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ひとりぼっちの雪女・プロローグ
シンシンと、
静かで孤独な白の世界――――
シンシンと、
静寂に包まれた白銀の中で……
女は一人涙した
もう、独りは沢山だと
沈黙の中、涙した
闇夜を照らすは青と赤
憎悪にゆだねし体を率い
女は思う
この怒りは誰に向う?
彼女の無念はどこへ彷徨う?
忘却と疑念の悪夢の中で……
女は誓う
もう二度と還りはしないのならば――――
赤と青の瞳が揺れる
白き世界に包まれて、
女は一人、歩きだす……
必ず見つけ出す
彼女を死に追いやった何者か
いや、ナニカを
殺した相手は仇ではない
ならば誰? 誰が彼女の死ぬ切っ掛けを作った?
女は決意する
たとえ道半ばで消えようとも
居場所を失くした自分だから
納得できるまで突き進むのだ




