表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/41

第20話 火炎

遂に始まる平治の乱。互いの一門を守るため、源氏と平氏が手を組む。向こうには互いの親族もいるがこの勝負勝てるのか...

数刻前崇徳上皇側の陣営にて


「頼長殿、私は九州で大暴れしてまいりましたが、夜討に勝るものはございません。それに向こう側も当然夜討を仕掛けるに違いありません。あちらが動く前に先手を打ちましょうぞ。」


「私も同感でございます。」


「...夜討だと?」


「何かご不満でも?」


「あったりまえだこのバカもの!!武士なら正々堂々闘わんか!」


『なっ、』


「そんな悠長なことを...向こうは源平両家の棟梁がいるのですぞ!?難しい戦いになるのは明らかではございませんか!」


「黙れ、とにかく夜討だけはならんぞ。」


そう呼ばれると為朝は不満そうな顔をしながら席を外れた。



そして現在、帝側陣営にて


「頃合だ。よし、我ら平家が先陣だ!伊藤忠綱、忠清!お前たちは義朝を援護する形で為朝を討ち滅ぼせぇ!!」


清盛の合図に呼応し、郎党の伊藤親子は真っ先に為朝が守る白河殿西門目掛けて駆けていった。


「な、清盛のヤツ先に行きおったか!こちらも負けられん!優殿、我らも行きまするぞ!」


「はっ!」


俺が目指すは源為義が守る白河殿の北殿側だ。そこまでには鴨川が流れている。ここをどう突破すべきか...


「...渡辺軍、右翼から50人為朝側を攻めよ!残りで為義を討ち取る!」


清盛が幾つか義朝さんに援護していた。まずは為朝を必ず破ってもらおう。


「うがぁぁぁぁあぁぁぁあああああああああ!!!」


謎の大声に馬は驚き混乱した。


「な、なんだ今の声?滅茶苦茶うるさいぞ」

「ってこの声西門からか?てことはまさかこの声は...」


白河殿西門にて


「だからワシらと闘えい、為朝!!」


「なんど言わせたら気が済むのだ!!清盛ですら物足りんと感じておるのに、何処の馬の骨かもわからんヤツと戦う必要はない!」


「な、何をこの下郎がァァァ」


「フン、ならばこの下郎の矢をくらってみろ」


ビュンッ、為朝は腕を引き弓を放った。


「...!!避けろ忠直!」


「うがぁっ!」


矢は忠清の弟である忠直の身体を簡単に貫通し、後ろにいた忠清の鎧の袖に突き刺さった。忠直は即死であった。


「...ッ忠直、すまぬ。」


その光景を少し離れていたところから平清盛とその息子重盛が傍観していた。


「なんという強さだ、ですが私の敵では無い!この重盛が討ち取って見せるぞ!」


「待てい重盛!!あやつは人にあらず。お前では打ち倒せんわ、戻れ!」


保元物語には平重盛が口惜しいことだと挑もうとして清盛があわてて止めさせた場面が描かれている。



為義陣営にて

「殿、鴨川の向こう岸から約50騎攻めてまいりました!」


「(六孫王様か...)わかった、守りを固めよ」

「我ら清和源氏の開祖よ、どのように挑むか...」



渡辺軍にて


「クソっ、鴨川が邪魔で向こう岸に行けん、とにかく矢を打ちまくれぇぇぇえ!」

「義朝さんに清盛殿の達は水深の浅いところだから強行突破できたみたいだな...」


どうしたら為義陣営に打撃を与えれるか....

うーむ、橋を掛けるか?いや時間が無い...

泳いで渡るか?いや大きな的だ、返り討ちにされる


「ここは少し凶暴にでるか...」

「連絡兵はいるか!?」


「はっ、どうなさいましたか」


「義朝さんに.....と伝えよ!」





為朝が守る西門にて

「矢を放つのを止めよ為朝、兄に逆らうのか?それにこちらは官軍であるぞ!!」


「黙れ兄上!こちらは院宣を持っておる。それに兄上こそ父上に攻撃するなど許されるはずがなかろう!!」


「く、くそぉあの馬鹿者がぁぁ....」


「義朝様、渡辺軍から伝令でございます!!」


「ん?何だこんな時に、要件は?」


「じ、実は...」


「な、なんと...恐ろしいお方だ...わかった。相手は上皇だ、念の為帝に許可を取ってまいれ!!」



清盛陣営にて


「後少しだが中々落とせんなぁ。やり手ですな叔父上...」


「ち、父上何か煙たくないですか?」


「?重盛お前もそう思うか?実はわしも先程から...」


「申し上げます、白河殿北殿側から火の手が上がりました!」


「な、なんだと!?誰がそんなこと...上皇様の身に何かあれば大問題だぞ!」


「そ、それが何でも義朝の下郎が帝の許可を取り、放火したとのことで...」


「な、恐ろしい奴らだ...」



渡辺軍にて


「よし、どんどん火矢を放て!!」


(日を放てばどこからか逃げ出すだろう...その時に上皇様をいただく!!!)


「よし、打ち方やめ!全員北側に攻めあげるぞ!!」


そう叫ぶと味方の兵士が呼応し、俺の後をものすごい勢いで走り始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ