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第23話 船岡山

戦も終結し、崇徳上皇陣営の源為義らの処刑が決まった。自らの手で父や弟の首を斬らなければならない義朝だが、責務を果たせるのか...

........................きろ


「(誰の声だろう)」


......................おきろ


「!!」

「お前は、って俺?」


「.........そうだ」

「今日は一つ告に来た」


「告げるって何を....それにお前は何なんだよ!何で俺の姿をしているんだよ!」


「それは俺がお前自身そのものだからだ」


「意味がわかんないよ、もしかしてあれか?ドッペルゲンガーか?」


「.....戻るなら今だぞ。」


もう一人?の俺は耳を疑う言葉を発した。


「戻るなら今だって?なんじゃそりゃ。それとも現代へ戻る方法でも知ってるのかよ。」


「確かに告げたぞ。」


「え、待てよ!まだ聞きたいことが....」


すると男の体は炭の様になり消えていった。


ガバッ

「はぁはぁ、夢?変な夢だな...汗が凄い、顔でも洗おう。」


顔を洗うため庭の井戸に向かったが、そこには義朝殿がいた。


「義朝殿、こんな時間にどうかされましたか?」


「んぁ?あぁ優殿か。実は酒を飲んでたら想像以上に酔ってしまってな、少し休憩ってところかな。」


「こんな時間にお酒ですか?体を壊しますよ」


「そうなんじゃが、飲まんと正気を保てん。明日船岡山で父上や兄弟をこの手で殺めなければならぬ。それを考えていると昔のことを色々と思い出して辛くての....」

「そうでしたか...明日ですからね、執行日は。」


「数日前に既に清盛は叔父を斬ったが、やはり辛かったと言っておったわ。棟梁でも辛いものは辛いのか...」


「...と、とにかく今日はもう寝ましょう、明日のことは明日になって考えましょうよ。」


「いや、俺はもう少しここで水を飲むよ。それより優殿こそ早う寝た方がいいですぞ、寝不足になってしまう。」


「...そうですね。ではお先に失礼します。おやすみなさい。」


そういうと俺は寝所の方へスタスタ歩いていった。 


「...かける言葉も見つからないよ」



そして為義らの死刑執行日となった


「ふぅ...それでは船岡山へ行ってくる。」


義朝殿は刑場となる船岡山へと向かった。俺と義平も立会人として同行した。


「行ってらっしゃいませ、父上、兄上、優様。」


「ああ、行ってくるよ朝長に頼朝、留守番を頼んだぞ。」


この人達は義平さんの弟で朝長と頼朝だ。見た目から小学生高学年から中学生くらいだろうか。


船岡山にて


「もうすぐ義朝一行が到着する。それまではお前たちの好きにしろ。....最期の時であるからな。」


「かたじけない。」

「聞け、我が息子頼仲、為宗、為成、為仲よ。これが最期の時だ。決して義朝らを恨んではならんぞ。」


『はっ!!』


「...一行が着いたようだな。全員配置につけ、これより刑を執行する。」


「....父上!それに弟たちよ....」


父や弟たちと再開した義朝殿の目からは、涙が零れ落ちていた。


「これ源氏の棟梁が泣くでない。みっともないぞ。」


「全く。兄上は心狭く、自分一人生き残ろうとしている。万が一の事があれば後悔しますぞ。」


「これ頼仲、最期の時になんてことを..」


「こいつはいつも通りですよ父上。」


「そうだな。昔からそうであった。しかしお前たちも大きゅうなったな....」


「....父上。」


義朝殿は刀を抜き、為義に声をかけた。


「そうかもう時間か。寂しいものだな...」


為義は手を合わせ目を瞑り、念仏を唱えた。


「.....ッッ!!」


義朝は刀を振り上げたが、なかなか振りおろせずにいた。


「はぁはぁはぁ」


「何をしておるか兄上!さっさと我らの首を斬ってもらいたい!まさか源氏の棟梁たるものがビビっておるのか?」


弟なりの兄への激励だろう。


「.....御免、父上ぇぇえ!!!」


その瞬間、義朝殿は刀を振り下ろし為義の首は地に落ちた。


「(それで良いのだ兄上)」

「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏....」


そして義朝殿は休む間もなく次々と弟たちの首を切り落とした。


そして夕方俺たちは館へ帰った。


「ただいまぁ」


「...朝廷の使者が来ている。優と義平はあっちの部屋へ言ってなさい。」


おそらく朝廷から先の戦の褒美についての話だろう。でもなんだか嫌な予感がする...


「褒美で父上も少しはテンションが上がって欲しいのですがねぇ...」


「そうだなぁ、できるだけ良い褒美だといいのだが...」


しかし朝廷の使者から告げられた言葉は義朝にとってあまりに残酷なものであった。

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