第十話 anti force
今回は少し短めです
ではどうぞ
「すぐに本題に入ろう」
王様は相変わらず、玉座にどっしりと座って構えている。
「まずは、お主達に我が国、極東のルーン武器を集めて欲しい」
「実はな、極東の分に関してはこのわしが誰がルーン武器所持者なのかを全員把握している」
「え……?」
樹たちが動揺の声を発した。
「そう驚く事もあるまい。あんな危なっかしい武器を国が把握してもなんらおかしくはなかろう?」
問いかけるように話したが返事を待たずに話を続ける。
「極東には全部で四つの大きな都市で出来ているのは知っているな? 一つはここ、首都”東京”、それと、蝦夷、摂津、琉球だ。それぞれの都市に一人ずつルーン武器所持者がおる。そのうち二人は、蝦夷と琉球に住む、緑川篤也と石田和斗。そしてもう一人は当然、余だ。そして、最後一人は摂津に住む”淺川優希”という女だ。所持しているルーン武器は『W』。所持者が認識した特定の生物の傷を癒す能力を持っている。まずは摂津に向かい、淺川優希の持つルーン武器を回収するのだ。何か質問はあるか?」
王様が問いかけると、空がそっと手を上げた。
「摂津までは、それなりに距離があると思うんですが、移動手段はどうすればいいんですか? 電車でいいんですか?」
「交通費と攝津での滞在費くらいは余が出してやろう。それと、護衛に衛士を一人付ける。ただし、基本的におぬしらの命の危険に関わる緊急時を除いてルーン武器回収には関与しない。お主らだけでできる限り回収しろ」
「分かりました」
「そして、『W』のルーン武器を回収できたら、一度ここへ戻ってくるのだ。そうしたら、『W』のルーン武器の返還を行った後、他国のルーン武器の回収に向かうのだ。詳しい事は、ルーン武器を回収して戻ってきた時に話そう」
「では、さっそく摂津へ向かえ…………と言いたいところだが、まずは、それぞれ両親に挨拶してからにするのだ。では行け」
「分かりました」
樹達三人は深々と頭を下げ、謁見の場を出た。
●
樹達は、それぞれの家で両親に事情を説明していた。
樹達は、両親に王様からの言葉をそのまま伝えた。
ここ、樹の両親の家では樹の久しぶりの帰宅に歓迎ムードではあったが、樹の言葉で空気がガラッと変わってしまった。
樹の父親がテーブルを挟み、樹と向かい側に座り、その隣に母親が座っていた。
父親が少し考え事をしてから、ゆっくりと口を開いた。
「……話は分かった。……で? どうするんだ?」
「え? どうするって……」
「旅に出るのか? 出ないのか?」
父親がこちらをまっすぐ見つめ、真剣な表情で聞いてきた。
表情からは大して怒っているようにも見えない。
「いや……怒ってないの?」
恐る恐る聞いてみたが、父親はあっさりとした返事だった。
「何を怒る必要がある? 王様がお前達に直々に命じたのだろう? 俺は別に怒っちゃいないよ。もうすぐ、二十歳だろう? 旅の一つや二つ、あるもんだ」
「テキトウなことを言わないでください!」
脇から母親が口を出してきたが、父親が左手で黙っていろのジェスチャーをした。
「それに、お前が一週間前にルーン武器所持者と戦ったと聞いた時から、薄々こうなる事は分かっていた」
「え……分かってたの? 普通、こんな事予想できないでしょ!?」
「勘だ」
父親がそう答えたら、これ以上は追求できないだろう。
樹は諦め、ソファーから立ち上がろうとした。だが、父親に止められた。
「まあ待て。少しは落ち着け」
「落ち着いてるよ」
樹は、すぐにでも家を飛び出そうとしていた。
一週間前の石田や緑川の戦いでは恐怖しかなかったが、今ではワクワク感のほうが強い。
世界を救えるかどうかの重要な旅で不謹慎かもしれないが、樹の中に恐怖を克服した後のワクワク感があるのを樹ははっきりと感じていた。
そして、父親が次々に質問を被せてくる。
「怖くないか?」
「怖くないよ」
「頑張れるか?」
「頑張れるよ」
「辛くないか?」
「辛いだろうけど、世界が無くなったらもっと辛い」
「大変だぞ?」
「分かってるよ」
「死ぬかもしれないぞ?」
「死なないよ」
「金はあるのか?」
「ある」
「飯はあるのか?」
「それもある」
最後にこう質問してきた。
「決意は変わらないか?」
「……変わらないよ」
「そうか」
その言葉を聞いて樹は立ち上がり、玄関に向かった。
最早、父親も母親も止めなかった。
止められた所で、足を止める筈が無いのを両親も分かっているからだ。
玄関で靴紐を結び、さあ出ようという所で、父親が戸棚の奥から何かを持ってきた。
「樹、旅に出るならこいつを持っていけ」
父親から手渡されたのは、腰くらいまであるでかいハンマーだった。
「何これ? これ持ち歩くの恥ずかしくない?」
「見た目は気にするな。護身用に持っておけ。悪い奴がいたらそれで思いきり叩いてやれ。ただの武器だし、あまり気にする事は無い」
「まあ、ルーン武器見たいな危ない武器じゃないなら……」
「じゃあ、行って来い!」
玄関のドアを開けようとしたとき、父親が樹に言ってきた。
「樹、約束しろ」
「何を?」
「必ず世界を救って来い、樹」
「分かってるよ」
樹は玄関のドアノブに手を掛け、ゆっくりと扉を開けた。
扉を閉めようとしたとき、父親がさらに忠告してきた。
「そのペンダント……ちゃんと首に下げているようだが、何があっても絶対に無くすなよ? 大事な大事な守り神だからな」
「父さんは大袈裟だなあ」
「じゃあ、行ってくるよ!」
樹は玄関のドアを閉め、一歩を踏み出した。
「…………やはり、こういう運命か…………」
扉が閉まる直前、小声で父親が何か呟いていたが樹にはよく聞こえなかった。
●
「お前…………本当に行くんだな?」
空は、居間で両親の前で正座させられていた。
「行かせてくれ。いや、駄目だと言われても必ず行く。絶対に」
「決意は変わらないか?」
「ああ」
空は目を真っ直ぐ向け、はっきりと答えた。
それを見て空の父親は折れた様に頷いた。
「分かった。お前がそこまで言うなら、俺は何も言わない。だが…………」
「何?」
「必ず生きて帰って来い、空」
「分かってるよ」
空は、居間を出て廊下を歩き、玄関を出た。
振り返ることはせず、『行ってくる』とだけ言ってそのまま家を後にした。
●
「お前は、何を言ってるのか分かってるのか? おい!」
「分かってるよ」
「分かってないだろ!!」
龍太は自分の父親の目の前に立たされて、きつく説教されていた。
無理もない。急に自分の息子が世界を救う為に旅に出ると言い出したのだから。
父親が落ち着いて、溜め息を一つ付いてからゆっくりと口を開いた。
「……一週間前、お前がルーン武器所持者と闘ったと聞いたとき、俺は正直、倒れそうになった。『この馬鹿は何を馬鹿なことやったんだ?』と」
「うん。すごい怒られて、ぶん殴られた」
「当たり前だ…………でも、今回はさすがに怒る気にもならん」
「……ごめん」
「謝って済むならもうとっくに土下座させている」
父親は冷たく言い放つ。
「……ごめん」
「だから謝るな! もういい。……さっさと行け! これ以上話していたら、お前のことを引き止めたくなる。だから……行け!」
「ありがとう……」
龍太も父親ももう何も話さず、龍太は廊下を挟んで続く玄関へと向かった。
居間の方で、父親が一言だけ言った。
「必ず生きて帰って来い、龍太」
「分かってるよ」
龍太は玄関のドアを大きく開け放った。
●
「あなた、なんであんな嘘ついたの?」
「正直に言っていたとしたら、あいつは拒絶するだろう」
「だからってあんな堂々と嘘つくなんて…………」
「大丈夫。あいつもそのうち自分で気づくよ。わざわざ、俺が教える必要はない」
「それと、あのときなんであんなふうに言ったの? 素直に言いたい事言えばよかったのに…………」
「言えるわけ無いだろう…………?」
「それはそうですけど……」
「それより、おまえこそ納得してるのか?」
「最初にもう決めたことですよ? 今更何か言ってもしょうがないでしょう?」
「そうだったな」
●
三人が家を出たその日の正午。
樹、空、龍太は城門に集合していた。
そこには、衛士団達も集まっていた。
「樹、空、龍太、準備は大丈夫か? 別れはちゃんと済ませたのか?」
時雨さんが樹たちに確認を取った。
「はい。ちゃんと別れを言って来ましたよ」
「ならよかった。これから、長くてつらい旅になるぞ? なんせ、今年中に世界中のルーン武器を集めなきゃいけないからな」
「大変でしょうけど、頑張りますよ」
「はっはっはっ、これは頼もしいな。では、これからよろしく頼むぞ」
時雨さんが豪快に笑った。
何をそんなに笑うことがあるのだろう?
「はい……って、これからも?」
「ああ。お前らのお供の衛士団のメンバーはこの私だ」
「…………えーーーーーー!?」
どうでしたでしょうか?
多分意味不明だったと思うんですよね
自分も意味不明ですもの
ちゃんと考えて作ってはいます。たぶん。
それでは次回もどうぞ




