14話 - 城下町
誤字・脱字・文法の誤りがあったらごめんなさい。
ここら一帯を治める藩主の名は郷亜。
先代藩主が倒れた時、兄と弟を殺し藩主の座を奪い取った男だ。
幸いと言っていいのかわからないが、政治や統治の手腕は並程度にはあり、藩主の座に座ったときも凡そ混乱らしい混乱は無かったという。また、彼を後押ししたのが当時の有力な豪商であったことから城下町内での商いは割りと自由に出来。それも藩主・郷亜が城下町の民に受け入れられた要因の一つであった。
民にとって重要なのは自らの生活とその基盤であり、それが保証される限り王の善し悪しには無頓着というのは古来よりの鉄則だ。
そういう意味では彼と彼をおした豪商――碧陽の勝ちだったかもしれない。
しかし、藩主となった郷亜は良くも悪くも、やはり俗物だった。
権力という甘い蜜に浸るうちに僅かに有った政治的手腕を失い、今では贅沢と淫蕩に溢れた生活を送る毎日だ。
幸か不幸か、彼を押した豪商が宰相としてこの藩の手綱を握っているため、崩壊寸前のところをなんとか水際で食い止めている。
だが、商いこそ保障されているがそれも長くは続かない。
藩主の贅沢で商いすら出来ない下層の民は疲弊を続け、藩主・郷亜の好色によって娘や妻をさらわれた者達の不満が爆発寸前まで来ていたのだ。
世の中には「民あってこその国」という言葉がある。民をないがしろにする統治者に未来はない。
民が力を失うということは国の大黒柱が脆くなっていくのと同じこと。
さらに、商人の中には郷亜を後押しした豪商と袂を分かつものも続出している。
今、この藩は静かに朽ちようとしていた。
「お疲れ様ですわい。宿は別々になるが、明日の朝にこちらの宿の一階に集合でどうかのう?」
これは彦さんの言葉。
城下町に到着した俺たちは宿を訪ねたのだが、宿の部屋が都合よく空いていなかったため、俺と冬、彦さんと禄さんで宿を分けることになったのだ。
彦さんと禄さんは馬車を扱ってくれる少し高級な宿。俺と冬はそこらの下級宿に。
「かまいませんよ」
「是」
俺たちの返事を受け安心したのか。
「では、明日の朝にまた会いましょう」
彦さんが手を振り、その後で禄さんが頭を下げた。
先の宿で案内された路を歩く。目指すは下級宿だ。
途中変な立て札を目にするが、書いてある意味がよくわからんのでとりあえず無視。
昨日は野宿だったのだ、今日ぐらいは布団の上で寝たい。
「馬車に揺られるのもきついもんだな」
思わずぼやく。
腕を伸ばすと体中が軋む感じがする。
「一風呂浴びて早々に寝たいぜ」
人類として当然の願いを口にする。
だが。
「マスター、敵性反応です」
そうは問屋が卸さなかった。
「はい?」
「下がってください」
冬が俺を庇うように前に出る。
既にその手には銀色に輝く光線銃が握られていた。
「マスター、下がって」
「お、おう」
冬の声に押されるように後ずさる。
冬が銃口を向けながら横の細道を進んでいく。俺はついていくわけには行かず、自らの視覚と聴覚を冬のそれに同調させながら様子を見ることにした。
―――冬月―――
私の五感にとって闇は闇たり得ない。
たとえ光源がなくても、それ以外の空気の流れ、温度、密度、湿度、はたまた嗅覚と聴覚とが昼と変わらぬ精度で視線の先を捉える。
……どうやら、完全に敵というわけではないようですね。
私の感覚が捉えた先の相手を表すなら、即ち「手負いの獣」であった。
ぐったりとして動かない娘を抱えた青年。そして、青年自身も所々に傷を負っているのか夥しい血を流している。
私の感覚器官が捉えるに、その傷は常人なら既に行動不能な程の傷である。
「あ……」
「誰だ、貴様」
あなたは誰ですか? と聞くつもりが機先を制される。
見れば娘を握る腕に力を込めながらも、逆の手に握りこんだ湾曲剣を構える。
「……」
その眼光には決死の覚悟が映っているのが分かる。よほど腕に抱えた娘が大切なのだろう。
「……この地に商いをしに来た新米商人です」
光線銃の銃口を僅かに下げながら問いに答える。腕に構えた武器を下げるのは自らに敵意が無いという意思表示。
「「……」」
両者とも静かににらみ合う。
静かに時間が流れる。だが、やがて。
「……そうか」
疲労がこもった息を吐き、湾曲剣を握った腕を下ろした。
私が感じていた敵性反応も同時に消える。どうやら、此方を攻撃する気は既に無いようだ。
「今度は此方から質問です。貴方達はいったい何者ですか?」
光線銃を握った腕も下ろしながら問う。
「……ああ。俺は……う、ぐ」
ドサッ。
応えようとした瞬間、そのまま体を横に倒す。
「っ!」
慌てて駆け寄ってみれば、そこには紅い泥濘が出来ていた。
「……これは急を要しますね」
スカートの下のレッグバンドから救急救命用のナノマシンが封入されている無針注射器を抜き取ると、男の腕に押し当て、ボタンを押し込む。
プシュッ。
圧縮された空気が解放されるような音が鳴り、無針注射器の内部が空になる。
その次は竜機神から包帯や化膿止めなどの医薬品を手元に転送する。
「この傷はまずいですね」
この場に輝夜がいないのが心底悔やまれる。
輝夜の術ならば一瞬で完治させることも出来ただろうに。
「かはっ」
一瞬咳き込んだかと思うと、うっすらと目を開ける。
「……何を」
「動かないで下さい。現在治療中です」
男が何かを言う前にとりあえず、機先を制する。
「文句や言いたい事は後ほど伺いましょう。」
「迷惑を……」
「面倒ごとには慣れています」
「…………………………………………………………………………。…………すまない」
そう言ったきり目を閉じると動かなくなる。
「……」
呼吸は安定している、恐らく気を失ったのだろう。
と。
「…………本当に面倒ですね」
軽い苦笑。
遠くから迫ってくる敵性反応を多数感知した。
―――藤宮 雄矢―――
とりあえず。
「運がねぇなぁ、おい」
熟練の男性声優でさえ出せないような、徒労感が篭った苦くも渋い声で呻く。
手には既に愛用のM82カスタム。
(マスター!)
(分かっている! 二人を運べ! ここは俺が囮になるから)
(……マスター)
(安心しろ、後でちゃんと追いつくさ)
キリッと一言。
思い浮かべるのはハットを被り黒いコートで葉巻をくわえている自分。勿論背景は緋色の夕焼けである。
男なら誰しも一度はハードボイルドを気取ってみたいものである。
だが。
(……マスター、それ完璧に死亡フラグです)
(あ、あら?)
冬からなんとも言いがたい冷たいツッコミが入る。
(馬鹿いってないで、頃合を見て逃げてください。後ほど合流ポイントの座標を送ります)
俺のハードボイルド道は一言の元に粉砕された。
(いいですね?)
(……あい)
(OKです。私たちは西の方の門から逃げます。マスター、ご武運を)
冬の気配が遠ざかっていく。
「やれやれ」
苦笑しながらM82カスタムを両手で構えた。
拡大された視覚にはこちらに近づいてくる兵の姿がはっきりと映る。
「さ、て、と。Let's Party!! てね」
嗤い、引き金を引いた。
轟音、そして甲高い音の連続。
暴徒鎮圧用の音響弾だ。それを兵達の目の前で破裂させたのだ。
超高周波で人間の聴覚を麻痺させ、同時にその行動力を奪う一撃。
「はははっ、知覚外からの未知の方法による奇襲。これを防げる人間はそうはいないな」
俺の網膜に映されたのは大地に突っ伏して動かなくなった兵の皆様方だった。
「……しかし」
網膜に投射された城下町の平面図には二千を超える敵性反応が映し出されている。
「……たった二人の捕り物にしちゃいささか物騒だな」
それに、つい先程拾った男の怪我の深さも気になる。
M82を送還する。
「ついでだしちょいと調べてみるかね」
フォンッ。
呟きと同時に特殊な力場が展開した。
竜機神の特殊兵装である『ガーネット』だ。
――対エネルギー兵器用特殊フィールド『ガーネット』。
通常はエネルギー系の攻撃を拡散・偏向・無効化するのみ。
しかし、副次的な用途として自らの光学、電磁、熱、振動などをあらゆる観測機器、観測器官から隠すステルス効果を持っているのだ。
力場の展開が完了する。
「おk、これで見えなくなっているはず」
地面に自らの影が出なくなったのを確認し、跳躍した。
向かうは敵性反応が集中している場所。
トンッ。
軽く地面を蹴る音、しかしその身は上空に舞う。
まるで鳥が空を翔るように静かに、されど風をきり目的の地に跳ぶ。
空中の旅は僅か数秒。
「ここか」
三階建ての建物の屋上に降り立つ。
そこから見える眼下、道路を挟んで向かいの建物。
その一階に兵の詰所でもあるのか、藩の兵でごった返していた。
聴覚に意識を集中する、すると。
「まだ見つからないのか?」
「あれだけの傷なんだぞ!!」
「反抗勢力め!」
「隊長! 捜索に出た部隊が東地区で倒れていました!」
「何だと!?」
「馬鹿な!」
「外傷はありません。けれど、体が動かない、と!」
「くそっ! 方術か!」
「娘の方が術者だったのか!?」
「東地区に人を集めろ!」
「くそ、せっかく内通者から情報を得たのに!」
「例の二人が捕まらなければ意味が無い!!」
「探せ! 草の根を分けても探すんだ!」
「占術師はまだか!?」
などと実に慌しい声が多々聞こえてくる。
「にゃる」
凡そ理解した。
あの二人は反抗勢力のお偉いさん、てところか。
「もうここにいる意味もないな」
渋い笑いを顔に貼り付け、再度自らの足元を蹴った。
「ん? ……おいおい」
薄く蒼い光の翼で宙を翔けている最中だった。
ふと眼下に、見たくも無い光景が入り込んだのだ。
それは檻に入れられている複数の女性達。
そしてその少女達に鞭を打とうとしている兵士。
「嫌なことしてんなぁ、おい」
光学迷彩の解除と即座の急降下、そのまま着地と同時に電磁警棒を鞭を握っていた兵の首筋に押し付けた。
青白い火花が散る。
「あががっ!」
奇怪な叫び声を上げ鞭を取り落とし倒れふすが、無視。
兵士は全部で四人。ぐずぐずしてはいられない。
そのまま電磁警棒を上に放り投げ、両の手にテイザーを転送、発射。
「「あd!fsう◆えkf○glはヴぃうあ!!」」
意味不明な言葉を上げてさらに二人が倒れ付す。
そのままテイザーを捨て疾走。途中で落ちて来た電磁警棒をキャッチし。
「逝っとけ」
「いぎぎあvm●sd▼l!!」
最後の一人の腹に押し付けて無力化。
ここまでで実に二秒である。
「洸樹さんや、翁派さんみたいな化け物がいなくて助かったわ」
……。
とりあえず電磁警棒とテイザーを送還すると、今度は単分子ナイフを転送。
そのまま。
「うりゃ」
ヒュカッ。カランカランッ。
鉄格子の何本かをまとめて切断した。
救出した女性は全部で三人。
俺と同年代らしい女性が一人、それに双子らしい年下が二人。
それぞれ順に蛍さん、祈、願というらしい。
聞くに、どうにも藩主・郷亜への献上品として娼館ギルドから運ばれている最中だったらしい。
それを証明するかのように三人とも下着と見間違うような過激な衣装を身に纏っている。
「あの、ありがとうございます!」
「助かりました」
そういったのは双子の少女。
茶色の混じった黒髪を左右でまとめている少女を祈、同色の髪を片方のみでまとめている少女を願というらしい。
「……(ぺこっ)」
無言で頭を下げたのは蛍という少女。
祈、願姉妹の姉らしく、白一色の髪を腰辺りまで伸ばしている。
「いや、こう言うのもあれなんだが……。人として当然のことをやったと思っている。礼は不要だ」
苦笑気味で片手を振った。
「君達はこの後どうする?」
助けました、後は自分達でご自由に。というのは流石に無責任すぎる。
助けたのならその後ぐらいまでは面倒を見るのが当然の帰結だろう。帰るというのなら、送っていくぐらいはするつもりだ。
「俺は知り合いと町の外で合流する予定になっているから町を出るつもり。君達は?」
ひとまず自らの予定を教える、と。
「あの、それに着いていってはダメですか?」
祈からそのような声が飛んできた。
「え?」
「出来るなら私たちもこの町から出たいです」
重ねるように願も言う。
「え、え、まじ?」
「「はい!」」
双子の声が重なる。
「あー……。えーと、だな。……娼館に帰らないの?」
「あんなところ帰りたくありません!」
「そうです! それに帰ってもまた藩主の献上品として差し出されるだけです!」
「それに、これ以上お姉ちゃんが誰かの慰み者になるのは耐えられません!」
「お願いです、連れて行って下さい!」
「お願い!」
交互に嘆願の声が発せられる。声には小さくない必死さが篭っていた。
「あー……。まずは事情を教えてくれ」
とりあえず、ことの顛末の説明を願った。
……。
どうにも聞くに、三姉妹はわりと前にどこかの集落からさらわれ、そのまま娼館に売り飛ばされた元・奴隷らしい。
娼館に売られた三姉妹は生きるには客をとるしかなく、逃げることも出来ずに絶望の日々を過ごしていたらしい。
幸いと言っていいのかわからないが、蛍という少女は高位の占術師でもあった。また、蛍は生まれつきの白子であり体が弱く、その目も不自由であった。そのために神秘的でか弱い女の子を無残に慰み者にすることで獣欲を満たす変態な客や、そのまま占術を目的とした客に人気が出て、妹二人を娼婦ではなく自らの手伝いとして客の手から護ることができたのだ。
占術師であり神秘的な美少女の娼婦。人気が出ないわけが無かった。
そして、つい先日娼館に来た郷亜に姉妹ごと強引に身請けをされたらしい。実際の所は蛍さんだけ身請けしようとした所を、蛍さん自身が姉妹も一緒でなければ自害するとい郷亜に訴えたらしい。
……。
長年の娼婦としての生活の末、蛍さん自身は自らの人生を諦め妹達以外のことでは人形のように従順になってしまったとのこと。
だが、その妹達は自らの身を切り売りしてまで面倒を見てくれた姉を助けたく、先程逃げようと兵達に噛み付いていたとのことだ。
そして、それに業を煮やした兵が鞭をうとうとした瞬間に俺が割り込んだらしい。
……。
「なるほど、ね」
姉妹を通り越して蛍さんに目を向ければ、一切の行動をせずに座ったまま視線を宙にさまよわせている。その瞳の焦点があっていないのは前述の通り、目がよくないのだろう。
「故郷は分かるのか?」
「「……」」
時として沈黙は答えになる。
「……そう、か」
思わず深いため息が漏れた。
「後の身の振り方は後で考えよう。今はここを出るのが先決だ。ついて来てくれ」
即座に敵性反応がない路を検索する。
「行く……」
ぞ、と続けるつもりだったのだが、途中で別の言葉が代わって口から発される。
「……もしかして、足が悪いのか?」
長女である蛍さんは妹である祈と願に支えられていた。
「お姉ちゃん、足を……」
祈が辛そうに眉を顰める。
言われて、蛍さんの足を見れば。
「っ!」
なんと蛍さんの足の腱は切られていた。
「逃げられないように、て」
願が涙声を出す。
と二人を慰めるように、鈴を鳴らすかのような涼やかな声が聞こえた。
「……私のことはいいから貴方達だけでも逃げて」
見れば蛍さんが儚げな笑顔で笑っていた。
「私はどうせ逃げても貴方達の重荷になるだけ。……ならばここで朽ちたほうが先のためになる」
「「お姉ちゃん!」」
妹達が必死な声を出すが、その姉は諦観と達観の境地に達したような透明な笑みを浮かべ、妹達の頭を撫でる。
「行って。祈、願」
「嫌だよ、ずっと一緒だって約束したじゃん!」
「そうだよ! 今まで私たちを護ってきてくれたんだもん! 私たちも頑張ってお姉ちゃんを護るから」
妹の必死な声に、僅かに表情を歪める。
「祈、願……」
「一緒に行こうよ! ね!」
「重荷になるなんてそんなことないから!」
双子が姉を説得する。しかし、次の一言でそれも止まった。
「違うのよ、祈、願。……私の命はもう長くないの」
「「!」」
「もう直ぐ寿命が尽きる、生きてせいぜい後半年。ならば私はここで朽ちたい」
貴方達にはそれを見せたくない、と小さな声で続ける。
占術師は未来を視るという、恐らくは遠くない未来に自らの死を予見したのだろう。
それに実際の所、嘘は言っていない。
俺が検査した結果、蛍さんの身体情報はその言を裏付けている。
それに蛍さんの体は……。
「私がここにいたために、貴方達を縛り付けてしまった。でも、それももうお終い」
恐らく蛍さんの身に宿っているこの諦観と達観は、自らの死も大きな要因になっているのだろう。
と、蛍さんが此方に顔を向けると声をかけてきた。
「どこのどなたか存じませんが、妹達を頼みます」
「……」
そのまま双子をその胸に抱きしめる。
自らの愛おしさのまま、自らが護りきった大切な宝物を。
「愛しているは私の可愛い妹達」
「「……」」
「元気で」
それだけ、呟きそっと二人を此方に押した。
……。
我慢できなかった。
自らの身が壊れてなお妹達を案じる姉と、必死に姉を助けようとする妹達。
……。
故に、思わず言ってしまった。
「嫌だね」
おれ自身、唐突に口から出てしまったから驚きだ。だが、後悔はない。
それだけは断言できる。
「「「え?」」」
三姉妹が疑問の声を上げる。
「俺はハッピーエンド至上主義だ」
双子を押しのけ、蛍さんの前に屈み込む。
目の前に蛍と名乗る少女がいる。自らの生を諦めただただ死を甘受する少女だ。
一見そのように見えるだろう。
しかし……。
「それに、拾える命は拾う主義だ」
か細い蛍さんの体を抱き上げた。
しかし、直に触れれば分かる。
その細く軽い体は震えていた。
自らに訪れる死のためか、それとも妹達との永遠の別れのためか……。
どこまでもお人好しな人。
だからこそ。
「君がその命を諦めるというなら、俺がその命を貰おう」
俺の宣言を聞き、三姉妹が再度「「「え?」」」と声を上げる。
「そして、君が未来を望むのなら、俺は君の未来を素晴らしいものにすると約束しよう」
望む未来。
それは即ち。
「……私は、私は生きていいの? 生きていられるの?」
「ああ。約束しよう」
抱く手に力をこめた。
「君の未来を明るいものにすると、君が君の大切なものと笑って暮らせる未来にすると」
……。
やがて、小さな、本当に小さな泣き声が聞こえた。
腕の中の蛍さんからだ。
今まで、その壊れ衰えた体で妹達を護ってきたのだ。
自らの身を切り売りし、寝たくも無い相手と閨を共にし……。
……。
だがそれもお終い。
これからの君の未来には明るい未来が待っている。
神ならぬ身には約束できない、されど代わって機械の神とその主が約束しよう。
君の未来に億万の祝福を。
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新キャラの大量出現也www
此方がのってきたので、ちょいと魔王とEDWはお休み……。
まぁ、そのうち復活しますので、今しばらくお目こぼしを m(_ _)m