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第33話 父と子

平家から逃れるため東国を目指し落ち延びる中で、朝長が負傷した。更に行方不明となっていた貞純親王もひょっこりと姿を現し、タイムスリップしていたと説明する。しかし未来で義朝が殺される運命だと知り、優にその事を伝えるが...

「はぁ、はぁ、ち、父上、我らはこれからどうすれば...」


「今は何も話さんでよい朝長、これから東国へ落ち延びるぞ....そしていつか必ずや平家を倒し我ら源氏の天下にしてみせる....」


「へへへ、じゃあひとまず休憩ですね。」


「だがあまりゆっくりはしていれないよ。」


「親王様!?何故ここに!?一体今まで何処へ...」


「ちょっと訳があってね。それより義朝早くここを発った方が良さそうだ。さっきここへ来る途中平家の兵士を見かけた。」


「なんですと...仕方あるまい、直ぐにここを発つぞ。」


「父上、集団で東国を目指すのは目立ちます。別れて東国にて合流しましょう。」


「だが朝長、お前の傷じゃそれは不可能だろう...」


「...が、がんばりますよ」


「そうか、では頼朝はワシと同行するとして義平、お前は何処から行くとするか」


「私は東山道から東国を目指します。」


「わかった。では優殿は...」


俺は頭の中がいっぱいだった。

ひとまず東国へ落ち延びなければならない、だがそれ以上に義朝さんを助けないといけない。でも複数人で固まっていると追っ手にバレやすい。どうするべきか...


「...」


「どうした?朝長」


「優殿は父上の傍にいて下さい。私は怪我が治り次第別行動しますので」


「おいおいそれは無茶じゃないか?その傷相当深いんだぞ!」

「それにどうした?何だか顔色が急に悪く...」


「...どうやら頑張ることすら難しいようですね」

「父上、一つ頼みがあります。俺の人生最初で最後の頼みです。」


「な、何を言って...」


「俺を殺して下さい。」


「ば、馬鹿野郎!!何を言っておるのだ、正気か!?」


義朝は混乱した


「いえ正気です。しかしこの傷じゃ一緒に行動するのは無理です。このまま追っ手に捕まり平家の手で殺されるくらいなら、いっそ父上にトドメをさして欲しいのです。」


「.....朝長」


「義平の兄さん、そして頼朝、後は頼んだよ...」

「それに優殿、父上を助けてやって下さい。」


「..............ッ」


「はぁはぁはぁ、父上、これを...」


朝長は最後の力で懐から介錯用の小刀を差し出した


「こ、これで....」

「はぁ、は、はやく、苦しい、痛い、父上...」


「.........許せ、朝長ッ!!!」


義朝は刀で朝長を突き刺し、朝長は絶命した

平次元年12月29日(1160年2月8日) 享年17


「....行くぞ、東国へ行く前にまずはここからほど遠くない尾張野間を目指す。」

「...そこにいる家臣の長田忠致を頼る他ない。」


「わかりました。では私は先に行きます。父上達は気をつけて下さい。」


「あぁ、必ずや鎌倉で会おうぞ。」


そして義平は一足先に鎌倉を目指した


「では参りましょうか、優殿」


「ええ、行きましょう。」


そこから俺たちは尾張を目指した。しかしその道中でアクシネデントが起きてしまった


「な、なんて雪なんだ、前が全く見えない...」


「お、おい優に義朝、どこだ!?」


「親王様、こっちですよ!!」


俺たちは大雪に見舞われた。一面中の雪景色が広がる中、俺たちは立ち往生していた


「クソッ、もう尾張に入っているのに野間に辿り着けるのか!?」


「さ、寒い、よ、頼朝、もう少しこっちに火を...」


「..........ん?」

「頼朝、もう少し火をこちらに...」


親王の呼び声に頼朝は無反応だった


「.....なぁ、頼朝って今何処に居るんだ?先頭の義朝の所か?」


嫌な予感がした


「!?優殿と一緒じゃないのか!?」


「えぇ、さっきまで暇潰しに雑談してましたけど、さっき親王様の所へ行くって言うから、てっきり親王様と一緒かと...」


「わ、私は見てない、ぞ。」

「ってことは、まさか!!」


そう、この大雪で頼朝は行方不明となったのだ


「まずい、辺りをくまなく探すのだ!!」


義朝は部下の兵たちに頼朝を探し出すように命令した


「ま、待ってください義朝さん!今無闇に動けば今度は我々がバラバラになりますよ!」


「し、しかし息子が...息子が居なくなったのだぞ!?」


「ここは兵士たちに任せて我々は尾張を目指しましょう!!」


「いやこの雪ではここから南下するのは難しい。このまま東国を目指すのが吉じゃないかな??」


「し、親王様まで...」


「義平も野間を経由せずに鎌倉を目指している。頼朝も野間に寄るか義平と同じことをするはずだ!!」


「しかし頼朝はまだ13、それにこの大雪の中一人で...」


「朝長の死を無駄にしてはならん!!それに今一番死んではならないのは棟梁である義朝、お前だ!!」


「...........」

「ワシは息子を待つ!!!お二人は鎌倉へ行かれよ!!これは父としての役割だ!!」


「(まぁ、そうなるよね、朝長が死んだばかりだし。)義朝さん..せめて俺も野間へ、」


「ならぬ!!優殿は親王様をお守りせねばなりませぬ!!」


「では一体誰が貴方を守るのですか!!」


「見くびっては困りますなぁ、ワシとて源氏の棟梁ですぞ!!.....もう安心してください六孫王様。」


「な、何故今になってその名を...」


「わかりませぬ。ふと呼びたくなったのです...」

「ワシも貴方と同じように歴史の表舞台で活躍したいのです。」


「義朝さん、俺はただの海賊退治の副将に過ぎません...」


「それで十分ですよ、私なんか愚かな棟梁に過ぎませぬ...だがいつか必ずや、この手で、この屈辱を晴らしてやるッ!!!」


そう言うと義朝は吹雪の中姿を消した


「...きっと私も義朝と同じ立場なら、息子を待つよな。わかったよ、義朝。」


「親王様、では俺たちは..」


「あぁ、鎌倉を目指そう...」


そして俺たちは雪の中鎌倉を目指し、足を動かした

いつも読んでくれてありがとう!また読んでもらえると嬉しいぞい!!

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