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第32話 敗走

前には平家、後ろにも平家。遂に逃げ場を失った義朝軍。義平の悪手により六波羅攻めは失敗に終わり、遂に敗走することが決定した。敗北の最中棟梁としての器を自らに問う義朝であったが、敵はすぐそこまで来ている。

「.......内裏に居座るべきだったのだ」

「義平に優殿を付けておけば」

「いやそもそも藤原信頼なんかと手を組んだのが失敗だった、....か。」


「何ぶつくさ言っているんだ!!敵が来ていますよ!貴方は源氏の棟梁なんだろ!?早く撤退の指示を出さねば取り返しのつかない事に...」


「.....源氏の開祖は偉大であっても、ワシはダメみたいですな。」


「はぁ?」


「ワシのせいです。ワシのせいで源氏の名は二度と復活できないほど落ちぶれてしまいました。」


「そんなもん今はどうだっていいから早く撤退するんだ!!」


「....撤退ですか、そうですか」


「.....ッッもういい、俺が指揮を取ります!」

「かつては副将として闘ったこともあります、いいですね?」


義朝は暗い表情をしてコクンと頷いた


「聞け!源氏の兵士よ!残念だが戦はこれまでだ!これより脱出し関東へ落ち延びる、そして力を蓄え再び平家に挑む!!!」


「退却だァああああああああああああ!!!」


俺の声を聞いて現場は騒然とした

「やっぱり退却か」

「そんな、まだ闘えるのに!」

「なんだあの若造は!義朝様はどうなさった!?」


「渡辺殿!義平様が合流されました!」


「優殿、申し訳ございません、俺のせいで頼政を敵に...」


「失敗は誰にでもあるよ。次同じことをしなければいいのさ。さぁ退却しよう...」


「急報ッ!!頼政軍が攻めて参りました!!」


「俺の、せいだ。ならば....」


俺は嫌な予感がした

「よせ、一緒に逃げるんだ!」


「ダメです。これは俺がしでかしたことです。俺がケジメつけますので、先に落ち延びてください!!!」

「父上と弟達を頼みます!!!」


「......わかった!直ぐに戻るんだぞ!!!」


そうして俺は義平と離れて、なんとか戦場から脱出し関東鎌倉を目指すことにした


それからひたすら逃げた。そして何日か逃亡を続けると美濃国青墓宿に着いたが...


「しっかりしろ朝長!大丈夫か!」


「クソッこいつら落ち武者狩りだな!?」


俺たちは落ち武者狩りに襲撃され朝長が負傷した

「う、がぁぁぁぁぁあああああああ」


「クソ、傷が深過ぎる、何とかせねば...」


「...義朝さんは朝長の傍にいてあげてください!コイツらは俺と頼朝で何とかします!!」


「...すまない、頼みたましたぞ!!」


そうすると俺たちは気が狂うほど刀を振りかざし、幾人も切り刻んだ。そして...


「や、やっと終わった...怪我はしてないか頼朝?」


「ぼ、僕は大丈夫です。ただ、あれは一体?」


「んん?」

「あ、あれは!?」


「優殿に頼朝ではないか!?無事だったのか!!」


「義平!!」

「兄上!!」


「しかし父上と朝長の姿が見えないな、まさかはぐれたのか!?」


「いえ、それが実は...」


頼朝はしっかりと落ち着き、事の状況を義平に説明した


「朝長が!?傷は大丈夫なのか!」


「それが深過ぎて様態が良くない。義平も頼朝も直ぐに朝長の所へ行くんだ。」


そうすると2人は宿の方へ走り出した


「.....あのぉ、すみません」


「!?」


聞いたことのある声だ。しかし姿が見えない


「誰だ!?姿を現せ!!」


「んじゃでますよっと」


すると木の影から一人の男が姿を現した


「し、親王様!?」


「お、お久しぶりーー」


「お久しぶりって、一体今まで何処にいたのですか!?」


「詳しくはまた後で話す、それよりも義朝が殺されるぞ!!」


「な、なんて物騒な事を...何を言いたいのですか?」


「だ、か、ら、殺されるんだよ義朝が!!!」


「なんでそんなことがわかるのです.....ってもしや、」


「あぁ、タイムスリップ?したんだよ!!」

「未来で教科書と呼ばれている書物を解読したら、この戦で義朝が殺されると書かれていたんだよ!!」


「教科書だって!?てことはこの先の未来については何かご存知ないのですか!?」


「すまない、訳するのに時間がかかってしまい平治の騒乱の部分しかわからなかった...」


「なんてことだ....その、いつ殺されるかとかはわからないですか?」


「落ち延びている所を味方に殺されたとしか書かれていなかった。」

「それと義平や朝長、頼朝のことについても何も分からなかったよ...」


「.....ウソだろ、義朝さんがここで死ぬとなると武士の世を創ることが難しくなるぞ...」


「あぁ、私の子孫たちが歴史の表舞台で活躍することが私の夢なのに、ここで潰えたか....」


「もしここで本来の歴史に逆らってみたらどうなるのでしょうか...もし成功すれば義朝さんは助かるのではないでしょうか。」


「試す価値はありそうだね。とにかく今の目標は義朝を死なせないことだね。」


「わかりました。ただこの事は義朝さんに伝えない方が良さそうですかね...気が動転するかもしれませんし...」


「そうだね。伝えておくのはやめよう。この事は私たちだけの秘密にしよう。」


源氏の棟梁が殺される、そんな未来が本当に訪れるのであろうか...

読んでくれてありがとうございます!最近pv数が増えて嬉しいです。

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