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第7話: レベル1の天才王女 ――「経験値」という名のデータの目詰まりを解消する。

「ここが、例の『バグの巣窟』か……」


 廃工場の重厚な防壁の前に、一人の少女が立っていた。

 金髪の縦ロールを揺らし、豪奢なドレスを纏った彼女――王都の第一王女、シルフィ・デ・ラ・プロヴィダンス。

 彼女は、王族の中でも「最悪の忌み子」として知られている。

 魔力量は建国以来最大、魔法理論の理解も天才的。だが、彼女のレベルは生まれた時から『1』のまま、一歩も動かない。


「お待ちしておりました、王女殿下。マスターがお呼びです」


 エステルが扉を開く。シルフィは一瞬、エステルの放つ凄まじい「魔力ログ」に息を呑んだが、すぐに虚勢を張って足を踏み入れた。

 工場内部――そこは、外観からは想像もつかないほど洗練された、白銀の電脳空間だった。


「……信じられない。王立魔導研究所よりも進んでいるなんて。レイン、貴方がこの場所の『管理者』ね?」


 コントロール・センターの椅子に座り、数千のモニターを操る俺を見て、シルフィが真っ直ぐに指を差した。


「王族がスラムのゴミ捨て場に何の用だ? ここに『捨てていいプライド』は落ちてないぞ」


「ふん、相変わらず不遜な男ね。……単刀直入に言うわ。私の『レベル』を上げなさい。貴方の【ログ廃棄】なら、私の体を縛るこの『呪い』を消せるはずよ」


 彼女は自分のステータスを共有表示させた。


$$

\text{Status: Silphy} \\

\text{Level: 1} \\

\text{Current EXP: 99,999,999 / 100} \\

\text{Error: [Level Up Log Blocked]}

$$


 一見して異常だとわかる。

 蓄積された経験値(EXP)は、本来ならレベル100を超えてもおかしくない量だ。だが、肝心の「レベルアップ」という処理が、何らかの理由で実行されていない。


「……呪いじゃない。これはただの『目詰まり』だ」


「目詰まり……?」


「ああ。シルフィ、お前は天才すぎるんだ。魔法を使うたびに、お前の体内には『高度すぎる演算ログ』が残りすぎる。それがシステムにとって『未定義の巨大データ』となり、レベルアップの処理を物理的に塞いでいる」


 流しそうめんの竹に、岩を流そうとしているようなものだ。

 普通の鑑定士は「経験値が足りない」と判断するが、俺の目には「出口が詰まっている」のが丸見えだった。


「お前がレベル1なのは、無能だからじゃない。……世界がお前の才能を『処理しきれていない』だけだ」


「……世界が、私を……?」


 シルフィの瞳が微かに揺れる。

 周囲から「期待外れ」と蔑まれ続けた彼女にとって、その言葉は救いというよりは、冷徹な真実の提示だった。


「俺なら、その『詰まったログ』を一瞬で廃棄できる。……ただし、レベルが上がれば、お前はもう『お飾りの王女』ではいられなくなるぞ。文字通りの『化物』になる。その覚悟はあるか?」


「……笑わせないで。私は、自分を馬鹿にした連中を全員跪かせるために、今まで生きてきたのよ。――やりなさい、レイン!」


「交渉成立だ。……エステル、リーゼ。システムの負荷バックラッシュに備えろ」


 俺の手がシルフィの胸元にかざされる。

 【ログ一括廃棄】――対象、シルフィの成長阻害データ。


「デバッグ、実行」


 ドォォォォォォォォン!!


 廃工場全体が、黄金の光に包まれた。

 それは、十数年間溜まりに溜まった「成長の奔流」が、一気に開放された音だった。

第7話をお読みいただき、ありがとうございます!

3人目のヒロイン・シルフィが登場し、ついに「レベルの概念」さえも

レインのスキルによって破壊されました。


「レベル1なのに世界最強のポテンシャル」という、なろう読者垂涎の展開!

「王女様のツンデレが可愛い!」「一気にレベルが上がる瞬間が楽しみ!」

そう思った方は、ぜひ【ブックマーク】と【ポイント評価】をお願いします!


皆さんの評価ログが溜まれば、シルフィのレベルはどこまでも跳ね上がります。

第8話、ついにシルフィが覚醒。その圧倒的な「天才の暴力」が、

王都の常識を根底から覆します!

次回も、ロジカルに常識をブチ壊します!

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