プロローグ
三作目です。こんにちわ、龍華ぷろじぇくとです。
この話は十数年前からちまちま作っていた作品です。
幾つか賞にも応募したのですが、入賞まではいきませんでした。
電話は掛かってきたんですけど応対を失敗しまして……
「じゃあ次の機会ということで」 あれ? OTL
ってな感じで悔しいので投稿します。よかったら見て行って下さい。
少女が走っていた。
行きかう他人を押しのけて。
怯えと恐怖と絶望を混ぜた表情で。
必死に走る幼き少女は後ろを振り返る。
そうして、見た。
どこにでもあるような流行の服に身を包んだ少年が、
彼女にとってもっとも親しいはずの少年が、
涙を流して微笑むのを……
泣きながら少女は走る。
助けて。誰か。誰でもいいから、私を……
再び前を向き走る。懸命に走る。
少年からは随分と距離を稼いだ。
なのに……
――ほら、捕まえた――
少女のような、声が聞こえた。
肩に置かれた何かに思わず振り返り、
赤い何かの飛沫が舞った。
視界がぐるりと回転する。
空が、地面が視界に映る。
ベシャリと何かが地面に転がり、全てが赤く染まっていく。
深紅に塗れた視界の中で、人の形を失ったモノが静かに倒れた。
少女が記憶できたのはそこまでだった――