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欠陥職【ログ廃棄係】の理論武装 〜「戦場のゴミ拾い」と追放された最強デバッガー、管理者権限で世界のバグ(勇者)を消去する〜  作者: 神崎ユウト


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6/6

第6話: 「苦痛」を資源に変える救済 ――聖女の宿命は、僕にとっての「高純度エネルギー」だ。

「あ、が……っ、はあ……はあ……」


 廃工場の冷たい床に倒れ伏した少女――リーゼの体から、どす黒い「苦痛の残滓」が溢れ出していた。

 彼女の職業は【大聖女】。

 この世界の教会が謳う「慈愛」の象徴だが、その実態はあまりに無慈悲だ。

 彼女の回復魔法は、他者の傷を癒やす代わりに、その「痛み」と「負傷ログ」をすべて自身の魂に転送・蓄積するという欠陥仕様だった。


「マスター。個体名リーゼ……蓄積された『神経痛ログ』が臨界点に達しています。このままでは精神構造マインドログが崩壊し、死に至ります」


 エステルが淡々と報告する。

 俺はリーゼの傍らに膝をつき、彼女のステータスにアクセスした。


$$

\text{Condition: [Cursed Saint]} \\

\text{Stored Pain Log: 99,999+ GB} \\

\text{Status: Overwhelmed by "Substituted Damage"}

$$


「……助けて……なんて、言えません。私は……みんなの……ゴミ箱、だから……」


 朦朧とした意識の中で、リーゼが震える声で呟く。

 他者のために苦しみ続けることが「聖女の誉れ」だと教え込まれてきた少女の、あまりに悲しい言葉。


「ゴミ箱、か。……なら、専門家の俺を頼ったのは正解だ」


 俺は彼女の背中にある「転送術式」に手をかざした。

 教会が刻んだ、苦痛を強制的に逃がさないための呪印。

 だが、俺の【ログ廃棄】にとっては、ただの「アクセス制限ロック」でしかない。


「エステル。外で騒がしい連中が来ている。少し時間を稼げ」


「了解。……不法侵入者の『排除ログ』を生成します」


 工場の外では、リーゼを連れ戻しに来た教会の『異端審問官』たちが、聖騎士たちを引き連れて叫んでいた。


「汚らわしい廃工場に隠れた聖女よ! 速やかに出てきなさい! あなたが苦痛を引き受けなければ、この国の傷は癒えぬのです!」


 その傲慢な叫びを、エステルの放つ無慈悲な重力波動が遮る。


 一方、俺はリーゼの内部に侵入ハックしていた。


「リーゼ。お前が抱えているのは、崇高な犠牲なんかじゃない。ただの『処理漏れの不良データ』だ。――抽出、開始」


 俺が念じた瞬間、リーゼの体から黒い霧が引き剥がされ、俺の右腕へと吸い込まれていく。

 数千人分の絶叫、切断された肢体の痛み、病の苦しみ。

 それらが「データ」として俺の中を通り――。


「【ログ廃棄デリート】」


$$

\text{Command Executed:} \\

\text{pain\_log.delete()} \\

\text{Result: Total Erasure.}

$$


 一瞬で、リーゼの顔から苦悶が消えた。

 彼女の魂を縛っていた重圧が霧散し、清らかな魔力が本来の輝きを取り戻していく。


「え……? 痛みが……消えた? 私……死んだのですか?」


「いいや、お前は自由になっただけだ。……そして、この大量の苦痛ログは、せっかくだから『発信元』に返してやるとしよう」


 俺は立ち上がり、工場の扉を蹴破った。

 そこには、エステルに圧倒されながらも、必死に聖呪を唱えようとする審問官たちがいた。


「バカな!? 聖女の呪いを消したというのか!? あれは神が与えた神聖なる試練だぞ!」


「神の試練か。なら、その神の恵みを君たちにも分けてやるよ」


 俺は、先ほどリーゼから抽出した「10年分の苦痛ログ」を、あえて『消去』せずに、そのまま『弾丸』へと再定義した。


「【残滓抽出・事象反転】――『苦痛の雨』を喰らえ」


 漆黒の弾丸が審問官たちに降り注ぐ。

 それは物理的な傷を与えない。ただ、リーゼが今まで肩代わりしてきた「数千人分の痛み」を、一瞬で彼らの脳に直接上書きする。


「ぎ、ぎゃあああああああああああ!?」

「痛い! 痛すぎる! 助けてくれえええ!」


 聖騎士たちが、傷一つない体で転げ回り、泡を吹いて気絶していく。

 システムのバグを他人に押し付けていた連中に、バグそのものを叩きつけてやった。


「……レイン様。……ありがとうございます」


 背後で、リーゼが震える手で俺の裾を掴んだ。

 彼女の瞳には、かつて見たような絶望はない。

 

「リーゼ。俺の拠点ベースには、まだ空きがある。お前の『回復能力』と、俺の『廃棄能力』を組み合わせれば、この世界のシステムの穴をさらに広げられる。……どうする?」


「……はい。あなたのそばに、いさせてください」


 こうして、廃工場という名の「特異点」に、最強のエステルと、最高のリーゼが揃った。

 世界のバグを正すのではない。バグを利用して、世界そのものを書き換える。

 俺たちの戦いは、ここから本格化する。

第6話をお読みいただき、ありがとうございます!

聖女を呪いから解放し、その呪いを「武器」に変えて敵を壊滅させる……。

レインの冷徹かつ合理的な「清掃」はいかがでしたか?


これで二人のメインヒロインが揃いました!

「リーゼが救われて良かった!」「審問官ざまぁ!」

そう感じていただけたなら、ぜひ【ブックマーク】と【ポイント評価】をお願いします!


皆さんの熱い声援ログが、第3ブロック(7〜9話)の爆発的な展開を呼び込みます。

次は、王都で開かれる「最強決定戦トーナメント」に、レインが『不戦勝のロジック』を引っ提げて乱入します!

次回、さらに加速する「概念破壊」にご期待ください!

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