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妖少女  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二節 氷柱女
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真奈香のライバル出現

「なんや~有ちゃん。ま~た何時になく暗い顔しよってからに~」


 教室に着くと、いつものようによっち~が近寄ってくる。

 机に突っ伏した生気ない私を見ながら、また真奈香が何かしたのかと勝手に憶測を飛ばしだす。


「あれか? ついに真奈ちゃんとヤッてもうたとか?」


「するかっ!?」


 即座に否定。

 あまりのナイスボケに思わず立ち上がってしまった。


「じゃあ逆に真奈ちゃんおらんくて寂しいとか?」


「だから……とりあえず真奈ちゃん違うから……今回の不運の種は別モンだから……」


「んなら新キャラの雪花先輩?」


 新キャラってなんですか?

 雪花先輩は初めからこの学校通ってたわけだし新らしくどっかから出てきたわけじゃねぇですよ。

 というかあたしゃどっかの恋愛ゲームの主人公かなにかか?


「似てるけど惜しい……」


「ほほぅ。ようするに第三の容疑者ですな」


 まるで探偵のように腕組みをしてうんうん頷くよっち~。その背後から容疑者候補その一がそろりと近づく。


「つまり真奈ちゃんのライバルが……あああああああっ!!」


「きゃあぁっ!?」


 って、真奈香が驚かす前に驚いてるし……

 急な大声で、後ろからよっち~を驚かそうとしていた真奈香がよっち~の大声に驚いていた。


「有ちゃん! まさか、まさか二股やったんか!? でもってデートでダブルブッキング!? ちょっと困ったマジヤバピンチ! でもウヒヒ。嬉し恥ずかし女だらけのラビュンハーレム学園第四話!?」


「えええっ!? 有伽ちゃんがっ!?」


 なんでだろう? 私誰とも付き合ってないはずなのに、彼女の脳内シュミレーターは私がプレイボーイ的立場になっているようだ。

 しかもなんだか良く分からない物語始まっちゃってるし! 四話ってなんだよ!?


 本当に状況的には似たようなものなので反論しにくい自分が恨めしい。

 それはともかく何故か驚いてる真奈香がまた話をややこしくしそうな気がするし。


「ダブルデートって誰と!? 私以外に二人もいるの!? 雪花先輩だけじゃなかったの!?」


「そうやねん真奈……うぉわっ!? 真奈ちゃんいつのまに私の背後に!?」


 今まで気づいてなかったのか。

 鈍すぎる友人にため息を付きながら、私は真奈香が多大にしてしまっているだろう誤解を解きにかかる。

 果たして真奈香が理解してくれるかどうかは分からないけど。


「あのね真奈ちゃん。ボクは前から言ってるけど……」


「アリアリ~、昨日の人来てるぞ~」


 などという大声に私の言葉は遮られてしまった。

 入り口を見れば、そこにいたのは雪花さん。

 なしてこの教室に、しかも私に会いに来たのか謎ではあるが、上級生からの呼び出しである以上行かないわけにはいかないだろう。


「どうしたんですか?」


 私が雪花先輩の下に着いたときには、すでに教室中が聞き耳を立てている状態。

 ついでに私の真横には腕組んでくる真奈香が一匹。コバンザメのごとくくっついていた。

 雪花先輩は私に会釈した後、ちらりと真奈香を見て、再び私に視線を戻した。


「さっき、妹からメールがあったの」


 と、スカートから突然取り出された携帯電話。

 ピンク色の折りたたみ式で、ストラップに可愛らしいマスコットキャラが付いている……花?


 そこにあるのはヒゲ親父たちがジャンプで魔王を倒すという伝説のゲームに出てくるものに良く似た花のストラップ。

 何故かニッコリマークの顔が付いている。

 音に反応して動き出す花の玩具に良く似ていた。


「メール……ですか?」


 妹からのメールでなぜ私に報告してくるのか? なんとなく察せた嫌~な予想に、雪花先輩は肯定するかのように頷いてから話しだす。


「今日の朝、左右に小さく纏めた赤い髪の女の子と逢っちゃった。背丈は百六十くらい。ちょっと強気な印象で自分をボクって呼んでいたの。お姉ちゃんの学校の制服着てたからもし良かったら見つけ出して紹介してほしいな……と」


 はい、今朝のキス女確定……

 あれはやっぱり雪花先輩に関係のある人物だったか。

 身なりが似てるんでなんとなくそうかなって思っちょりました。


「これを足し合わせて生徒から浮かび上がってきたのが……」


 と、雪花先輩は私を指差した。

 私も心当たりがありすぎるので、気落ちしたまま手を上げる。


「おそらくボクのことです」


 状況をいち早く理解したらしいよっち~は、真奈香の肩をポンと叩いて、ライバル出現やね~ま、頑張り、応援するで。とか背中をバシバシ叩いていた。


「小雪、妄想癖があるから、また脳内妄想かと思ったけど……本当に逢ってたの?」


「はい。まぁ……衝撃的な出会いでしたね……」


 微笑む雪花先輩に苦笑いで返す私。

 それに頷いた雪花さんは、携帯電話に視線を落とし、カチャカチャと何かを打っていく……ってまさか!?


「雪花先輩っ! まさか!?」


「送~信♪」


 何故か楽しそうにメールを妹さんに送りつける雪花さん。

 物凄く危険な予感が湧き上がってきた。

 奴に、私の居場所がバレた。どうなる私、真奈香だけじゃなく外部からの脅威まで加わるとか、ツイてないにも程がある。

 私分かるんだ。あの女は人の話を聞かない上にスト―キング上級者な危険人物だって。

 私の操、護り切れるのか……?

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