギギギギギギィーーーーェッッッッ!!


吠えてる。


暗闇の中で、頭だけ如来の巨大なムカデ ウィンテルンが。


ルイスさんのレオパード(最重量陸上戦車)に照し出されてる。


レオパードの強烈なペギリウム※ライトに。


※ペギリウム:アフロダイエネルギーを受け強力に発光する鉱石。


...ドゥンドゥンドゥンドゥン...ドド...ドゥンドゥンドゥンドゥン...ドド...ドド


レオパードの粒子エンジンの音が、暗闇にこだまする。規則正しく。


レオパードのエンジンはアルマダイエンジンだ。


ウィンテルンはかつて、アバウクというゾーグの小国の、守護神だった存在。

ウィルハという名の神の使いだった。


デューンの圧倒的な国力、そして、科学力の前に、神の使いウィルハは捕えられ、最も下等な生物と結合させられた。


最も繁殖力の強いゾーグムカデと。


ウィルハの持つ、破壊のアルマダイを、癒し、生命のエネルギーに変える崇高な力は、ムカデの繁殖力によって、怪物達の単なる餌として増産された。


アバゥクの人々は、変わり果てたウィルハを見て絶望し、滅ぼされるまでウィルハが下等動物に成り下がったことを受け入れられなかった。


『... ギャアアアアアアアアアーーーー!!!ひっ!ひっ!うわっ!うわわ。ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!! ...』


何だ!!?


えっ!!?


何だ?...この声、まさか...


僕のジャミーのコックピットから大音量で響いてる。


ジャミーはハッチを開けたままだ。


この雨の中。


ラジュカム(携帯通信端末)のコードが抜けたパスタップ(変化暗号通信機)から大音量で。


『...うっわああああああ!あっ。ひっ!。だ、誰かぁ、だ、...』


『...ガリガリガリガリ...ゴンゴンゴンゴン ...』


た、タブルだ!。


タブルの声だ。


タブルの機体は、ウィンテルンにかじられてる。


た、助けなきゃ!。


行こう!。


タブルを助けに!。


ベチャ!。グチャッ!。


ガッ!!


痛っ!。


誰が...。


う、腕、掴まれた...。


凄い力だ...。


「待て。リュウ。落ち着け。」


副隊長だ。


「で、でも。」


「待て。危険だ。」


「でも、た、タブルが!。」


「おまえは助けられるのか?。84は乙型より出力も弱い。高圧炉も無い。」


「は、はい...。」


『... ギャアアアアアアアアア!!ひぃっ!ひいぃっ!!...』


『...ガン!ガン!ガン!ギリ!ギリ! ...』


「タブル!!タブルッ!! 」


タブル!。どうしたら...。


「バックホーンが...。よし、ここから指示を出す。おい。デュークに繋げ!」


副隊長が指示を出す。


『... あぁあぁ!見てられねぇ。このままじゃやられちまう。俺がやる。副長。こっちの方が近い。デュークの説明はガキにゃ分かんねぇ。多分。 ...』


バンさんだ。


『... バンさん!どうする?!。まさか丸腰ででてくなんて... ...』


『... 安心しろ。リリー。そこまで無鉄砲じゃねぇ。俺には役目がある。副長!ジャイロ副長!俺がやる! ...』


「バン!。お前たちは帰って来い!。ヒルの中にウィンテルンが寄生してることは分かった。」

『... バン!。お前たちは帰って来い!。ヒルの中にウィンテルンが寄生してることは分かった。 ...』


副隊長のラジュカムからの音声と肉声がダブって聞こえる。


『... いや。この数じゃ進めませんよ。何とかせにゃ!。オグワンをここへ呼べませんか。...』


「オグワンを?」

『... オグワンを? ...』


『... 衛星砲です!衛星砲なら!。 ...』


「なるほど...。ちょっと待て。おい!ダン!!おい。」

『... なるほど...。ちょっと...待..お....ダ.. ...』


『... J5!。聞こえるか!。おい!J5!! ...』


『... ギャアアアアア!!た、助けて!!助けて!!誰か!誰かぁ!!! ...』


『... おいっ!。おい!!J5!! ...』


『... ギャアアアアアアアアアアアアアーーーー!!! ...』


『... だ、ダメだこりゃ ...』


『... あ!あっ!!ギャアアアアアアアアアアアアアーーーー!!! ...』


『... どうする?。こいつ完全にパニクってる。どうしようも ...』


『... リリー。セブンを近づけてくれ。 ...』


『... おい、おい、バンさん。まさか生身で行くつもりじゃ ...』


『... しょうがねぇだろ。3人も犬死にさせらんねぇ。...』


『... えぇ!マジか!?や、やめよう。生身は。ザコでもバックホーン食い破るような奴だよ。ウィンテルンは。 ...』


『...もしバックホーンが起動したら...エネルギーダダ漏れだ。見ろ!。ローラーが回ってる。あいつ高圧炉のパネル開いてる。...』


『... 確かに...。何やってんだ...。一体。 ...』


『...特戦隊は何の訓練してんだ全く ...』


『... 乙型ならウィンテルンなんて軽いのに ...』


ゴ...ゴーーーーーーーン...!!

...ズーーーーーン!!

ゴゴゴゴ....ギギギギ...

フワッ

ズゴーーーーーーーーーン!!


ここにいるウィンテルンは、ルイスさんのレオパードに体当たりを続けてる。


頭部こそ如来だけど、奴はただの虫だ。


鋼鉄のように重いはずのその長い身体。

まるで綿毛の上を歩くように軽やかに動く。


ウィンテルンをレオパードと囲んでいる二人のダルカンは腕を組んでビクともしない。


...ドーン...ドンドーーーン...ドーーーン...ドンドーーーン...


この人たちの高圧炉の音...。まるで鼓動のようだ。この人たちのは自然炉。虫だ。アルマダイエンジンに近い働きをする。


二人とも30m近い体長がある。


っていうか、ウィンテルンが現れると同時に、突然こんなにデカくなった。


間近でこんなの初めて見た。


普通の、って言うか、ただの格闘家のおじさんが、突然鉄の巨人に。


昔、ダヌアの博物館で、アルマダイに直接触れた人の顔の標本を見たことがある。


触れた顔の一部だけ、青あざになり、5倍に肥大化して、角みたいな真っ青な毛が生えて...それは、もの凄いことになってた。


正直な所、他のラキティカの人達が何でこのおっさん達にビビってるのか分からなかった。


何か騙されてるのかなって。


でも、そうじゃなかった。


普通のおじさんが何でこんなになっちゃうんだろう。


まるで別の生き物。恐ろしいほどだ。


車のヘッドライトみたいに光る目で、仁王のようにウィンテルンを睨みつけてる。


何で目がこんなに光るの?。


ライト。ペギリウムのライトでもついてるみたい。


人なのに?。


あの地味なおじさん達が。


これが兵曹...。

普通の人がこんなに恐ろしい姿に。


大闘技場で勝ち残ると、バハヌノアで生き残ると、こうなるんだって。


鍛えられて、苦しんで、そして千年虫に取り憑かれて、こんな怪物になるんだって。


ダルカンは、その重い金属質な脚で、今にもウィンテルンを踏み潰しそうだ。


ウィンテルンも相手を選んでる。

一番弱そうなレオパードを狙ってる。


でも、レオパードもビクともしない。

レオパードは、ハイドラ最重量の最強戦車。


『... ギギギギギギ!!!...』


『...うわわ!。危ねぇ。 ...』


!?


リリーさんが...。


いくらなんでも、こんな化け物に生身で。


「副長!。やっぱり、自分に行かせて下さい!。」


「おまえが、行ってどうする?。」


「自分なら、夜間走行もイケます!。84の制御なら誰にも負けません。アギュラーを!バンさん達を護衛できます!」


「なぜそう言い切れる?。」


「...ジャイロ。行かせてやれ。...」


ダン隊長が...。


「........。奴の力は強い。リュウ。複数に巻きつかれたら逃げられん。猛毒も持っている。絶対触るな!。...気をつけろ。」


「ありがとうございます!。」


僕はジャミーに向かって走った。


ジャ、ビチャ、ジャ、チャ!ジャッ、ジャッ!ジャ、ビチャ、ジャ、チャ!ジャッ、ジャッ!ジャ、ビチャ、ジャ、チャ!ジャッ、ジャッ!


何も見えない。


真っ暗闇だ。


ライトから離れると何も見えない。


雨に髪が濡れてる。

小雨だと思ったけど、結構ビチャビチャになる。


ハッ...ハッ...ハッ...


息が上がる


泥が跳ねる。


グズズゥ!


うわっ!


足を取られそう。汗


ジャミーは?


僕のジャミー...


あれ??。


ハッ...ハッ...ハッ...


...バッシィィ!!


「痛てぇっ!。」


枝が当たった...。


痛い。


こんな所に木が。


あれ?。


パスタップの音が消えてる...。


ジャミーなら暗闇は大丈夫だけど。


こんなに見えないもの?。


あれ?どこだっけ?。


ハァ...ハァ......ハァ...ハァ......


何で?。


やば。


辿りつけなかったりして...。


木のところ、大木の所まで戻ろう...。


方向が...。


イグニッションでパッシングさせ...。


あれ!?。


あれ!!?。


イグニッショ....あっ!!!。


差したまま。汗。


ハァ...ハァ......ハァ...ハァ......


ヤバい!!。


分かんない!。


バンさんが!、バンさん達が...。、


ジャッ!


あれ!!?。


副長にあんなに強く言ったのに...


...ギギギギギギギギーーーー...


何でウィンテルンの鳴き声が...。


ハァ...ハァ......ハァ...ハァ......


何でここに。


やっば!。やっばい!。


...ギギギギギギギギーーーー...


ここで遭遇しちゃうパターン?。汗。


俺のジャミー乗っ取られてたりして...汗。


ハァ...ハァ......ハァ...ハァ......


あああ!!ヤバい!。


バンさん。リリーさん。タブル...。


やばいよ。


あ、そうだ!。


音声認証だ!。


「パ、パ、...ハァ...パイル、ダー!。」


ダメだそんなんじゃ。


俺のバカ!。落ち着け。


「パ、パイルダー!。」


ダメだ...。


「マジか...。」


......グググゥゥ......


やった!。反応した。


あっちの方だ。


「パイルダーッ!!。」


...グググゥゥ...


良し!。


コックピットシールドが反応してる。


近づいてる!。


そうだ。


ライト!。


ライト!。


「ベッドライト!!。ベッドライト!!。パッシング!!。」


ダメか?。


パシッ!


パシッ!


パシッ!


パシッ!


キター!


いたっ!!!。


暗闇に澄んだペギリウムの青い光が。


ジャミーが僕を呼んでる。


あと200m。


「パイルダー!パイルダーオン!セッツ!!。」


『...ダァッ...』


ジャミーが叫んだ。


命令を受けた合図だ。


ジャミーがコックピットを下げ始めた。


僕を乗せるため。


ゆっくりと。


良しいいぞ!。


ジャ、ビチャ、ジャ、チャ!ジャッ、ジャッ!ジャ、ビチャ、ジャ、チャ!ジャッ、ジャッ!ジャ、ビチャ、ジャ、チャ!ジャッ、ジャッ!ジャ、ビチャ、ジャ、チャ!ジャッ、ジャッ!ジャ、ビチャ、ジャ、チャ!ジャッ、ジャッ!ジャ、ビチャ、ジャ、チャ!ジャッ、ジャッ!


もう少し...。


あれ...。


何か変だ...。


ジャミーの足元。


大きなモヤが動いてる。


何か蛇みた...。


!!!?。


こっちを振り返った...。汗。


目が光ってる。


如来のような頭部。


ギギギギギギギギギギィーーーーェッッッッ!!


ギギギギギギギギギギィーーーーェッッッッ!!


ジャミーの足元で横たわってる。


ウィンテルンだ!!。


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