36話「喰らう黒獣」
カノト村に迫る黒いモンスターと
5体のゴーレム、そしてモンスター
の上には2つの人影が……。俺と
マリーネとセリエは村の外に出て、
それらを止めようとした。
「リョータロー君!セリエ!
行くわよ!」
「うん!」
マリーネに行こうと言われ、彼女と
共に村の門を開け、外に出る俺達。
外の草原地帯に出ると、マリーネは
自分に魔術をかけた。
「ハイサウンド!」
彼女は自分に声を大きくする魔術、
ハイサウンドをかけ、声音を
大きくさせ、空にいるモンスター
達に向かって声を発した。
「そこのモンスター!止まりな
さい!」
マリーネの声を聞いたモンスターは、
要求通りカノト村の手前で止まり、
地面に降り立った。そして黒い
モンスターの上から2人の人物が降り
てきたのだが、1人はほっそりとした
体格で軽装の女性で知らない人だ
けど、もう1人は……。
「久しぶり!ゴーレムのお兄
ちゃん!」
シャナ……影の一味か。という事は
もう1人も影の一味なのか?
「貴方達と出会うのは初めてですね。
初めまして。私の名前はリュウカ。
王国アストレアの村人を誘拐した者
です。」
アストレアの村人を……こいつが!
「村人は……人質……?」
セリエがリュウカにそう質問すると、
彼女は冷酷な答えを俺達に告げた。
「今のところは無事ですよ。しかし
彼らにはいずれ、「彼」の食糧と
なってもらいます。」
それがリュウカの答えだった。
そうか、アストレアのモンスター
に食い殺された村人達っていうのは、
このモンスターに……!
「そんな事させるか!モンスターに
人間を食べさせて何になる!
そんな事許してたまるか!」
リュウカの言葉を聞き、頭に血が
登ったような感覚に襲われた俺は
彼女らにそう言った。
「落ち着いてお兄ちゃん!彼は
人間を食わずにはいられない性を
背負っているのよ?」
リュウカは俺の言葉にそう返すが、
俺はそれがどうしても許せなかった。
「そんなの関係無い! 人がモンスター
の犠牲になっていい訳無いんだ!
俺達がお前達を止める!」
俺は腕の刃を展開させ、戦闘態勢に
入った。モンスターを殺し、シャナ
とリュウカは捕まえる!そうしな
ければ、次の犠牲者が……!
「待ってリョータロー君!その前に
彼女らに聞きたい事がある。」
その時、マリーネが俺にそう呼び
かけた。彼女は影の一味に聞きたい
事があるそうだ。
「この国の王都を襲ったのは貴方
達?」
マリーネはリュウカに質問を投げ
かけ、
「そうですが?」
それに彼女はそうだと答えた。
「何故そんな事をしたの?」
マリーネは再びリュウカに質問をし、
「この国の戦力を削っておきたかった
のです。」
リュウカはマリーネの質問にそう
答えた。
「どうして?」
マリーネが続けて質問をすると、
リュウカは答えを言った。
「この国で手に入れたいものがある
から、それを手に入れるのを邪魔
してほしくなかったからです。」
「まさか……!」
リュウカの言葉を聞いて、セリエは
何か心当たりがあるかのようにそう
呟いた。
「そう、貴方なら知っているで
しょう。「神へと至る道しるべ」
それが私達の欲するものです。」
リュウカの言葉で、俺は初めて
その……神へと至る道しるべと
やらの存在を知った。それは一体
どんなものなんだ……?
「神へと至る道しるべ……?
セリエはそれの事を知ってるの?」
マリーネがセリエにそう聞くと、
彼女は
「隠してて……ごめんなさい……
神へと至る…道しるべは……
カノト村の……村人の間で……
代々……密かに……守られて……
いたものだから……。」
と答えてくれた。それは人には
言えないものなのか……。
「それを使って、私達はティアマト
へと会いに行く、それが私達の
目的です。」
リュウカは、自分達はティアマトに
会いに行くという目的を明かした。
「一体なんの……」
マリーネがリュウカに質問しようと
すると、それを遮るようにリュウカ
は俺を指さし、更なる目的を
明かした。
「それだけではありません。私達の
目的はもう1つあります。鬼島
良太郎。リーダーが貴方に会いた
がっています。」
「え……?」
俺はリュウカの言葉を聞いて、そう
呟いた。あいつらのリーダーが……
俺に……?なんで……?
「なんで俺なんだ……?」
俺がリュウカにそう聞くと、彼女は
「リーダー曰く、僕と良太郎は
同類、だそうです。」
リーダーと俺が……同類……?
まさか……でも……。
「以上が私達の目的の物。
神へと至る道しるべ、鬼島良太郎。
これらを私達に渡しなさい。」
リュウカは改めて自分達の目的の
ものを俺達に要求してきた。
でも……神へと至る道しるべも、
俺も、ろくな事に使わないのは
火を見るよりも明らかだ!
「断る!」
俺はリュウカにそう答えてやった。
それが最適の答えだと思ったからだ。
「そうよ、貴方達には帰ってもらう
わ!」
「どっちも……渡さない……。」
マリーネとリュウカはそう言うと、
杖を召喚し戦闘態勢に入った。
「そうですか……では、シャドー
ロード。」
リュウカは右手を横に突き出し、
モンスター、シャドーロードに
命令を出した。
「喰いなさい。」
え……?喰うって……?そう
思った次の瞬間、シャドーロード
はリュウカの右腕に喰らいつき、
そのまま彼女の腕を喰いちぎった。
「な……!」
それを見て驚く俺達。彼女の腕の
あった場所から飛び散る血飛沫を
見た瞬間、俺の脳内に「あの日」の
記憶が蘇った。
そして、俺は腰を抜かして倒れて
しまった。
「リョータロー君!?」
倒れる俺の姿を見て俺にそう呼び
かけるマリーネ。
一方リュウカはと言うと、なんと
彼女の右腕は、あっという間に再生
していたのだ。
「私には神獣レベルのモンスター、
不死龍の血が流れているので、
この通り、腕が無くなろうとすぐに
再生するのです。」
リュウカは自分の事をそう説明した。
「そして、その血を喰らったシャドー
ロードは肉体が強化された。さぁ
シャドーロード。彼女らを無力化
させなさい。」
「ゴォォォォォォォォォォオ!!」
続けてそう言うリュウカ。彼女の
言葉を聞いたシャドーロードは
雄叫びをあげ、俺たちに向かって
きた。
俺はさっきのショッキングな光景を
見たせいで身体が竦んで動かない。
マリーネとセリエは、この状況を
どうするのか……?




