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妖少女  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三節 震々
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真奈香さんに襲われる

 結局、後からやってきた隊長たちにこっぴどく叱られた。

 まぁ、隊長自体はあまり怒ってなかったけど、体裁を整えるような感じだった。


 隊長曰く、お前の行動など丸分かりだ。怒る気も失せる。ということです。

 かなりショックだけど、自業自得な感があるので私としては無言でスル―するしか道はなかった。


 グレネーダー高港支部の作戦会議室に連行された私は、終始椅子の上に正座をして苦行に耐えきったのである。

 いや、別に隊長に言われた訳じゃないよ? 翼のバカが師匠の話は正座して聞けよ高梨。とかニヤニヤ顔で言ってくれたので、半ば意地でやってるのもある。


「さて、気を取り直して報告を聞こう」


 全員が椅子に座り、私の行おうとした行動を聞いてくる。

 どうしたものか。別に言うのは簡単なんだけど、翼がいるからなぁ……

 私は思わず翼に視線を送る。

 翼は気付いてないようだ。意味ありげに送ってんだから少しは気付け鈍感男め。


「有伽、構わん、話せ」


 私の視線に気付いた隊長。しかし語調を強め話を促してくる。

 少し迷って、でも、折れた。


「雪女の正体は、鮠縄付属中学一年、舞之木刈華。出雲美果の……親友です」


 当然ながら、これを聞いた翼が思わず立ち上がっていた。

 翼が何かを言う前に隊長が目で制し、私の話を促す。


「彼女の目的は出雲美果が探っていた秘密を暴きだす事。彼女自身は引き継ぎと言っていました」


「つまり、我々に敵対する組織であったり、復讐心からというわけではない。ということか」


「おそらく、彼女の目的は、出雲美果が探り当てた、秘密を知る事。そして、それを誰かが手助けしています。すでに出雲美果の従兄である翼にも辿りついていました」


 隊長は、無言で目を瞑る。


「これから、何をしようとしている?」


 これは、刈華の行動を聞いているのでなく、多分私に対する質問だ。


「それは……」


 つい言い淀む。

 誰にも言うな。隊長にそう言われていたのを今さらながら思い出した。

 言えば殺すと言うような意志を受け取っていたのに……ああもう、私のバカ。


 私は、隊長に教わった墓を教えようとしていた。

 でも、それは隊長と真奈香以外のいるここで話す訳にはいかない。

 だから、結局は黙ったままになってしまう。

 それがよかったのか、隊長は深い息を吐き、再び私を見る。


「わかった。交渉は私がやろう」


「隊長?」


「お前に任せて下手な事を洩らされても困るからな」


 さすが隊長だ……私の行動筒抜けみたい。

 言わなくても伝わるとか、どうしよう、私隊長にスト―キングされてます?

 それはそれで……隊長ならアリかな。


「場所は? そちらに向かおう」


「一応、学校で会おうと伝えました」


 ただ、学校と言ったのは刈華が消え去った後だ。

 確実に会えるかというとそうはいかないだろう。

 そもそも明日刈華が学校に来るかどうかもわからないし。

 多分、無断欠席するんだろうな。今日みたいに。


「ふむ、では明日の放課後、市民公園に来るよう伝えてくれ」


 幾分顔の険を和らげ、隊長が用件を伝えてくる。

 この仕事くらいは確実にこなさないと。私、仕事始めてから問題しか起こしてないって言われかねないし。


「わかりました」


 少し不安はあったが、私は隊長を信じることにした。

 これ以上、隊長に失望されたくないし……

 それに、私を護ると言ってくれた隊長を、信じたいんだ。私自身が。


「あ、あの、ところでですね隊長……」


 私は奥歯にモノが挟まったような顔で隊長を見上げる。


「どうかしたか?」


「あ、足、痺れました……姿勢崩していいですか?」


 ああ、そんな白い目で見ないで隊長っ。

 って、ちょ、翼? なんでそんなニヤついた顔で立ち上がるのかな?

 え? ちょ、だめ、来るな……待って、待ってぇ! そこはらめぇ。


「あひぃっ」


 そして、翼はあろうことか私の痺れた足を指先で刺激しやがった。

 思わず変な声が漏れた。拍子に飛び上がり、椅子と共に盛大に倒れたの私は、地面に打ち付けた足の刺激にのたうちまわることになった。


 ヤバい、これはヤバい。足がしびれてるから足の刺激がパないです。

 しかも両手で押さえればさらなる刺激が来るので下手に触っていたいのとんでけみたいなことはできない。


 うあああああ。何コレ、何コレ、足、足がぁ……


「あ、有伽ちゃんが悶絶してる。有伽ちゃんが……ハァハァ……有伽ちゃんがエロい声で呻いてる……あ、有伽ちゃん、有伽ちゃ――――んッ!!」


 私の声に発情した真奈香さんが物凄い形相で私に飛びかかってきた。

 なんで鼻血がでているのかは不明だが、今は来ないでほしかった。

 身体が敏感になっているので真奈香から逃げられない。


「有伽ちゃん、有伽ちゃぁん。げへへ」


 真奈香が興奮のあまりゲスい声で笑いながら両手をわきわき動かしている。


「く、来るな。だめ、やめて真奈ちゃ……」


 涙目でいやいやと首を振るが、真奈香の指先が敏感な場所(私の足)へと伸びる。


「あ、だ、だめぇぇぇ――――っ」


 この日、私の最高の想い出ワースト10の第二位に、新たなイベントが追加された。

 一番? ファーストキスに決まってるじゃないですか。

 あ、ちなみにセカンドキスは三位ね。二度目なんで気持ち的ショックは小さかったのさ。はは……私、次のキスはイケメン男子とするんだ……

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