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夜明けのリグレット
静寂。
フロアの奥
かすかに揺れる光
熱が引いた空気が肌を撫でる
ギターの弦を撫でる指先
そこに残る、消えない痛み
「消せないんだよ……」
低く、苦しげに漏れる声
マイクを握る手が、震える
バスドラが鼓動と重なり、 ゆっくりとビートが刻まれる
ひとつ、 ふたつ、 重なる音
ベースが低く鳴る。 ギターが泣く
「夜明けなんて、来なくていいのに」
光が射す
それでも闇は、 心の中に根を張ったまま
涙は、 こぼれない
だけど、 胸の奥が軋む
静かに揺れるフロア。 沈黙の中に、 微かに響く嗚咽
「戻れない、けど……」
サビへ向かう高揚。 焦燥。 切なさ。
言葉にならない思いが、 声に溶けて、 夜を裂く
「もう一度、君の名前を……!」
ギターが叫ぶ。 ドラムが追い立てる
照明が閃き、 ステージが光に包まれる
最後のフレーズを吐き出す
空白
沈黙
静かに、 静かに、 音が消えていく
夜明けはすぐそこにある
でも、 この痛みは、 消えないまま——
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