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第2話 ケビイシ

「兄ちゃんでっかいなぁ!」「その服どこで買ったんだい?先月都に行ったがそんな服見たことないよ!」「なんだいその草鞋、まるで馬の蹄みたいだねぇ」


「ははは...そうですかぁ...」

この時代に来てからはや5日。なんとか京の平安京の辺りまでたどり着いた。乗り物が無い時代、歩いて走ってを繰り返したため足はクタクタだ。休みたいのにまるで休めない。最悪だ。


「シャワーに入りたいなぁ...ってこの時代にそんなもの無いか トホホ。でも、せめて体を洗いたいなぁ」

そんな願望を抱きながら歩いていた矢先、鎧を付けた集団がこちらに来るではないか。


「あのデカブツを取り抑えろ!」

「.....へ?」

僕はいきなりお縄となった。

僕は身長が180cmもあり、現代でも高身長に分類するのでこの時代では化け物のように思われたのだろう。


「そんな!僕何もしてないですよ!それよりあんた達誰なんだ!」

「黙れ!我々は検非違使の者だ。その髪、その身だしなみ、そしてその目立つ巨大な体!その様な巨大な体かの田村麻呂将軍や小野篁公意外この京には居らぬわ!」


髪くらい別にいいだろう。身だしなみに関してはごもっともだと腑に落ちた。しかし僕は何もしていない。この格好であることが罪なのかと思った。


「いったいこの美青年にどのような罪があるのですか?」すると

「自分で美青年とか言うな気持ち悪い。京周辺で噂となっているお前を高貴な方がお前をお探しなのだよ」


ふざけた自分も悪いが少し心にグサッときた。それより自分を探している高貴な方とは誰だろう。


「その高貴なお方とは一体何方でしょうか?」

「口に出すだけでも恐れ多いお方だ。さぁ来い!」


「やっぱり俺死んだ」

そう呟きながら僕は検非違使の彼らにより平安京の中へ連行された。


少し歩いた所である役所の様な所に連れて行かれた。多分ここが検非違使の本拠地なのだろう。そして時代劇で見られる罪人を裁く場所へ連れていかれた。

完全に悪人扱いだ。これから首を刎ねられるのだろうと思った。

「まさか斬首になるなんて...最後にお風呂に入って美味い飯を食べたかったなぁ...まだ20歳だぞ...」

「何をごちゃごちゃ言っておるか!首なぞ斬らんから静かにせぇい!」

どうやら僕は助かるらしい。物凄い形相で怒られたがそんな事はこの際どうでもいい。だが一つだけ気になることがある。自分を探している人物についてだ。僕はたまらず、

「すみません、私を探しているお方とはどの様なお人なのでしょうか。」と尋ねると直ぐに、

「それはこの私だ」

このたった一声で周りの役人は皆頭を下げ、自分も誰かわからない相手に対して頭を下げた。


「このお方はかの清和天皇の皇子、貞純親王であらせられるぞ。」


こりゃ驚いた。せいぜい検非違使の長官かと思ったらまさかの皇族、清和源氏の祖である清和天皇の子であるあの貞純親王だ。しかし親王が自分に何の用があるのだろう。


「恐れながら親王様がこの私にどういったご要件でしょうか...」

緊張していたため口がガタガタと震えていた。すると、親王は

「....お前たち下がれ」

そう言うと役人はみなその場から居なくなり、この場にいるのは自分と貞純親王だけとなった。この奇妙な空間で親王は更に奇妙な事を自分に放った。

「渡辺優よ、私の養子となれ」

「............はい?」


平安時代にタイムスリップして僅か5日で、自分の人生史上最大の山場に当たった。この自分が皇族の一門になるかもしれないのだから。




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