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ココロとトモダチ

作者: 真花




 トモダチが何かを話している。


 「ネ、ドウオモウ?」


 私の脳裏に選択肢が思い浮かぶ。

 

 チャッチャラーン。

 

 1番、私もそう思うよ。

 2番、よくわからないや。

 3番、私はそう思わないや。

 4番、内緒。


 クイズが出題されるときみたいな音が頭の中でなる。選択肢だけでつまらなかったから、心の中で鳴らしていたら、勝手になるようになった。


 どうしよっかな~。今回は、たぶん相手が答えてほしいのは1番でしょ。んじゃ、1番で。

 私は口を動かす。


 「ワタシモソウオモウヨ」


 「ダヨネー!」


 トモダチは笑顔になった。


 ピコン。正解です!


 やっぱりね。喜んでいるように見えるし、あたりだったみたい。ああ、なんでこんなことしているんだろう。なんで演技しているって気が付かないんだろう。まあ、結局のところ興味ないんだよね、私に。興味あるのは自分自身。そうして同意する相手を求めているだけ。きっとね。


 私は、自分の心がわからない。いつからだったのだろうか。日常生活のありとあらゆるものに対して、いくつもの選択肢を思いつく。でも、自分の考えや、感情はわからない。だから、その場に一番合っていそうな回答を選ぶようになった。私が答えるとみんな喜ぶ。なら、まあいっかと思って、人と話すというのはただあっていそうな回答を選ぶというだけの作業になった。

 わからないから、本を読むようになった。ヒトの中で生きていけないと排除されかねない。ココロがわからないとヒトの中で生きてはいけない。しかし、私はヒトのココロも自分のココロもわからない。だから、本を読むようになった。本を読んで、どのような場でどのような回答を選ぶとよいのか、知るために。本というのはとても役に立つということが分かった。以前は間違えることもかなりあったが、今ではあまり間違えない。喜ばしいことなのだろうか。そうして、その場に応じた回答を選ぶだけになると、さらにどんどん自分がわからなくなっていく。


 どんどんわからなくなっていく。何もかもわからなくなっていく。ヒトはみな同じに見える。トモダチとは何だろう。隠そうともしていない演技にも気が付かないのに、トモダチらしい。不思議だ。本では、友達というのは困っていたら相談に乗って、何かあったら気が付くことができて、意見をぶつからせることができて、お互いを尊重しあうことができる関係と書いてあった。私もトモダチも、一つたりとも満たしていないじゃないか。


 本に書いてあることは正しいと思っていた。でも、間違っていることもあるとわかった。どんどんわからなくなっていく。今まで正しい回答を選べていたのに、間違えることが多くなってきた。

 ああ、嗚呼、アア。ワカラナイ。




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