表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
127/364

ハイドラの狂人45

トラフィンは立ち上がった。


白いヒドゥィーンタイガーはまだトラフィンの顔を舐めている。


トラフィンは困っている。


はっはっは。


ははははは。


「良かったな。トラフィン。」


「あぁ、あぁ、びしょびしょじゃないか...。笑。」


上半身包帯だらけの男が泣きながら走って来る。


「だ、ダメですよっ!。」


看護士が追ってくる。


看護士達に取っては気が抜けない日だ。


「ガバディルおじいさん!。」


トラフィンも走っていった。


トラフィンとガバディルは強く抱き合った。


「おい!。サンザも来い!。何をしとる!。」


サンザも走ってガバディルに抱きついた。


ガバディルは双子をしっかりと抱き締めた。


まるで生き別れていた孫のように。


頬ずりをして離さない。


...ウオーーー...


みんなの歓声が響く。


隣りにいるアンドゥとメイランも抱き合って喜んでる。


ジンタとエレンは何回もジャンプしてハイタッチをしている。


赤ん坊を抱いている大神官もエメドラドも嬉しそうだ。


白いヒドゥイーンタイガーはトラフィンを舐めるのをやめない。


「も、もうやめてくれぬか。汗。」


トラフィンが言う。


サンザはトラフィンの後ろから抱きついている。


トラフィンの背中に頬ずりをしている。


...挟み撃ちだな。笑...


...はっはっはっは。...


...あぁ、危ないよ。...


...わっはっはっ。...


...ふふふ。...


...仲良しね。2人とも。...


...ははははは。...


ハイドラ軍の兵士達は防護服を脱ぎ給水車からホースで水をかけあっている。


こんなに冷えているのに...。


神官達も巫女達もにこやかに皆を見守っている。


...ゴゴゴゴーーーー...


...ゴゴゴゴーーーー...


ハッサンが吼えエメドラドとジェー•ディーの元に寄って来た。


二頭の子供達も付いてきた。


皆はハッサンの方を見上げる。


ハッサンはまるで大型トレーラーだ。


とても大きい。


...グググゥ...


...グググゥ...


ハッサンは2人に鼻を擦り付けた。


「お別れじゃな。ハッサン。」


「良くやった。元気でなハッサン。」


エメドラドは言った。


「お前達も本当に勇敢じゃった。」


「母さんに負けず劣らずな。」


...ググゥ...


子供達も誇らしそうに唸った。


「ジェーよ。この子達にも名をやってはどうか?。」


「ハッサンに与えたようにな?。」


「え、ハッサンって大神官様が名付けたのか?。」


「知らなかった...。」


「へぇー。」


「はっはっは。そうなのだ。私が子供の頃にな。」


「そうなんだ?。」


「ではハッサンと同じ色の虎はジェイド白い子はジェイク。どうだろうか?。皆の者。」


「えぇ...?。だっさい!。カッコ悪っ!。」


ジンタが言った。


「な、なんだと?。」


「こっ、こらっ!ジンタ!おまえ何てことを!。」


「まぁ、良い良い...。しかし、最初のハイドゥク シンの子供達の名前なのだぞ?。シンを助け帝国を退けた。む、むぅ。で、ではハルとハクはどうだ?。」


「それはどういう意味?。」


「こらっ!。」


アンドゥは慌てている。


「手厳しいのぅ。はっはっはっ。良い良い。ハクはハクアの言葉で永遠の平和。ハルは真の勇者。と言う意味じゃ。ハクアの名帝ジンムの腹心の部下達の名前でもあった。」


「おじさん!。ナイスだよ!。いい感じ!。」


ジンタはジェー•ディーの真似をして親指を立てた。


「いい加減にしろ!。」


...ゴン...


アンドゥはジンタにゲンコツをして大神官に頭を下げさせた。


「ご、ごめんなさい。」


「オッケー!。」


ジェー•ディーはジンタの真似をして頭の上で輪っかを作った。


ドっと人びとが笑う。


もう朝になっている。


第一太陽の日差しがジャングルを照らしている。


朝露が日光を反射する。


晴れ空を鳥達が飛んでいる。


この時間は涼しい。


とても美しくて清々しい朝だ。


巨大ネズミの死骸があちらこちらに散らばっていること以外は。


アンドゥはシャトルの入り口にバンドル(小型スーパーコンピュータ兼通信端末)を載せ話しかけている。


「プロスファル様。」


「.......................」


「プロスファル様。ご覧ください!。2人が...。」


「.......................」


「プロスファル様。?。」


「.......................」


「プロスファル様。!?。」


「.......................」


「おーい。通じないのかい?。アンドゥ?。」


プロスファルから応答は無い。


アンドゥはバンドルを手に取りプロスファルのフォンナクのあらゆる場所を投影している。


「お祈りか謁見の日じゃないのか?。」


人気が全く無い。


祈りの日でも謁見の日でもない。


「どうしたんだ、いったい...。」


最後にバンドルはフォンナクのコーナを映した。


アンドゥは動転した。


フォンナクが血で染まっている。


す、直ぐに戻らなくては。


今直ぐに...。


ハイドラ軍の駆逐艦が降下してきた。


ハイドラ軍の兵士が上官らしき男に耳打ちをしている。


「ハイドラ部族軍の艦隊?。だと?。」


「アンドゥ!。た、大変だ!。ちょっと来てくれ。」


ノーホーク隊のミランが騒いでいる。


空気が急に緊迫し始めた。


...ゴゴゴゴーーーーーーーーーーーー...


...ガガガーーーーーーーーーーーーーーーー...


ハッサンとハルはまるで会話をするように吼えている。


ハッサンとハクは密林の奥に入る前にハルの方を振り返りもう一度吼えた。


...ゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーー...


ハルは答えた。


「ハルはやはりトラフィンやサンザと行くようじゃ。」


「ハッサンはハクが支えると決めたようじゃ。」


「ハッサンも立派な良い子達を授かったものじゃ。」


...ドスン...


...ドスン...


大男が歩いて来る。


「トラフィン、サンザ。」


5mを越えるその大男は2人を呼んだ。


見上げる大きさだ。


ハッサン程では無いがとても大きい。


タント族と比較してもなお大きい。


「も、モル兄様っ!。」


サンザとトラフィンはモルフィンの元に走って来た。


モルフィンはもはや以前のような美しい少年ではない。


損傷が激しく完全に兵曹を落とすことが出来なくなっている。


半怪物のような容姿だ。


やはり目は昔の優しいモルフィンのままだが...。


トラフィン達の後ろからガバディルが足を引きずり歩いてくる。


「良く頑張ったな。2人とも。誇りに思うぞ。笑」


モルフィンは2人の頭を撫でた。


「ゆっくりはしていられない。本調子ではないだろうが頑張って私について来なさい。」


「兄様。どこに行くのです?。」


「トラフィン。サンザ。おまえ達はタンジアのキドー一族の元に行くのだ。」


「タンジアのキドー一族。」


「ハイドゥクの子供と分かった以上。非凡な力を持っていることが分かった以上、もはや戦士として生きるしか道はないのだ。さもなければ命を狙われいつかは殺されてしまう。」


「はい。」


「案ずるな。キドーのスサはハイドラ一立派な戦士。尊敬できる男だ。おまえ達は心底信じて良い。私が保証する。そして困った時はこの兄を呼ぶが良い。いつでもおまえ達のためにこの命捧げよう。」


「兄様...。泣。」


「泣くな。トラフィン。親愛なる我が弟達よ。おまえ達こそがハイドラの希望。」


やっとガバディルはモルフィンの前に着いた。


「モルフィン様...。」


「ガバディル。無事か?。ありがとう。恐らくおまえの助けがあってのことだろう。」


「い...いえ。ありがたきお言葉。ネスファル様のことは...。」


「すまぬ。おまえ達にまで危険な思いをさせてしまった。」


「いえ、いえ、滅相もない。私はネスファル様、モルフィン様、アリシア様、ジュエル様にお仕えすることこそが全てでございます。」


「ありがとう。ガバディルよ。すまぬ1つだけ頼まれてくれ。大神官殿。ハイドラのメシアよ。こちらへ。」


エメドラドは神官達に支えられジェー•ディーも杖をつきゆっくりと歩いて来た。


「大神官よ。メシアよ。その赤ん坊が何者か分かっているか?。」


「分かっている。この子はアトラの新しい軍事兵曹。」


「哀れにも捨てられた陰極星の子。」


「両極星に注ぎ込む資源はアトラとてない。そして、アダムゼロのようにいつかは対極星同士で殺し合おうとする。そう。この子は、捨てられたのじゃ。間引かれケラムの獰猛な化け物達の中に捨てられたたのじゃ。」


「ガバディル。マトゥバアンティカ ノリエガの元にその子を送り届けて欲しい。ノリエガに全てを委ねるのだ。」


「モルフィン様。しかし、マトゥバがアトラの軍事兵曹を生かしておくでしょうか?。」


ガバディルは言った。


モルフィンは肩についている三種の神器 アスバードドラゴンを外した。


そして言った。


「私のアスバードドラゴンをこの子に託す。この神器がこの子のを護るだろう。そしてこの子を導くだろう。アスバードドラゴンよ。」


アスバードドラゴンは赤く点滅し赤ん坊のサイズまでその身を収縮させた。


「な、何と。アスバードドラゴンが受け入れた...。」


アスバードドラゴンはガバディルを伝い赤ん坊の肩に取り付いた。


赤ん坊はおもちゃのようにアスバードドラゴンを触っている。


赤ん坊は笑っている。


サーモンピンクの金属色でで塗られた催事用のつづらを持ち上げた。


「エメドラドよ。このつづらを借りる。」


「あぁ。持って行きなさい。」


「さぁお前達。乗りなさい。もう時間だ。急がねばならない。」


モルフィンはサンザとトラフィンが乗ったつづらの上に毛布を掛けた。


そして、それを背負い密林に向かい歩きはじめた。


...ガガガーーーーーーーーーーーーー...


ハルがモルフィンの横を歩きはじめる。


モルフィンはハルを優しく撫で同行を許した。


モルフィン達は密林の中に姿を消した。


ガバディルは借りたシャトルの動力を起動した。


エレンと赤ん坊と共にノリエガの城を尋ねるため。


「あぁ...。」


大神官が倒れこんだ。


「ど、どうしました!。」


「大丈夫ですか!。大神官様!。」


「大丈夫かジェー!?。」


「どうしたのじゃジェー?!。」


「か、可哀想に...。」


「どうしたジェー。」


「可哀想に...あの子は...三度死なねばならない。」


ジェーはそう言うと肩を落とした。


ガバディルのシャトルはゆっくりと浮上して行く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ