5話「出会う友達」
俺とマリーネは、バーサークウルフと
さらに強力なモンスター、タイラント
ウルフを倒すことに成功した。
「コネクトゲート!」
マリーネがコネクトゲートという
魔術を使うと、彼女の側に黒い
大穴が現れた。マリーネはその
大穴に手を突っ込んで、あるものを
取り出した。
「よいしょっと……!」
何この魔術……便利そう、と思う俺。
マリーネが取り出したのは、小さな
荷車だった。
「マリーネ、それは……?」
「これにモンスターの死体を乗せて
王都まで運ぶの。悪いけどこの
荷車にモンスターの死体を乗せるの
を手伝ってくれるかしら?」
「うん、いいよ。」
俺はマリーネと共に荷車にモンスター
を乗せる作業に取り掛かった。
まぁ、ゴーレムの馬力でモンスターの
死体を軽々と持ち上げ、荷車に乗せる
事ができたからあっという間に
終わったけど。
「マリーネ、バーサークウルフは
クエストで討伐する事を指定された
モンスターだけど、タイラントウルフ
は……乱入モンスター、的なもの
だよね?そのモンスターの死体を
ギルドに持っていくとどうなるの?」
俺が気になった事に対してマリーネは
「クエストの指定外のモンスター
でも、ティアマトの子なら引き受けて
くれるわよ。ティアマトの子である
モンスターはギルドに解析されて
ティアマトの謎の解明の足がかり
にするの。そして、ティアマトの子の
モンスターをギルドに提供すると
お金が貰えるのよ。」
と答えた。
「お金が貰える?それじゃあ、
普通のモンスターをティアマトの子
のモンスターと偽ってギルドに
持っていく人とかいないの?」
俺はそう思い、マリーネに聞いて
みた。
「そんな事しても偽物だって
すぐにバレるわ。だって、
ティアマトの子のモンスターは
ね、赤い瞳をしているの。通常の
モンスターで赤い瞳のモンスター
はほぼいないのよね。だから
ティアマトの子のモンスターと
そうじゃないモンスターの違いは
一目瞭然なの。」
「なるほど……。」
それなら悪い人がギルドを騙して
お金を取るなんて事はできないな、
と俺は納得した。
「さて、モンスターの死体を
ギルドに持っていくわよ。」
「うん。」
そうして、俺とマリーネはルスタ村
周辺の森から王都レガーへと、荷車
を引いて帰っていった。荷車は
パワーのある俺が引いて歩いた。
「それでは、バーサークウルフ4匹
と、タイラントウルフ1匹、確かに
受け取りました。バーサークウルフ
討伐クエスト達成の報酬金、3300
ラルクと、ティアマトの子である
タイラントウルフの提供金、3800
ラルクをお渡しします。」
ギルドで早速受付嬢さんに
バーサークウルフとタイラントウルフ
の死体を渡すと、クエストの報酬金、
そしてティアマトの子提供金を貰う
事ができた。モンスターの死体は
ギルドの職員さんが、モンスター
保管庫へと持っていった。
「リョータロー君、これからどう
したい?」
ギルドでの用事を終え、ギルドを
出た俺とマリーネだけど、マリーネ
は俺に「何かしたい事は無いか」と
聞いてきた。したい事……か……。
「ゴーレムの手足を別の物に換装
できたら、ロボットみたいでカッコ
イイと思う……とか?」
と思って言ってみたけど、ロボット
って言ってマリーネ、いやこの世界
の人に通じるだろうか……?
「ロボ……ット……?っていうのは
分からないけど、手足の換装なら
できるわよ!」
本当!?
「じ、じゃあ強くてカッコイイ
手足が欲しいな~……そういうの
ってお店で売ってたりしない?」
「売ってるお店ならあるわ。
早速行ってみる?」
ゴーレムの装備を売ってるお店
……とても行ってみたい!
「うん、行こう!」
俺がマリーネにそのお店に行きたい
と答えると、彼女は俺をそのお店
まで案内してくれた。
「この街で武器や防具、ゴーレムの
武装を買うならここ!ドワーフの
鍛冶屋!」
マリーネはその場所にたどり着くと、
手をバッと広げて声高らかにその
場所の名を「ドワーフの鍛冶屋」と
呼んだ。ドワーフかぁ……アニメで
見たことあるな。武器とかを作るのが
得意な亜人、だよね?そのドワーフ
が経営するお店って事かな?
そのお店はレンガで作られた建物で、
屋根から伸びる煙突からは煙が
モクモクと空へ上がっている。
「さ、入りましょう!」
マリーネは俺の手を引いて建物の
中へと足を踏み入れた。そして、
鍛冶屋に入った俺達を待っていた
のは……。
「こ、これは……!」
建物の中は武器、防具、ゴーレム
の装備で埋め尽くされていた。
鉄の剣や木の盾、銅の鎧などが
壁に掛けられてたり、棚に置かれて
たり、様々な形で部屋の至る所に
置かれていた。お客さんも2人程
いるな……。ゴーレムの手足も
ある。
「さぁ、好きな装備を選んで!」
マリーネは俺に好きなものを買って
いい、と言ってくれた。
「いいの?高くないのかな、こう
いう装備って……。」
装備はモンスターと戦う為の大事な
物だ。かなり高いに違いない……と
思った俺はマリーネにそう聞いた。
「大丈夫!私は15歳の頃から冒険者
やってて、いざと言う時の為に
ずっと貯金してきたの!だから
遠慮しなくていいわよ!あ、ちなみに
私は今18歳よ。3年間冒険者
やってるわ。」
マリーネ18歳なのか……。俺より
1個上だな。
「俺は、生きてれば来月18歳に
なる予定……だった。」
「じゃあ、私の方がお姉さんって
事ね!」
そう俺に言ったマリーネはなんだか
嬉しそうだった。
「うーん……まぁ間違ってはいない
……かな?」
いや、学校なら同級生だよね……?
……まぁいいか……。てか、「来月
18歳に」って言ったけど、この世界
でも1年12ヶ月365日なんだろう
か……俺の発言に突っ込まないって
事はそれで合ってるんだろうけど。
「マリ~ネ~?」
その時、店の中のお客さん2人が
マリーネの元に近づき、2人のうちの
小柄な女の子が彼女に声をかけた。
「貴方は……リコ!」
マリーネは声をかけた子の名をリコ
と呼んだ。
「そのゴーレム、完成したのか?」
今度は大柄な男の人がマリーネに
そう聞いた。
「そうよトーゴ。リョータロー君、
この2人は私の友達のリコ・クロス
ホーンとトーゴ・クロスホーン。
姉弟なの。」
リコさんに、トーゴさん、兄妹か……。
トーゴさんが大きくてリコさんが
小さいからきっとトーゴさんが
お兄ちゃんなんだろうな。
「一応言っておくけど、私が姉で
トーゴが弟よ~。」
リコは俺の考えを見透かしてたかの
ように、自分が姉でトーゴさんが
弟だと言った。あ、逆なの?見た目
とのギャップが凄い……。
「宜しくね~、ゴーレムさ~ん。」
「宜しくな、ゴーレム。」
リコさんとトーゴさんは俺に挨拶を
し、トーゴさんが俺に右手を出した。
握手をしたい……のかな?
「宜しくお願いします、トーゴさん。
俺リョータローって言います。」
俺は右手を差し 出して、トーゴの
手を握りしめた。……トーゴの手を
握ったような感覚がしない。ゴーレム
には神経が通ってないからかな。
「そう固くならないで~。
リコ、トーゴって気安く呼んで
良いわよ~。」
「さん付けも敬語もいらん。
ていうか、リョータロー?ゴーレム
にしては変わった名前だな。」
リコもトーゴもそう返した。
あ、敬語とさん付けしなくてもいい
のか……大きいから年上かと思った
けど、俺とは同世代なのかな。
それと、トーゴは俺の名前を不思議な
名前だと言った。まぁゴーレムに
こんな名前付ける人あんまりいない
はずだよね。
「俺、異世界から来たんだ。」
「「い、異世界から……来た!?」」
リコもトーゴも驚いている……。
あ、言っちゃいけない事なのかな
これ……。言ったら何かされるとか……
無いよね?お願いします……何も酷い
事されませんように……!
この度はこの作品を呼んでいただき
ありがとうございました!今回登場
したリコとトーゴ。この2人は改修
前は姉がアリュースという名前で
弟がザムスという名前でした。
アリュースは僕の好きなロボットの
名前から取って、ザムスは僕の好き
な宇宙人から名前を取ってますが、
名前のパロディを控えたい為、
名前を変更しました。リコという
名前は山羊を意味するカプリコーン
から取っていて、トーゴという
名前は羊を意味するゴートを逆に
してトーゴにしました。山羊も羊も
角が生えているので、2人の苗字は
クロスホーンにしました。マリーネ
の苗字や姉弟の名前は、星座を元に
してますが、元の作品から改修した
今作は、キャラの名前は星座を元に
名付けをしてます。これからも
よろしくお願いいたします!