ハイドラの狂人36
巨大なボスクローチはやっと立ち上がった。
サンザはボスに向かい虎の構えを取った。
覇気が円状に広がる。
そして覇気は衝撃波となり周りのクローチを薙ぎ払った。
...ゴゥギュウウゥゥゥゥ...
...ギャン...
サンザの覇気が複数のクローチの身体を切り裂く。
クローチの身体から体液が噴き出している。
「...デフィン様の覇気じゃ...。」
カバディルおじいさんが呟く。
巨大なクローチがたじろぎ退いた。
...ググウ...ギュー...ギュー...ギュー...
妙な音波を発するとサンザの方向に向き直った。
まるで小人を狙うライオンのようだ。
「あれは...。サンザを調べたのじゃ...。サンザの戦闘力を...。クローチは自分より強い者には決して対しない...。」
....ゴゴゴーーーゴゴゴーーーゴゴゴーーー....
巨大クローチは熊のように立ち上がり吠えた。
尖った巨大な鋼鉄のような爪、牙。
「おーーーーー!。」
サンザも吠えた。
...ドーーーーーン...
サンザの覇気も上がった。
サンザの覇気は回転しながら広がって行く。
ボスクローチは覇気を感じると姿勢を低くした。
ボスクは飛びかかった。
サンザが拳でクローチの頭を突いた。
サンザの突きはクローチの鼻の横を貫き周りの骨を一気に砕いた。
...ゴ...
...ガ...
その衝撃波は大きな半径でクローチの目の無い顔をくぼませた。
しかし、ボスクローチはそのままサンザに突撃し鼻でサンザを天高く放り上げた。
「サンザーーー!。」
「こ、これが、これが、あの発達の遅れた子か...。あのサンザの本当の姿か...。」
カバディルおじいさんは呆然と言った。
サンザは空中で回転し受け身を取り何とか着地した。
サンザの受けた打撃は相当なものだ。
サンザはよろめきながら立っている。
...ギギギュアーーーーーーーーーーーーーー...
....ギュュゥギャーーーーーーーー...
...ギギギギャーーーー...
...ゴゴゴゴゴゴゴゴーーー...
しかし巨大なクローチもまた悲鳴をあげている。
...グワッ...
周りのクローチが一気にハッサン達に飛びかかった。
ワアアァァァァーーー!。
サンザは叫び両腕を水平に広げ回転した。
円状に斬撃が走り前列にいる全てのクローチは真っ二つに両断され黒焦げになり飛び散った。
鳳凰の火斬輪。
モル兄様の技...。
サンザは足を痛めている。
立てない。
...ゴゴゴーーーゴゴゴーーーゴゴゴーー...
...キュイーンキュイーンキュイーンキュゴゴゴーーーゴゴゴーーーゴゴゴーー...
...キュイーンキュイーンキュイーンキュゴゴゴーーーゴゴゴーーーゴゴゴーー...
頭が割れるように痛む。
上手く呼吸が出来ない...。
巨大なクローチはが変な音を発している。
「ダメじゃ...。聴いては、聴いてはいかん!脳の神経が壊れてしまう。」
....ボボボボ...
巨大クローチの全身の毛が逆立った。
全身の黒い毛が鋭い牙のように逆立った。
「ぎゃあーーー!。」
「さ、サンザーーー!。」
「い、行ってはいかん!。2人とも死んでしまう!。」
サンザの悲鳴が響く。
サンザは音や光に敏感。
激しい音は強烈な痛みを感じるはずだ。
「サンザーーー!。」
カバディルおじいさんが離さない。
サンザは、地面をのたうち回った。
巨大なクローチは口を開きサンザを飲み込もうする。
...バシッ...
ワシはカバディルさんの手を払いのけ飛び降りた。
「と、とら、トラフィーーーーン!。」
おじいさんの声がだんだん後ろに遠ざかる。
ワシは走った。
全力で。
...グオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
ハッサンが吼える。
「うおおおおーーーー!。」
ワシは飛び上がった。
両腕を思いっきり振り下ろした。
...バシィィィーーーーーーーーーーッ...
大虎の鉤爪だ!。
ボスクローチの鼻が吹き飛んだ。
スプリンクラーのように真っ赤な体液を放ち回転しながら。
...ガガァーーーーーー....ゴガァーーーーーー...ガガァーーーーーー...ゴガァーーーーーー...
巨大なクローチは、悶え苦しんでいる。
足には棘が無い。
くらえっ!。
ドス!ドス!
くっそ!。
ワシの蹴りが全く効かない!。
今だ...龍の体落としだ!。
...ビュッ...
...ビュゥッ...
な、何の音だ...。
....バァーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
目の前が真っ白に...。
痛い...。
...バギィ...
木に激突した。
痛い...。
...ビュオゥッーーーーー...
...ビュゥゥゥゥッ...
何の...何の音だ...。
弾き飛ばされた...。
歯が歯が立たない...。
あぁ...。
クローチの群れがサンザとハッサン達に襲いかかる。
あれ、凄い血が...あ...ワシの血だ。
ワシの身体に大きな黒い槍が刺さっている。
クローチの棘...。
...ゴゴゴーーーーーーーーーーーーー...
...ゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
クローチの群れが...。
ワシは鳳凰の火斬輪が出来ない。
龍輪火焔陣!。
槍のように鋭い棘が身体を貫く。
意識が遠のいた。
火焔陣は、クローチを追い払った。
血が溢れる。
負けるものか...。
「ト、トラフィン!。サンザ!。い、今行く、待っていろ!。」
おじいさんがスロードープを急降下させた。
暴れるボスクローチの手がスロードープに当たった。
おじいさんはスロードープから放り投げられた。
スロードープは回転しながら密林の中に堕ちた。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
推進器の燃料が...スロードープは爆発した。




