第16話 名誉と帰還
「おー、あれはは今回の大将の小野好古様だな」「あっちは次官の源、えーと、そうそう経基様じゃなあ」「それにしても凄い大軍だなー」
あれから何日経っただろう、俺たちは役目を果たし遂に今日へ帰還した。海へと逃れた藤原純友も最後は呆気なく、伊予国へ逃げたところ軍に捕まりそのまま獄中で死んだ。
「いやぁ〜それにしても今回はお手柄だったな経基殿。爵位が上がるかもよ?」
「いやぁ〜そうですか?そうですかねぇへへへ」
俺は敵将首を取ったこともあり浮かれていた。そしてニヤケ顔のまま門を潜り関白殿の所へ挨拶に向かった。
「小野好古に源経基だな。此度はよくやってくれたな」
『ハッ!』
「その恩賞として小野好古は爵位を一つ上げよう。」
「ありがとうございます」
「そして、今回敵将の首を取った経基には爵位一段階昇進と鎮守府将軍の位を授けるぞ」
「!!!!あ、ありがとうございます!」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「ち、鎮守府将軍かぁ、実感ないな...」
「将軍職は大変だぞ、これからは関東より上の国を収めていかねばならぬからな。何よりあの地域は蝦夷攻略により朝廷に従った俘囚と呼ばれるものもいる。彼等を束ねることも大事な仕事よ。」
「何よりこの私の後任となるのだから、頑張ってくれたまえよ、ハッハッハ!!」
「わ、わかりました(浮かれすぎたなぁ)」
その日の夜
「いやぁ、やりましたね経基殿!これで源氏の名が東国だけではなく北の地にも広がりますなぁ!!ささ、飲んで飲んで笑」
「い、いやもう飲めないよ」
「え〜宴はまだ始まったばかりですよん、飲みましょうよ〜」
「(ホントに酒飲むと人が変わるなぁ満仲さんは)わ、分かりましたよ飲みますよ...」
その後酒をしこたま飲み続け俺は遂に酔い潰れてしまった。
「うぃー、俺は鎮守府、うい、将軍だァ〜」
「うぅ、吐きそうだ、ウッ」
たまらず吐きそうになり部屋を出て厠へ向かった
おrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr
「う、うー流石に飲みすぎた...水飲んで早く寝よう...」
厠を出て庭にある井戸から水を引き上げ口をゆすいだ。
「ペッ、もう大丈夫かな、ん?何だか頭がフラフラするなぁ」
「ダメだ飲みすぎたから急にカラダが、、、」
「ん〜このまま寝るのもいいかもなぁ、もうここで寝よ」
なんと俺はその場で突っ伏して寝てしまった。今思えばこの行動のせいで俺の人生が変わってしまったのかもしれない。
「ん、もう朝か。ってぇ、頭がめちゃんこ痛いな」
気づいたら既に夜は明け、朝となっていた。しかしこの日は何時もとは違う朝であった。
「....ビル?、スマホ?、あれここって....現代だよな?」
そう、俺はまた現代へ戻ってきたようだ。
「んだよーまたかよ、でも前と違って学校の帰り道じゃないな。どこだこの公園?」
「な、なんですかその格好は?それに刀が腰に、きゃぁぁぁ警察ゥゥゥゥゥ!!!」
「やっべ!!」
俺は警察という言葉に反応しその場から走って逃げた。
「ハァハァ、も、もう大丈夫だろう...それにしても何だこの違和感は...」
「あの、すみません」
「はい?」
「いえ、あの〜大丈夫ですか?顔色悪いですよ?」
「え、あ、あー実は二日酔い出して、いやそれよりもお姉さん、今って何年ですか?」
「え、そりゃあ」
「(ゴクリ)」
「2130年ですよ」
「は?」
「いえ、ですから2130年ですよ今は」
「あ、そうですか、ご親切にどうも。」
そう言うと俺はまた走り出した。兎に角走った。その年数を聞いて落ち着いていられなくなったのだ。
(うそだろ?俺が生まれた時代から100年以上たってるぞ???俺の家族は死んだのか?学校は?中日は首位くらいになったか?)
兎に角気になったことを脳内に挙げていった。
「まてよ、これタイムスリップしなかったら詰んだ状況じゃないか?」
「俺なんてとっくに死亡者扱いされてるだろうし、こんなに年数が経っているなら両親は死んでるはずだ、なら誰が俺を引き取るんだ?」
そう考えると不安が一気に湧いてきた
「おーい君君、」
「ぶつぶつぶつ」
「君ー何してるの?」
「え、へ?」
振り向いたら彼からがいた
「どうも、○×警察署の者です。身分を証明できるものはありますか?」
今最も会いたくない人に最も聞かれたくない言葉だ。




