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プロローグエッセンシャル。
私は神々の戦いの世界から帰還し、プロローグをまとめた。
しかし、次の話で展開するプロローグが、とても難解で読む事に労力を読者に求むものであるが故、それとは別の簡易な序章が求められた。
このプロローグエッセンシャルでは、神々の壮大な戦いから得られた哲学的教訓を削除したものだ。
しかし、この序章を読めば、物語の世界を理解でき、次の長大な序文を読まずとも本編に入ることができる。
私とて、読者が世界に触れる前に門前払いされてしまうことは望むところではない。
この世界は、神々の力が失われ、神々の名のもとにお互いが殺し合い、技術が発展し、膨らみ続ける経済と、失われ続ける資源と、広がり続ける格差が絡み合う。
電脳世界があり、集合意識で繋がる霊的な世界があり、アンドロイドがおり、不可解な化け物もある。
人が住めなくなった都市も、局所的に豊かな技術文明都市も、牧歌的な集落もある。
これは、大きな波に翻弄され続けて、絶望が約束された世界で、それでも闘う者たちを描いた物語。
山台 陽売子