第19話 保元元年
タイムスリップして過去に戻って早々大きな戦がこんにちは。遂に出自を偽って本名を名乗ることにしたがバレないだろうか...。今平安末期の戦い保元の乱が始まろうとしている...
俺と義朝殿はそれぞれ兵を連れ内裏へと向かっていた。
「ねぇ義朝殿、どうして朝廷はこんなに緊迫した状況下にあるの?」
「それはですね今は亡き鳥羽法皇様に問題があったのです...」
「鳥羽法皇様に?」
「えぇ、妃の美福門院様との間に子が生まれると、その子を天皇にしたいがため崇徳上皇様に退位を迫りました。そして子が無事帝の位に着きましたが、わずか数年後に崩御なさった。その際本来は上皇様の御子が次の帝になるはずでした。」
「しかし実際即位したのは上皇様の弟である現在の帝である後白河天皇であった。そのためこうも朝廷が荒れているのです。」
話が本当なら崇徳上皇様は少し可哀想なお人だ。
「なるほど、それで摂関家がどう関連するのですか?」
「今藤原摂関家は藤原忠通とその弟頼長が家長争いにあります。兄忠通は帝に、弟頼長は上皇様と手を組み、互いに自分が官軍であると主張するため、ついに軍事衝突は避けられない状況となったのです。」
「そうですか...それにしても兵士が少ないですね。私の兵と合わせても200程しかいないような...」
「ここは京ゆえ、大人数の戦には適しておりません。故に短期決戦で挑みます。」
「あ、そうだった優殿、我が弟為朝にはくれぐれも注意して下さい。」
「ど、どうして?」
まさかそんなにヤバい人なのか?
「先程館で父も申しておりましたがヤツは九州で大暴れしておりました。さらに身体は貴方よりもデカく、弓は人やで何人も射抜く強さを誇っています。」
マジかよ帰りたいよ。そんな人相手にしたくないよ。
「そんな人相手にできるのですか???」
「いや、為朝に見つかったらとにかく逃げてください。この戦為朝以外は狙い撃ちしやすいですからな。」
良かった。どうやら為朝と相対することは無さそうだ。
「さぁ、内裏に着きましたぞ優殿。」
「な、こ、これは...」
俺は仰天した。そこには大勢の兵士がいたからだ。
さっき京は大人数の戦に適さないと言っていたが、この兵士たちは一体...
「彼らは北面の武士と呼ばれる朝廷の警護を行うものです。そしてそれをまとめるのが...」
「そう、平氏の棟梁であるこの平清盛であーる!」
「!?」
平清盛...何処かで聞いたことのある名前だ。でも全く思い出せない...これもタイムスリップの影響か?
「おぉ、清盛!先に着いておったか!」
「あたぼうよ義朝!こんだけの兵士を連れてこれば帝はご無事じゃろうて、ガハハ!!」
「して義朝、このお方はどなたで?」
「わ、私は元渡辺党の渡辺優とございます!」
「ほぉー若いが、何処か血の匂いがするなぁ」
「それより清盛、本拠地が高松殿とは誠か?あそこは頼長の館の目と鼻の先であろう?大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。その頼長だが、帝陣営の本拠地が高松殿とわかると慌てて館から逃げ出して行ったわ。この戦もはや勝ったもんじゃな。」
「だがいつ開戦となる?どっかでドンパチしないと兵を挙げづらいぞ」
俺は咄嗟に考えた。
どうしよう、どうしたらこちら側が有利に駒を進められるか、どうしたら....
「そうだ...」
「ん?どうした優殿?」
「あのぉ、この際夜討はどうです?丁度夜ですし、ひょっとしたら向こう側の陣営は休んでいるのでは...?」
『....』
「(やべぇ、変なこと言ったかも)ヤッパリ正々堂々戦った方がいいですかね、ははは...」
「いやそれで行こう。」
「そうだな、そうしよう」
「え、大丈夫なんですか?夜討なんて卑怯じゃないですか?」
「何を言っておる、こちらは官軍だぞ。それに戦は勝ったもん勝ちじゃ。」
「そうですぞ優殿、勝てば良かろうってやつです。」
ホントに夜討をする気だこの人たち...俺が咄嗟に考えた案だけどいいのか?正直不安でしかない...
「早速帝と忠通様に許可を貰ってくるぞ!」
「おう、任せた清盛。」
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数刻後...
「夜討の許可が下りたぞ!これで勝ちも当然じゃ!!」
マジで下りたのかよ。ホントに大丈夫か?この陣営
「さぁーてといっちょやりますかな...覚悟召され叔父上...」
「為朝に父上、悪く思わんでください...」
どうやら二人は既に覚悟を決めているらしい。流石源平の棟梁立ちだ。面構えが違う。
「てことは、それぞれの親族を攻撃するのですか?」
「もちろん、それが棟梁の務めですからな」
ダッダッダッ
「急報!!!上皇側に動きあり!」
「ほぉ、始まるな」
「ほら優殿、行きまするぞ私は為朝と対峙します。優殿は父為義をお願いします。」
「わ、わかりました。」
そうして俺たちは内裏から少し移動し大炊御門大路へとたどり着くとそこで兵を展開させた。
「さぁて、腹を決めますか」
保元元年(1156)7月11日、戦いの幕が遂に上がる
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