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２曲目「Fade Out」――菜奈視点
青いライトが、さっきまでの熱狂を一気に静めた
ドラムがトン…トン…と控えめに刻む
そのビートが、私の心臓と不思議なくらい合わさってる
「Fade out…」
タクミの声が、ふっと耳に染みてきた
さっきまで叫んでたはずなのに、
今は、涙がこぼれそうなくらい切ない
ギターが細く儚いメロディを奏で、
ベースが低く唸って、胸の奥をグッと締めつける
息が詰まりそうなのに、
何かが心を解放していく感覚
ドラムが少し強めに「ダン！」と叩いた瞬間、
青かったライトが白に変わって、
空気がほんのり熱を帯びる
タクミが声を張り上げる
「僕は…消えたくないんだ！」
その言葉が、私の心にズシリとのしかかって、
思わず胸が詰まる
目頭が熱い
どうしてか分からないけど、すごく苦しくて、でも温かい
ギターがうねり、
ドラムが跳ね上げるように畳みかける
さっきまでの暗転とは違う“光”が、ステージを照らした
音がふっと切れたあと、
私だけじゃなく、みんな微かに息をついてた
この曲は“Fade Out”なんだけど、
むしろ何かが胸に生まれるような、不思議な感覚
RE:VOLTAGE の演奏は、
私を泣かせるつもりなのかもしれない
でも、泣きたいようで、泣きたくない、
そんな微妙な心境で、ただそこに立ち尽くす
フロアから静かな拍手が湧いて、
私はもう一度、息を整えた
この曲が終わったあとも、
自分の中ではずっと“Fade Out”が鳴り続けている――そんな気がする
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