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読んで感想なんかいただけるとうれしいです。

二、

「・・・・夏華?」

 隣にはあの七不思議のことを俺に話そうとして結局話すことのなかった友人がいる。今、彼の目には不思議そうなものを見ている気がする。

「・・・知らないのか?瀬見津夏華・・・この高校にいるだろう?」

「瀬見津・・・いたっけ?」

 その友人は俺の話しに首を傾げながら考え込んでいたようだった。まぁ、夏華さんのことは今はどうでもいいや。

「・・・いや、それならいいんだ。それより、七不思議のとっておきを聞かせてほしいんだけど?」

「ああそれな・・・・」

 少しだけ気まずそうな顔を俺に向けてくる友人。

「・・・ちょっと、ど忘れしちまった」

「そうか、それならいいや」

 別に忘れたのならどうでもいいだろう・・・そういって俺はその話を聞くことなく、夏華さんの住んでいる家へと向かったのであった・・・正直、話を聞いていれば間違いなく俺は彼女の家に行くことなかったのかもしれない。


「・・・ここで合っているよな?」

 目の前に建っているのはこの町で一番おかしいというぐらい大きな屋敷だった。俺だったら屋敷といわれたら洋風の家を想像するのだが・・・彼女、瀬見津夏華さんの家は日本風で趣のある家だった。家の門の隣に石灯籠が置かれてある。扉の端のほうにはセミのマークが彫ってある。

「・・・チャイムもないようだけど・・・どうしたらいいんだ?」

 きょろきょろ見ていると扉の上のほうに神社の鈴を思い浮かばせるように一つの風鈴みたいなものがその姿を夕風に靡かせていた。どうやら、それが現代のチャイムのようだ。


 それを鳴らして少々の時間を要して・・・中から人が現れた。

「・・・いらっしゃいませ、ちゃんと来てくれたんですね?」

「え・・まぁ、約束・・・したから」

「約束・・・か」

 少しだけその“約束”という言葉に反応したのか、彼女は少々さびしそうな表情を見せたのだがいつものようなちょっと無表情な顔を見せる。

「・・・あがっていいですよ。誰もいないから気にしないでいいです」

「それじゃ、お邪魔して・・・」

 一つ、扉の門をくぐると中は緑のコケに覆われたりした石やシシオドシ?を確認することができる。ここにも石灯籠らしきものがその姿を否応なしに確認させられる。他にも、大きな木があったりして・・・きっと、夏には蝉時雨が堪能できるのだろう。

「大きな家だな?」

 褒めたつもりなのだが・・・

「・・・そうですか?一人暮らしをしている私としては逆に、悲しくなりますよ」

 そう切り替えされて俺は彼女と共に家の中に入るまで何も言えなくなってしまった。何か話しかけようとしても彼女と親しいわけではないので会話が思いつかなかったのだ。


 家の中に入ってお茶を出され、俺は場所が場所だけに緊張しまくりだった。通されたのは彼女の部屋なのだろう・・・たんすや畳が味を出していてどうにも、今風の女の子の部屋とは思えなかった。

「・・・あの、どうですか?」

 俺の視線に気がついたのかどうか、知らないが・・・彼女はそう尋ねてきた。

「ああ・・・お茶?おいしいよ?」

「よかった・・・」

 ほっとしたような表情を見せる彼女に心和ませながら俺は再び、居心地の悪さを感じながらどうしたものだろうかと考えた。

 二人きりになっても別に話すようなことがない。会話の中では成立しやすい趣味の話をしようにも彼女の趣味などをまったく知らない。

「あ、あの・・・」

「え〜と、何だ?」

 話題に困っていた俺の耳に声が聞こえてくる。間違いなく、彼女は俺と何かを話したがっているのはわかるが、俺の頭の隅で

「覚悟をしておいたほうがいい」と警告していたのであった。

「・・・七不思議、興味ありますか?」

「七不思議?」

 夏華さんという見た目麗しの人物からでた言葉は少しばかり怪しい言葉でもあった。

「まぁ、興味があるっていうか・・・よく知らないからなぁ。話してくれるのか?」

「・・・勿論話させてもらいます・・・・とっておきを・・・」

 ちょうど、その話を聞きたいと思っていたのだ。俺は正座をして話を始めようとしている彼女のほうを見る。

「・・・・これはまだ私たちの高校が女学校の頃にできた話です。だから、私たちの高校では七不思議に出てくる人物たち・・・つまり、その七不思議にはすべて女生徒が出てくるんですよ」

 小ねたをそのようにいって前置きとしたのか・・・彼女の表情が何か寒いものに変わってきた。無表情で、寂しそうな顔だった。

「・・・・・・私が今から話す七不思議は私たちの高校の生徒会長だった人の話です。彼女は勉強ができていて先生たちからの評価も高い人物でした。しかし、性格が災いしたのか知りませんが・・・高校三年生にもなって友達はほとんどおりませんでした。そんなある日、彼女はこんな自分ではいけないと思い・・・・他校の男子生徒に思い切って話しかけました。まぁ、友達を作るだけ・・・という理由だったんですけどね。そして、その行為は実を結び友達はできたのですが・・・・問題はその後でした。彼女はある日、その男子生徒が彼女の性格が暗すぎると口走っていたのでした・・・・結果、彼女は飛び降り・・・今でも使用されているゴミ捨て場へと落ちたのでしたが、不幸中の幸いでそのときは助かりました。しかし、彼女はその後・・・命日となる一週間後までずっとベッドの上で過ごしたのでした。死因はわからず、彼女のことは学校側でも問題になりました。そして、この人物の幽霊が出始めたのは一週間後・・・その日はまだ、蝉が騒がしく鳴いていた時期です。一人の少女がその事件のあったゴミ捨て場を夕方歩いていると・・一週間前に死んだその女生徒を見たのでした。しかし、そこまでは何事もなく・・・平和でしたが事件が起こったのはその学校が共学生徒となってからでした。その日、その少年はその怪談話を友達から聞かされようとしたのですが、その友達は途中で先生に連れられてしまったそうです。そして、少年は帰宅途中・・・大きなゴミ捨て場にて血まみれで発見されたのでした・・・その事件が以前起こった彼女の事件を連想させたのか・・七不思議として話されるようになったのでした・・・うわさでは、彼女はその事情を知らない男子生徒に再び友達になってもらおうとしただけだったのですが・・・幽霊の機嫌を損ねたのではないかといわれています・・・」

 俺は正直その話が怖いとは思わなかったが他の学校とかにある七不思議とはちょっと異彩を放っていることには気がついた。なんだか血みどろだ。

「あ〜なんか、すごい話だな?」

「ええ、そうですね・・・驟雨さんはその幽霊のことをどう思いますか?」

 話し手としては意見や感想が聞きたいと思うのは当然なのかもしれないな。さて、俺がその話を聞いてどう思ったか・・・・

「・・・まぁ、その女子生徒が不便だよなぁ。理由はどうあれ、彼女は友達が欲しかった・・ただそれだけなのにな。まぁ、生きてりゃ友達になりたかったかもな」

「・・・・本当にそう思いますか?」

 俺と同じ高校生・・・そう思っていた彼女が何か違うものに見えた気がした。だが、それも気のせいだと思って俺はうなずくことにした。

「・・・・まぁ、そりゃあ・・・夏華さんだって友達といたほうがいいだろ?」

「・・・確かにそうですが・・・驟雨さんは相手が自分のことをどう思っているか気になりませんか?嫌われているのに上辺では友達の仮面を被っている人を友達と呼べるのでしょうか?」

 だんだんと近づいてくる彼女にいくばくかの恐怖を感じながらも俺はうなずく。額を冷や汗が通過していく・・・・

「・・・・た、確かにそうだが・・・俺としては上辺だけ友達面をしている人たちが普通の友達で心の中で信頼し会えている家族みたいな存在・・・いや、ちょっと違うかな?まぁ、信頼できる相手のことを親友っていうんじゃないのか?」

「・・・なるほど、そのような考え方もあるんですね?それでは・・・・」

 もはや俺と彼女の距離はほとんどない。俺が手を伸ばせば彼女の白い肌に触れてしまうことも可能な範囲だが・・・いまだに彼女から感じ取れるそれは人間のそれとはまったく違うものだった。

「・・・私は驟雨さんにとっての親友ですか?」

「それは・・・どうかな?俺はまだ夏華さんのことをあまり知らないし・・・性格はよさそうだけどな・・・まぁ、とりあえずずっと一緒にいたら親友になれるんじゃないかな?」

 男と女が親友になれるかどうかはさておき、俺にとって彼女はまだ右手で数えられる数しかあったことがない。

「・・・そうですか・・・その、親友という言葉を別に言い換えたらどのようになりますか?」

「そうだなぁ?俺だった幼馴染がいないから俺にとって親友って言ったら幼馴染ぐらい親しい奴のことじゃないかな?」

「幼馴染・・・・」

 俺のひざに自分の膝を乗っけて俺の胸倉を掴んでいる夏華さんに少々以上の恐怖を覚えながらも俺は時計の針を確認した。既に、午後七時を超えている。

「あ〜そろそろ俺帰るよ」

「・・・もう帰るんですか?」

「ああ、俺の家、門限厳しいからさ・・・・また、遊びに来させてもらうよ」

「ええ、待ってますよ・・・」

 俺はかすかな明かりに照らされた瀬見津家の庭園を眺めながら・・・・家を出たのであった。

「また来てくださいね?」

 そして、ずっと俺の後姿を見ている夏華さんに・・・・明かりで照らされていないはずなのにくっきりと見ることができる彼女をなるべく見ないように歩き始めたのであった。


 そして、事件が起こったのがそれから十分後・・・・街角を通る途中・・・・俺の不注意か相手の不注意か知らないが・・・少しだけ田舎のここには珍しい大きな車が俺を捕らえた。

 何か、強い衝撃が俺を襲い・・・次に浮遊感・・・そして、失墜していく感じを名まで体験していき・・・・俺の体は地面に叩きつけられたのであった。

 そして、俺の視野に映った最後の光景はこっちを見ている夏華さんの姿だった。


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