バグースの砂獣4
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ガタガタガタガタ
...ガラン、ゴローーン...ドドーン..ガラン...ゴローーン...ズッドーーーーーーーーーーーーーーン...ゴロン...ズドーーーーン
振動がまた大きくなった。
地震とは違う。
縦の揺れが酷い...。
立ってられないほどだ。
...ウゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーー...ウゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーウウーーーーーウゥゥーーーーーー...ウゥゥゥゥーーーー...ガラン、ゴローーン...ドドーン..ガラン...ゴローーン...ズッドーーーーーーーーーーーーーーン...ゴロン...ズドーーーーンーーーーーーーーーーーー...ウゥゥゥゥーーーーーー...ガラン、ゴローーン...ドドーン..ガラン...ゴローーン...ズッドーーーーーーーーーーーーーーン...ゴロン...ズドーーーーンーーーーーーーーーーウウーーーーーウゥゥーーーーーー...ウゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーー...ウゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーウウーーーーーウゥゥーーーーーー
たくさんの砂獣の雄叫びが聞こえる。
それに木や岩の崩れる音も。
荒れ狂う大地は、鎮まりそうにない。
バグーの砂獣達は、希望島(サバラン最大のオアシス。砂上の島。)を迂回せず、真正面から激突して進んでる。
大きな半島が簡単に破壊されていく。
シーボルは、アトラの黒い兵曹が連れて行ってしまった。
シーボルの治療をしてくれると。
あたしは、必死に止めろと言ったけど、シーボルは聞こうともしない。
あたしに迷惑かけたくないって。
迷惑なもんか...。長い長い友達じゃないか。
思い出のたくさんある場所で大好きで大切な思い出に囲まれて穏やかに最後を迎えるつもりだった。
ここを手放して行くくらいなら、生きてる価値なんか無いと思った。
でも、間違いだったかね。
間違えたかね。
トンバやチィちゃんにもう一目会いたい。
そして...。
あんた。ごめんよ。
宝物ってのは、家族のことだね。
今頃気づくなんて。
あたしゃ...。あたしゃ、バカだよ...。
...ズドーーーーーーーーーーーーーーン!
...ズズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
...ズドーーーーーーーーーーーーーーン!!
...ズズドーーーーーーーーーーーーーーン!
ハイカーがゆっくりと谷を降りて行く。
...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
飛行機のエンジンのような音をさせながら。
...ズドーーーーーーーーーーーーーーン!
...ズズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
...ズドーーーーーーーーーーーーーーン!!
...ズズドーーーーーーーーーーーーーーン!
メフィラス塔の横を通り過ぎる。
...ガタンガターーーン
メラフィス塔が左右に激しく揺れる。
頭一つ大きい。やっぱり。
背中の風車が赤い光を放ってる。ネオンの渦巻きみたいに。回転してる。ゆっくりと。
放電翼って言うらしいね。
熱と余分なエネルギーを放出するんだって。ハイドゥクみたいに...。
...ズドーーーーーーーーーーーーーーン!
...ズズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
...ズドーーーーーーーーーーーーーーン!!
...ズズドーーーーーーーーーーーーーーン!
ハイカーがオアシスに向かって斜面を下ってる。
泳げるのかい?。
ルビアナは水深が深い。タンジアのバイキールと同じくらい。
湖底でボルガ大河に繋がってる。
海みたいに大きくて、底知れぬほど深い。
ルビアナは、この湖の名前。ルビーのような湖ルビアナ。
美の女神ルビアの住処。
民の身代わりとなり悪神アジャイロに焼き殺された。ナジマの妹ルビアナ。
そのピンク色はここの鉱石の色。
そして、いつの間にか、この街の、そしてこのオアシスの名になった。
...ズドーーーーーーーーーーーーーーン!
...ズズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
...ズドーーーーーーーーーーーーーーン!!
...ズズドーーーーーーーーーーーーーーン!
ピンク色の女兵曹が歩いて行く。
...バキバキバキバキ
...バリバリバリ
...バキバキバキバキバキバキ
ルビアナ湖畔の木々を踏み倒して行く。
...ヒーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハイカーが湖面を光で照らし始めた。
何かを探してる。
食べ物かい?。
あんなに大きいから、さっきの奴らじゃ足りないんだ...。
...ズドーーーーーーーーーーーーーーン!
...ズズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
...ズドーーーーーーーーーーーーーーン!!
...ズズドーーーーーーーーーーーーーーン!
ハイカーがルビアナに入って行く。
肩まで水に浸かった。
もっともっと深い所がある。
海溝のように、もの凄く深くなってる所がある。
ルビアナは70キロノードの幅がある。1番狭い所でも16キロノード。ハイカーが向こう岸まで海溝に沿って歩いて行く。
スーーーーー
ハイカーがゆっくりと湖を歩いて行く。
静かに。
緩やかに。
波紋が広がって行く。
まるで隠れて行水をする天女のようだ。
スーーーーーーーーー
そっと移動してく。
何十分もそのまま。
ルビアナは広い。
浅瀬でハイカーが止まった。
腰くらいの水深の所。ほとんど向う岸だ。
!?。
なんだい?!。
ドーーーーーーーーーン!!
うわ!。
水柱が上がる。
ウゥゥゥゥーーーーーーーー!!!
キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
10キロ以上離れてるのに、凄い音だ。
ジェットエンジンの100倍くらいの音。
...バシャバシャバシャバシャバシャバシャ...
湖面の水が激しく暴れ出す。
...バシュバシュバシュ...
水が...弾けるように蒸発してく。
...バーン!バシーン!!バン!バシーン!...
水がハイカーに触れて爆発する。
煙幕みたいに消えてく。
突然、ハイカーの周りの水が荒れ狂う。
水蒸気がすごい。
モクモクと...。
入道雲のように水が蒸発して行く。
ハイカーの周りの空気が熱で歪んで見える。
ブゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
ハイカーの背中の風車が光ってる。
太陽みたいに強い光を放ってる。
ブゥゥゥゥンズズズズズズズズ
ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハイカーの腕が伸びていく。
ズバシュウッ!!。
ズバシュウッ!!。
二本の腕が湖面に刺さる。
熱で激しく水煙が舞う。
ハイカーの巨体は前傾になった。
...バスッ!...バスッ!..シュン!...バス!...バス!...シュンッ!...バスッ!...シュンシュン!...バスバスバスッ!...シュンッ!...シュンシュンッ!バスッ!...バスッ!...バスッ!..シュン!...バス!...バス!...シュンッ!...バスッ!...シュンシュン!...バスバスバスッ!...シュンッ!...シュンシュンッ!バスッ!...バスッ!...バスッ!..シュン!...バス!...バス!...シュンッ!...バスッ!...シュンシュン!...バスバスバスッ!...シュンッ!...シュンシュンッ!バスッ!...バスッ!...バスッ!..シュン!...バス!...バス!...シュンッ!...バスッ!...シュンシュン!...バスバスバスッ!...シュンッ!...シュンシュンッ!バスッ!
ハイカーの腕や身体から幾つものアンカーが飛び出した。
ズドーーーーーーーーーーーーーーン!!
キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハイカーからまたジェットエンジンのような音が。
ハイカーが変形し始めた。
いつの間にか、さっきの黒い兵曹が対岸にいる。
...グゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!...グゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!...グゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
!!?。
また咆哮が。別の方角から。
今度のは大きい。
...ズドーーーーーーーーーーーーーーン!
..ズズドーーーーーーーーーン
..ズドーーーーン
山の裏から、またピンク色の兵曹が。
ハイカーよりも、濃いピンク色。
ルビアナにこの兵曹達は関係あるのかしら。
あの山と同じ高さ。70mくらい。
ハイカーと同じようにルビアナに向かって降りて行く。
形からしてやっぱり女の兵曹。
金属のような重厚な皮膚。
目は4つ。
ハイカーよりも切れ上がった鋭い目をしてる。
同じように黄色い光を放つ目。不覚だけど綺麗に見えてしまう。
目の奥が鏡か宝石のように輝いてる。
ハイカーのように穏やか雰囲気じゃない。
とても気が強そうだ。
そして、自信に満ちてる。
まるで女王様のようだ。
ツートンの綺麗な塗装。
重そうな身体。
そして、スマートで素早そうだ。
ハイカーもそうだけど、他の兵曹と違って洗練されてる。
!?。
これがウルスラ?。
ウルスラだ!。
...ズドーーーーーーーーーーーーーーン!
..ズズドーーーーーーーーーン
..ズドーーーーン
間違いない。
あれがハイカーなら、これはウルスラ。
タルカントをバクーから護ってる。
ウルスラはルビアナのこっち岸で止まった。
ウルスラのつや消しの銀色の肌が、湖面の光を反射してる。
ズドーーーーーーーーーン!!
キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ウルスラの身体からも爆発音が響く。
ウルスラも変形し始めた。
ウルスラの背中には戦闘機やスポーツカーにのように幾つも羽根やウイングが広がり始めた。
身体の線と同じ濃いピンク。色んな形、方向の羽根を。
ウルスラは、高速で移動する。ウルスラの機動力は世界最速。
そして、頑丈。
ゴゴゴゴゴーーーーーーー
ゴゴゴゴゴーーーーーーー
ゴゴゴーーーーーーー
ゴゴゴーーーーーーー
幾つものブースターがせり出して来る。
変形し終わったウルスラはピンクの戦闘機にもスズメバチにも見える。
飛び立つ前の蜂のように、反重力板のウイングが唸っている。
右の肩には大きな大砲。
ウルスラの目と同じ。大砲の中はホントに宝石みたいだ。
ブワン!
ウルスラの重い巨体が、一瞬で浮かび、ハイカーのいる対岸に着地した。
10キロノードはある距離をひとっ飛びだ。
ゴゴゴゴゴゴゴ...
ハイカーの背中の大きな砲塔が、ハイカーの両方の肩に定着した。
ズドッズドッ!!
ズドドド!!
ハイカーの目から光線が。
バシュウッ!!!
眩しい。
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
ハイカーが森を、木々を薙ぎ払った。
...ガラン、ゴローーン...ドドーン..ガラン...ゴローーン...ズッドーーーーーーーーーーーーーーン...ゴロン...ズドーーーーン...ガラン、ゴローーン...ドドーン..ガラン...ゴローーン...ズッドーーーーーーーーーーーーーーン...ゴロン...ズドーーーーン
木々が宙を舞い、地面に叩きつけられる。
バシュウッ!!!
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
ハイカーが地平を隔てる森を薙ぎ払って行く。
ここから砲撃を行うつもりだ。私の目の位置からも地平線が見渡せるようになった。
地平線はもう狂ったようになってる。
津波みたいだ。
砂と巨大な生き物の群れが押し寄せて来る。
地鳴りとともに、大地がたわむ。大地震のように。
空に激しく砂が舞い上がっている。
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドゴゴゴゴ...ウウゥゥゥゥゥーーーーーーー...ウウーーーー...ウゥゥーーーーーーーゴゴゴゴドドドドゴゴゴゴゴゴゴゴドドドドドド...ガラン、ゴローーン......ウウゥゥゥゥゥーーーーーーー...ウウーーーー...ウゥゥーーーーーーードドーン..ガラン...ゴローーン...ズッドーーーーーーーーーーーーーーン...ゴロン...ズドーーーーンドドドドドドドドドドドドドドドゴゴゴゴ...ウウゥゥゥゥゥーーーーーーー...ウウーーーー...ウゥゥーーーーーーーゴゴゴドドドドドゴゴゴゴゴゴゴゴドドドドドドゴゴゴゴゴゴ...ガラン、ゴローーン...ドドーン..ガラン...ゴローーン...ズッドーーーーーーーーーーーーーーン...ゴロン...ズドーーーーンドドドドドド...ウウゥゥゥゥゥーーーーーーー...ウウーーーー...ウゥゥーーーーーーードドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドゴゴゴゴゴゴゴゴ...ガラン、ゴローーン...ドドーン..ガラン...ゴローーン...ズッドーーーーーーーーーーーーーーン...ゴロン...ズドーーーーンドドドドドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴドドドド...ウウゥゥゥゥゥーーーーーーー...ウウーーーー...ウゥゥーーーーーーードドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
砂漠を隔てる山々が次々と破壊されていく。
ついに来た。砂獣ヤーの大群が。




