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10話 コボレ村に到着したが

街道脇の空地の荷馬車を停め、野営の準備を進めている間に、太陽が森へと沈んでいく。


薪を拾い、俺とボウエンが森から戻ってくると、皆もそれぞれに作業をしていた。

ミローネは地面に落ちていた石を積み上げ、簡易の窯を作っている。

エミリは背嚢から大きな布を取り出し、荷台の上にテントを建てていた。

ローザはニーナと一緒に夕食の準備をしている。


地面に薪を組み、ボウエンが火魔法で焚き木に火を起こす。

やっぱり、魔法って便利だよな。


石釜の上に鍋を乗せて料理の味見をして、ローザが大きく頷く。


「まずまずの味ね」

「わーい、パパー。スープできたよー!」

「そうか。ニーナ、教えてくれてありがとな」


焚火を囲み、お椀に入れたスープを皆で食べる。

野菜多めの肉団子スープだ。

スプーンを器用に扱い、楽しそうに、ニーナは肉団子を頬張る。


「ママ、美味しい」

「ニーナに褒めてもらえて嬉しいわ。ありがとう」

「お、本当に美味いな」

「私が料理したんだから当然でしょ」


ローザが料理上手なのはわかっているけどさ。

まあ、俺の扱いなんてそんなもんだ。


静かに食べていたミローネが微笑む。


「本当に美味しいですよ。心が温かくなる料理ですね」

「ミローネさんにそう言われると恥ずかしいです」


おい、ミローネだとそういう態度か。

やはり金持ちの紳士を、女性は好むんだな。


「ミローネ、 ジャルダン子爵について教えてくれないか」

「私の知っている範囲であれば。そういえば、子爵領では最近、鉄鉱山が枯渇してきたという噂が流れていますね。その代替として、魔石を王都へ輸送して商人達への販路を広げています」

「そんなに魔石の需要ってあるのか?」

「当たり前じゃない。王都では夜になると魔道ランプが通路を照らしているでしょ。王都の大門も、魔道具で開閉しているし、大きい街の住人には魔道具は欠かせないわ」


俺達二人の話にエミリも口を挟んできた。

疑問が湧き、俺は首を傾げる。


「魔石は冒険者ギルドが買い取ってくれるだろ。魔石の販路を持っているのはギルドじゃないのか?」

「各国で魔石の流通を管理しているのは冒険者ギルドです。魔石の流通については商業ギルドですね」

「ここサンシェル王国も同じなのか?」

「王国内はそうです。しかし、 ジャルダン領では、冒険者ギルドから商業ギルドに魔石を流通させず、子爵が全て買い取って、王都へ流しています」


なるほど、冒険者ギルドの魔石を安く買い叩いているんだな。

安値で仕入れ、王都で高く売り、利益を稼ぐ。

セコイやり方だが、確実に儲かる方法ではある。

ということは、子爵領の冒険者ギルドは、ジャルダン子爵 と組んでいると考えた方がいい。


食事を食べ終えた俺達は、早々と就寝することにした。

荷台の上のテントには、ローザ、ニーナ、エミリが眠っている。

地面に張ったテントは、ミローネが使うことになった。


俺とボウエンは交代で夜警をして朝が来るのを待つ。

何度かゴブリンやコボルトが襲撃してきたが、低級魔獣であれば、俺達の敵ではない。

しかし、すっかり寝不足だ。


翌朝の早朝、素早く野営具を片づけ、荷馬車に乗って街道を進む。

途中の村で水を補給し、俺達は南下を続けた。


三度、休憩を取り、昼過ぎに目的地のコボレ村付近に差しかかった。

すると激しい爆音が聞こえてきた。


その音に慌てて、荷馬車を急停止し、俺、ボウエンの二人は街道に飛び出す。

村の方向へ走っていくと、オークとゴブリンの集団が村の外壁を襲っていた。

誰かと戦っているようだ。


「とりあえず、加勢するぞ!」

「ひと暴れするしかないの!」


後方から俺とボウエンは魔獣に奇襲をかける。

瞬く間にゴブリン二体を斬り、外壁に近づくと、壁の門を守って、リットとフィアナが戦闘を繰り広げていた。

俺を発見したリットが大声で叫ぶ。


「兄貴、来るのが遅いよ!」

「文句を言うのは後だ! こいつらを殲滅するぞ!」


俺はポーチから錠剤を一つ取り出し、口に放り込む。

今回はオーク相手だから『筋力増強剤』で十分だ。

これもエミリが調合した薬だ。


俺の上段から攻撃で、オークのこん棒が地面に落す。

その隙に、無防備になったオークの腹を横薙ぎで斬り裂いた。

よし、力負けしていない。


フィアナは舞のようにオークの攻撃を交わし、華麗に細剣で斬撃を加えていく。

そして時折、風魔法を操って、暴風でゴブリンを吹き飛ばしていた。


リットは素早い動きと俊足を活かし、両手に持つ短剣でゴブリン達の首を狩っていく。

その短剣には、ローザ特製の毒が塗られているので、低級魔獣であれば致命傷だ。


ボウエンは、心配するだけ損だな。

あの怪力があれば、この程度のことで怪我をすることはない


十分を越え、『ドーピング』の効果は切れたが、残っているオークの数も少なく、これなら問題ない。

約三十分ほどの戦いで、全ての魔獣を討伐し、戦闘は終了した。


「それにしても、魔獣の数が多かったな」

「そのことについては、村に入ってから話をしましょう」


フィアナのそう言い残し、外壁の門の方向へ歩いていった。

彼女はどうやら理由を知っているようだ。


手であごを摩りながら考えていると、街道から荷馬車が走ってきた。

御者台にエミリとミローネが座っている。


「パパー!」


ローザに抱っこされたニーナが元気に手を振る。

どうやら荷馬車は無事だったようだな。

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