ダヌアの空に19
...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...
100億の原住民が同時に太鼓をみだれ打つように、地鳴りが響く。
地面も大気も生贄を前に、興奮して泡立っている。
地平の彼方まで、茶色い生き物が群がっている。
100万体のオライドーンを繋いでいるイルクコアッド(根)が地中を移動する音だ。
オライドーンは、食人植物だ。動物だろうが人間だろうが生き物なら構わず食らう。
他のケラム地帯の獣と違わず、人間を好んで補食する。
それは、人間が美味しいからだけではない。遺伝子が入り組み過ぎた彼らには、人間のシンプルな遺伝子からできた素材が、彼等の進化を驀進させるからだ。
そして、無数の草でできた人喰い巨人を繋ぐ鎖 イルクコアッドこそ、オライドーンの本体だ。
情報収集型シムセプト アギュラーラムダの光学モニターが、悍ましい化け物達を映し出す。
...ギャァアアアアーーーー!!!
...ギギャァアアアアーーーー!!
...ゴゥオオオオォォォーーーーーー!!!
...キィヤアアアアアーーーー!!
オライドーンが侵攻して行く。ポイント ガレンルハンドに向かって。
もし、地獄があるなら、きっとこんな光景だ。
全ての怪物が、地中に埋まった深い根を引きずりながら全力で疾走している。
人型食人植物には、30mを超えるものもいる。妙にエロチックなその体型が余計に不気味だ。老人のように瘦せ細り、鋭く長い爪を引きずりながら進んで行く。
倒れる同胞を踏み潰し、邪魔な仲間を喰い殺しながら。
..ギャァアアアアーーーー!!!
...ギギャァアアアアーーーー!!
...ゴゥオオオオォォォーーーーーー!!!
...キィヤアアアアアーーーー!!
生まれて来た苦しみを呪うように、泣き叫ぶ。
鋭い牙だらけの口を大きく開けている。
口から見える体内は何も無い。
なぜこんな物が獰猛な動きをするのか理解できない。
枯れた草の様なその身体は、干からびたミイラにも見える。身体から生えている枝が芋虫のように蠢いている。
ズダーーーーン!!
中型の個体が倒れた。全身黒い突起が出来ている。
無数の黒い突起は、胞子嚢だ。
構わず他の個体が踏み潰して行く。
全身から黒い煙が噴き上がる。
胞子が大気にばら撒かれている。
風に運ばれる胞子は人間に寄生し、神経を乗っ取り支配する。そして、イルクコアッドに連れて来る。
一度寄生された人間は、どんなに泣きさけぼうが、悲しもうが、運命に抗うことが出来ない。
..ギャァアアアアーーーー!!!
...ギギャァアアアアーーーー!!
...ゴゥオオオオォォォーーーーーー!!!
...キィヤアアアアアーーーー!!
...ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ
......ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ...
オライドーンがガレンルハンドに迫る。まさに飢えた獣だ。
あそこには何がある?。
無数の生贄?。
それしか考えられない。
ガレンルハンドは、バインレノルズから150キロノードも離れていない。
もし、奴らのターゲットがバインレノルズだったとしたら...。
考えるだけでも、悍ましい。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーー
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーー
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーー
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーー
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーー
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーー
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーー
ジゼルベットが無数に飛来する。
アギュラーラムダのカメラが切り替わる。
アギュラーラムダは、無数のカナイヒャク(ヤドカリ型ロボット)の映像を受け取っている。
ガガガガガガガガガガ
ガガガガガガガガガガ
ガガガガガガガガガガ
ガガガガガガガガガガ
ジニリウム製のゲートが開く。
ガレンルハンドの地面が開き、ターシーエネリウムの砲台が迫り上がって来る。
8門の世界最大の砲塔。
地上数十ノードの高さがある。
砲塔に光の粒子が集まって来る。まるでホタルのように。
ブゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
キュワァァァーーーーーーーーー!!!。
...ズゴーーーーーーーーン!!!
...ズゴーーーーーーーーン!!!
...ズゴーーーーーーーーン!!!
...ズゴーーーーーーーーン!!!
ターシーエネリウム砲が次々と火を噴き、
地を薙ぎ払う。
....
ズドーーーーーーーーーーーーン!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
....
焼けるような閃光からキノコ雲が噴き上がる。
次々と。
無数の怪獣の身体が引き千切れ、宙に舞う。
ドーーン!ドーーンー!!ドーーン!
次々と落下する肉の塊が余計に地面を振動させる。
振動と熱でカナイヒャク(ヤドカリ型ロボット)が次々と破壊される。
しかし、100万の凶暴な怪物は無尽蔵だ。
化け物達は止まらない。
ガレンルハンドに迫っている。
キュワァァァーーーーーーーーー!!!。
...ズゴーーーーーーーーン!!!
...ズゴーーーーーーーーン!!!
...ズゴーーーーーーーーン!!!
...ズゴーーーーーーーーン!!!
ターシーエネリウム砲ですら、威力が足りない。
堪らず、上空のジゼルベット達も、粒子砲を撃ち降ろす。
雷雨のように。
ズゴーーーーーンズゴーーーーーン
ズゴーーーーーーーンズゴーーーーーン
ズゴーーーーーーーンズゴーーーーーン
ズゴーーーーーーーンズゴーーーーーン
ズゴーーーーーーーンズゴーーーーーーーン
ズゴーーーーーン
ズゴーーーーーーーン
ジゼルベットの粒子砲撃を、オライドーンの群れが弾き始めた。
オライドーンは、渦のような赤い光を纏っている。
ジゼルベットの砲撃は全く効かなくなってしまった。
オライドーンはシールドという防御を覚えてしまった。
2年前にアルバーンを襲撃した時より格段に進化している。
今、殲滅しなければ、オライドーンは人間の兵器では対処できなくなる。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
オライドーンがあっと言う間に、塔のように積み重なる。
次々とジゼルベットに取り付く。
ジゼルベットが、蟻の大群に群がられたチョコレートのように、食い荒らされ墜落していく。
鋼鉄よりも硬い黒いジニリウムの装甲が、オライドーンの唾液で溶かされていく。
オライドーンの唾液は金属をも腐らせて溶かしてしまう。
....
ズドーーーーーーーーーーーーン!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
....
ジゼルベットが次々と爆発し始める。
オライドーンは火を吐き始めた。
少しずつ威力を増していく。
次々と火焔を吐く。
また、威力が増した。
ズゴーーーーーーーン!
!!!?
遂に閃光を放った。
まるで粒子砲だ。
ズゴーーーーーーーン!!!
....
....
ズドーーーーーーーーーーーーン!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
....
ターシーエネリウム砲が大爆発を起こした。
予想外の破壊力だ。
残ったジゼルベットが高度を上げ逃れようとする。
....
....
ズドーーーーーーーーーーーーン!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
....
....
....
ズドーーーーーーーーーーーーン!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
....
無数の閃光が空に突き刺さる。
オライドーンの群れが、地上から光線を放ちジゼルベットを撃ち落とし始めた。
既にシシィは違和感を感じているだろう。
装甲騎兵は火など吐けない。
取りついて、ジゼルベットを墜落させたり出来ない。
オライドーンの群れが、ガレンルハンドに迫る。
....
ズドーーーーーーーーーーーーン!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
ズドーーーーーーーーーーーーン!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
....
ターシーエネリウム砲が次々と大爆発を起こす。
ガレンルハンドはもう終わりだ。
ガレンルハンドには一体何がある?。
オライドーンの数は全く減っていない。
もはや我々の身も危ない。
ボーーーーーーボボボボボボボボボボ
ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カナイヒャク達が巨大な艦影を映し出す。
ゆっくりと移動して来る。
半透明になったり、姿を現したり。
まるでふざけたタコのように。
ジ•ハーンだ。
なぜこの危機に、こんなにゆっくりと移動して来れるのか。
ガレンルハンドは、バインレノルズから150キロノードも離れていない。
ガレンルハンドの周りに張り巡らされた、電気柵にオライドーンが到達する。
単に、電気柵はゾーグ蛭に対するものだ。オライドーンの前では蜘蛛の巣ほどの防御にもならない。
にも関わらず、ジ•ハーンは自分の縄張りを護り終えたオコゼのように、白い多角形の施設ガレンルハンドの上を動かない。
ジ•ハーンはこんなに目前に迫ったオライドーンに慌てもしない。
ガレンルハンドは直径3キロノードと規模が小さい。ジハーンが余計に大きく見える。
ウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!
しかし、突然、エネリウムエンジンが唸りを上げジハーンが光を纏う。
ズゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
....
ズドーーーーーーーーーーーーン!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
ズドーーーーーーーーーーーーン!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
....
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
キノコ雲が噴き上がる。
100万体のオライドーンの群れのど真ん中でエネリウム砲が炸裂する。
、巨大なクレーターが出現する。
ジ•ハーンが主砲を放った。
オライドーンの群れは前後に大きく分断された。
だったの一撃で。
大地が波を打つ。
途端に二つに別れたイルクコアッドは、敵同士として、激しくぶつかり合う。
ジ•ハーンは、容赦無く主砲を放つ。
ゴガーーンン!ドドドーーーン!ズズドーーーーン!ズガーーン!ズガーーン!ドゴーーーーン!
...チカチカ...
....
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン
....
....ボボボボボボボボゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーゴゴゴゴ...
ゴガーーンン!ドドドーーーン!ズズドーーーーン!ズガーーン!ズガーーン!ドゴーーーーン!
チカーチカー
....
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン
....
....ボボボボボボボボゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーゴゴゴゴ...
ゴガーーンン!ドドドーーーン!ズズドーーーーン!ズガーーン!ズガーーン!ドゴーーーーン!
...チカチカ...
....
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン
....
....ボボボボボボボボゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーゴゴゴゴ...
ゴガーーンン!ドドドーーーン!ズズドーーーーン!ズガーーン!ズガーーン!ドゴーーーーン!
チカーチカー
....
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン
....
....ボボボボボボボボゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーゴゴゴゴ...
ゴゴゴゴゴゴゴゴ....
...ボウン...ゴゴン....ドゴーーーン
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ
大地に亀裂が入っていく。
ユッサユッサユッサユッサ
地面が大きく波打っている。
オライドーンは更に分断され、共喰いを始める。
愚かな生き物だ。
引き千切られ、焼かれていても、目先の敵しか認識出来ない。
そして、また容赦無くジハーンは砲撃を放つ。
ゴガーーンン!!ドドドーーーン!!
ズズドーーーーン!!ズガーーン!!
ズガーーン!ドゴーーーーン!!ゴガーーンン!!ドドドーーーン!!
ズズドーーーーン!!ズガーーン!!
ズガーーン!ゴガーーンン!ドドドーーーン!ズズドーーーーン!ズガーーン!ズガーーン!ドゴーーーーン!
...チカチカ...
....
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン
....
....ボボボボボボボボゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーゴゴゴゴ...
ゴガーーンン!ドドドーーーン!ズズドーーーーン!ズガーーン!ズガーーン!ドゴーーーーン!
チカーチカー
....
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン
....
....ボボボボボボボボゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーゴゴゴゴ...
ドゴーーーーン!!ゴガーーンン!!ドドドーーーン!!
ズズドーーーーン!!ズガーーン!!
ズガーーン!ドゴーーーーン!!ゴガーーンン!!ドドドーーーン!!
ズズドーーーーン!!ズガーーン!!
ズガーーン!ドゴーーーーン!!ゴガーーンン!!ドドドーーーン!!
ゴガーーンン!ドドドーーーン!ズズドーーーーン!ズガーーン!ズガーーン!ドゴーーーーン!
...チカチカ...
....
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン
....
....ボボボボボボボボゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーゴゴゴゴ...
ゴガーーンン!ドドドーーーン!ズズドーーーーン!ズガーーン!ズガーーン!ドゴーーーーン!
チカーチカー
....
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン
....
....ボボボボボボボボゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーゴゴゴゴ...
キノコ雲が次々と立ち上がり、地面が沸騰している。
愚かな、オライドーンは、僅か100匹近くなって、初めてジハーンの存在を知った。
もう、手遅れだ。
ゴガーーンン!!ドドドーーーン!!
ズズドーーーーン!!ズガーーン!!
ズガーーン!ドゴーーーーン!!ゴガーーンン!!ドドドーーーン!!
ズズドーーーーン!!ズガーーン!!
ズガーーン!ドゴーーーーン!!ゴガーーンン!!ドドドーーーン!!
ズズドーーーーン!!ズガーーン!!
ズガーーン!ドゴーーーーン!!ゴガーーンン!!ドドドーーーン!!
ズズドーーーーン!!ズガーーン!!
ズガーーン!ドゴーーーーン!!ゴガーーンン!!ドドドーーーン!!
ズズドーーーーン!!ズガーーン!!
ズガーーン!ドゴーーーーン!!ゴガーーンン!!ドドドーーーン!!
ズズドーーーーン!!ズガーーン!!
ズガーーン!ドゴーーーーン!!ゴガーーンン!!ドドドーーーン!!
ズズドーーーーン!!ズガーーン!!
ズガーーン!ドゴーーーーン!!ゴガーーンン!!ドドドーーーン!!
ズズドーーーーン!!ズガーーン!!
ズガーーン!ゴガーーンン!ドドドーーーン!ズズドーーーーン!ズガーーン!ズガーーン!ドゴーーーーン!
...チカチカ...
....
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン
....
....ボボボボボボボボゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーゴゴゴゴ...
ゴガーーンン!ドドドーーーン!ズズドーーーーン!ズガーーン!ズガーーン!ドゴーーーーン!
チカーチカー
....
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン
....
....ボボボボボボボボゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーゴゴゴゴ...
ゴガーーンン!ドドドーーーン!ズズドーーーーン!ズガーーン!ズガーーン!ドゴーーーーン!
...チカチカ...
....
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン
....
....ボボボボボボボボゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーゴゴゴゴ...
ゴガーーンン!ドドドーーーン!ズズドーーーーン!ズガーーン!ズガーーン!ドゴーーーーン!
チカーチカー
....
...ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーン
....
....ボボボボボボボボゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーゴゴゴゴ...
ジ•ハーンが容赦無く砲撃を放つ。
無駄に半透明になったり、黄金の身体を露わにしながら。
一体何のために...。
哀れな木人間は、最後の一匹に至るまでジ•ハーンの業火に焼き尽くされた。
大地が、焼けただれマグマのように沸騰している。
深く深くえぐれたクレーターに、白いイルクコアッドが樹液のようにへばりついている。
最後のイルクコアッドは、しばらく苦しそうに蠢き、完全に動きが止まった。
粒子の攻撃を受けた生き物は、二度と再生することは無い。
あっと言う間に、灰のように崩れて消えた。
オライドーンは絶滅した。この世から姿を消した。人を操ることができなくなった今、イルクコアッドは永遠に蘇ることはない。
『...あぁぁ、あぁぁ...デ、デ、デンジ、デンジネードがぁぁ...』
!!?。
通信をするなと言った...。
...
...ズゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!...
...
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
...ユッサユッサユッサユッサ
大地が激しく揺れる。
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
キノコ雲が立ち上がる。
ポイントレイバーの方角だ。
!!?
ポイントレイバー!!?。
「た、大変だ、ダン。...第四師団がやられてる!。」
「なにを言っている?笑...。一体...」
ジャイロは真顔だ。
ただの冷却炉だ。
そんなはずはない。
『... こちらベイルーブ。第四師団!。援護をする。座標を教えろ!。第四師団!。応答せよ。第四師団。 ...』
『... デッカー大佐!デッカー大佐殿!ご無事ですか! ...』
『... 第四師団!。第四師団!応答せよ!。 ...』
『... ポイントレーバー方面、施設以外何も確認できない。ポイントレイバー方面、どうした!?...おい、おまえ!座標間違えてないか? ...』
『... こちら第七師団!。ジャミー乙隊 エースだ。第四師団 流星のキライ!流星のキライ!応答せよ! ...』
『... デューンの施設以外、何も、何も...み、見えません。 ...』
『...第四師団沈黙...第四...師団...沈..黙...』
沈黙?どういうことだ。
ポイントレイバーは、冷却施設以外の何物でもない。半年前の我々の調査でもただの冷却施設だった。
「隊長。ポ、ポイントレイバー全滅..です...」
リリアーノ。おまえは何てことを言っているんだ?。
冗談は休み休み...。
「地上のデンジネードは...地上のデンジネードが...。」
バカな。
地上のデンジネードだと?。
「何だと!貴様っ!!。」
そんな兵器があったら、冷却炉も貯水炉も、我々も、一瞬で消し飛んでしまう。
「く、苦しい...。た、た、隊長!は、放して...」
はっ!。
私はリリアーノの襟首を掴んでいた。
『...第四師団壊滅です。...第四師団姿見えません。...』
「一体どうしたんというんだ?...。」
「レイバーの冷却炉が突然光りました。」
リリアーノだ。
「映像見たけど、あれ、冷却炉じゃないわ!。要塞よ!。」
ルイスだ。
!!?
「伏せろぉ!。デンジネードだぁ!!。」
そんなはずはない。
冷却炉の場所が入れ替わっている。
...バシッ...バシ、バシッ!
大気がフラッシュする。
デンジネードが...。
...
ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
...ボウン...ドゴン...ゴゴーン...ドドーーーーーーーーーン!ズズズズ...ゴガーン...ドゴン...ドスン...ズドーーーーン...ゴーン...ドゴーーーーーーン!...ズズーン...ガン...ゴン...バリン...パリン...ゴーンゴガーン...ドドン...ガガガガ...ドーーン......ボウン...ドゴン...ゴゴーン...ドドーーーーーーーーーン!ズズズズ...ゴガーン...ドゴン...ドスン...ズドーーーーン...ゴーン...ドゴーーーーーーン!...ズズーン...ガン...ゴン...バリン...パリン...ゴーンゴガーン...ドドン...ガガガガ...ドーーン......ボウン...ドゴン...ゴゴーン...ドドーーーーーーーーーン!ズズズズ...ゴガーン...ドゴン...ドスン...ズドーーーーン...ゴーン...ドゴーーーーーーン!...ズズーン...ガン...ゴン...バリン...パリン...ゴーンゴガーン...ドドン...ガガガガ...ドーーン......ボウン...ドゴン...ゴゴーン...ドドーーーーーーーーーン!ズズズズ...ゴガーン...ドゴン...ドスン...ズドーーーーン...ゴーン...ドゴーーーーーーン!...ズズーン...ガン...ゴン...バリン...パリン...ゴーンゴガーン...ドドン...ガガガガ...ドーーン...
第七艦隊が...。
ポイントレイバーからデンジネードが噴き上がった。
そんなことが...。
第七艦隊がまた火の海だ。
ゴゴゴゴーーーーーーーーーーー
ハイドラの戦闘艦が墜落して行く。
『...全艦、距離を詰めろ!!。我が艦隊は余力が無い!!。保てない!!艦隊総シールドを!!距離を!!残り36隻。
ギリギリだ!!このままでは!このままでは!バルデスの総シールドに押しつぶされてしまう!!こちら、ハリーヤ!!こちらハリーヤ!...』
!!!。
36?。
36!?。
700隻以上いた我が艦隊が、僅か36!!?。
艦隊総シールドを展開するには、ギリギリの数。
第七艦隊の戦闘艦は敵艦隊の激しい重量風に曝され始めた。
激しく揺れている。
バルデスは未だ8000隻いる。
第七艦隊は、これ以上減るとそれだけで壊滅してしまう。敵シールドの界面爆発だけで押し潰されてしまう。
ゴゴゴゴゴゴ...
ココーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ゴゴーーーーーーーーー
コーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
上空で頼みのレバンナが交戦している。
27隻に増えたジルカンダーと。
インティバル、ストラバル、アギトとの連携攻撃は有効だ。
しかし、ジルカンダーの数が多過ぎる。
『... ジ、ジ、ジ•ハーンこちらに来ます!ジハーンがっ..あぁぁ ...』
...ボウーーン...ゴゴゴゴ...ボウーーーーン...ゴゴゴゴ...ボウーーン...ゴゴゴゴ...ボウーーーーン...ゴゴゴゴ...ボウーーン...ゴゴゴゴ...ボウーーーーン...ゴゴゴゴ
これがターシーエネリウムエンジンの音...。
ジ•ハーンがゆっくりとこちらに接近して来る。
半透明になったり、黄金の姿を現したり。
クソ!。
ふざけてやがるのか!。
「こっちを向いています。確実に...。バインレノルズじゃなく、大佐のペネループに向いてる...。」
リリアーノが震えながら言う。
『...当師団は、ポイント ガレンルハンドに向かう。総員エンジンを再起動!。繰り返す。当師団は、ポイント ガレンルハンドに向かう。総員エンジンを再起動!。...』
アンヌ大佐の声だ。
既にペネループは、エンジンを起動している。
『...当師団は、ポイント ガレンルハンドに向かう。総員エンジンを再起動!。繰り返す。当師団は、ポイント ガレンルハンドに向かう。総員エンジンを再起動!。みんな。よく聞け。第四師団は、敵要塞のデンジネードにやられた。ポイントレイバーは...ポイントレイバーは要塞だ。我々の目標バインレノルズも同じだ。姑息なシシィ•ドールの罠だ。卑怯者の策だ。我々は、ポイント ガレンルハンドを破壊する。第四師団の、第四師団の仲間ためにも!。恐れるな!。ジ•ハーンはレバンナが墜としてくれる。さあ、みんな仲間を信じて進むんだ!。...』
アンヌ大佐の声に呼応するように、第七師団の全兵器がエンジンを始動した。
一気に爆音が轟き渡る。
ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!ブゥゥゥゥゥゥゥゥンン....ブゥゥゥゥゥゥゥゥンン....ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドルゥドルゥドルゥドルゥ....ブゥゥゥゥゥゥゥゥンン....バババババババババ...ドルゥドルゥドルゥドルゥ....ゴゴゴゴッゴッ....ゴゴゴゴッゴッ....ドルゥドルゥドルゥドルゥ....ブゥゥゥゥゥゥゥゥンン....ブゥゥゥゥゥゥゥゥンン....ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドルゥドルゥドルゥドルゥ....ブゥゥゥゥゥゥゥゥンン....バババババババババ...ドルゥドルゥドルゥドルゥ....ゴゴゴゴッゴッ....ゴゴゴゴッゴッ....ドルゥドルゥドルゥドルゥ.....................!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!
『...アンバルア来ます!アンバルアが!!...』
何だと!!。
『...アンバルア来ます!ダメだ!着陸体制に入った!...』
『...撃ち落とせ!レバンナ!ハリーヤ!ベイルーブ!墜としてくれ!...』
『...着陸させてはダメだ!!レバンナ!!...』
アンバルアが...?。
アンバルアはファイヤーバードの5倍、9万に迫る軍を積んでいる。
ここに降りられたら終わりだ。
『... アンバルア艦影7。アンバルア艦影7。 ...』
『... パスタップUnDo。変化暗号通信。こちらレバンナ。艦首砲、温度が下がるまで、温度が下がるまで時間を稼いでくれ!。何とか時間を。艦首温度が上がり過ぎている。 ...』
多くのジルカンダーを墜としたが、その代償は大きい。
「アンバルアが逆噴射を始めた!。何とかしなくてては!。」
『...ジルカンダー、正面から来ます!ジルカンダー正面から2隻!。前方下弦!前方下弦!!。...』
レバンナの通信だ。
パスタップUnDoは完全に解読されている。
コココココゴゴゴゴーーーーーーーーー
レバンナは主砲を放ちながら逃げている。
ラジュカムのロックオンセンサーが点滅している。
レバンナが堕ちた瞬間、我々の艦隊は消滅する。
艦隊総シールドに必要なエネルギー量を維持できない。
ピピピピ...ピピピピ、ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ...
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ロックオンセンサーの点滅が止まる。
キュワァァァーーーーーーーーーーー
ボボボボボボボボボボボボボボ
ジ•ハーンが輝きを増す。
ジ•ハーンの前方の装甲が眩い光を纏う。
幾つもの幾何学模様が。
黄金のフジツボが。
装甲に埋め込まれた無数のターシーエネリウム砲塔が、焼けるような光を放つ。
万事休すだ...。
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...バチバチ...
....
...
ラジュカムのロックオンセンサーの音がやんだ。
『... バグー軍来ます。バグー軍。 数、88万。数88万です!。...』
『... サバラン砂漠ケラム地帯パンゲア生態系方面。サバランの南東4000キロノード。砂獣ヤーの大群を確認。す、凄い数だ...。砂獣ヤー推定12万頭。速度453キロノード。ヤーの大群確認!。繰り返します!。サバラン砂漠 ケラム地帯パンゲア生態系方面。サバランの南東4000キロノード。砂獣ヤーの大群を確認。砂獣ヤー推定12万頭。速度453キロノード!ヤーの大群を確認!。繰り返します!。 ...』
『... 本日13時37分バグー連邦共和国より我がハイドラ首長国連邦に対して、宣戦が布告されたました!。繰り返します。本日13時37分。バグー連邦共和国より我がハイドラ首長国連邦に対して宣戦が布告されました。...』
『... バグー軍88万。バグー軍88万、ケラム地帯パンゲア系方面に...!ゾットがいます!バグーの最終兵曹ゾットが!。 バグー軍時速155キロノードで接近中。バグー軍時速155キロノードで接近中...』




