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第一頁

「世界遺物記録冒頭」

これはこれから俺が見る世界が遺した物の記録だ。

少年は廃墟で一つの絵に心を奪われた。

それは過去の人類が遺した遺物と言われるものだった。

「綺麗…」

少年は絵を見るのが初めてだった。気づけば、少年は何時間もそこに留まり空はほんのり橙に染まり始めていた。急いで帰路に着いき、村の秘密の出入口からこっそり入る。少年は周りを見渡して足早に倉庫へ拾った小さな遺物を隠しに行った。

「アサ、また行ってたのか」

驚きつつ、顔をあげると見慣れた顔がありほっとため息をついた。

「なんだ、サクか」

「今日の収穫はそれか…」

とアサの隠し途中の遺物をチラリと見たがすぐに話の焦点をずらした。

「ま、そんなことより今日お前ん家ハニの青年の祝いだろ?空がこんな赤くなるまで外いて、怒られるぞー」

サクは他人事のように笑っていた。

「ほっとけ、はなからわかってるそんなこと」

と吐き捨てるように言い、絵を隠し終える。

「早く帰ってやれよ」

アサが声のする方へ顔を向けた時にはもうサクはいなかった。

「相変わらず…」

アサは下を向き、倉庫を後にした。無言で家に入り自分の床へ着くが、父の低い声が聞こえてきた。

「アサ、これ以上非行が続くならそれ相応の対応をとるからな」

「勝手にしろよ」

「明日からちゃんと仕事をしなさい」

アサは聞こえなかったかのように無視をして目を瞑る。


アサは誰かが自分の体を揺さぶっていることに気づき目を覚ます。腹に顎を乗せて自分のことを見ている狼の頭を撫でる。

「おはよ、アメ」

いつものようにアメと少量の食料を携え、声を殺して家を出た。ほんの少しの開放感と冬の冷たさを感じながら秘密の出入口へ走っていく。

「えっ」

アサは困惑した。いくら草をかき分けても出入口が見つからない。埋められている。

「もしかして…」

冷や汗をかきながら、少しの可能性にかけてアメを追い抜く勢いで倉庫へ向かう。アサの願いも虚しく、今まで大切に隠していた遺物たちは跡形もなかった。

「あの遺物たちを探しているのか」

後ろから冷たく低い声が聞こえる。

「…どこやったんだよ親父」

やっとのことで絞り出した覇気のない声で問う。

「知らなくていい事だ、そろそろみんなと一緒に仕事をしてもらう。意味のないことはもうやめろ」

言葉も声すらも出なかった。立ち上がる気力もない。ただ父の去っていく足音だけが耳に露骨に響く。だが数秒してほかの軽い足音が聞こえた。

「慰めはしないよ」

とサクは隣にしゃがみこむ。

「お前にそんなこと求めてねーよ」

冷たくあしらうがこんなことが言いたいわけじゃない。だがこれ以上の言葉は用意できなかった。

「親友より遺物かよ」

気にする様子もなくアメを撫でながら笑って返した。

「お前ここ出たら?」

「は?」

サクを凝視する。

「お前の居場所はここじゃない、外が好きなら外で暮らせばいいじゃん」

アサは開いた口が塞がらない。数秒無言で顔を見合わせたあとアサが口を開く。

「そうか、そうすればよかったんだ。何で今まで思いつかなかったんだろ」

「前例がなかったからでしょー」

瞳に光を取り戻したアサは勢いよく立ち上がった。

「アメ、行くぞ」

「今から?」

「お前も来る?」

「行かないよ、俺には目標も欲もそんなにないからね」

そうか!と適当ともいえる返事をしてアメと走り出した。その後をサクも追う。

「おい!どこへ行く!」

「アサ、どこ行くの?!」

父の怒号も母の杞憂の声もアサには届かなかった。ただ親友の今までに聞いた事のない感情のこもった激励の言葉ははっきりと聞こえた。

「帰る場所は俺の隣を空けておく!好きなだけ別の場所へ行っちまえ!」

「おう!」

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