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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
158/364

ダヌアの空に10

ゴゴゴゴゴゴ...

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


ゾーグ大平原には、地鳴りが響く。


大地が激しく揺れている。

湿地帯に広範囲に根をはる、

ケーヌの木々が次々と倒れる。

倒れないはずのケーヌが。


大地がまるで絨毯じゅうたんのようにたわんでいる。


爆炎と爆風の織りなす3つの大きなサイクロンが、大地を席巻していく。


景色は丸っ切り変わってしまった。


逆に引く...。


この凄まじさ...。


アマギやゴウテンのこの破壊力...。


ハイドラの歴史...ヒドゥイーーン魂...。全く異次元の力。


これが新しいハイドラ...?。


僕はハイドゥクを知らない。見たことが無い。


みんなが言うのは、ハイドゥクの強さはバルデス大艦隊の比ではないと...。


そして、ハイドゥクの後継には、ハイドゥクを遥かに凌駕する者達がいるという。


これは、ハイドラの歴史が始まって以来のことだそうだ。


新しい時代が来る。ハイドラに。今は通過点に過ぎない。


ダン隊長はそう言っていた。


ハイドラがエイジンローデシアの覇者となる、新しい時代が。


ゴゴゴゴゴゴ...

ゴゴゴゴゴゴ...


無数の艦を失った、バルデス前衛艦隊は、大混乱に陥っている。


ズドーーーーーーーン

ズズズーーーーーーーーーン!


大地が振動し、キノコ雲が上がる。


次々とジゼルベッド級の戦艦が墜落して行く。数年前には世界の空を支配していた空を飛ぶ要塞が。


どよめきが広がる。


おおぉぉ...。


ブゥゥヲーーン...


ブゥヲーーーーーーーーーー!

ブゥヲーーーーーーーーー!

ブゥヲーーーーーーーーーーーーーー!


再び、アマギ、ゴウテン、シラヌイの艦首が次々と焼けるような光を放つ。


「か、艦首砲だ!。艦首砲を一斉に撃つ気だ...。」


キュワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!


キュワーーーーーーーーーーーーーーーアァァァァァァァー!


キュワーーーーーーーーーーーーアァァァァァァァーー!


空は再び真っ白に。


ゴゴゴーーーー

ゴゴーーーー


バルデス前衛艦隊が逃げ惑う。


ジゼルベッド級の巨大な船体が、密集し過ぎて、激突をし始める。


...ドゴーーン!

...ズドーーーーン!

...ゴゴーーーーーン!


敵艦隊は大混乱している。

収拾がつかない。


....。


....。


始まった...。


...。


ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!


3つの光の柱が、黒い雨雲のようなバルデス前衛艦隊を直撃する。


形勢が逆転した。


アマギもゴウテンも、逃げ惑う敵艦隊を容赦無く襲う。


敵にだって家族も恋人もいる...。

複雑な気持ちだ。


自軍の頼みの綱達が、急に、よそよそしく、冷たく感じる。


ハイドラにとっての、守護神も、敵にとっては悪魔でしかない。


...


ズ....


ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!


ズズズズズズズズズズズズズズズズ


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


...


空中に巨大なキノコ雲が舞い上がる。

アマギの艦首砲撃の物が最も大きい。


ガゴン!ドゴン!バン!キーン!バラバラバラバラ!バン!ガゴーン!パラパラバラバラ!ドドドン!ガゴン!ドゴン!バン!キーン!バラバラバラバラ!バン!ガゴーン!パラパラバラバラ!ドドドン!


ファイヤーバードのコンテナに残骸が降り注いでいる。


シールドを突き抜けて落ちて来た残骸達。


キーーーーーーーーーーーキーーーーーーーーーーーキーーーーーーーーーーー


...バウン!


.....バッスン!


..ボボウ!


再び、アマギ、ゴウテン、シラヌイの全てのスラスターが点火する。


ドンッ!

ズドーーーーンッ!

ドドーーーーーーーーーーーン!


ソニックブームだ。


爆炎に包まれる前衛艦隊の方へ、爆進する。


三隻の第七艦隊主力艦は、バルデス前衛艦隊の中に入り込み、全ての攻撃を周りの敵艦に向けて一気に吐き出す。


上限下限55門の主砲、166の副砲。無数のミサイル発射管、そして、小型艇迎撃用の機関砲やレーザー砲。


バルデス前衛艦隊はもうメチャクチャだ。


アマギ、シラヌイ、ゴウテンのたった3つの船で、バルデス前衛艦隊2800を蹂躙している。


このファイヤーバードの全ての兵士が、いや、ハイドラ軍全ての兵士が、呼吸をするのも忘れて見ている。


小さな銀色の戦艦が、黒い大きな戦艦の群れを追い回している。


猟犬がバッファローの群れを追い回すように。


反撃を急いだバルデス前衛艦隊は、次々と相討ちを始める。


アマギ達は、逃げ惑う黒い艦隊に、全ての兵器を撃ち込んでいる。


「...ゴトラも大したことねぇなぁ。...。」


「...このまま、バルデスを撃退してくれると良いのだが...。」


「...いけるだろう?最新鋭艦を全部沈めたんだ。他にも強力な兵器を積んでたらしいが。...」


「... 何もさせないで沈めた。そこに価値がある。完全にこっちの勝ちだ。 ...」


「... 出てきたらまたこっちの新兵器で撃沈よ。笑 ...」


少しずつ話し声が戻ってきた。


「... こっちの作戦は、成功したな。 ...」


「... 第一段階としては成功に終わったが、まだ五分五分にもなっていない。気を抜くな!。 ...」


キュワーーーーー!

キュワーーーーー!

キュワーーーーー!


ゴゴーーーー



ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!


「... いや、これで地上戦は圧倒的に有利に進められる。あの主力三艦のバックアップが受けられるんだ。 ...」


「... それに、レバンナも、旧旗艦も...。」


「... まだ、バルデス艦隊9000近く残っている。それは、流石に考えが甘くないか?。 ...」


『...バルデス前衛艦隊 ジゼルベッド級17 巡洋艦 ジーグ級7、更に消滅!...』


「... そうだ。空からの援護は期待しない方が良い。作戦通り俺たちはボルボーレ戦に集中すべきだ。 ...」


「... そうだ。今度は、俺たちが空軍を驚かせる番だ。 ...」


ダン、ダン、ダン、ガン!

誰かタラップを登って来る。


「おい。リュウ。そろそろだぞ。準備はいいか?。」


リリアーノさんだ。


『...オラジュワンだ。本艦は、これよりポイントレーバーへの着陸体勢に入る。着陸後、すぐ作戦開始となる。今のところデューンは輸送基地アンバルアを展開していない。作戦に反し、ポイントレーバーに降りた後、パイントバインレノルズまで...。』


...ズズズズズズズズズズズズズズズズ...


!?


....ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ


な、なんだ!


いくつもの光の筋がゴウテンに向かっている。


嫌な予感がする。


さっき、ファイヤーバードのデコイが沈んだ時と同じ光。


不吉だ...。


え?。


...ズドーーーーーーーーーーーン!


『...ゴウテン被弾!ゴウテン被弾!...』


「... な、何で。 ...」


「... だ、誰が一体...。 ...」


「... ま、まさか。 ...」


!?


!?


血の気が引く。


....


ズ、ズ、ズ...


ズドドドドドーーーーーーーーーーーーーン!


ドドドド


....


「... おぉぉぉ。 ...」


「... あぁ。 ...」


身体が凍りつく。


ゴウテンが、たったの一撃で炎上している。


ゴウテンの爆発の連鎖が止まらない。


「... な、なんだ、これ...。 ...」


何だこの攻撃は...。


「ターシーだ。ターシーエネリウムだ。こ、これはターシーエネリウム砲...。」


リリアーノさんが...。


「... ば、馬鹿な。そ、そんなデカイもん積める訳ねぇだろ!。 ...」


バンガルーロ軍曹は、目を見開いて、叫んでいる。


「いや、ターシーだぜ。こいつは。」


ジェットさんだ。


「何だと?。ジェット!ホントか?それは。」


ダン隊長だ。


「ダメだ。そんなもの積まれたら...。従来の迫撃粒子砲の数倍の破壊力がある。」

ジャイロ副隊長だ。


「しかも発射まで1秒もかからない。連射も可能だ。そもそも、チャージという概念が無い...。」


リリアーノさんは、技術に詳しい。


「い、一秒もかからないだと?!。馬鹿な...。勝ち目がない...。レバンナもアマギも連射は出来ない。チャージに60分。発射まで90秒かかる。」


強力なフラッシュが。


バシッ!


バシッ!


バシッッッ!


バシッ!


バシッ!


バシッッッ!


「で、デンジネードだ!。ふっ、伏せろっ!。伏せろぉぉおーーーーーーっ!。」



....


ズ、ズ、ズ...


ズドドドドドーーーーーーーーーーーーーン!ズドドドドドーーーーーーーーーーーーーン!ズドドドドドーーーーーーーーーーーーーン!


ドドドド


....


ゴゴゴーーーーーーーーーーーー


『...ゴウテンが墜落!。ゴウテンが墜落!...。』


ゴウテンが墜落して行く。ゾーグ平原の沼地に。


選りに選ってポイントレーバーの、硬い地面に。


『...敵大型艦 接近中。敵大型艦急速接近中数。速度5000キロノード。数22。数22!。じ、じ、ジルカンダー級!...。』


....


ズズズズズズズズ...


ズッドーーーーーーーーーーーーーン!


ドドドド


....


第七艦隊の要の一つ、戦艦ゴウテンの巨大な船体は、レイバーの硬い地面に叩きつけられ、爆発した。


巨大なキノコ雲を噴き上げて。



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