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22話 作戦準備②

リグド近郊の林の中に拠点を置き、翌日から、俺達はパーティごとに分かれて、穴の入口にできそうな場所を探していた。


大勢でトンネルを掘っていれば、さすがに外壁から監視している警備兵にバレる。

林の中で作業をすればいいのだが、リグドまで距離があり、それだけ時間も労力もかかるからな。


なかなかイメージ通りの場所が見つからない。

俺、クロウド、ケイネス、ロッタの四人は話し合い、作業時間は夜と決まった。

昼間に大量の土を運ぶのはさすがに目立ちすぎる。


適当な場所を探していると、 大きな岩の傍でケイネスとロッタが大きく手を振っている。


「ここがいいのか?」

「岩を盾にして穴の入り口を掘れば、人の出入りを発見しにくい。それに入り口を見張るのも容易だ」

「岩陰なら工具を運び込む時、発見されにくいですからね」


どうやら二人はこの地点がいいらしいな。

リグドの外壁と林の中間ぐらいか。

ここなら外壁の上から監視している警備兵にも発見されにくいだろう。

距離的にも丁度いい。


「それじゃあ、野営地に戻って皆に報告するぞ」

「僕が発見したんですよ」

「ケイネスも一緒だったろ。二人共、お疲れ様」


自慢するロッタを嗜め、俺達三人は林の中の拠点に戻ることにした。

次の日の夕方、ドンガル率いるドワーフ集団が到着した。

全員が大きなリュックを背負い、猫車を引いている。


「サエマ、拠点の場所を伝えんか。探すのに苦労したわい」

「それは悪かったな。地形を読むのに詳しいドンガルなら、俺達を見つけるのも簡単だと思ったんだけどな」

「ドワーフにとっては容易いことじゃ」

「そうだろ」


俺とドンガルは互いにニヤリを頬を歪める。


それからドワーフ達は野営の準備を進め、俺達も夕食を食べることにした。

少し経つと樽杯を持ったドンガルが、顔を赤く染めて歩いてきた。


「おいおい、もう飲んでるのかよ」

「フン、ドワーフにとって酒は水じゃ。幾ら飲んでも深酔いはせん」

「じゃあ、俺も飲むかな」

「止めておけ。真夜中になれば、作業に入るのじゃろ。サエマが酔い潰れて寝てしまったら、誰が指揮をするんじゃ」


ドンガルに横目で見られて、俺は懐に入れた手を戻した。


穴掘りはドワーフの専門分野だろ。

俺が指揮を執ることなんてなさそうな……

一応、今回の作戦のリーダーは俺だからな。

今は酒を控えておくか。


食事を食べ終えた俺達は、真夜中になるまで一休みすることにした。

毛布に包まり熟睡していると、ロッタが「時間ですよ」と起こしてくれた。

目を開けて空を見上げると、二つの三日月が輝いている。


装備を整えた俺は、仲間達と共に大岩へ向かった。

ドワーフ達から猫車を借りたロイズとヒシノは、籠にエレーネとカエラを乗せて楽しそうだ。

カエラは『ヘルキャットの牙』の女子の一人だ。


「揺れないように走りなさい。お尻が痛いでしょ」

「痣になったらおじさん達の責任だからね」

「エレーネ様、その痛さを私奴に与えてください」

「それなら猫車を使わず、直接私がカエラ様を抱っこしますぞ」

「イヤー」


小声で話してはいるが、四人とも騒ぎすぎだ。

でも、こんな間抜けな連中が、工作員だとは誰も思わないか。


「おい、あれを止めなくていいのか?」

「今、中断させたら、ロイズとヒシノに呪い殺されるぞ。それでもいいか?」


二人なら本気で生霊でも飛ばしそうだ。

おっさん達の一時の楽しみを奪ってはならない。

クロウドと二人で、そんなことを話していると、俺の傍を歩いていたロッタが振り返り、唇に指を当てる。


「エレーネ、カエラ、少し静かにしてね。おじさん達も疲れちゃうからさ」

「「ハーイ、ロッタ様」」


一言で女子二人を黙らせるとは……イケメン、恐るべし。


目的の岩に到着した俺達は、事前に話し合っていた役割につく。

ドンガルを中心にドワーフ集団は穴を掘る係。

『バーサクベアの咆哮』の獣人達はトンネルの中から地表まで土を運び出す係。

『グリフィンの嘴』の三人は猫車で林まで土を運ぶ係。

『ヘルキャットの牙』の女子達は、周囲の監視と、ロイズとヒシノの尻を叩く係だ。

もちろん、ロッタは女子達のお守り役だ。


「どうして僕だけ」と不満そうだが、女子達をコントロールできるのは、ロッタだけだからな。

ロイズ達をこき使えるのは女子達だけだし……ボイル、人選を間違てるだろ。


「さっさと始めるかのう」


ドンガルの号令で、ドワーフ達は、ツルハシ、スコップ、手動ドリルを持ち、穴を掘り始めた。

俺と獣人達もドワーフを手伝う。

ロッタと女子達は、積んである土をスコップで猫車に入れ、クロウド達三人は、土砂を林まで運んでいた。


小一時間ほど掘り進め、横穴を掘る段階になって、堅い岩盤層に突き当たったようだ。

ドワーフ達は道具を置いて、土に手を当てて、土魔法を発動する。

すると岩盤が粉々に砕けていく。


それから二時間が経過し、十メートルほどのトンネルを掘り進めた。

三組のパーティは、それぞれに役割をこなしている。


トンネルの内壁は、ドワーフ達が土魔法で、コンクリートのように固めているので、土が崩れてくる心配はない。


このまま順調に進めば、予定よりも早く、 リグドの街までトンネルを貫通させられそうだな。

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