ドアの向こうの蓋
彼が行った
廊下のドアが薄くひらくとたった今なくした思い出に追いすがるように彼の匂いがふいた。
床にこぼれた思い出が薄まらないように瓶は空けたままにしていた
あぁ蓋をしないとなくなってしまう、わかっていても戻せない
残る思い出はこれしかないと小瓶の蓋を探す私。
また風が吹いた、廊下に動くものはなかったが思い出が匂ってきた
蓋はドアの裏にあったのだ。
香水瓶に蓋をしてやると「ただいま」と聞こえた
匂いが濃いこの部屋にはいたくない、
今夜は外に出よう
匂いでどこまで感情を表現できたのか心配なところです。
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