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39話「乗り越えるべき壁」

セリエは力を解放し、強敵

シャドーロードと5体のゴーレムを

撃破した。あれだけの戦力があれば

セリエとマリーネを無力化し、

良太郎とティアマトへと至る道

しるべを奪えるだろうと思っていた

リュウカは、唖然とするしか

無かった。




「やったねセリエ!」


「あんなモンスターを1人で倒す

なんて凄いわ。」




良太郎とマリーネはセリエの元に

駆け寄り、2人で彼女を褒め讃えた。

セリエの隠された実力を知った

良太郎は特に彼女に対して驚きを

隠せなかった。


その傍らでハッとして目的を

思い出すリュウカ。その隣の

シャナは3人の隙を付いて鞭の

ように細長い影を地面から伸ばし、

それを良太郎に向けて放った。




「!!」




だが、セリエが瞬時に危機を

察知し、コキュートス・スピアに

よって影を弾いた。1度攻撃を

して、それを防がれてしまったので

相手は警戒状態に入ってしまった。

こうなったらもう良太郎は手に入れ

られそうに無い。




「諦めなさい……!!」




リュウカとシャナを威嚇する

セリエは、杖を構えて諦めろと

2人に言い放つ。それを聞いた2人

は、この場は撤退する事に決めた。




「そうですね……ではこうすると

しましょう……!」




その時、リュウカが指を鳴らす

と、シャナのゴーレムの亡骸が

爆発を起こし、周囲に粉塵が巻き

散らされた。それによって視界を

塞がれた良太郎達。



彼らは相手が何をしてくるかと

警戒したが、しばらくして煙が晴れた

時には、シャナとリュウカの姿は

無く、シャドーロードと敵ゴーレム

の姿も無かった。




「シャナとリュウカは何処に

……!?」


「もういないわ……気配が消えた

……。」




警戒する良太郎とマリーネに

対して、リュウカとシャナの気配

を探った結果2人は近くにはいない

と言うセリエ。彼女の言葉を聞いて

良太郎とマリーネは一安心した。




「ふぅ……これで一安心だな。」


「リョータロー……さっきは……

大丈夫だった……?」




良太郎にそう聞くセリエに

対して、彼は先程自分が動けなく

なった事の説明を頭の中で組み

立てて、それをセリエとマリーネに

説明した。




「あの、さっきはなんと言うか……

過去の嫌な記憶を、トラウマを

思い出しちゃって、それで動揺して

動けなくなったんだ。俺は過去に、

凄い残酷な光景を見た事があって……

それを思い出して、体が竦んだ

というかなんというか……?」




良太郎はこの説明でセリエと

マリーネに伝わるだろうかと思い

つつも彼女に動けなくなった理由を

説明した。




「なるほど、過去の記憶とは厄介な

物ね。払おうとしてもそう簡単に

払えないものだもの。私は冒険者に

なりたての頃、モンスターに殺された

人の遺体を見て、すごく怖かった

っていう記憶が忘れれれないわ。」




マリーネは自分の嫌な記憶を

良太郎に話した。それを聞いた

良太郎は、誰にでも怖い物はある

ものなんだなと、なんだか安心した

ような気分になった。




「そう……誰にでも……怖いものは

ある……でも、それを乗り越えた

時……人は強い心を……手に入れる

事が……できるの……だから貴方も

……どうか乗り越えて……。」


「セリエ……。」




セリエは良太郎に、過去の

トラウマを乗り越える事を提案

した。トラウマを乗り越えた人の

心は、強く真っ直ぐな物になる。

セリエは、良太郎にそうなって

欲しいと願っているのだ。




「セリエ……俺、頑張るよ!!

相手がどんなに怖くても、俺は

負けない……だから俺を応援して

くれ!!」


「ええ……そうするわ……。」




良太郎とセリエの絆は、この時

僅かに、だが確かに硬くなって

いった。生まれた世界は違って

も、人は分かり合える。良太郎

とセリエは、この時、ただの知り

合いから、仲間へと昇格したのだ。




「ところで……セリエ?」


「何?」




そこにマリーネが割って入り、

セリエに気になっていた事を質問

した。




「私……ティアマトへと至る道

しるべってものがどんな物か

気になるんだけど……見せて

貰えないのかしら……?」




セリエは影の一味と戦ってた

事ですっかり忘れてしまっていた。

2人に今まで隠していた秘密の存在

「ティアマトへと至る道しるべ」が

知れ渡ってしまったのだ。さて

どうしようかと悩むセリエは、

答えを導き出した。




「そう……知られてしまったから

には……ね……?」




セリエは不気味な笑みを浮かべて

魔杖を握って良太郎とマリーネを

見つめた。




「まさか……知ってしまったから

には、的な……!?」


「セリエ、おおお落ち着いて……?」




知ってはいけない秘密を知って

しまったからには口封じをされる、

その認識は、この異世界でも、

良太郎の世界でも変わらないようで、

良太郎とマリーネはセリエの視線に

恐怖を覚えた。そしてセリエは次の

瞬間……。




「なんて、冗談よ……。」


「え?」




杖を下ろして2人に笑顔を見せた。

それを見て驚いていいのやら、

喜んでいいのやらと戸惑う良太郎

とマリーネ。



「仕方ないから……2人にだけは

見せてあげる……ティアマトへと

至る道しるべを……。」




セリエは決意したのだ、2人に

ティアマトへと至る道しるべを

見せる事を。良太郎とマリーネは

果たしてどんな物を見せられるの

だろうか……?



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