第24話 信西の思惑
「もう一度お聞きしてもよろしいですかな?」
「ですから義朝殿は此度の戦の恩賞として従五位下左馬頭に任命することとなった。」
「そ、それで清盛のやつは?」
「彼は正四位下播磨守ですな」
「なぜだ!!此度の戦に勝てたのは我ら源氏側のおかげであるのは誰の目にも当然であろう!それに私は父や弟の首までも刎ねたのですぞ。なのに何故清盛よりも恩賞が低いのですか?」
「知りませんな。それにこれは会議で決まったことです。恩賞が変わることはございません。ではこれにて失礼する。」
「.............ッッ!」
義朝は悔しそうに拳を床に振り下ろした。
「左馬頭かぁ、そりゃ義朝さんもあんな態度取るよなぁ」
「何故ですか優殿?左馬頭にまで爵位が上がったのですよ?」
「確かにそうだけど、播磨守の方が爵位はずっと上だよ。それに親や弟を殺し、清盛よりも良く働いたのにこれじゃああんまりだよ。」
「た、確かにそうですね。」
「何も起きなければ良いけどなぁ」
義朝の恩賞については朝廷でも話題となった
「何故義朝の方が恩賞が低いのさ」
「そりゃあ噂によると平清盛が藤原信西や他の貴族に取り入ってるって話だそうだ。」
「なるほど。それは少々運のないことよのぉ。」
「義朝も信西殿に近づこうと信西殿の息子に自分の娘を差し出そうとしたらしいが縁談を断られたそうな...」
「反対に平清盛の娘との縁談が決定してさらに二人の距離が近づいたそうな。」
「これを機に反乱など起きなければよいが...」
「何のお話をしておるのか?」
「げっ、藤原信頼殿、どうかされましたかな?」
「げっ とはなんだ、来て悪かったな。」
この男は藤原信頼。記録では「文も武も能もなく、芸もない」とボロクソに書かれている残念な貴族の反面、それなりの力を持っていた。
「い、いやぁ藤原信西や平清盛の話をしていましてな...」
「し、信西の話か、どれ私にも詳しく」
『(め、めんどくせぇー)』
今回は短いお話ですぞい。




