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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
166/364

ダヌアの空に17


...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴンゴンゴン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴンゴーン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...


あぁぁ...。


僕たちの艦隊が次々と墜落してく。


巨大な花火みたいに爆炎を噴き上げてる。


何で...。


見てられない。


見てられないよ。


うわあぁぁぁぁ!!。


ハイドラの誇りが!。


ボボウン!!...ゴンゴン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴゴーン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ボウン!!...ゴゴン!...ドゴン!!...ボボウン!!...ゴゴーン!!...ドガン!...ドゴーーーン!!...ボウン!!...


連鎖が止まらない...。


爆発の連鎖が。


どうなる...。


いったい。


「107?!。107!??。バカな...。そんな...。」


隊長がラジュカムで交信して絶句してる。


被害は甚大だ。


シシィ•ドール。


怖いひとだ。


まるで悪夢だ。


「ジャイロ!!。何のアラートだ!?!。」


隊長が突然叫ぶ。


!!?。


なに!?!。


何のこと?!。


ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ...


ラジュカム〔※1〕のアラートが鳴り始める。

隊長のも副隊長のも。


〔※1:アフロダイ通信端末。距離が無制限。〕


最大音だ!。


「ど、どこだ!?、な、何が?!。」


副隊長が慌ててる。


「ベイルーブか!?。」

伍長だ。


『...援護を!!砲撃を!!こちら第5!第5師団!!援護を!援護を!!ジ、ジ、ジゼルベットが!!ジゼルベットが!!一斉照射!!ジゼルベット!!一斉照射!!援護を!!第5師団!ユーカリプス!ユーカリプス!レバンナ!!レバンナを!!...。』


『...無理だ...。射角が取れない...。』


CICも混乱してる。


珍しく隊長が取り乱してる。


このままじゃ、第5師団が壊滅だ。


何でユーカリプスにジゼルベットが?。


なぜ?。


シシィ•ドールが後退させたはず。


オグワンは!?。


なんでだよ!!。


...ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


うわっ!。


緑色の光だ。

ユーカリプスの方角。

200キロノード以上離れてるのに。


粒子砲!?。


ジゼルベットの!?。


撃たせちゃいけない!!。


絶対に。


何だよ!!。


何やってる!!。


迎撃だ!!。


迎撃を!!。


ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ラジュカムのアラートが...。僕のも。

あぁ...。


隊長と副隊長が顔を見合わせてる。


リリーアーノさんは僕のジャミーのタラップに捕まったまま。


リリーさんの瞳孔が開いている。


...ズゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!


ユーカリプスの方角に大爆発がおきた。


キノコ雲が噴き上がる。


うわあぁ...。


ブゥオオオォォォォーーーーーーーーーーーーーーー


ハッ!。


またジ•ハーンが光ってる。


焼けるような光だ。


撃たれたらおわりだ...。


確実に壊滅する...。


ブゥヲーーーーーーーーーーーーーー!!!!


ズズドーーーーーーン!!!

ズズドーーーーーーン!!!

ズズドーーーーーーン!!!

ズズドーーーーーーン!!!


ボウン!!ドゴン!!ゴン!!ガン!!


命中だ!。


『...第二射用意!!...』


ハリーヤだ。


至近距離から。


良し!。


ナイスだ...。


「駄目だ!副砲だ。効いてない!。」


リリーさんだ。


なんで!?。


ズズドーーーーーーン!!!

ズズドーーーーーーン!!!

ズズドーーーーーーン!!!

ズズドーーーーーーン!!!


「何やってる!!。主砲を撃て!!。くっそ!同士討ちを気にしてる場合か!!。」


ジャイロ副隊長がラジュカムに怒鳴ってる。


!!


...ボボボボボボボボボ

...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


!!?。


なんで!

何で攻撃を止める!?。


ベイルーブが回頭を始めた。


何考えている!?。


艦がこんなに集中してるのに。


激突してしまう。


自滅だ。


ベイルーブは大きい。


...ゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーー

...ボボボボボボ

...ゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーー

...ゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーー

...ゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーー


!?


第七艦隊が展開し始めた?!。


何で、どこ行くんだよ!。


『...艦隊総シールド消滅!!艦隊総シールド〔※2〕消滅!!...』


どうなってんの!?。


〔※2:個々の戦闘艦の防御シールドを結合させることによって艦隊全体に強い防御シールドを展開すること。艦の数が多いほど強いエネルギー防御シールドになる。ただし、艦の密度を高める必要があるため、大きな艦隊で展開すると身動きが取れなくなる。〕


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


ええ?。


ハリーヤも回頭し始めた...。


巡洋艦が小舟のように揺れている。

ハリーヤのスラスターの爆風で。


チカチカ


光が!。


!!!


ズゴーーーーーーーーーーーーン!!

....


ズ、ズ、ズ...


ズドドドドドーーーーーーーーーーーーーン!!!!ズドドドドドーーーーーーーーーーーーーン!!!!ズドドドド


ズゴーーーーーーーーーーーーン!!

....


ズ、ズ、ズ...


ズドドドドドーーーーーーーーーーーーーン!!!!ズドドドドドーーーーーーーーーーーーーン!!!!ズドドドド


...


ジルカンダーが外からエネリウム砲を撃ち込んで来る。


くそっ!。


次々と、ハイドラの戦闘艦がエネリウム砲の餌食になっていく。


チカ!チカッ!


まずい!。


また、デンジネード〔※3〕が来る。


〔※3:デューンの兵器名。任意の波長のエネリウム線を照射すると、状態の近いアルマダイ粒子は、一時的に大きなエネルギーを受け激しく粒子スピンを起こす。大抵の場合、粒子の生み出したエネルギー制御がつかなくなり大爆発を起こす。〕


なぜ、総シールドを解いた!!?。


「ア、アトラの戦術予報士の言う通りに...。」


リリアーノさんが苦しそうに言う。


ホントに?。


ホントだったんだ?。


ボボボボ...


キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー


ハリーヤとベイルーブの全てのスラスターが点火してる。


メインスラスター、そして7つのサブスラスター。


どこへ行く!?。


「どうなってる!ジャイロ!。」


隊長が叫ぶ。

隊長が汗でぐっしょりだ。

目を見開いている。

ここからでも分かる。


「俺にも分からん。」

副隊長だ。


巨大なスラスターは蛍光灯のように光が灯り、水銀灯のように徐々に光を増していく。


ジ•ハーンからこの艦を、最後のファイヤーバードを誰が護る?。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


大きな羽を広げた銀色のスフィンクスが、並んで加速し続ける。


キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


辺りの戦艦、駆逐艦が慌てて展開してる。


進路をけてる。


密集した艦隊が隙間を作るのは簡単じゃない。

この巨大艦が通り抜けられる隙間を。


ハリーヤとベイルーブが、拓けた空間に加速しながら飛び込んでく。


まだ、艦隊の外までは進路ができてないのに...。


げ、激突する!。


うわあぁぁ!!。


補給艦がまだ...。


あ、危ないっ!!。


ハリーヤもベイルーブも速度を下げない。

そればかりか全速で前進している。


...ズドーーーン!!

...ボウーーーーーーン!!


いきなり音速を超えた。


ピピピピピピピピピピピピピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!


ロックオンアラートが!!。


だめだっ!!。


ジ•ハーンだ!!。


ジ•ハーンに狙われてる。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


ジ•ハーンが最大に輝いている。


撃たれる!。


う、撃たれる!。


ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!


万事休す...だ...。


ズゴーーーーーーーーーーーーン!!

....


ズ、ズ、ズ...


ズドドドドドーーーーーーーーーーーーーン!!!!ズドドドドドーーーーーーーーーーーーーン!!!!ズドドドド

...


うぅっ!。


ファイヤーバードが激しく乱高下する。


ウグッ!


接地しちゃう。


モニターに映る空は、爆炎が噴き上がってる。


爆風で幾つもの艦が回転している。


う!うわあぁぁ!!。


やられた...。ハリーヤが墜落して行く。

は、ハリーヤが...。

船体が四方に拡散している。


ベイルーブは?。


!?!。


メインモニターには、北西に向かって爆進して行く2つのロケット雲が...。


違う!!。

アルドハンだ。

爆発したのは。


間違いない、一番ジ•ハーンに近かったのはアルドハンだ。


アルドハンが身を呈して艦隊を護った。


まって...。


ハリーヤ、ベイルーブと交差するように、弧を描き、何かが飛んで来る。


巨大な何かが...。


一度地面近くに高度を落とし、ホップするように飛び上がって来る。


もの凄いスピードだ。


かなりの大きさ。


『...レバンナ来ます!レバンナ来ます!...。』


あれがレバンナ?。


銀色の流線型の船体が、高速で飛来しながら変形している。


レバンナがメインモニターに映し出される。


まるでアマギだ。


いくつもの艦橋が立ち上がっていく。


船体が一番大きな第1艦橋を中心としたスフィンクスのように、2つに割れて行く。


装甲の色や、主砲の口径は違うが、他はまるっきりアマギだ。


「は、初めてだ...レバンナが変形している...。」


リリアーノさんだ。


『...パスタップseg8。パスタップseg8。カウントダウン。ジェスパン コントロール。ジェスパン コントロール。...』


艦内に女の機械音が響く。


ファイヤーバードは地上20mを飛んでいる。これ以上高度を下げたら、自分の反重力風で、墜落してしまう。


ギリギリの高さ。


加速するように一気に第七艦隊が展開していく。


「...ジェスパンがコントロールを始めたぞ...」


ジェスパンは、レバンナのシナプスフレーム〔※3〕だ。


〔※3:分子型神経結合人工知能。スーパーコンピューター。-173度の環境下で粒子の動きを抑え、1から数京個の粒子スピンを使って演算をする仕組み。通電onoffによる回路の、7恒河沙こうがしゃ倍の演算速度がある。〕


キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!


猛烈な速度でレバンナが接近して来る。


美しかった流線型の艦体が、ゴツく砲塔だらけの重厚な姿に変わってる。


『...レバンナ!第七艦隊勢力範囲内にはいります。!レバンナ!第七艦隊勢力範囲内にはいります。!...』


!!?


...ウオォーーーーーーーーーーーーー!!!

...ウォオーーーーーーーーーー!!!

...ウオォーーーーーーーーー!!!

..ウオォーーーーーーーーーーーーー!!!

...ウオォーーーーーーーーー!!!

...ウオォーーーーーーーーーーー!!!

...ウオォーーーーーーーーーー!!!

..ウオォーーーーーーーーー!!!

...ウオォーーーーーー!!!


びっくりした...。


艦内が一斉に震える。大気も金属もビリビリと震える。


何もかも。


ファイヤーバードの乗組員1万7286名が一斉に歓声を上げてる。


ウォーーーーーーーーン!

ググゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...。


ジ•ハーンが後退し始める。バルデス主力艦隊の方角へ。


ジ•ハーンは前方スラスターを全力で噴射している。


そして、黄金の巨大オニオコゼは、ゆっくりと回頭をしている。


巨大過ぎるため、緩やかに見える。


でも、そうじゃない。


ジハーンのスラスターの幾つかはオーバーヒートして黒煙を上げてる。


どこからか、カナブンのように、ハイドラの小型駆逐艦達が集まって来る。


モガミ、ジンズウ、アワ、ハリマ...。


沈んだはずのハクア型の小型巡洋艦が。


ススと傷だらけだ。


この時を待っていたんだ。


きっとどこかに潜んでいたんだ。


クジラと並行して泳ぐイルカのように、レバンナの横に一隻ずつ集まって来る。


でも必死だ。必死にレバンナについて行ってる。黒煙を噴き上げてる。


きっとメインスラスターにもダメージを受けてる。自力ではそう長くは飛べない。


主人の仇を取るために、レバンナが来るのを辛抱強く待ってたんだ。


レバンナは、完全に変形を終えた。


グググゴゴゴゴゴゴー。


レバンナがアームを...。


そうだ!。


行け!。


キャッチだ!


レバンナ!。


グウォーーーーーーーン!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...。


前方、後方の巨大なアームが立ち上がる。


アマギがファーレーンに呑み込まれるきっかけとなった最終形態だ。


チカーチカーチカー


大気がフラッシュする。


ゾーグの北西の方だ。


ハッ!。


第5師団は!?!。


...キュワァァァーーーー

ズドドドーーーーーーーーーーン!!


一際大きな光。艦首砲だ。


『...ハリーヤ、ジゼルベットを追撃中。ユーカリプス上空ジゼルベットを追撃中。...』


え!?。


やった!。


やったぞ!!。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ


レバンナが、ジ•ハーンを追ってファイヤーバードの真上を急旋回する。


1200mを超える巨体。ファイヤーバードとほぼ同じ大きさ。風圧だけで、この輸送基地が激しく沈み込む。


...ズゴーーーーーーーーーーン...


ジンズウがレバンナとドッキングをした。


やった!!。


...ズゴーーーーーーーーーーン......ズゴーーーーーーーーーーン...


モガミとハリマも。


良し!!。

いいぞ!。


巨大アームは、前方4隻、後方3隻の小型駆逐艦と一体化し、ゆっくりと回転し始めた。


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


稲妻のような閃光を発しながら、レバンナはエネルギーシールドを展開する。


...ドウゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


ジ•ハーンもまた、後退しながら、エネリウムシールドを展開する。眩い緑の光のシールドを。


レバンナがジ•ハーンを追う。


!!。


3つの空間の歪みが、突然、レバンナを追い抜いて行く。


インティバル、ストラバル、そしてアギトだ。


空間が強く歪んでいる。潜航限界速度を超えている。


シャチを追うサメみたいだ。


『... 総員着陸態勢!総員着陸態勢!本艦はポイントバインレノルズに着陸する。繰り返す、本艦はポイントバインレノルズに着陸する。 ...』


えっ!!。


ついに来た。


キターーーーーーーーーーーーーーーー!!。



キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ファイヤーバードが減速を始める。


凄いGがかかる。

ジルカンダーから見れば止まって見える。きっと。


でも、それでも時速460キロノードで飛行してる。


しかも、バルデス艦隊の潜航レーダーから逃れるため、地上20mを這うように飛んでる。


重量の重い巨大戦略基地にとっては曲芸に近いことだ。


戦略基地は、航空機や航空艦艇じゃない。

基地だ。


ボォアッ!

ボォアッ!

ゴゴーーーーーーーーーーーー

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


ファイヤーバードのサブスラスターが逆噴射を始めた。


ベルトが肩や胸に食い込む。


凄い勢いで押し付けられる。


ウググ...。


「坊主は大丈夫かぁ!!。」

副隊長だ。妙に僕にだけ優しい。汗。


ボボボボボボボボボーーーーーーーーーーーーー!!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


逆噴射の音が大きくなるにつれ、Gが増していく。


フロアからも悲鳴が聞こえる。


「...うぐっ!...。」

「...がっ!...。」

「...あぁっ!...。」


モニターに地面が見える。

地面が洪水の様に流れていく。

まだだ。


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!


うぅ。


ウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーー!!!


ジャイロ推進機が逆噴射を始めた。


ほぼ水平まで傾いている。


翼が折れないのが不思議。


ゴガアーーーーーーーーーーン!!!


ゴガアーーーーーーーーーーン!!!


反重力翼が広がった。


くっ!。ウグッ!


艦内にいくつもの呻き声が響く。


キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーードドドドドドドドドドドドドドドド


ウィイイイイイイイーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


キーーーーーーーーーーーーーーーー


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


キーーーーーーーーーー


ドドドドドドドドドドドド


キーーーーー


ドドド...ドドド...ドド...ドルッドド...ドウゥゥゥンドウゥゥゥン...ズズズ...


ブワーーーーーーーーーーーン、ブワーーーーーーーーーーーーーーン、ブワーーーーーーーーーーーーーン、ブワーーーーーーーーーーーーン


ジャイロ推進機が回転を止める。


赤い羽がはっきりと見えるようになって来た。


赤い羽は、特大の反重力翼だ。

微かにでも動いている間は、この重いコンテナでさえ地面に着くことが出来ない。


ドーン!

ピーーーーーーーーーーーーーーーーーー!


停止炉が作動した。


反重力翼は、お互いの反重力風の位相のために、アルマダイを反対方向に流さない限り止まらない。


ファイヤーバードは流れながらまだ浮いている。


3mくらいの高さだ。

爆音はもうしないはずだが、脳が勝手に音を作り出してしまう。あの爆音を。


しかし、身体は、心地良い。身体はあの激し過ぎる振動と、爆音から解放されたことを知っている。


キーーーーーーーーーーーーーーーーン


耳鳴りだ。


耳が麻痺している。


ブゥワ!ヒューーーーーーーーーーーーー


ダクトが空いた。


懐かしい土の匂いがする。


ウィーーーーーーーーーーーーーーーーン!

ボボボゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


着陸レッグの一部がモニターに映る。

4つのレッグは一旦前に倒れてから、元の位置に戻る。


コンテナが前に傾く。


『...リュウ!しっかり頼むぜ!。気楽に行け!...』


「は、はいっ!。」


ジェットさんからだ。さっきのことだ。


ブゥオオオオーーーーーン!!!


ドドドドドドドドドドドドドドドド...。


シムゴード(航空戦車)ティゲルワンの起動音だ。


1番機がエンジンを始動した。


アキーユさんの機体だ。


アキーユバレンティン。


アキーユさんは、この若さでシムゴード戦隊部長だ。ファイヤーバード17号の航空戦車シムゴード563輛を率いている。


この後、アキーユさんの命令で、一斉にシムゴードはエンジンを始動させる。


シムゴードも、各大隊に分かれるけど、いつもアキーユさんと隊員さん達はラジュカムで横の繋がりを持ってる。


空中戦車シムゴードティゲルワンは、アルマダイエンジンを積んでる。空中での操舵性を重視して、十二機もの小型エンジンを積んでいる。


ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ...


最上階コンテナのハッチが開いて行く。

モニターが映している。


ハッチだけじゃ無く、コンテナのフレーム自身も開いてく。巨大な花の様に。


ゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーーゴーーー


最上階から最初に戦闘機隊が次々と離陸する。フライヤー隊は左右、後方に分散して。


まるで、巨大な緑の花から、花粉が振り撒かれるみたいに。


メインモニターには、空一杯の戦闘機隊、フライヤー隊が映っている。


...


....ッ


ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンン!!!!


....

ファイヤーバードがついに、ポイントバインレノルズに着地した。


ズゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!


衝撃と同時に下のフロアのタラップが地面に接地する。


胃にくる嫌な衝撃。


ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!


下のフロアだ。


『...レオパード隊!行くぞっ!!。...』


女の人の声。


ルイスさんだ!!。

レオパードのルイス。

最重量大型シムセプト(戦車)レオパードのエース。

ジョアンナルイス。

彼女は初めての女のエースパイロットだって。そして、ファイヤーバード17号のシムセプトレオパード170輌を率いている。凄腕。シムセプト部隊長。


アキーユさんと同じ。シムセプト隊はみんなルイスさんを心から信頼している。


...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!...ズゴゴゴオオオオーーーーーン!!!


レオパードのルイスの号令に呼応して、シムセプト隊レオパード170輛のアフロダイエンジンが一斉に火を噴く。


第3フロアのフライヤー(攻撃艇)も全てが離陸を終えた。


次は、僕たちの第二フロアだ。


『...ティゲルワン!発進!!...。』


ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!ブゥオオオオーーーーーン!!!


一斉にアルマダイエンジンが雄叫びを上げる。


シムゴード ティゲルワンの車輪は、水平に倒れ回転し始める。


反重力推進器だ。


スラスターが点火される。

ハイテク航空戦車が117輛が加速しながら次々と飛び立って行く。


まるでジェットコースターみたいに。


ゴゴゴゴゴゴー

ゴゴゴゴゴゴー

ゴゴゴゴゴゴー


歌声が聞こえる。


...ウォッオーーーウォオオオ!!...ウォッオーーーウォオオオ!!...ウォッオーーーウォオオオ!!...ウォッオーーーウォオオオ!!...ウォッオーーーウォオオオ!!...ウォッオーーーウォオオオ!!


「ジャイロ!!俺たちの番だ!!出撃だ!!。」


隊長達だ!!。


「行くぞ!バン!!。リリー!!」


「おおーー!」


『...リュウ。リュウ•アーデン...』


「はいっ!。」


『...頼むぞ!。俺たちを護ってくれ。...』


「は、はいっ!。」


行くよ!。ジャミー!。


始動レバーを引く。


ドーーーーン!!!。


キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ドンドーーーーン!ドンドーーーーン...


ジャミーの高圧炉が起動した。まるで心臓の鼓動のような音だ。


約6800体の装甲歩兵達。1800体の装甲騎兵。一斉に行進をはじめる。


『...ジャミー隊!!出撃!!。...』


ズドーーーーン!!キーーーーーーーーーーーーーーーーー!ズドーーーーン!!キーーーーーーーーーーーーーーーーー!ズドーーーーン!!キーーーーーーーーーーーーーーーーー!ズドーーーーン!!キーーーーーーーーーーーーーーーーー!ズドーーーーン!!キーーーーーーーーーーーーーーーーー!


一斉にジャミーのアフロダイ高圧炉が点火する。


『...オーーー!!...』

『...オーーーーー!!...』

『...オーーーー!!...』

『...オーーーーーーーー!!...』

『...オーーー!!...』

『...オーーーーー!!...』

『...オーーーー!!...』

『...オーーーーーーーー!!...』


ジャミーパイロットの雄叫びでラジュカムの音声がひび割れる。


ジェットさんだ。ジャミー部隊長。右にはエースパイロットのデュークさん、そして左にもエースパイロットのエースさん。ダブルエースって呼ばれてる。


『...リュウ!来いっ!。...』


『...こちら、リュウアーデン!。ジャミー84隊!行くぞ!!...』


『...おぉーーー!!...』

『...おぉーーーー!!...』

『...おぉーーーーー!!...』

『...おぉーーー!!...』

『...おぉーーーーーー!!...』

『...おぉーー!!...』

『...おぉーーー!!...』

『...おぉーーーーーー!!...』

『...おぉーーーー!!...』


RSSのみんなも雄叫びを上げる。

凄い声だ。


『..アンヌだ。ペネループ出る。...』


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。


ペネループを中心にして、アギュラーラムダ隊の轟音が唸る。


ジャミーの中からも聞こえる。


ペネループは、ステルスタイプのシムゴード。大きさはレオパードの4倍。そして光学迷彩を纏ってる。


多角形の真っ白な機体から無数のアンテナが飛び出している。まるで昆虫の触覚のように。


突然、透明になった。


光学迷彩だ。


まるでタコのように周りの色に同化する。


時折、ペギリウムの識別灯が激しく発光する。


ペネループは、移動司令室だ。


そして、アギュラーラムダは、情報収集ステルス装甲車。


ペネループを小さくしたような形をしている。


グレーの機体のものと、グリーンの機体のものがある。


ペネループを女王とした、亀虫の群れのようだ。


ズドーーーーーーーン!!!

キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ズドーーーーン!!

キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ズズドーーーーン!!!

キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


358体のイブラデ(兵曹)、23体のラキティカ(第三兵曹)、そして二体のダルカンラキティカ(アンティカに次ぐ兵曹)の自然炉が次々と起動する。


ブウゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

ブウゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

ブウゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

ブウゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーン


ファイヤーバードの巨大なジャイロ推進器がゆっくりと回転している。


ファイヤーバードの大きな機体だけが、スルスルと浮き上がって行く。巨大なコンテナから離れて。


ステルスで姿を隠す。


第1司令室だ。


上空から、情報を収集して、戦略を立てる。


アンヌ大佐殿は第二司令室ペネループでの指揮を選択された。


安全な第1司令室からではなく戦場の中で。僕たちと共に。


ポイントバインレノルズに、ファイヤーバード17号の ハイドラ第七師団が展開して行く。

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