第17話 俺はお前だ
「んータイムスリップねぇー、君さそれでまかり通ると思ってる?」
「い、いえ、それ以外私の身分を証明するものはありません...」
あれから数時間後近くの警察署で俺は取り調べを受けている。この時代俺に頼りにできる人など誰も居ない。
「でも君と同じ名前の人物が丁度百年前に行方不明届けが出されているから不思議だよ。」
「もしもだよ?君がタイムスリップしてたんならさ、いつの時代を生きてたの?」
「へ、平安時代中期で源経基という人物として生きておりました」
「...ふーん」
あまり興味がなかったのだろう。平安時代と言った瞬間興味のなさが顔に現れていた。
「君みたいな人初めてだから困るなぁぁぁ、今まで色んな言い訳する人はいたけどタイムスリップしてきたなん話、君が初めてだよ。」
「ははは、そうですよね笑」
笑うしか無かった。俺は目の前の現実を受け入れられなかった。数日前は戦場を駆け回っていた自分が、今ではそこらの警察にペコペコしているのだから。
「ふーー、君帰る場所あるの?」
「タイムスリップすればなんとか...」
「...それ、できるの?」
「...恐らく」
「...よし、兎に角君には数日間拘留されてもらうよ。立派な銃刀法違反って罪状もあるし」
「そ、そんな、何とかならないのですか??」
「無理なものは無理。さぁ行くぞ」
俺はその後拘留室に連れていかれた。
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「はぁ、数日前まで源氏の長だった俺が今じゃ犯罪者か....トホホ」
「おい、勝手に喋るんじゃない!」
(独り言くらい許してくれよ酷いなぁ、今日はもう寝よう)
そして俺は深い眠りについた。そして寝始めてから数時間後...
「お前は罪を犯した。もう元には戻れない」
「...?」
「お前は血に染まった人生しか歩めないのだ」
「だ、誰だ?」
「俺はお前だ」
誰の声かはわかる、これは自分の声だ。しかし怖くて声のする方が見れない。
「俺が二人いるわけないだろう」
「俺はお前だ。それ以外何者でもない。そして罪を犯した人間に良い未来など来ないだろう。」
すると声の主はこちらに近づき俺の顔を指さした。
もうチビりそうだ。しかしそれ以上に恐怖で何もできない。
「 お前に絶望を見せてやる」
もう一人の俺がそう俺に言い聞かせると同時、俺はまた深い眠りについた。
「ん、んん?ココは何処だ?」
「いや、俺はここが何処だか知っている。ここは親王様の館だ。」
すると大きな足音がこちらに近づいてくる。そして襖が開いた。
「....親王様、俺また何かしでかしましたか?」
「そんなことはいい!!お主一体今日まで何をしていたのだ!?」
こんな忙しない顔をした親王様は初めて見た。きっと何かあったのだろう。
「とにかく皆が待っている。早く来なさい。」
「...はい。」
俺はよろよろと立ち上がり、奥の部屋の襖に手を添えた。まさかこの後驚くべき事実を知るとは知らずに...




