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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
137/364

ダヌアの空に4

....

.........

......


基地のグラウンド。


なぜか誰もいない。


彼方にスタジアムより大きな飛行艇が停まってる。


何でここに?。


『リュウ』


プロスティ?


『必ず戻って来てね。待ってる。昨日のこと気にしてないから。その代わり、帰って来たら、またみんなでザナデインに遊びに行こう?。笑。』


うん。行こう。ごめん。俺、変なことしちゃって。


ううん。いいの。


ホントごめん。プロスティ怒っちゃったかと思った。


プロスティ?


プロスティ?必ず帰って...


あれ?プロスティ?プロスティ?


「リュウ」


え?プロスティ?


「リュウ!」


「リュウ!」


「起きろっ!」


「おい!」


「起きろっ!」


「s32672!リュウ•アーデン!リュウ•アーデン!」

........

......

....


ハッ!


え!?


誰!?


「リュウ•アーデン!起きろ。出撃時刻が早まった。5分以内に用意しろ。5:20分にジャミー(パスタップ通信用管制人型戦車)に搭乗しろ。R2搭乗位置にて待機。指示を待て!ファイヤーバード17号の正面だ。分かったか!。」


ショウン少尉だ...


「...えっと....。」


なんでだっけ...


「分かったら返事をしろっ!。」


バンッ!


「は、はいっ!。」


頬を叩かれた。

目が覚めた。汗。


カンカンカン!


バターン!


少尉は駆け足で出て行った。


出撃時刻?。

7:00だったはず...早まった?...。

何で?。


まだ4:58分。

俺寝たんだ...。

...1時間しか寝てない。

でも、ちょっとだけ寝られて良かった。


ジャミー!。


そうだ...ジャミーだ。


ジャミーに乗るんだ...。


そうだ。


眠いとか、もう、そんな話じゃない...。

戦争。

みんなの命かかってるんだ。


結局、肝心な通信のとこ、良く分からない。困った。まずいな。

教本が無いと無理だ。

これ。何で無いんだろ...。


全然ショウン教官教えてくれなかった。回避と射的ばかり...。


服を着て....。


靴....。

靴紐。


え?。

ば、バンドル(腕時計型総合端末)。

あ、あった!。


良し、マニュアルも何もないんだよな。


今回は実戦なのに。


メモ...。

メモ...。

メモ....。


!?


あ、あった...。

下に落ちてた。


良かった。

忘れ物は?。


あっと!。

IDイグニッションキー!。


普通は教本がくっついてる。


あ、ポケット。あった。


何か破れた紙がくっついている。笑。


良し!。


ちょっとお腹が重いな...。


良し!。

メモ、イグニッション、バンドル!。

大丈夫だ。


タンタンタン!


ガチャ!

バターン!


「...おぉぃ...。」


あ!みんなまだ寝てた。

悪ぃ。


「...リュウ...どこ行くの...?」

ゴーラの声。


俺は戦場に行くんだよ...。

みんな。行って来るね...。

みんな元気で...。


タンタンタン!


後、1分45秒...余裕でしょ。


___________________________________


ガチャガチャ


バンッ!


この鉄の扉、重っ!。

自分で開けるの初めてだ。


ギギィーー


眩しい!。


ちょうど今第一太陽グラディアが昇っている。朝日が差し込んでいる。


はっ!

あと10秒。


ダンダンダンダンダンダンダンダン!


靴底が分厚い。


デカイ音が。


必死に鉄の階段を降りる。


まずい、間に合わないかも。


ダン!


数段飛ばして、基地のコンクリートの地面に飛び降りる。


足首に鈍痛...。


てっ....。


真っ白い基地のコンクリートには、隊列用の色とりどりのラインが引かれている。


ズズーン!ズズーン!


ドックから、ジャミーが歩いて出てきた。


もう、大型が出ている。ジャミー乙型。小型84型は...。


も、もうあんな所を...。

遥か向こう....。朝もやの中。


ファイヤーバードの移動基地コンテナに登り始めてる。


遠くに見えるファイヤーバードのコンテナ。大きい。こうして見るとメチャでかい。


開いたゲートはそのまま搭乗できる坂になっている。


シムセプト(陸用戦車)の二隊列と、ジャミー84型の隊列が同時にゲートを登っている。


ゲートは、ジャミー乙型の10倍以上の高さがある。


こうして見ると、ファイヤーバードは本当に大きい。まるで、動くスタジアムだ。


あ!。危ない!。あの女の人!。

危ない!。

ジャミーに踏まれちゃうよ!。


女の人が何か叫んでる。


「s32672!リュウ•アーデン!。

s32672!リュウ•アーデン!。」


え?!。


あ!しまった!。

僕を呼びに来た!?。


バタバタバタバタ!

ダッダッダッダッ!


僕は、全力疾走で女の整備兵の所へ。


白いコンクリートを走った。


古くなって細かい小石が少し浮き出している。


「s32672 リュウ•アーデンであります!。」


「遅いぞ!何をしていた!バカ野郎!おまえが遅れると、他の機体の出撃も遅れる!。」


「申し訳ありません!。」


「いい!来いっ!。」


僕は女の整備兵に着いて走った。


丸い鉄の扉をくぐると、巨大なドックの中へ。


全体緑色の風化止めの塗られた金属。巨大なプレハブみたいだ。上が見えないほど、天井が高い。見たことないほど、でっかい。


ファイヤーバードの方角は、壁ごと全開だ。


...ゴーンドンドン!

...ゴーンドンドン!

...ゴーンドンドン!


ここはジャミーだらけ。次々と乙型が出撃してる。


乙型は18m。まるで鋼鉄の巨人。


一つだけ、84型ジャミーが片隅に。まるで小さな人形みたいだ。それでも12mある。


「おまえのジャミーだ!。私が直接STN(ドック管制室)に行き、ロックを解除する。5秒で出ろ!オクトパネルはオフ。パスタップは3Jagモードで!乙型の第六隊列が終わったらキューを送る。左ガイドから出ろ!。分かったか!?。」


女の整備兵は、走って、STN(ドック管制室)に向かった。


「はいっ!」


...ヤバい。全く意味が分からない。


「は、早くしろっ!。第六隊列が終わったら、ゲートの高さが変わる!。84では登れなくなる!。何やってるんだ!。」


そ、そんなこと言われたって...。

ショウンのやつ。遅過ぎるよ。泣。10分前まで寝てたんだ。


ど、どうやって登れば...。


肩のラジュカム(アフロダイ通信機)が鳴る。ラジュカムは、もうすぐ使えなくなる。デューンの前衛隊がローリア粒子を多量に散布しているからだ。


「レッグライドだ!。何やってるレッグライド!。」


84型の右くるぶしの所のコントロールパネルにイグニッションを差し込んだ。


これか?!。


パネル開いた。絵が、ジャミーの絵がある。あ、このBだ。ジャミーがしゃがんで頭を下げてる図。


ぼくはBボタンを押した。

イグニッションごと、押し返され、パネルが閉まり、ジャミーが低い姿勢に。


コックピットが低い位置に。


金属の取っ手を登る。

ジャミーは、これでもジニリウム製だ。


タン!タン!タン!


イグニッションをかざす。

サイドウインドウが開く。


合皮とスポンジの匂い。


「あぁあぁ。もう間に合わない!。何をやってるんだ!。」


そ、そんなこと言われたって、わ、分かんないよ...。


「せ、整備兵殿!。出方が分かりません!。」


「さっき説明しただろう!。バカ野郎!。」


「....先ほどおっしゃっていたこと、もう一度教えてください!。」


「はぁ。...s32672。仕方ない...。どれが分からない?。」


「オクトパネル....が、オクトパネルが分かりません!。」


「そこからか....。はぁ....。オクトパネルは、操舵ハンドルの下、緑色のパネル。そのメーターは、電気で動かす時だけだ。アフロダイレーダーにはかからなくなる。ボルボーレ(敵の主力殺人アンドロイド)との白兵戦になるまで使わない。今は84型の出撃前一斉確認のために点灯している。出来たか?。」


「か、硬くて、オフに...ならないであります!。」


「1回左に回して右に2回回して押せ。じゃないと通常交戦中に間違って押したらどうする?。...できたか?。」


「はい!出来ましたっ!。赤いランプが点滅しています。」


「よし。それで良い。次はなんだ。パスタップの設定は?」


「教えてください!。申し訳ありません!。」


「分かった。仕方ない。0,1jag ,2jag,3jag,4jag,4def,と6つの基本モードがあり、それから変化する。0はドック内のみ管制室との個別通信用だ、1jagと2jagは隊による。3jagは今回のダヌア基地から出撃する全軍、4jagと4defの違いは気にしなくて良い。4jagは使わないと思っておけ。4defは今回の作戦に加わる全てのハイドラ軍に通じるパスタップ通信だ。3,4のチャンネルは、細心の注意を払って使え。これは基本モードだ。ここから変化する。いいな、設定方法は...。」


「出来ました!。今は0です。これを3jagに?。」


「分かったのか?。....?。今の0は個別だ。設定がある。まだだ。下のネジを回せカチっていうまで。」


「はい!。........まだカチって?。」


「当たり前だ。パスタップの装備は毎回最新のものなに変わる。今、接続液の袋をネジの頭の針で破っている。」


「5秒で出ろと?。」


「そうだ。RSS隊も全機自動操舵中にやってる。3jagで。」


「じ、じゃあ、じ、自分も。」


「今更、良い。貴様は他にも知らないことがありそうだ。」


「......。」


落ち込む。凄く足手まといだ。


「出来ましたっ!。」


「次は...。」


「プラグのセットは終わりました。」


「何?間違えたらパスタップが...。」


「今通信できています!従ってプラグは間違えていません。プラグ部はラジュカムと同じ基盤と考えます。」


「...おまえの教官は?。」


「ショウン少尉殿であります!」


「何?。ショウン少尉...。おまえが志願者か?。」


「はい!。そうであります!。」


「てっきりジャミーの重要性が分かっていない教官がいるのかと思ったが...。しばらくそのまま待て。チャンネルを変えるな。なぜ志願した?。」


「...それは、整備兵殿、ここでは...。」


「言っただろう。今はチャンネル0だ。誰も聞いてやしない。記録はされるがな。」


「...友達の代わりです。女の子なんです。...」


「ほう。そういうことか。....しかし、良くそんなことが許されたな?」


「アンヌ大佐殿に志願し、許可されました!。自分は実技に自信があります!。整備兵殿。」


「アンヌ大佐殿に?...。私はリサ•ライコン。ジャミー整備部隊長 少尉だ。s32672。リュウ•アーデン。おまえ歳は。」


この若さで整備部隊長殿。凄い...。


「16歳と6ヶ月であります!。」


「...リュウ。リュウ•アーデン。貴様、兄弟は?。」


「弟と生まれたばかりの妹がいます!。」


「そうか。私にも、おまえと同じ歳の弟がいた。死ぬな。絶対に帰って来い!。」


「はっ!ライコン少尉殿!。」


「帰って来て、ショウン少尉に礼を言え。おまえは良い上官を持ったな。ばれたら許されないことだがな。笑。私は嫌いではない。」


「はっ!ライコン少尉殿。何のことでしょうか?!...。」


「気にするな!。リュウ•アーデン。」


「はいっ!。」


「よし、ダイヤルを3jagへ合わせろ!。そして、点滅している赤いランプを押せ!。」


「はいっ!押しました。少尉殿!。」


「エンジン起動!。」


「エンジン起動しますっ!。」


僕はイグニッションを押し込んだ。


ドドドーーーン!

ガラガラガラガラ!


ドーン、ドンドーン

ガタン、ドン

ドーン、ドンドーン

ガタン、ドン

ドーン、ドンドーン

ガタン、ドン


アフロダイ高圧炉が起動し、回転を始めた。人間の心臓のように。

焼却炉が燃えるような音がする。


ジャミーに生命が宿ったみたいだ。


「良し!。行け!。リュウ•アーデン!。左の鉄の坂を登れ!。ジャミー第六隊に左から合流する。左から合流することをドックでは左ガイドから合流すると言う!。忘れるな!戻ってきたらまた使う言葉だ!。」


「はいっ!。」


「帰って来い!。必ず生きて帰って来い!。いいな!。リュウ。リュウ•アーデン!。」


「はいっ!。ありがとうございました!。ライコン少尉殿!。」


僕はアクセルを踏み。操舵ハンドルを引いた。


グーーーーン!


ジャミーは、坂を登り始めた。


『チャンネルjag3へ。こちら、第9ドック、ジャミー整備隊長 リサ•ライコン。緊急修理完了。変更速報229に従い、最後のジャミー84が合流する。ジャミー乙隊の先頭に入れてやってくれ。ジャミー84は、今のゲートを登れない。ジャミー乙型のパイロット。支援頼む。』


コンクリートに描かれている色とりどりの整列ラインが勢い良く流れていく。ジャミーは早い。


コックピットを開けたまま、走ってる。これ、憧れてたんだ!。


風が涼しい。


...ドドドドドドドド...ドドドドドドド...

...ドドドドドドドド...ドドドドドドド...

...ドドドドドドドド...ドドドドドドド...


白い装甲騎馬隊の大群...。


凄い数...。


整然と並んで爆走してる。


一糸みだれず。


時速...400km..!?。


す、凄い...。


...ドドドドドドドド...ドドドドドドド......ドドドドドドドド...ドドドドドドド...

...ドドドドドドドド...ドドドドドドド......ドドドドドドドド...ドドドドドドド...

...ドドドドドドドド...ドドドドドドド......ドドドドドドドド...ドドドドドドド...

...ドドドドドドドド...ドドドドドドド......ドドドドドドドド...ドドドドドドド...

...ドドドドドドドド...ドドドドドドド......ドドドドドドドド...ドドドドドドド...

...ドドドドドドドド...ドドドドドドド......ドドドドドドドド...ドドドドドドド...

...ドドドドドドドド...ドドドドドドド......ドドドドドドドド...ドドドドドドド...

...ドドドドドドドド...ドドドドドドド......ドドドドドドドド...ドドドドドドド...

...ドドドドドドドド...ドドドドドドド......ドドドドドドドド...ドドドドドドド...


乗り遅れそうなんだ。お先に!。


「行くぞ!Go!ジャミー!Go!」


...ダア..


...ググググ...ドドドドドドド...


ジャミーが加速する。


...ゴ---ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


風が気持ちいい。笑


『...おいー!汗...』


え?。パスタップから。


装甲騎兵が追ってくる?。


...ドドドドドドドド...ドドドドドドド...

...ドドドドドドドド...ドドドドドドド...


凄いスピード。


何か怖い顔してる...。


ロン毛で黒いメガネ?かけてる。


爆風で髪が凄いことになってる。笑


何で頭部装甲外してんだろ。


『...おーい!汗...』


ん!?僕?


『...な!何やってんねん!泣...』


『...そっちのファイヤーバード行ってどうすんねん兄ちゃん!..こっち!ジャミーこっち...』


え!?。


『...何やってんねん!あの大きいジャミー達についていかんと!...』


し、しまった。汗


「すいませーーーーん!」


あ、こ、こっちか...。汗


『...はよ行かんと!汗。間に合わへんで...』


「はい!」


『...何でパスタップ外してんの、ヘッドセット!それそれ...』


あれ、風で取れてた。


僕のために?汗


だから頭部装甲外してたんだ。汗


「あ、す、すみません..」


『...ドンキ!隊列に戻って!ドンキ!...』


『...ファイヤーフォックス分隊 ag1997ドンキホーテ隊列に戻れ...』


「す、すみません!僕のために」


尋常じゃなく装甲騎兵さんの顔に暴風が吹き荒れる。


あ....。


『...あぁぁーーーーーメガネが!...』


やばい!装甲騎兵さんのメガネが飛んだ!。


拾わないと!。汗


『...はよ行け!...』


『...ドンキ!早く!ドンキ!...』


『...ガーーピーーありがとうございます!...』


しまった、音量絞ってなかった。汗


『...あかん...耳が...』


『...す...すみません!...』


『...ええから!はよ行け!...』


『..ありがとうございますドンキさん!...』


まずい。


遅れてしまう。


「行くぞ!Go!ジャミー!Go!」


...ダア..


...ググググ...ドドドドドドド...


フルスロットルだ。


やっちゃった。汗


...ゴ---ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


...キーーーーーーーゴ---ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


滑走路も景色も線のように流れていく。


『...緊急修理?変更速報229?。聞いてないぜ?。...』


『...第9ドック珍しいな?。...』


『...所詮ライコンもドックの人間さ。自分達が戦う訳じゃねぇからな。...』


『...整備の奴らなんてどこも最低な奴ばかりだぜ!。...』


え!?。


ち、違う。....


ショウン少尉!。許せない!。あんなに遅く起こすなんて!。僕に何の恨みがあるんだよ!。


『...ジャミー84コックピットを閉めろ。...』


ウイィーーーーン


モーターが稼働してコックピットのドームが下がってくる。


『...ふざけんな!整備隊!怠慢じゃねぇか!...』


『...みんな自分のことでいっぱいいっぱいなんだよ!。....』


『...知らない。タワー(タワージープ。荷台がせり上がる運搬車)持ってきて積んだら?。...』


ガゴーン、ガゴーン、ガゴーン、


僕のジャミーが、速度を上げて、走る。操舵は大丈夫だ。完璧ではないけど、僕はアパッチやエルカーの操舵より得意だ。


左ガイドから合流。


ドドーーン!

ドドーーン!


乙型は大きい。


一糸乱れず歩いている。


今回選抜された人達のジャミー。


僕は速度を上げた。


『...おい!。ジャミー84暴走してるぞ!。おい!。おい!。ヤバいぞ!。第9ドック!。ホントに調整終わってんのか!?。』


『...何!?。s32672!。どうした!。まずい!。整備は完璧なはずだが。...』


『...何が完璧なんだ!。緊急修理しやがって!。変更速報に入ってないぜ!。』


『...この速度、俺たちでもコントロールできないぜ。誰が止める?。...』


『...あーあ。戦場で、結局しわ寄せ受けるの俺たちだからな。...』


『...s32672!。大丈夫か!?。汗...』


「RSS隊 s32672 リュウ、リュウ•アーデンです!。飛ばし過ぎました!。申し訳ありません!。速度落とします!。制限速度知りませんでした!。ライコン少尉の整備完璧ですっ!。」


『...え?!。...』


『...何て!?...』


ぎゃはっはっ!

あっはっはっはっ!

わははははは!


え!?


3jag回線が爆笑の渦に。


「飛ばし過ぎました!。制限速度知らなくて!。」


『...制限速度?。ねぇぜ、そんなの。笑。笑。...』


『...飛ばし過ぎた?。すげぇのがいるなぁ。RSS。はっはっはっは。...』


『あはは。やだ、負けそう。笑。』


『坊や!。飛ばし過ぎて良いからさ!。一番前に来い!。乗せてやっから。』


『デューク!。乗せてやってくれ!。』


デュークってエースパイロットの!?

すげぇ。


『...了解!...』


『...坊や、一番前の真っ黒なジャミーまで飛ばして良いぜ。ガッハッハ!頼もしいぜ全く。...』


『...うわ、速っや!...』


『...ヒューーー!すげぇぜ坊や!...』


一番後ろは、ジャミーが得意な隊員200機


次は、専任パイロットの人達。700機。強い順に前から並んでる。


先頭の方のジャミー。それぞれ自分の好きなようにペイントをしてる。色とりどり。絵とかイラストが書いてある。


装備も個性的だ。ジャミー専任のパイロットの人達の中でもエースって言われてる人達だ。


かっこいい。


『...おぉ、お出ましだ。...』


『...うわっ!こいつすげぇぜ!84のくせに、特別仕様だせ!見ろ!ウイング付いてるぜ!ワッハッハッ!...』


知らないよ...アンヌ大佐が勝手にやったんだ。


『...わぁお!。どんだけワルなんだよこのRSS!。わはははは!。...』


『...手助けいらねぇだろ?。坊主真似して見ろ!。...』


『...俺たちの真似して見ろ!。...』


乙型は全力で走り始めた。

凄いスピードだ。

僕のジャミーより全然早い...


え!?。


二体のジャミーは、突然飛び上がった。コンテナの半分の高さまで。


出来るのそんなこと。


えぇぇ!?


凄い高さだ。


ゴガーーン!

ゴガーーーン!


二体ともファイヤーバードに着地した。


『...ヒューーー!。...』


ワーーー

ワーーーー


で、出来るかな...。

側転は、ジャミーで良くやったけど...。

ショウンに顔が腫れるまでビンタされたけど....。


『...こちら、アンヌ。あまり調子に乗るな。...』


『...ほら、坊主!来い!やってみろ!。...』


『...やってみろよ!楽しいぜ?。...』


僕は全力で84型を走らせた。


今度は、最速!。


『...ヒューーー!。...』


『...いいぞ!坊主。...』


ガゴン!

ドゴン!


良し!ジャンプ!。


うわぁぁ、バランスがっ!。

シムセプトの隊列に突っ込む!。

わあぁ。


ス、スラスター。

スラ。


まずい、横スラのレバー....。


『...来たぞ。...』

『...ほんとにやりやがった。笑。...』


先に着地した真っ赤な乙型がジャンプして来た。


『...しょーがねぇなあ。苦笑。...』


ガツッン!


ゴォーゴォーー!

ゴォーゴォーー!


真っ赤な乙型がスラスター噴射してる。


『...着地だ。坊主。離すぜ。...』


「はいっ!。」


『......』


ガガーーン!

ゴガーーーン!


ふぅ...。


「ありがとうございました!」


ガゴン!ガゴン!


赤いジャミー乙型が、こっちの胸を殴ってくる。


な、何?。


赤の乙型と、黒に派手なペイントの乙型、ジャミー乙型の隊列に戻って行く。ジャミー乙型の乗船、続々と続いている。


移動基地内は、広い。

広すぎて、ジャミー84隊が見当たらない。


こんな重厚な巨大な箱を持ち上げるなんて、ファイヤーバードは凄い。


しかも、全軍乗せて浮上するんでしょ?


早く飛べないわけだ。


兵士達、ロボット達が整列している。


もう隊列に分かれてる。


太ったおばさんもいる。


黒く長い長い髪。


折飾りで束ねて伸ばしている。


アモイの裃。


丸い鏡の首飾り。


真っ黒な丸いサングラスをかけている。


パンクロッカーみたい。


「トヨコ様ー。こちらへ。」


あれ!?。汗


民族衣装やら胴着を来た子供達。


幼稚園みたいな小さな子もいる。


何であんな小さな子達が...。


何で?。汗


危ないよ...。


大きな武術家の人達の間にいる。


2人は取り分け大きい。


あそこだけ武術大会みたいだ...。


でも、素朴で優しそうな顔してる。


『...R5型は直ちに各隊列へ移動!。...』



どこに行けば...。


装甲騎兵の隊列。上のフロアに上がっていく。


整然と。


もの凄い数だ...。


誰かが手を振ってる。


え!あ!?。ドンキさんだ。


「ドンキさーん!」


メガネ見つかったんだ。良かった。


ドンキさんが指を指してる。


え、あっち?。2階?。西側?。


『...隊列完成後、ゼロロクイチイチから全体講話を行う。...』


『...マルヨン地対地装着完了。繰り返すマルヨン地対地装着完了。...』


『...51隊列のジャミー84!。何をしてる!。早く来い!。...』


あ!?僕かも。


『...給油。あと10分で一旦終了。離陸後再開する。繰り返す。給油。あと10分で一旦終了。離陸後再開する。...』


『...パイロットは...。s32672 。...』


僕だ!


「s32672 リュウ•アーデンであります!。場所は!。集合場所はどこでありますか!?。」


『...何をやっていた!?。もう、みんな整列しているぞ!。アンヌ大佐殿に恥をかかせる気か?!。...』


「申し訳ありません!。直ちに向かいます!。」


『...E7T9 二階だ。西9エレベーターで、ジャミーごと来い。出撃時には、フロアごと下がる。...』


_____________________________________


....

..........

....


『は、は、初めめして、リュウ•アデルどす。』

『リュウ•アデルさん?。』

『ち、ち、違ます、リュウ•オデン...』

『しっかり。笑。大丈夫。私もそうなる時あるから。笑。』


『なぁ、もし良かったら、みんな!僕の家に来いよ!そんなご馳走はできないけど!』


『え?不味かった?。』

『どれどれ、甘んまっ!ごめん。』

『砂糖入れちゃった?笑。』

『間違えたかも...。』


『で、でも、ケントのこと好きでも。これは貰って。いや、貰ってくれると嬉しいです。プロスティの好きなピンクじゃないけど...ザナディンまで行ったんだ。スカーフがおばさんがするものだって知らなかった。...やっぱり、いいや。色も黄色だし。ごめん。...』


『プロスティ!これ。』

『あ、綺麗。どこで見つけたの?この花。私このピンクの花好きよ。ありがとう。』


『あ、そうだよね。ケントと行きたいよね。ごめん。俺無神経だったね。』


『プロスティ!。プロスティ!。大丈夫だった!?。怪我してない!?。』

『どうやって来たの!?リュウ!?2人とも。砦の中にずっといるから平気だよ。どうしたの。』

『良かったぁ...。』

『リュウ、どうしたの?。泣いてるの?。どうしたの?。』


『ちょっと待って下さいっ!。』

『志願させて下さいっ!。』

『何でもです!。どうしても行かなきゃなんないんだっ!。頼むよ!。お願いします!。お願いします!。お願いしますっ!。お願いしまーーーすっ!』


『負けた人には...これだっ!。』


『おまえのって。笑。うーまっ!美味いです。ケントも食ってみ?。』


『ううん。そんなことないよ。』


『プロスティ好きだ!大好きだ!愛してる!僕は君を愛してる!。誰よりも誰よりも。』


リュウ?。

リュウ?。

どこ?リュウ?。


『プロスティ。ごめん。許して欲しい。あんなことするつもりじゃなかった。ホントごめん。プロスティ?。ごめん。プロスティ?。プロスティ?。明日、出撃なんだ。このままじゃ...こんな気持ちのままじゃ、俺。頑張れないよ。....許してよ。プロスティ...。プロスティ....。』


.......

.....

........


ハッ!

心臓がドキドキしてる。

リュウ!?。

リュウ!?。

こんなに汗が....。


リュウごめんなさい。

私、怒ってなんか...。


あたし、何てことを....。


_____________________________________


「...ということで、我が隊はデューン軍前衛隊を叩く。敵軍には、諸君も良くご存知の、あの最悪な大型殺人兵器ボルボーレだ。ポイント1268までこのファイヤーバード17号にて移動する。安心しろ。護衛は、我が軍最強の艦だ。...」


「アマギでありますか!」


「そうだ.....」


ウオーーーーー!

ウオーーーーー!

ウオーーーーー!


大歓声だ。


みんなの前で殴られた頬が痛い。ジンジンする。ショウンの奴。寝坊しやがって。最悪だよ。


「おい、泣くなs32672。男だろ。ほら。また、殴られるぞ。」


隣に座っている隊の人が、タオルを渡してくれた。少し汗くさいけど、温かい。


「以上だ、あとは、各隊に分かれろ。解散!。」


さっきの人達が入って来た。

デカイ。

凄い筋肉。


「行くぞ!坊主。」


さっきの人が。


「ぼさっとするな!また殴られるぞ。あぁあれか...ラキティカ達だ。イブラデもいる。」


ラキティカ?イブラデ?。


「元気を出せ!。大佐殿の隊の司令塔が、遅刻では締まらんだろう。」


大佐殿の隊。アンヌ大佐殿が最前線に?


「期待してるぞ。s32672。リュウだったな。」


「はい!。」


「良い返事だ!。」


背中をポンポンって叩いて肩を組んで来た。


「うちの隊はしばらく休憩だ。アンヌ大佐殿はおられるが、51隊の隊長は私だ。ダンだ。大尉だ。」


コンテナが大きく振動している。


ファイヤーバードのコンテナ内には、かなりの数の埋め込み式のモニターが設置されている。


すべてのモニターが一斉に点灯し、ファイヤーバードの外を映し始めた。巨大なものも、壁に埋め込まれた小さなものもある。


ゴンゴンゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


ゲートが閉まって行く


モニターは、閉まり始めたコンテナのゲートを映している。


乗員は、モニターを見ながら、自分と自分の機材に責任を持つ。そして、不測の事態に備えなくてはならない。


『...本艦ファイヤーバード17号は間も無く離陸する。総員離陸体制を取れ。...』


ドンドンドーン


コンテナが激しく揺れる。


ゲートが完全にしまった。


ブルブルブルブルブルブル


ロックがかかっている。


ゴゴーーーーーー


上向きのモニターに、ファイヤーバードの本体が下がってくる映像が映し出される。


同時に、翼についた、二つの、とてつもなく大きなジャイロ型の反重力推進器も垂直に向きはじめた。



ドーン。ドーン。

ウィーーーーーーーン

ガンゴン!

ガンゴン!

ガンゴン!

ガンゴン!ガンゴン!

ウィーーーーーーーン!

ガンゴン!ガンゴン!


反重力推進器が回転しはじめた。


フワッ


もう浮いた。


ブウォオォン!ブウォオォン!ブウォオォン!ブウォオォン!

ゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーー!


ファイヤーバード17号は浮上し始めた。


ゴゴゴゴーーーーー!

ドーンドンドーーン!

ドーンドンドーーン!


ファイヤーバードの上を大きな銀色の航空戦艦が飛び越えて行く。


ファイヤーバードが激しく揺れる。


モニターに入りきらない。


スポーツスタジアムのように広いコンテナの中に、びっしりと並んだ大軍団が一斉に雄叫びを上げる。


「アマギだぞ!。」

「アマギだっ!。」


ウオーーーーー!

ウオーーーーー!

ウオーーーーー!


アマギがファイヤーバード17号の前に出た。

ハイドラで最強の航空戦艦が僕たちの護衛についた。


アマギは上弦下弦のべ26門の主砲を備えている。レバンナ以上に重厚な装甲、推進器も巨大だ。


アマギは、ハイドラ最強の浮沈戦艦といわれている。


5:57分。

ファイヤーバードが、基地の上を通過する。


まだファイヤーバードは、ホバリングでゆっくりと移動している。


大勢の人達が基地のグランドに立ってこちらを向いて手を振っている。飛び跳ねながら思いっきり手を振っている。


「おい。見てみろ!誰か基地の屋上に登ってるぞ?」

「本当だ!危ないな。あいつらRSSか?。」

「何か、書いてあるぞ!。」


!?


ホントだ!


「...必ず...戻って...来い...リ?リュー?アーデン...待ってるぞ...だ」


!?


あ、あれっ!?


ケント!ダイダ!。


「リュ•アーデンて誰だ?」


ケントっ!ダイダっ!


「おおい!誰か通信塔に!通信塔に登ってるぞ!」


誰かが一番大きなモニターを指差して言った。


大きなドームのようなコンテナの中にいる15000の人達が一斉にどよめいた。


「おぉぉ、危ないぞ...。」


「女だぞ...。」


「あ!危ない!。」


「何だ、黄色のスカーフを振ってる。何だ?。」


「銃殺されるぜ。大丈夫か?。」


「可愛い子ね。彼氏がいるのねRSSに。泣けるわ。」


女の人が通信塔に。


鉄塔の一番上に。


危ないよ...。


黄色のスカーフを振っている。


必死で...。



プロスティだっ!。


あ、あれ、僕の。


僕のあげた黄色いスカーフだっ!。


プロスティ!。


来てくれたんだ!。


プロスティ!。


あんなに危険を侵して...。


モニターに、大きなモニターいっぱいにプロスティが映っている!。


「プロスティ!。プロスティ!。プロスティーーー!。」


僕は思わず叫んでた。


「プロスティ!。」


「おい!坊主来い!。」


隣の隊の兵士の人に引きずられた。

い、痛い。

しまった...。


「プロスティ!。」


兵士の人に引きずられてる。

また、やってしまった。

な、殴られる。


「おーーーい!。ロッド!。あの子!。あの娘!。この坊主の女だぜ!。後部デッキまで連れて行ってやってくれ!。」


みんなが振り返る。


『...おお?マジか!?。任せとけっ!。』


黒に派手なロゴ。さっきの人のジャミーだ!。


ゴガンゴガン!


ゴガンゴガン!


ジャミー乙型が来る。


「坊主!乗れ!。」


手に乗った。


ゴガンゴガン!


ゴガンゴガン!


ゴガンゴガン!


ゴガンゴガン!


ジャミーは、ファイヤーバードの後ろに向かって走る。


スロープを降り一階へ、そして、下へ。


『...坊主。待ってろ!合わせてやっから!。おーーーい!。管制!。こちらパンサー3!。ハッチ開けろ!。ハッチを開けろーーっ!。...』


ドドーン!


ドドドーーーン!


ジャミーがコンテナの壁をたたく。


『...パンサー3、離陸後のハッチは規則で開けられない。...』


『...くっそ!。女が会いに来てんだ!。あんな危ない思いしてな!。開けろ!。開けろ!。こんな、子供が、可哀想だ!。開けろ!。開けないと!ぶっ壊すぞ!。...』


『...パンサー3規則だ。済まない。それは出来ない。...』


『...くそう!。貴様らそれでも!。.....』


ガガガ

ウィーーーーーーーーーーーン


ハッチが開き始めた。


ゴガンゴガンゴガンゴガン!

ゴガンゴガンゴガンゴガン!


ジャミーがハッチの下に降りる。


眩しい。


ビュュウゥーーー!

凄い風だ。


「坊主っ!。チャンスは一度だけだぞ!。思いっきり手を振れ!。」


「はいっ!。」


「手の中のハンドル!。しっかり握ってろ!。手を離すな!。」


「はいっ!。」


ウィーーーーーーーーーーン!。


さらにゲートが開く。


ファイヤーバードが旋回し始めた。


プロスティだ。


プロスティが止まった。


ググゥ!。


ジャミーの手が僕を高く掲げた。


「坊主っ!。気づいたみてぇだぞ!。叫んでみろ!。デッケェ声でっ!。」


「はいっ!。」


プロスティがこっちを向いている。


「プロスティーー!。必ず!。必ず帰るからなーーーー!。プロスティーーーー!。プロスティーーー!。あ、あい、大好きだーーーー!。プロスティーーー!。」


プロスティは、また、スカーフを激しく振り始めた。

さっきより激しく、飛び跳ねながら。


プロスティに届いた!。

みんな!みんな!ありがとう!。


プロスティ。元気で!。

プロスティ。ありがとう。


ファイヤーバードのデッキが閉まる。


ズドーーーン!

グゴゴゴオオオオーーーーーー!

キーーーーーーーーーン


強いGがかかる。

ファイヤーバード17号は、最前線に向かってフルスロットルで加速し始めた。

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